美神 令子・その人生・その愛

または、ほとばしり溢れ出す我がぬるい想いのコーナー


 このコーナーは、本来ならば「椎名作品 FAQ」A3.13 で予告したような、GS美神のヒロインであるところの美神の恋愛感情の深層を探り、さらには彼女の人生哲学の源泉を追求する、非常にアカデミックな論説となるはずでした。

 しかし、残念ながら、まだその論説は完成しておりません(素直に「書く気がない」と言わないところがチャームポイント)。仕方がないので、ここは私がサンデー連載中のGS美神などに関する事についてのコメントみたいなものを、気力が続く限りぼちぼち書いてみたいと思います。

 週に一回くらいは更新するつもりですが、そうでなかったらゴメンしてね。

 

 前回更新分の続きから読みたいぞ
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98/ 7/ 5
 このコーナーの名前は「美神令子・その人生・その愛」という建前になってはいるが、今はご存じの通り、肝心の美神がアレでソレでダメな状態になってしまっているので、今回は今サンデーの連載で盛り上がっている「ジャジメント・デイ!」編で大活躍しているアシュタロス様と、その周辺の話題について、色々と突っ込みを入れて遊んでみたい。
 
 
  • 「これで私の真の目的が達成できる!!」
  •  サンデー29号のアシュタロスの台詞。
     このシーンの説明により、アシュタロスの目的が、コミックス22巻に出てきたカッコ悪いと評判の魔族ボディの完成から、宇宙の卵→宇宙を再創造できる力を持ったコスモプロセッサの作成に変更された。まぁ、早い話が「カッコ悪いと評判の魔族ボディ」路線はこの時点でポイ捨てになった、という事だ。

     これは、確かにストーリーの整合性という点から見ればかなり問題がある行為なのだが、正直言って「アシュタロスがカッコ悪いと評判の魔族ボディに乗り移って美神や神々と魔界大戦争をする」展開よりは、今の方が話としては全然面白いと思うので、オレ的には魔族ボディポイ捨てに関しては、特に責めるつもりはない。
     こんな事って、長期に渡って行き当たりばったりな話作りをしている連載連載マンガにはよくあることだよな?

     ただ、今の「コスモプロセッサ」も、詳細な設定その他が決定しているような雰囲気は微塵もなく、どうにもその存在が薄っぺらいものになっているのも事実。今後の「GS美神」は、「何でもできる」以外の設定は何も用意されていないコスモプロセッサと、これまた事実上何でもできる横島の文珠の対決という、かなり行き当たりばったりな戦闘になることが予想される。

     でも、これも長期連載マンガの醍醐味って奴ですよ! と、強引にまとめてみたが、如何か。ダメか。
     
     

  • 「祝杯を新規出力!」
  •  サンデー30号の名シーン。アシュタロスが「祝杯を新規出力!」と叫びつつピアノの鍵盤のようなものを押すと、パイプオルガンみたいな音が響き、稲妻のような大層イカしたエフェクトを伴って、冷えたワインとワイングラスが突如出現(しかもグラスは意味もなく2個ある)。
     己の造り上げた装置の作動したことに対し、グラスを高く掲げて「フハハハハ、ハハハハハハハハ!!」と高笑いするアシュタロス。ワインを持って高笑いっつうのは、ヤマト以降のSFアニメに登場する独裁者のお約束と言えるだろう。

     ピアノの鍵盤を叩くと何らかのメカが起動してリアクションが起こる、というのは、その昔TVアニメ「ふしぎの海のナディア」でも使われていた。まぁ「ふしぎの海のナディア」は他の映画やアニメなどからのパロディの塊のようなアニメであるので、これも何らかの元ネタがあるのだろう。
     後、独裁者というからには、マフィアのボス系の独裁者の定番アイテム・「時々握り潰せる小動物」も用意しておいた方がよかろう。「時々握り潰せる小動物を新規出力!」とか。ダメか。
     
     

  • 「私の下僕としてよみがえるがいい、殉教者たちよ……!!」
  •  サンデー30号のクライマックスシーン、過去に登場した魔族達が世界中で次々と蘇るシーンである。
     まぁ、コスモプロセッサの威力で蘇るのは結構なのだが、蘇ったメンバーの中には少々問題がある奴もいる。

     ポチは「魔族」ではなく、「人狼族」である。彼は単に自分自身が神の領域の力を得たかっただけであり、別にアシュタロスとは関係ない。っつうか、行動目的がアシュタロスとコンフリクトしているような気もする。

     死津喪比女の場合は、分類としては立派な魔族に入るとは思うのだが、こいつの目的はポチよりもさらにやっかいな「繁殖して世界を自分自身で満たす。人も魔族も皆殺し」である。こんなやっかいなモノ復活させてどうするよ。
     っつうか、こいつが復活しちゃったら、コミックス20巻のおキヌの努力もパァになって色々とマズイと思うのだが。その辺どうですか、アシュタロスのアニキ。
     

     ブラドー伯爵は、単に3巻で恥ずかしい負け方(ピートに噛まれて魔力を失う)をしただけであり、別に死んではいないような気がする。初期の「GS美神」の面白いオッサンも、今じゃ再生怪人扱いですか? トホホホ。
     ハーピーの場合も、コミックス12巻で美神の母によって冥界に封印されたと認識していたのだが、あれも魔族的には「死んだ」とみなすんだろうか。今の「GS美神」の対魔族戦展開の礎になった「母からの伝言!」編の敵キャラが、今じゃ再生怪人扱いですか? 魔族の皆さんも、給料も出ないのに大変ですね。トホホホ。
     
     
  • 「お前、たしかアシュ様直属の…?」
  •  サンデー31号のメドーサの台詞。メドーサとルシオラに面識がある、という描写のようだ。
     ルシオラ達が造られたのは、少なくとも1年前以内のはずなので(当初の設定では、ルシオラ達は1年すると死んじゃう予定だった)、今の事件はメドーサが最後に出て来た話から1年も経過していないという事になる。
     我々の感覚からすると、メドーサが健在だったのはもう遙かに過去のことのような気がしてならないのだが。まぁ、マンガだからな(←禁句)。
     
     

  • 「本当に下水道からアシュ様に近づけるのね!?」
  •  ルシオラがバイクにまたがり、横島と一緒にアシュタロスの居場所まで突進するシーン。
     「ルシオラが何故バイクに乗れるんかい! 生まれて1年も立ってないんじゃ、バイクどころか自転車だって乗れないんじゃないですか!」とか「そのバイク、どこからかっぱらって来たんだ?」とか言いたい方もいるとは思うが、まぁこのマンガを長い間読んでいる人なら、細かい事は気にしない方が良いという感覚は身に付いているはずだ(いいのか?)。

     それはそうと、「GS美神」には、昔から「展開に詰まると、状況を打開するためとりあえず女性キャラをバイクに乗せて走らせる」という癖があるような気がする。今回のルシオラもそうだが、コミックス30巻で「これが美神家の戦いです!」と言いながら制服コスプレしてバイクで突進して来た美神母、犬飼ポチ=フェンリルから逃れるためにバイクを使った美神もそうだ。女性とバイクって構図が好きなんですかね?

     あと、ちゃんとバイクに乗るときにはヘルメットを被ろうね! ヘルメットをしてなかったばっかりに事故で命を失ったりしたら、「あいつは風になったのさ……」とかヤンキー仲間に追悼されかねないからね! ボクと君との約束だよ!
     
     

  • 「今のノイズは……気のせいか……!?」
  •  最終必殺兵器に頼る独裁者が、わずかな機械の異常に気付かなくて自爆するパターンの基礎、「気のせいか」の登場だ。
     いや、やっぱこういう基礎は重要ッスよ。この手のミスを犯してピンチに陥らなければ、真の独裁者にはなれないッス! これはきっと、美神の残留思念がどうこうして機械に異常が起こる、というパターンの前触れを、自らアシュ様が演出しているんですよね!?  ビバ! 気のせい!
     
     

     ……今の「ジャッジメント・デイ!!」編は、31巻掲載部分のようなまとまりがないというか、読んでいて行き当たりばったりを感じるというか、肝心のアシュ様が相変わらず何考えているんだか判らないとか、色々と文句を言っている方も多いとは思うが、っつうか私自身もそう感じているのだが(笑)、でも今の「ジャジメント・デイ!」編は、それ故に色々と突っ込みどころが多くて楽しいのも事実。
     7年も続いた長期連載マンガが終盤に向かって苦労しながらなだれ込もうとしている場面など、そうそう体験できるものではないのだ。同じ読むなら、楽しまなければ損である。

     今は非常に貴重な機会でもあるので、ただ単にマンガを読むだけではなく、「作者も昔のストーリーとの整合性を保つのに腐心しているだなぁ」とか「毎回一度ギャグシーンを入れるのも大変だよなぁ」とか「今GS美神が終わっちゃったら、穴を埋められる作家がいるのか?」とか、マンガを提供している側の苦労にもたまには気を巡らせてみることをお奨めする。「制作者側の状況を推理する裏読み」行為は、立派なマンガオタクになるための第一歩であると言える。

     ……しかし、こんな事を言っていて、本当に私は椎名高志ファンページの主催を勤める資格があるのだろうか(笑)?



    98/ 7/28
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