もう一つの物語

最終話 新しき命



「・・・小竜姫さま。綺麗・・・。」
「・・・本当だべ。わたすも、いつかは山田君と・・・。」

おキヌと早苗がうっとりと小竜姫を眺める。

「小竜姫さまに、ウェディングドレスが似合うかどうか心配したんだけど、杞憂だったみたいね。」
「ありがとうございます。美神さん。」
「それにしても、神様が神様に誓いを立てるってのも変なものよねー。」
「イエス様には、一度お会いしただけですが、とても素晴らしい方です。
それに、上級神でいらっしゃるので、問題ありません。」

ウェディングドレスを身に纏い、小竜姫が微笑んでいる。
他に、GS女性陣。エミや冥子、魔鈴やシロタマなどがキャイキャイ騒いでいる。
一方の横島。

「おっ!銀ちゃん!来てくれたんか!」
「当たり前や。横っちの晴れ舞台やで?来んわけにはいかへんやろ。」
「それにしても、横島さんが小竜姫さまと・・・。
ワシもいつか一文字さんと!!いや、エミさんも捨てがたい・・・。ブツブツ・・・。」
「横島さん。お久しぶりです!」
「ピート!ICPOに行ってたんじゃねーのか?」
「もちろん、帰ってきたんですよ。友達じゃないですか。」
「横島。今のてめーは、俺よりも随分強くなった。だけど、覚えとけ!
必ずいつか追い越してやる!」
「雪之丞・・・。こんな時くらい、他のセリフ考えてくれよ。」
「それよりも、飯はまだか!マリア、おにぎりを出してくれんかのう。」
「イエス・ドクターカオス。」
「そうじゃ。おにぎりはやっぱり梅・・・ぶっ!!」

おにぎりを食べようとしたカオスを突き飛ばし、人影が横島に飛びついた。

「ヨコチマーーーー!!」
「パピリオ!!」
「パピリオだけじゃないでちゅよ!ほら!」

パピリオが指さした所には、老師、大竜姫、そしてベスパが立っていた。

「いやいや、全くここまで来るのに苦労したわい。」
「横島よ。私はお前を認めたわけではない。
だが、妹が自ら望んだことだ。・・・妹のことを、頼む。」
「ありがとうございます。必ず幸せにします!」
「ヒャクメは神界で謹慎しておる。伝言を預かってきた。
・・・コホン。この幸せ者ーーーーー!!・・・・・・だそうだ。」
「いってーーーー!・・・・・・どーして殴るんすか!?」
「殴りながら伝言して欲しいと言われてな。」
「・・・さいですか。」

ヒャクメの物まねをする大竜姫に、反撃するわけにもいかず、シクシクと泣く横島。

「・・・久しぶりだな。横島。」
「ベスパ・・・。」
「あの子も、喜んでいるだろう。あの子は、お前自身でもあるのだからな。」
「・・・ああ。」

突如、教会の扉が開いた。

「け、警察!?なんでここに?」

警察官は、横島目指して一直線に走ってきた。

「お、俺はなんも悪いことしてないっすよ!?
Hな本をベッドの下に隠したりしてないし、立ち小便なんてしたことないっす!
あと、それから・・・!」
「横島さん!私です。分かりますか?」
「え・・・?あれ?もしかして、小鳩ちゃん!?」
「はいっ!」

なんと、婦人警官の制服に身を包んだ小鳩であった。
しっかりと、ふわふわ浮きながら貧乏神、ではなく福の神の貧ちゃんもついてきている。

「小鳩ちゃん、警察官になったんだ!」
「はい。できるだけ多くの人の力になりたいって思って。
それで、招待状貰ったんだけど、仕事が忙しくって、でも、やっぱり一目だけでも会いたくって、
先輩に頼んで寄って貰ったんです。
横島さん・・・。小鳩は、小鳩は・・・!」
「小鳩!泣いたらあかん!横島の顔を見てみい。幸せそうな顔の裏に、不幸の影が・・・ぶっ!!」
「てめえ!こんな所まで喧嘩売りにきたんか!!」
「騒がしいのう。何事だ?」
「あ、大竜姫さま。いや、この貧乏神が・・・。」
「だ、大竜姫さまやて!?」
「ん?ほう、懐かしい奴がいる。久しいのう。」
「だ、だ、大竜姫さま!も、も、儲かりまっか?」
「はあ?」

貧ちゃんは、動転して訳の分からない事を口走っている。
その時、外でクラクションの音が響いた。

「あ、いけない!先輩が外で待ってるんです。それじゃ、私はこれで!」

来るときと同様、パタパタと走っていく小鳩。
その足がピタッと止まる。くるりと振り向く。

「横島さん!お幸せに!」

小鳩はそう言って、また振り向くと、そのまま外へ出て行った。
貧ちゃんも慌ててついて出て行った。

「・・・ありがとう。」


そうこうしているうちに、式が始まった。


バージンロードを歩く。聖壇の前に立つ。唐巣神父が仕切っていく。
やがて、誓いの場面に入る。

「横島忠夫よ。汝は・・・彼女を妻として永遠に愛することを誓いますか?」

横島は小竜姫を一度見る。

「・・・誓います。」

「小竜姫よ。汝は・・・彼を夫として永遠に愛され、助ける事を誓いますか?」

小竜姫は一度横島を見る。

「誓います。」

そして、指輪を交換をする2人。
ぎこちないキス。
舞い上がるブーケ。

小竜姫が思いっきり投げたので、なかなか落ちてこない。
ブーケを奪おうと、女性達の激しいバトルが行われる教会前。

「令子!あんたは一生結婚なんてできないんだから、ブーケ貰っても意味ないワケ!!」
「うるさい!あんたこそ無駄なことはやめなさいよ!」
「2人も止めてよ〜〜。でないと〜、私〜、私〜、ヒック!」
「わ、わ、悪かったわ。大丈夫!私達は親友なんだから、ね。」
「幽体離脱して取ったらまずいかなー。」
「わたすが取るだ!山田君と!山田君と!!」
「あのブーケ、魔法薬の材料になるかも・・・。」
「私だって、もう一花くらい!」
「百合子おおおお!捨てないでくれええええ!!」

少し離れたところにいるシロタマ。

「・・・なんでみんな大騒ぎしてるでござるか?」
「知らない。」

そんな大騒ぎの中、ブーケはパピリオの手の中に収まる。

「やった!取ったでちゅ!それで、これを取ったらどうなるんでちゅか?」

女性陣の頭が、カクンと折れた。




そんな中、幸せ一杯の顔をした小竜姫が、横島に話しかける。


「ねえ、横島さん。」

「なんすか?」

「ヒャクメが調べてくれたんですけど、生まれてくるのは女の子だって。」

「女の子かー!」

「それでね、私、名前を考えてみたんです。聞いてくれますか?」

「もちろん!」

「【蛍】です。ルシオラさんにちなんで。」

「・・・いい名ですね。蛍か。美人になること間違い無しだな!楽しみやなー!」

「私もです!!」





横島忠夫、二十一歳

桜が舞う季節


幸せの中に宿りし新しき命、蛍

神・魔・人の血を引くもの



彼女が、これからどんな人生を歩むのか、まだ誰も知らない



※この作品は、hoge太郎さんによる C-WWW への投稿作品です。
[ あとがき][煩悩の部屋に戻る]