gsm-gaiden : emergency call from lavatory
[the latter part]

literary-work : iky


   「派手にやったなお二人さん」

   「本当ですだな」

   「何があったんですか?」

 順に雪之丞 タイガー ピートも事務所に入って来た。聞くと唐巣の車に便乗してきたらしい。

   「あれ。お前らまでなんだ?えらく大所帯だな」

 普段は華やいだ女だらけの事務所、そこにむさ苦しい野郎が大挙して現れて嬉しくない横島がツッケンドンに言う。本当に、イラストコーナーの某氏のイラストのようにムサ苦しい事この上ない状態であった。

    「何かあったのか?あんまり狭い場所で野郎の顔を見る趣味は無いから長居して欲しく無いんで、用件あるなら早めに済ませてくれよな」

    「おお、そうだった。君の阿保な顔を観たらコチラも気が抜けてしまって大事な用件を忘れていたよ」

 それは自分もだと言う西条。ワザとらしく、この諸行の責任を横島のせいだといいたげに咳バライをする。

 

   「この前の山(事件)覚えているか?」

 雪之丞が問う。謎かけの意味合いがあったので横島もちょっと考える。

   「ん?この前っていうと・・・・・・・・・・・・・」

 思い出そうとして、顔が思いきり曇り、それを過ぎると厭そうに顔を歪める。

   「ああ、覚えてるぜ。つうか、忘れられるかあんな事!!」

 普通の依頼なら幾らでもあるが、この面子が揃った山はそんなに無い。このメンバーで当たったのはアシュタロス事件以来、それ以上にGS業界を震えあがらせた最悪の悪霊「トイレの貞子さん」事件。題名にあるようにトイレに出る悪霊で、何とリン○に出てくる貞子以上に恐ろしい相手であった。

 

 

 ある古びた学校のトイレで迷作「リングに賭け○」を何故か?読まなくていいのに(笑)、この小説の話の都合上(流石にトイレにテレビとビデオデッキを持ち込む馬鹿はいないので)、読んでいるとテレビから出てきた貞○に恐怖の中で無残に殺される・・・・・・・・・・・・ワケでは無くて、更に恐ろしい目にあうのであった。

 根城にしている古い学校のボッチャン便所の貯め池から出てきた"トイレの貞○"が出てきて・・・・・・当然現れた場所が場所だけに霊の媒体は○○○。だから当然○○○で出来た手(まあゴジ○と戦った公害怪獣ヘド○がヘドロで出来ていたので、あれの○○○版だと思ってくれ)で掴まれ、下に引きずり込まれて・・・・・・・当然○○○まみれ(だけに)にされてしまうという悪霊であったのだ(笑)。

 読者は笑うかもしれないがこれは嫌悪感な琴線を弾く・・・・・・・・・ヤな仕事であった。

 

 何しろ除霊に向かった民間スイーパーもGメンも全員肥溜めに引きずり込まれて○○○まみれにされてしまったのだ。幾ら世間一概にはエリートとか、高給取とか言っていても全身○○○まみれでは仕事に名誉も糞も本当に無いので「こんな仕事なんかやっていられるか」と仕事を止めて帰っていったのだ。

   『まいったわね』

 GSの長をやっている、令子の母美知恵がGメンの多数の辞表を見て、頭を抱えた後に白羽の矢を立てたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

   『暫く令子達はウチ(実家と都庁地下本部)には出入り禁止ね』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鬼であった。

 

 

 

 無論美神以下もあらん限りの抵抗を心みたが・・・・・・・・・・・今事務所に集まっている野郎メンバーも、仲間のGメンにショットガンとスタンガンを押し当てられた、非常に友好的な状態で除霊場所に引っ立てられた。

 一応全員魔鈴のバレンタインデーチョコ事件で横島と西条が着込んでいた、アウトブレイクのLV4(最高度危険微生物)防護服を着ていたが、それでもヤな仕事には違い無かった。まあ、例えペットの糞をビニール越しに取っても、手に残る何とも言えない感触がいやなようにだ。

 しかし、あんな動きにくい物を着てはろくに動けず、敢え無く防護服は破壊されて、・・・・・・・美知恵の予想通りの展開になった。無事除霊は終わったが・・・・・・・・・・・・・・・。

   『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 ←誰も口を開く気力も無い

 これが何とか除霊が終わった後の皆の気持ち。

   『あはは・・・・・・・・まあ良かったですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・踏まなくてさ』

 と、場を和ませようとした力無い笑いの横島。

   バキ

 美神が・・・・・・○○○まみれの神通混で思いきり殴る。

 

 踏まなくて良かったとは当然○○○であるが、踏むという表現は道に犬のが一つ二つ合ったときの表現であって、全身・・・・・・・・・まみれていれば今更そんな表現は当てはまらないのだ。当然事務所にも戻れず、宿での宿泊も断られた美神達は匂いが取れるまで川辺でのキャンプ生活を強いられた・・・・・・・・・。

   『あたし達売れない芸人じゃないんだから、何の因果で雷波少○(のゴミ生活)しないといけないのよ』

 テントから顔だけ出した美神が、食事を作っているオキヌにブー垂れる。

   『まあ、あたしはみんなでいるから楽しいですけど』

   『そうそう旦那。そうでも思うことにしようぜ』

 雪之丞もこれ以上不平不満は聞きたくないと、オキヌの作った夕食の方に話を振ると、他の皆も川原に設えられた食卓に付く。火にくべられていた鍋をオキヌが開けるとスパイシーな匂いが立ち込める。

   ピキーン

 空気が凍り付き。

   『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 

 そのメニュウを見た、全員の目が点に成った。

 

 美神が非常に ひっっじょおう に覇気無く質問の挙手を上げる。

   『あ   ああ あのね・・・・・・・・・・オキヌちゃん』

   『なんですか?』

 答えるオキヌの声は対して明るい。本当にキャンプ生活を楽しみにしているらしい。美神らが、今目の前の光景が憂鬱だとは思いもよらない風情だ。

   『なんで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜この献立なのかなああああああああああああああああああああ』

   『え?だってキャンプと云えばこれでしょう』

 本人悪気はビタ一文も無く、盛られたライスにオタマでドッサリかけてくれる。

   『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』←人数分の今の心境

 果たしてオキヌが作った夕食は何だったのか・・・・・・・・・・・・・・・・いくら怖いもの知らずの筆者でも怖くて書けません。これからレトルトを暖めて食おうとしている方もいるかもしれないから・・・・・・・。

 ちなみに五倍とか十倍とかのメニュウがあって、付け合わせは福神漬けとラッキョが欠かせない物であった・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

              *

 

 

 

   「忘れたかったぜ」

 なんとも言いがたい記憶が・・・・・・・・・オキヌの作ったメニュウの香りと共に蘇った。あの時の皆は口では悪ぶっていても、結構人がいいのでオキヌの機嫌よく作ったモノを邪険には出来ずに・・・・・・・・・・・。

   「あたしも・・・・・・」

 事務所とは別の場所からもそんな声が聞こえた。

 

   「で?それが何でこの面子を揃えるに至ったんだ」

 どうやら、このメンバーが揃ったのは偶然では無いらしい。お互い忘れたい過去への郷愁?の為にがん首を揃えたワケでも無いようだ。

   「そのトイレの貞子の奴がどうやら生きていたらしいんだ」

   「ああ??」

 雪之丞の悔しそうな言葉に呆気に取られた。

   「だってあの時・・・・・・確かに」

 確かに皆が降り立った金色の野で(ナウシ○に在らず)空に消滅したのを見た。

   「どうやら僕達を欺くためにダミーを作っていたらしいんだ」

 唐巣がそう続ける。どうやら本体を逃がす為の囮を掴まされていたらしい。

   「つうと・・・・・・ま〜〜たあヤルの、アイツと」

 心底厭そうだ。匂いが取れるまで一週間も掛かったのだから当たり前だろう・・・・。それは居合わせた野郎達もそうであるし、別の場所に居る彼女も・・・・・・・・。

   「今度こそ逃げてやる。地獄の果てまでも」

 ここを出たら彼女の母すら手に届かぬように深海6500(世界最深度潜水艦)を借りて、事件が終わるまで竜宮の使い(深海魚)でも眺めていようと誓った。海江田艦長曰く「海は深度1万メートル。月よりも遠い」であるので捕まえられないからだ。それは皆も同じであった。

 

   「で、じゃあ又俺達あの学校に拉致されるのか。厭だ。俺は逃げるぞ」

 美神の机には『探さないでください 横島』と蒸発する女性のような置き手紙をしつつ、事務所のドア向こうに消えようとする。

   「いや。そうは成らないと思うよ」

 すっかし及び腰の横島を嗜める唐巣。

   「なんで?」

 唐巣の話によると昨夜再び除霊した学校に現れたらしいが、一般人には手を出さずにどうやら今度は除霊したスイーパーへの復讐を叫んでいたらしい。特に最後のトドメを指した美神への復讐を誓っていたらしい。

 その際出動した一般のスイーパー相手でも貞子はヒタスラ逃げ回るのにすら苦労していたとのこと。どうやらダミーを使うのに大分パワーを消費したらしく、多分美神一人で除霊出来るレベルであると唐巣は分析していた。

 

   「嗚呼。それは不幸中の幸わい。汚れは美神さんに任せよう。な〜に、金に汚い女が外見も汚くなるだけだから似合いだろうな」

 と胸を撫で下ろす横島であった(グラビティ編参照)。

  一応「なんて奴なんだ。君は」と非難する西条ではあったが、その実自分がトドメを指さなくて良かったと心底思っている。それは西条以下のメンバーも顔を見れば分かる。汚れ役は誰かが被ってくれれば、自分は助かるとの思いがありありであった。

 

   「そ そうだ。じ じつは僕は令子ちゃんの手伝いをしたいんだが、偶然にも今日から世界GS協会の会議でパリに行かねばならんのだ。いや〜、本当に残念だ」

 聞いてもいないのに、もう逃げのけん制球を投げる西条。

   「あれっ?だってお前先週それでパリから帰ってきたばかりじゃなかったのか。お土産のエッフェル塔饅頭とセーヌ川モナカをシロとタマモが奪い合っていたいたと思ったがなあ」

 ジーと冷たい視線の皆に慌てる西条。ちなみに男の意地で手を付けなかったが、「旨かったでござる」と後で言われてチョット悔しい思いに駆られた横島であった。

   「う・・・・・・・・・・そそそ そうだったんだが、実は会議で行ったパリ支部に忘れ物をしてしまってね」

 嘘は本人も百も承知らしく、コミカミに垂れた汗がすべてをカタッテいた。

   「・・・・・・・・・・何を忘れたんだ?」

   「ららら ライターを」

   「宅配で送って貰えよ。なんでお前が取りにいくんだ。そんなに遠方に行きたいのは何か他にやんごとない理由があるように思うのは気のせいか。ええ〜〜、西条よ」

   「う!!」

 どうみても、ライターはあからさまに真っ赤な嘘だ。たじろぐ西条の胸ポケットから、もう定説ギャグに ボトンっと転がり落ちる"西条が長年愛用している"のライターであった。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 武士の情け、といおうか自己保身の為に言及を皆も避けた。何故なら他の皆も・・・・・・・。

 唐巣とピートは、何故か急に決まった恵まれない人への除霊でヒマラヤの山奥の山小屋に出張で、多分吹雪で閉じ込められてしばらく戻って来れないと、行く今から根拠も無いが断言していた。

 同じような理由で雪之丞は南極での除霊でブリザードに足止めを食う予定だからと・・・・・・・・・しばらく戻って来れないと、こちらもキッパリ宣言した。

 タイガーはエミと二人で・・・・・・急に決まった社員旅行でパタゴニア(日本のほぼ反対側)に向かい、行く先のホテルには電話も無いから連絡がつかないとまで言う。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 じゃあと、横島も皆に倣い、海が呼んでいるからと、暫く日本海の見える漁師町を白いギターを抱えて、赤木圭一郎のように旅する事に決めた。

 ちなみに、オキヌとシロタマに会ったら暫く事務所には戻らないように助言するようにと皆で取り決めた。美神なら・・・・・・・・まあ〜、因果往訪 自業自得(除霊の時○○○まみれにされた怒りで貞子に罵詈雑言を浴びせて怒りを買っていたので)いいかと思っているが、心の清い少女三人への被害を座して見過ごすのは良心の呵責から辛いらしい。

 

 

   「・・・・・・・・・・・・ALF。一つ質問があるけど」

   「は!     ははは         はい」

 静まりかえった湖面のように静かな口調。しかし、その裏に潜む感情に思わず逃げたい衝動に駆られる。しかし悲しいかな、逃げる足は彼には無かった。

   「そう・・・・・・・・残念ね」

 今皆がいる、あの部屋にクレイモア(志向性対人地雷。中から鉄片が飛び出して当たると普通なら死ぬ。普通ならだが・・・・・・)が仕掛けられていない事にしきりに残念がる。

   「残念ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんとうに・・・・」

   「・・・・・・・・」

 休日明けの厄珍に、霊能者が死ぬほど痛がる霊気アイテムを鉄片の代わりに仕込んだ特製クレイモアの事務所に設置を決めた。再び自分の悪口言ったらば、誤作動?・・・・・・・・する機能まで付けて。【伏線ですから覚えていてね】

 

 

 

            *

 

 

 

   「ま まあそれはともかく」

 これ以上皆で胸を撫で下ろしていても、多少の良心の呵責?とバレたときの報復が怖いので(手遅れ・・・)、戦いに成ったとき先陣を切って被害にあう役どころの事を思い出した。

   「そういえば横島君。令子君はどこに行ったんだ?。被害は○○○まみれになるだけとは言え一人じゃ危ない。早く連絡したいんで先ほどから電話入れていたんだが」

   「さあ、どうしたんすかね?俺も今日遅れたと思って、息堰ってきたのにドッカに行ってるようなんですよ。ALFに聞いても要領えないんだよな」

 この辺りは純粋なオフィス街でチョット用事があるという種類の店は皆無で、コンビニすら一ブロック先。めんどくさがりの美神は爪楊枝一本の為でもコブラを駆るのに下のガレージにはCTR(ルーフポルシャ)と並んで停まっていた。それにあの女が自ら散歩や運動の為に出掛けるとは考えにくい。おまけに昨日は酒造メーカーの倉庫の除霊であったので、謝礼以外にお礼で貰った(同意語=奪った)ロマネコンティ(高いワイン)をシコタマ飲むと言っていたので多分今ごろは二日酔いだと容易に想像していたのに出掛けるのはオカシイと今更ながら。

 

   「ん?なんでかね??」

 まずオーナーを大事に考える筈のALFが、そのオーナーの危急の事態に非友好的な態度はおかしい。不信がり、唐巣が聞いても全く要領を得ない答えが返ってくるだけだ。実はALFは美神に自分の所在を誤魔化せとは言われているが、プログラミング上の理由で嘘は付けないとう制約がある。だから何処か他の場所の名を出すワケにもいかずに、かと言って本当の事も言えないのであった。

   「横島君。君の言うようにALF君がオカシイようだが、他に何かあったか」

   「ああ。そう言えば・・・・・・・・・」

 今考えればどうも事務所の様子がおかしかったと思い当たる。それを皆で話しているうちに疑念が生まれた。以前ワルキューレが操った事があるように、ALFと言えどもその言葉を盲従していいのかと。

 

   「まさか・・・・・・・・」

 皆が顔を見合わせる。もしかしてトイレの貞子はもう忍び込んでいるのでは無いかと。オフィスにあった見鬼君に美神の霊波を探らせる。

   「アッチだ。やはり建物の中だ」

 見鬼を持ったピートが先を急ぎ皆後を追う。しかし、霊波を追って行って場所を突き止めて所在が判ってから途方に暮れる。そこはトイレであったのだ。まさか、大人数の男がもしかして女性のいるかもトイレに踏み入るワケにもいかないだろう西条に唐巣にピートではあった。

 

 しかし無粋な野郎には思いもしない事であった。

   ドンドンドンドンドオンドオン

 激しくトイレのドアを叩く。

   「美神さん!!美神さん!!無事ですか?」

 口ではああ言ってはいたが横島は真剣にドアを叩く。しかし、返事は無かった。

   「・・・・・・・・・・・・・・・」

 一応止めていた西条らとも顔を見合わせる。

 

 トイレの貞子は、その名の通りにトイレの悪霊で以前の戦いでもそれが舞台であった。悪霊は同じような場所に住み着く事が多い、特に水の流れるような場所は霊障的に定番だ。そして貞子は美神に復讐を誓っていた。

 もし貞子が潜んでいたのを知らずに美神がトイレに入ったなら・・・・・・・・・・自宅のトイレに武器を持って入る馬鹿は、多分いない。つまり無防備・・・・・・・・。そしてピートが呟く。このドアに霊力結界が張られていると・・・・・・・・。

 普通のドアにそんなモノを付ける筈は無い(この場合は横島避けに付けていたが、それを当の横島でも知らなかったらしい)。悪霊が自分を除霊に現れたGSを、まるで狩猟の獲物のように逃がさないようにしていたぶるのは常套手段だ。特に貞子は美神に恨みを抱いていたようであったので、多分只では殺さないであろう。

   「・・・・・・・・・・・・・・」

   「・・・・・・・・・・・・・・」

   「・・・・・・・・・・・・・・」

   「・・・・・・・・・・・・・・」

   「・・・・・・・・・・・・・・」

   「・・・・・・・・・・・・・・」

 もう迷っている場合で無いのはお互い瞳で確認した。

 

 

   どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん

   「美神さ〜〜〜ん 美神さ〜〜〜〜ん」

   「令子ちゃ〜〜〜ん 令子ちゃ〜〜〜〜ん」

   「令子君 令子君」

 六人が必死に叫び、ドアを叩く。しかし・・・・・・・・何の答えも無かった。ただ、全員霊能者なので、ドア向こうから聞こえる魂の叫びは感じ取った・・・・・・・・・・・・・・。

 それは助けて!!・・・・・・・・・・では無くて、頼むから(あんたらの行動を今直ぐ)止めてであった事を感じ取ったモノまではいなかった。

 

 

   「スクラム!!」

 唐巣が叫ぶ。すると、まるでオールブラックス(ニュージーランドのラクビーチーム。世界最強。ジャージーが黒なのが名前の由来)のように整然とスクラムを組む五人。前三列をタイガー 横島 ピート 後のサポートに雪之丞と西条があたる。

   「一点突破!かかれ〜〜〜。ひるむな!!正義は我にあり」

 唐巣が、まるでカリ城の銭形警部のように叫ぶと五人のスクラムが結界を張ったドアにブチ当たる。

   ドカーン

   ピシ

 流石に霊力結界であっても五人の霊力を乗せたスクラムにはドアに亀裂が入る。

   「ようっしゃああああ。この調子なら後二三回で木っ端微塵じゃあ」

 次のブチカマシを用意する。

 

 その、ブチカマシで亀裂の入ったドアも向こう側に居た美神は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

   「ふえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」

 便座に座ったまま、声を押し殺して泣いていた。多分、母が死んだと聞かされた時より情けなく泣く美神であった。横島がノックをした時でも、今五人がいた時でもノック一つ反せば良かったのに・・・・・・・・・・・・・・。

 こんな事なら、初めから恥を承知で紙を持ってきて貰えば良かったと思ったが後の祭り。段々と悪化していく事態に翻弄されて、今更言い出せない状況になってしまっていた。

 

    ドカーーーーーーン

   ピシ ピシ

 二度目のブチカマシで更に亀裂が広がった。

   「ふえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」

 目の前のドアに広がった亀裂に、今度は声を出して泣いた。もう次の一撃でドアは木っ端微塵で、こんな情けない姿を人前に晒すのは・・・・・・・・・・・・・・死んだほうが未だましだ。

 

 

 すすり泣く、その声はドア向こうの野郎達にも聞こえた。しかし、まさか自分達の行動事態で泣いていると思った奴はいなかった。

   「くう。貞子のやろう。俺の美神さんを泣かすとは。ゆるせ〜〜〜〜〜〜〜ん」

 もう美神を泣かしているのは貞子だと疑っていないらしい。泣かしているのはお前らだが・・・・・・・・・・・。

   「ちょっと待ちたまえ横島君。今の言葉は聞き捨てならないぞ。いつから令子ちゃんは君のモノになったんだ」

 西条が場にそぐわずに突っ込む。

   「ええい。今はそんな事いってる場合か。細かい事を気にするな」

 西条に突っ込まれて臍(ほぞ)を噛む。聞き逃せば、西条も認めたと既成事実化出来ると思っていたらしい。

 

 

   ドカーーーーーーーーーーーーン

   ピシ ピシ ピシ

 三度目のブチカマシで更に亀裂が広がる。便座の上でまんじり(じっと見つめるさま)以外出来ない美神から見れば、ドアがコチラ側に膨らんだように見えて、アシュタロス何かよりも怖い魔物が襲ってくるように見えた(そんなモノと比べられてアシュちゃん可愛そう)。

   「いや〜〜〜〜〜。来ないで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。助けて!!ママ〜〜〜〜〜〜〜〜」

 美神の叫びはドア向こうにも当然聞こえた。

   「おお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」×6

 何故か非常に色っぽい悲鳴に興奮を隠せぬ野郎達。あの美神が女性らしい悲鳴を上げて、更に彼女の母の名前を呼ぶなど、付き合い長い唐巣も西条も想像だにしなかった。その普段はクール&ビューティである仮面からは毛ほども見せなかった姿のギャップに・・・・・・・やっぱ男は堪らないのだ。思わず立場を忘れて『豪萌えじゃあ』と叫ぶ野郎達。

 

   「うっしゃ〜〜〜〜〜。待っててくれ美神さん。いくぞ西条」

   「おうよ横島君。待ってろ令子ちゃ〜〜〜〜〜〜ん」

 お互い悪霊に怯える美神を救って点数を稼ぎ、涙に咽び、捨てられた子猫のように打ち震える・・・・・・・・ドサクサに口説くチャンじゃあ!!と、気持ちがバ○ム1の友情パワーのように一点に向かってシンクロした二人。

 思わずバックに紅蓮の炎が現れる。

   ごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごごごごごごっごおっごごっごごごごっごごごっごご

 知らない人が見たら『わ〜〜〜。横島と西条が火事だ〜〜〜〜』状態であった(原作版:うる○やつら クラマ姫編参笑)。

   「うりゃああああああああああああああああ」

   「どわああああああああああああああああ」

 怒りと口説くチャンスに?燃えた(萌えた?)二人に引っ張られ、怒涛のドアへの突き押し攻撃。口説く予定も無い他のメンバーも燃えていた。何しろ普通なら、とても女性の入っているトイレに乱入するなど背徳的で認められぬ物であるが、怯えに震える女性を助けるという錦の御旗があるので、敬虔深い唐巣までも燃えて(萌えて?)一丸でドアに突進する。

   ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 呆気なくドアは、煩悩?霊力よって粉塵状態まで木っ端微塵になって、まるでそこだけ忍者マンガでお馴染の木の葉隠れのように視界ゼロのまま、女性一人でも手狭なトイレに野郎六人が突っ込んで(タイガーは平均男子三人分なので八人分だったろう)行った。

 

 

 

              *

 

 

 

   もわ〜〜〜〜

 流石に美神でも音速を超えたような勢いで突っ込んで来た六人には成す術も無くわが身を守る為に体を固くしていた。もわ〜〜〜と、豆スープのような霧が晴れた時に何とか瞳を開けると・・・・・・・・・・・・。

   「あら?」

 見事にドアが霧散して、ポッカリ大穴が開いた光景の中には・・・・・・・・・・・・誰もいなかった。

   「え???」

 今も今まで自分を羞恥の海に叩き込んでいた男達の姿は無かった。

 

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 何か後に気配を感じて振り向くと・・・・・・・・・・・・・・。美神の背中のトイレの壁には・・・・・・・・・・・・・レリーフ(壁掛け)になって壁に張り付いている連中が、まるでスチームローラーに引かれたトム(トム○ジェリー参照)のように成っている。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿」

 まあ、精々数メートルしか行き止まりの無いトイレで、蒸気カタパルトかリニアレールガンで射出されたような勢いで突っ込んでくれば当たり前であったろう。しかし、当たり前?だが美神に哀れみの感情は雀の涙以下しかない。

   (よっしゃあ)

 思わず心の中でガッツポーズ。これはチャンスだ。皆 頭 鼻 目 耳から血を噴出していたので、多分丈夫なこの連中といえども暫くは意識を取り戻す事は無いであろう。最後の耳からの血は、ちょっと危ないので汗は垂れたが・・・・・・・・・・他人の事を心配する余裕は普段より尚更無い!!。頭に去来するのは、今の内に自室に戻って・・・・・・・・・・・・・・・。

   「あれ???」

 何かオカシナ感じにもう一度振りかえり、レリーフになっている人数を数える。

   「西条さん 唐巣神父 ピート タイガーに雪之丞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 一匹足りない・・・・・・・・・・・・・・・・・。無論・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

   モゾ

   「ん???」

 死んでも死なない横島の生死なぞ今はどうでもいいと、立ち上がろうとした時に・・・・・・・・・・何故か下腹部に何か、以前リゾートホテルのプールではしゃぐシロの首を成敗とばかりにカニバサミした時と同じような感触が・・・・・・・・・・・・・・・。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ユルユルと眼下に視線を落とすと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・探してもいなかった奴の頭があった。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 言葉は無かった。

 

 もう一度復習しよう。

 美神は寝るときはパンツ履かない健康法で、すっ裸に大き目のデニムのシャツだけが寝巻きである。起き抜けの寝ぼけまなこであったので事務所とは云え、自宅でもあったし二日酔いも加味してそのままの格好でトイレに入った。当然スキャンティも何も下には・・・・・・。

 その状態で横島は・・・・・・・・・・多分ドアを破壊して突っ込んで来て、美神が座ったままの便座の中に頭をブツけて気を失ったのだろう。

   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 そして横島の顔は美神のへそ下三寸にあった。

    「_____________________________(←この世には存在しない声)」

 ミラクルボイス(少年ジョット)より威力のある悲鳴が辺りに響いた。

 

 

   「なんだ なんだ なんだ」

 と、美神の悲鳴でレリーフの皆さんが壁に張り付いたまま辺りを見まわす。野郎共が見たのは、美神の後姿の肩越しに調度その時、飛んで火に入る何とやらで(長い伏線を振っておいた)トイレの貞子が現れていた。 そして高らかに 「スイーパー共。覚悟しろ!!」と咆哮を上げた。

 しかし、前の時より、何故か異様に燃えていた野郎五人は以前は○○○まみれを嫌がって及び腰であったが、今は怒りにキレマクリ果敢に皆先陣を切って戦いに身を投じた。

   「きっさま〜〜〜。トイレに潜んでか弱い令子ちゃんを甚振るとは、ゆるせ〜〜ん。僕の霊剣で地獄に落としてやるぞ」

 再び背中に炎を背負って西条が剣を抜く。

   「その通り。婦女子を付けねらってトイレに潜むなんて、男の風上にも置けない奴め。例え神が許しても、この僕がゆるさんぞ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 普段冷静なピートもダンピールフラッシュを。

   「ほんまじゃ。なんて羨ましい・・・・・いや、このセクハラ○作怨霊め。わっしの正義の鉄槌を受けるですだあ」

 タイガーも雪之丞 唐巣までも全員一斉に飛び掛る。

   「え?・・・・・・・・・・・・・あの、何の事ですか?私今やっと来たんだけど」

 呆気に取られた貞子。可愛そうに今やって来たばかりなのに、身に覚えの無い罪を着せられ、呆気なくシバかれまくって見事成仏された。

 尚、今回の一件は美神が口を噤んでいたのだ、哀れ悪霊さんは永久にセクハラ臭○悪霊の濡れ衣を着せられたままであったそうだ。

 

 ちなみに横島は、何故か便器にぶつけたのが顔であったのに、後頭部に更にデカイたんこぶを作って失神して数時間後?オキヌに発見された。

 更にちなみに、この日オキヌが買ってきた夕食のメニュウは・・・・・・・・・・・・・この日成仏された悪霊と初めて相対した、あの時と同じであったらしい(合掌)。

 

 

 

 

               epiloge[few days letter]

 

 

 

 

 

   「せいせえ。頭の瘤(こぶ)はまだ痛むでござるか」

 数日後、事務所に後頭部を押さえながらやって来た横島を気ずかうシロ。しかし、関心が無いと美神は裏帳簿と脱税行為に忙しいようだ。

   「どうですか。横島さん?」

 事情を後で聞いたオキヌも茶をいれながら心配そうにしている。

 あの日、オキヌが発見した時に横島は、まるで上から強大な力に踏まれたような格好で便器を付きぬけて、更に床のタイルに顔を陥没させていた。神父や西条の話しからも、ドアを突き破った勢いで便器に突っ込み割っただけでは飽き足らず、顔面を床に埋めていたのに・・・・・・・・何故か後頭部の方の瘤の方が大きいのが不思議であったが・・・・・・・・・。

 

   「ああ。もう痛みは無いんだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと、な」

 後頭部を押さえながらも、ちょっと首を捻る素振りをする。

   「ん。なんでござるか?」

   「何かあったんですか?」

 何やら思案顔に事情は知らないのに何故か付き合うシロとオキヌ。

   「うう・・・・・・・ドアを蹴破った後・・・・・・・・・・便器に頭突きする前に何か見たような気がするんだが・・・・・・・・・うう。思いだせん」

 顔面で便器の一つや二つ割ったぐらいで、今更何とかなるような体では無いので興味は別の所にあるらしい。

   「中では霊の悪霊が美神殿を襲っていたんでござろう。それではござらんか?」

 しかし横島はブルンブルンと首を振る。オキヌが不信がって聞くと、あんな○○○の化け物では無くて、もっと凄くイイモノであったと言う。

   「いいもの・・・・ですか?」

 悪霊が巣食っていて、美神が襲われていたトイレで何がイイモノがあるだろうかと不思議がるオキヌとシロ。何でも、イイモノとは横島談では弁天様だとか、故郷(ふるさと)だとか、ワケの判らない比喩なのでサッパリ判らないのだ。【弁天様 故郷=隠語で女性自身を指す】

   「何を見たんでござるか?」

   「ちょっと待て・・・・・・・・・・・・・何か思い出せそうじゃ・・・・・・・・・。そうだ、あれはこの前、歌舞伎町の摘発される前の違法アダルトショップで年を誤魔化して買った本にあったような・・・・・・・・・・・・・・・・」 (注:犯罪なので普通の方も、ましてや未成年の皆さんは行かないようね)

 

 

   考え中 考え中 考え中 考え中 考え中 考え中 考え中 考え中

 横島の頭の上でチョット懐かしい勉強小僧(平成教育委員○参照)が回っていたが、何故かタイガーだったののも起因していたのか?中々回答が出てこなかった。

   「ええ〜い。タイガー。もう少し真面目に考えんかあ」

 頭の上で回る学ラン姿の小さなタイガーに突っ込む。

   「うう。この豊満な胸と腰の括れがなんとも言えませんだ」

 見ると勉強タイガーは参考書でなくて、どぎついエロ本を読んでいた。「ダメだコイツ。クビ」小鳩のゲテモノバーガー事件の時のように「何故じゃ。一生懸命やったですだのに」と言い訳するが、やってねえだろうと 窓からデカイ尻を蹴っ飛ばす。

   「頼むぞ。雪乃丞」

 任せとけと言った、今度は勉強雪之丞であったが、学ランでは無く魔装術の蠍怪人でサンドバッグを相手に武術稽古を始めてしまっていた。「何やってんだ お前は?」と聞くと、流石に武術馬鹿だけに頭で考えるので無く、体で覚えるのさと公言してはばからない雪乃丞をタイガーと同じように窓から蹴り飛ばす。

 

   「仕方ない。お前には頼りたく無かったが、どうやらお前しかいないらしいな。ピート」 

   「なんで僕に頼りたくないんですか?」

 勉強ピートが不思議そうに聞く。

   「顔も良くて、頼りになるとあれば、ますますお前のファンが増えるだろうが。それは避けたかったんだ。この間だって、お前の評判をおとしめようと貞子事件で○○○まみれになったお前の写真をタイガーと結託して掲示板に張った。それが俺らも一緒に居たことがバレたのに俺やタイガーは野郎もよってこないのに、なんでお前だけは女子に香水やら消臭剤をシコタマ貰えるんだあ。なんでエンガチョ切られないんだ〜〜〜〜〜」

   「・・・・・・・・・・・・・」

 何かいいたげなピートではあったが、大人しく横島の頭の上で"考え中"と回ってくれた。流石に前の二人と違って頭の回転が速いので、横島も思い出したらしい。

   「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 思い出した!! 思い出したぞおおおおおおおおおおおおおお」

 嬉しそうに叫ぶ横島であったが、笑みは長続きは決してしなかった。

 

   ズガーン!!  バキッ!!

   「ひっ!!」

   「キャイン」

 物凄い爆発音と衝撃音に反射的に目を瞑ったオキヌらがおっかなビックリ目を開けると、4tと描かれた巨大ハンマーにドツかれ床に突き刺さった横島の頭が、まるで豆腐に落とした砲丸のように見事に床に頭は陥没している。

   「うう。何が起ったんでござる。見えなかったでござるが、 と 取り敢えずせんせえ、気をしっかりするでござるよ〜〜〜」

   「本当に何が起こったの?。まあ、取りあえずよこしまさ〜〜〜ん。生きてますか〜〜?」

 シロとオキヌがすかさず助け起こした横島の頭には勉強小僧等ではなく、今度は冥子(ボケ)天使が笛を吹いていた。まあ、冥子が頭の上で回ったいたのだから、当然助け起こされた横島は・・・・・・・・・・・・

   「ここは誰?私は何処?」

 懐かしいベタな記憶喪失を表現をしていた。後、昔のネタである「私の気が〜 確かなら(魔鈴登場の巻参照)」と、とても確かとも思えぬ口調で叫んでいた。

 

 思い出そうとしていた嬉しい記憶は再び彼方に費えたらしいので

   「・・・・・・・・・・・・・(ふう)」

 厄珍特注、事務所に仕掛けていた特大ハンマーを仕込んだクレイモア。が引き起こした惨事(横島にとって)の様子をどこかホッとした、少し赤いそ知らぬ顔で横目に見る。これを何度か繰り返していけば【回想する=痛い】とパブロフの犬状態になるので、いずれ思い出したくなくなる筈。

   (手っ取り早く、もう一度宇宙から尽き落とすって手もあるわよね)

 余っているから買い叩けるH2(ロケット)を買おうかとも考える美神であった。

 

                   THE END


※この作品は、西表炬燵山猫さんによる C-WWW への投稿作品です。
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