昼中夢

著者:ほりべー


「ふああー・・・」
今日も横島は除霊がえりで公園を、とおっていた。
「・・あれ・・・?」
ベンチに女の子がすわってるが、様子が変だ。
「おい、こんな所でねてたら・・・わ、すごい熱!」
横島は女の子を背負って、病院につれていくことにした。

しかし、今日は日曜日。ほとんどの病院はしまっている。
開いていたところも手がいっぱいだという。
ビュウウウウウ・・・
「へっくし!どうしよう・・・俺はともかくこの女の子がこごえちまう。」
しかたがないので、アパートに連れてかえることにした。

「う・・・ここはどこかしら・・・・。(アパート・・・?しかもえらくボロイ・・・。)」
「えっくしょん!ずずっ・・・」
「あの人は・・・?知ってる人かしら・・・?
(布団もきないでねてる・・・。もしかして、わたしがとっちゃたのかしら・・・)」
そのとき、女の子はある事に気づいた。
「まぬけ面してねてるけど・・・やさしい人にはちがいないわ・・・」
机の上には、おかゆと、たくわんと・・・メモがおいてあった。
メモには、「腹がへったらこれくえ」と、かいてあった。

「いっただきまーす。」
よほどお腹がすいていたのか、すごい勢いでたいらげた。
「ふわああ・・・あ、起きたか・・・」
横島が、ふいに目を覚ました。
「あ、あの、わたしなんでここに・・・?」
横島は、今までのいきさつを簡単にはなした。

「ふうーん・・なるほど・・・あなたは?」
「俺・・?俺は横島。・・・横島 忠夫。君は?」
「わたし・・・誰でしょうか?」
「へ・・・・?」
横島は、思わず手にもっていた茶碗を、落としそうになった。

「と、いうことは記憶喪失か?」
「と、いうことは見ず知らずの女の子を家に連れこんだんですか?」
「人聞きの悪い・・・」
「よくおそいませんでしたねえ。」
「おそわれてもいいのか! (ガマンしてたんだよっ)」
この女の子はよく見ると、いや、よく見なくてもかなりかわいい。
「いいえ。」
「(すっかりあっちのペースだな・・・)」
と、横島は苦笑した。
「名前だけでも思い出せねーのか?」
「ううーんと・・・・・・あっ!」
「わっ・・思い出したのか?」
「はいっ。可成(かなり) さつきです。」
「さつきちゃんか・・・。警察に問い合わせてみよう。」

その後、警察のおかげで身元ははっきりしたが、本人の強い希望によりしばらく横島の家に、住在することになった。

そんなある日、夕食の買い物をすませ帰っていると、いきなりさつきがころんだ。
「お、おい、大丈夫か!?」
打ち所が悪かったのか、数分間さつきは気絶していた。
「う・・・あれ、わたしこんなとこで何してんのかなあ。」
「え、なにいってんだ・・・」
「あなただあれ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!
・・・・通りすがりだよ・・」
「あ、もうこんな時間!ごめいわくおかけしましたあ!」
「うん・・・・」
しばらくのあいだ、横島は立ち尽くしていた。
「こんなはやく、別れが来るなんて・・・」
どうやら、記憶を失ってる間のことは、覚えていないらしい。
「いいこだったよな・・・。また・・・思い出してくれるかな・・・・・・・。」
そう思いながら、帰った・・・・・・・・・・・。


そのあとの、バレンタインデーにもらったチョコのなかに、ポストにはいっていた、差出人がR,Mと、S,Kと、いうものがあった。
「美神 令子と可成さつき・・・・・まさかな・・・・。」
−END−


※この作品は、ほりべーさんによる C-WWW への投稿作品です。
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