『 イメージがぁ〜! 』

著者:まきしゃ


    厄珍堂 いつものごとくドクターカオスが厄珍に何やら売りつけに来ている…
カオス 「これはどーじゃ!? カオス式背負い型携帯電話じゃっ!」
厄珍 「い〜かげんにするあるねっ! 少しはましな物作ってから来るあるねっ!」
   
令子 「あいかわらずね〜、あんたたち。」
キヌ 「こんにちは〜。」
厄珍 「おお、令子ちゃん久しぶりあるね。 こいつ、なんとかして欲しいあるよっ!」
令子 「ほっとけば〜?」
カオス 「し、失敬なっ! よ、よしっ、次はこれじゃっ! これはだな〜…」
   
令子 「なんか、珍しい御札が手に入ったんだって〜?」
厄珍 「さすが令子ちゃん、耳が早いあるな。 今、出すから、ちょっと待つあるよっ!」
カオス 「…………」
  令子と厄珍に無視され、いじけるカオス…
   
キヌ 「あの〜、カオスさん、それってなんですか?」
カオス 「おお、さすがおキヌちゃん、わしのすごさがわかるのじゃなっ!?
  これを、ちょっと持ってみてくれんかのぉ。」
  何やら先端に電極のついた棒をおキヌちゃんに手渡すカオス
   
キヌ 「はあ… こうですか?」
カオス 「そうじゃ。 で、こっち側のふたを取って、電源を入れて…」
令子 「おキヌちゃん、カオスなんかに気を使わなくてもいい… えっ!?」
  キヌのほうに振り向いたせいで、腕が電極に触れてしまった令子…
  ビビビビ〜〜!!   ボンッ!!
   
カオス 「ああっ! 失敗作か? 携帯人格交換機が壊れてしまったようだわいっ!」
キヌ姿の令子 「あんたっ! いったい何やったのよっ! えっ!?」
令子姿のキヌ 「あああ、美神さん…。」
カオス 「おおっ! 人格交換だけは、うまくいったようじゃなっ!」
   
キヌ姿の令子 「なんだって〜〜!? なんてことしてくれるのよっ! はやく元に戻しなさいよっ!」
カオス 「見て判らんのか? 機械は壊れてしまったんじゃぞ?」
キヌ姿の令子 「そういう問題じゃないでしょっ!? スペアは無いんかっ!」
カオス 「そんなもん、あるわけなかろう。 試作品は普通1つしか無いもんじゃからな。
  はっはっはっ…ぶっ!?」
  キヌ姿の令子に殴られカオス、ダウン…
   
キヌ姿の令子 「笑ってる場合かっ!? さっさと、もう一台作らんかいっ!
  で、完成までに、何日ぐらいかかるのよっ!?」
カオス 「約2週間…」
キヌ姿の令子 「そんなに待ってられるかっ! 1週間で完成させるのよっ!
  マリア、あんたはカオスがさぼらないよう見張ってるのよっ!」
マリア 「わかり・ました。 ミス・キヌ。」
キヌ姿の令子 「…………」
   
   
  事務所に帰ってきた二人…
横島 「あっ、お帰りなさい… えっ?」
  おもいっきり不機嫌な顔をしているキヌ姿の令子と、
  困り果てて笑うしかないってな表情をしている令子姿のキヌ…
   
シロ 「なんか、変でござるな…?」
タマモ 「うん……」
   
横島 「おキヌちゃん、ど、どうしちゃったのっ!?
  美神さんならともかく、おキヌちゃんには不機嫌そうな顔は似合わないよっ!
  どうせ、美神さんがヒドイこと言ったんだろうけど、それっていつものことだから
  気にしないで… ぶっ!?」
キヌ姿の令子 「私が、いつヒドイことを言ったっ!?」
  キヌ姿の令子に殴られ横島ダウン…
   
横島 「あああっ!? お、おキヌちゃんが、俺を殴ったっ!?」
令子姿のキヌ 「よ、横島さん、大丈夫ですかっ!?」
  倒れた横島を介抱する令子姿のキヌ
   
横島 「ああああ〜〜!! お、おキヌちゃんが、グレちゃったぁ〜〜っ!!
  美神さんっ! あんた、いったいどんなヒドイこと言ったんスかっ!?
  おキヌちゃんみたいに、性格が良くてかわいいこなんて、いまどき
  めったにいないんスよ〜〜〜〜っ!?」
  令子姿のキヌに、くってかかる横島
   
令子姿のキヌ 「よ、横島さんっ!」
  自分を褒めてる言葉に照れてしまった令子姿のおキヌちゃん ぽっ!
横島 「えっ!? 美神さん…?  その目は…  おキヌ…ちゃん?」
令子姿のキヌ 「わ、わかります〜〜?」
キヌ姿の令子 「ふんっ、ようやく気付いたかっ!」
   
   
  厄珍堂での出来事を語るキヌ姿の令子…
横島 「カオスのおっさんのせいですかぁ。 ああ、よかった…
  もう少しで、俺、人間不信に陥るとこだったっスよ〜。」
  バンダナで目隠しをして二人を見ないようにしている横島…
キヌ姿の令子 「あんた、私がおキヌちゃんの姿をしてるのが、そんなに嫌なのっ!?」
   
横島 「ほんとは、おキヌちゃんの声で聞く美神さんのセリフってのも嫌なんスけど…」
キヌ姿の令子 「なんか、ムカツクわね〜〜!!」
   
横島 「でも、まあ、1週間で元にもどるならいいじゃないっスか。」
キヌ姿の令子 「よかないわよっ! 1週間も、私はおキヌちゃんとして生活するのよっ!?
  これが、どういうことかわかってんのっ!?」
   
横島 「どういうことっスかぁ?」
キヌ姿の令子 「学校にだって行かなきゃいけないけど、中身が私じゃ行っても意味ないでしょ?
  逆に私の姿のおキヌちゃんが学校に行くのも変だしね。
  おキヌちゃん、悪いけど元に戻るまで学校はお休みしてもらうわねっ。」
令子姿のキヌ 「はい…」
   
キヌ姿の令子 「それはともかく、問題は仕事の方よね…。 霊力が今まで通り使えるのかどうか…」
  神通棍に霊波を送るキヌ姿の令子 キンっ!
  普段の令子が出す霊波と比べると、はるかに弱々しい状況…
キヌ姿の令子 「ダメかぁ〜。 おキヌちゃん、あんたもやってみてっ!」
令子姿のキヌ 「はいっ。」
   
  神通棍に霊波を送る令子姿のキヌ キンっ!
  普段の令子が出す霊波と比べると、ちょっと弱いがそこそこの強さ…
キヌ姿の令子 「う〜ん、実戦で使えないことはないけど、心配だわね〜
  おキヌちゃん、あんた、私みたいな戦い方、出来そう?」
令子姿のキヌ 「わ、私が、ですか〜?」
横島 「そんな無茶言っちゃだめですよ。 美神さんみたいな、冷酷無慈悲な戦い方は、
  美神さんにしか出来ない… ぶっ!?」
  キヌ姿の令子に殴られ横島ダウン…
横島 「だから、おキヌちゃんの姿で殴らないでほしい……」
   
キヌ姿の令子 「出来ないんだったら、仕事をキャンセルするしかないわよっ!?」
令子姿のキヌ 「あの、私、笛吹いてみます…。」
キヌ姿の令子 「いいけど、私の身体で、うまく使えるのかしら…?」
   
  ネクロマンサーの笛を吹く令子姿のおキヌちゃん
  ピュリリリ〜〜〜〜〜〜
   
タマモ ぞくぞくっ! 「きゃあっ!?」
キヌ姿の令子 「なに? この霊波の強さはっ!?」
  笛を吹くのを止める令子姿のおキヌちゃん
令子姿のキヌ 「タマモちゃん、大丈夫?」
タマモ 「うん、大丈夫…。 なんか、心を揺さぶられる感じでびっくりしたけど、
  別に嫌な感じはしなかったわっ。」
   
キヌ姿の令子 「そうかっ! タマモは妖狐だから、笛の音に1番影響を受けやすいのねっ!
  霊波がこれだけ強力なのも、おキヌちゃんの技が、私の身体の中の霊力を使って
  増幅されたからだわっ!
  おキヌちゃん、もう一回吹いてみてっ! 今度は、なんでもいいから、あんたの笛で
  タマモを操ってみてっ!」
令子姿のキヌ 「えっ!?」
   
キヌ姿の令子 「タマモは、おキヌちゃんの笛に逆らうのよっ! いいわねっ!」
タマモ 「いいけど……」
令子姿のキヌ 「う〜ん、どうしよう……」
   
  ちょっと悩んでから、ネクロマンサーの笛を吹き始めた令子姿のおキヌちゃん
  ピュリリリ〜〜〜〜〜〜
   
タマモ 「あああ……っ!」
  しばらく笛の音に逆らっていたタマモだが、やがて身体の向きを変え、
  横島の方に向かって歩き出す…  すたすたすたっ!
タマモ 「よ、横島っ!」
  横島に向かって、手を差し出すタマモ。額には、冷や汗がいっぱい…
   
横島 「えっ!? なにっ!?」
タマモ 「だ、だから、握手、握手よっ!」
  苦笑いをしながら、横島に握手を求めるタマモ
横島 「あっ、ああ。 わかった。」
  タマモと握手をする横島
   
シロ 「拙者も、拙者もっ!」
  シッポをパタパタ振りながら、横島に握手を求めるシロ
横島 「おまえもかぁ? なんか、ウソ臭いなぁ〜?」
シロ 「せ、拙者も、おキヌちゃんの笛の音に影響受けてるでござるよっ!
  タマモほど直接的じゃないけど、先生と握手しないと、居心地が悪いんでござるっ!」
   
  笛を吹くのを止めた令子姿のおキヌちゃん
横島 「ほら、もう笛の音は止まったぞっ!?」
シロ 「お、おキヌちゃんっ!?」
令子姿のキヌ 「ごめんなさい、シロちゃん。 息が続かなくって…」
   
シロ 「先生〜〜、拙者も握手して欲しいでござるぅ〜〜〜」
  じたばたするシロ…
キヌ姿の令子 「横島クン、あとがうるさいから、シロに握手してやんなさいっ!」
横島 「しょうがねえなぁ〜。 ほらっ、お手っ!」
  横島と握手をするシロ
   
シロ 「拙者も、先生に握手してもらったでござるよっ!
  だから、タマモのことなんか、ちっともうらやましくないでござるもん〜〜っ!」
タマモ 「横島と握手するのが、そんなに価値あることなの?」
  喜んでるシロと、あきれるタマモ…
   
キヌ姿の令子 「タマモ、あんたどんな感じだったの?」
タマモ 「なんていうのかな〜、悪い気分にはならなかったわ。
  おキヌちゃんの指示とはわかっていても、横島に握手してもらうことが、
  とても大事なことに思えて、他のことを考えられなくて……」
   
キヌ姿の令子 「ふ〜ん、妖狐のあんたでも、そんなに効果があるのかぁ〜。
  うん、これなら悪霊どころか、低級悪魔でも手玉にとれそうねっ!
  おキヌちゃん、これから1週間は、あんたが悪霊を退治するのよっ!」
令子姿のキヌ 「はいっ。」
シロ 「なんだか、鼻息が荒くなってるでござるな…」
横島 「だから、おキヌちゃんの顔でそんな表情しないでほしい……」
   
   
  その夜の仕事先で…
キヌ姿の令子 「今日の除霊は、ここよっ。 やたらと逃げ足の速い奴らしくて、他のGSが
  捕まえられなくて匙を投げたそうよ。
  おびき出すための仕掛けも考えてきたけど、ためしにおキヌちゃん、
  あんたの笛で悪霊を呼び出してみてくれる?」
令子姿のキヌ 「はいっ!」
   
  ネクロマンサーの笛を吹く令子姿のおキヌちゃん
  ピュリリリ〜〜〜〜〜〜
令子姿のキヌ 「悪霊さん、ここに出てきて欲しいんですけど…」
  笛の音に反応して、あっさり姿を現した悪霊… グガガガ…
   
キヌ姿の令子 「ほら、横島クン、なにしてんのっ! 退治するのよっ!」
横島 「えっ? あっ、はいっ。 吸印っ!」
  ズビュウウウ〜〜〜  すぽんっ!
   
キヌ姿の令子 「さっ、除霊は終わったわっ。 帰るわよっ!」
横島 「えっ!? もうっ!?」
キヌ姿の令子 「もうって、今、あんたが除霊したんでしょ?」
横島 「い、いえ、そうですけど、今日は下手したら徹夜だって聞いてたから…」
   
キヌ姿の令子 「それだけ、笛の威力がすごいってことよっ!」
横島 「なんか、釈然としないんですけど〜〜」
キヌ姿の令子 「もちろん、今回はあっさり片付いたけど、毎回うまくいくとは限らないわ。
  おキヌちゃんが息継ぎするまでに退治しないと、逃げられることだってあるわよ。」
   
横島 「あっ、そうか。 そうですよね。 でも、美神さんの身体でよかったですね。」
キヌ姿の令子 「んっ? どうして?」
横島 「息が苦しくなっても、予備の空気タンクが胸に2個ついて…ぶっ!?」
  キヌ姿の令子に殴られ横島ダウン…
   
   
  除霊後 令子の家に寄って令子の荷物を事務所に運んできた5人
キヌ姿の令子 「じゃあ、私はおキヌちゃんの部屋に寝泊りするわねっ。」
令子姿のキヌ 「なんだか、事務所も大勢で楽しいですねっ!」
   
シロ 「でも、なんで美神さんは、こっちに来たんでござるのか?」
横島 「おキヌちゃんの姿で美神さんが自宅の周りを歩き回ると、どうなると思う?」
シロ 「どうなるんでござるのか?」
横島 「周辺住民が、美神さん本人には怖くて言えなかったクレームを、
  おキヌちゃんだと安心して訴えてくるだろ? それを聞くのが嫌で… ぶっ!?」
   
キヌ姿の令子 「いい加減なこと、言うんじゃないわよっ!
  入れ替わったことを知らない人に応対するとき、二人が一緒に居ないと、
  話が繋がんなくて困るからよっ!」
シロ 「そ、そうなんでござるか。」
   
   
  翌日の朝 今日着る服を選んでいるキヌ姿の令子
キヌ姿の令子 「う〜ん、感じのいい服は有るんだけど、もう一つなのよね〜〜
  おキヌちゃん、せっかくだから、服を買いに行くわよっ!」
令子姿のキヌ 「えっ? 今からですかっ!?」
  朝一番に、服を買いに出かける二人…
   
   
  事務所 お昼過ぎ 横島の出社時刻…
横島 「ち〜っすっ…  えっ!?」
  令子にしては比較的地味な服を着ている令子姿のキヌと、
  いつもの令子と同じぐらい派手で露出度の高い服を着ているキヌ姿の令子…
   
横島 「ああああ〜〜〜〜!!」
キヌ姿の令子 「どう? 横島クン。 なかなかいいでしょ?」
横島 「やめて〜〜!! 美神さん〜〜!!
  おキヌちゃんのイメージが、イメージがああぁぁ〜〜〜〜!!!」
キヌ姿の令子 「なによっ! 失礼しちゃうわねっ!」
   
令子姿のキヌ 「み、美神さん… あの、私も、なんか恥ずかしいんですけど…」
キヌ姿の令子 「ちぇっ、せっかく買ってきたのに…
  そんなに不評なら、おキヌちゃんのいつもの服に着替えてくるわよっ!」
  おキヌちゃんの部屋に着替えに行くキヌ姿の令子
   
横島 「ああ、驚いたっ!」
令子姿のキヌ 「横島さん…。 やっぱり私って、ああいう服は似合わないのかしら…」
横島 「えっ!? いや、そんなことないんだ。 とっても似合うんだけど……
  え〜っと、ほら、中身が美神さんだろっ!?
  仕草がおキヌちゃんと違うんで、違和感があってさっ。」
令子姿のキヌ 「そっかぁ〜。よかった。」
  横島の言葉に、にっこり微笑む令子姿のおキヌちゃん
   
横島 (ドキッ!! か、かわいいっ!!)
  「あああっ!? お、俺はどうしたらいいんだぁ〜〜〜!?
  美神さんの身体に触りたいけど、心はおキヌちゃんだから、そんなひどいこと出来ないし、
  心は美神さんでも、身体がおキヌちゃんだと、罪悪感が有って触れない〜!
  も、もしかして、この状況は、俺にとっての地獄… ぶっ!?」
   
キヌ姿の令子 「きさま、一人でいったい何ほざいてるかぁ〜っ!?」
横島 「ああっ、声に出てた? またいつものミスを…」
  着替えてきたキヌ姿の令子に殴られ、横島ダウン…
   
   
  翌日 人格が入れ替わってから3日目
横島 「ち〜っす。 あれ? おキヌちゃん…っていうか、美神さんは?」
令子姿のキヌ 「それが、その〜〜 ゴニョゴニョゴニョ…
シロ 「なんだか、気分が悪いらしいんでござるよ……」
   
横島 「また、人の身体だと思って、なんか無茶なことをしたんだろ?
  まったく、あの人ときたら、しょうがないんだから…」
キヌ姿の令子 「無茶はしてないわ。 うっかりしてただけよっ!」
  パジャマ姿で事務所に現れたキヌ姿の令子 頭をボリボリ掻きながら…
   
横島 「えっ? だ、大丈夫ですかっ!?」
キヌ姿の令子 「まあね…、単なる二日酔いだから…
  つい自分の身体のつもりで、お酒飲んじゃってね…」
横島 「ああ、おキヌちゃんの身体に、なんてことをっ!」
   
キヌ姿の令子 「こんな状況なのにお酒が飲めないなんて、私にとっちゃ一大事なのよっ!?
  あぁ〜〜〜、頭が痛いっ! うっぷ!
  ま、そういうわけで、今日の仕事は、あんたたちだけでお願いねっ。」
  言うだけ言って、キヌの部屋に戻るキヌ姿の令子
   
横島 「まあ、仕事のほうは、簡単だからいいけれど…
  あの姿を見てると、おキヌちゃんのイメージが、どんどん変わって
  しまいそうで、なんだか怖いな…」
令子姿のキヌ 「あああ……」
   
   
  そんな調子で、人格が入れ替わってから、はや6日目
  一応、この状況に、それぞれ慣れてきてはいるようだけど…
   
令子姿のキヌ 「ああ、学校に行きたいなぁ〜」
キヌ姿の令子 「ああ、お酒が飲みたい〜〜」
横島 「ああ、美神さんに触りたい…」
   
  どよよよ〜〜〜ん
   
シロ 「この雰囲気、なんとかならんのでござるか……?」
タマモ 「まあ、元に戻るまでは無理じゃないの?
  どうせ、あと1日なんだから、これくらいの我慢は、たいしたことじゃないわ…」
   
キヌ姿の令子 「うきぃ〜〜〜!! もう、我慢できないわっ!!
  おキヌちゃん、カオスのとこに行くわよっ!!」
令子姿のキヌ 「でも、まだ完成してないんでは…?」
キヌ姿の令子 「出来てなくても行くのよっ! そばでプレッシャーをかけたほうが、
  出来あがるのも、早くなるはずよっ!」
   
  カオスの家に押しかける令子たち…  どやどやどやっ!
キヌ姿の令子 「カオスっ! 機械は出来たのっ!?」
カオス 「なんじゃ? 騒がしいのお。」
キヌ姿の令子 「人格交換機は出来たか? って聞いてるのよっ!」
カオス 「ああ、あれか。 まだじゃ。」
キヌ姿の令子 「あと、どれくらいで出来るのよっ!?」
カオス 「そうさのぉ〜  あと、10日ほど…  ぶっ!?」
  キヌ姿の令子に殴られカオス、ダウン…
   
キヌ姿の令子 「1週間で作れって言ったはずよっ!? なんで、そんなにかかるのよっ!?」
カオス 「わしは、約2週間かかると言ったはずじゃが…」
キヌ姿の令子 「とにかく、早く作るのよっ! 今すぐっ!」
   
  ぶつぶつ言いながら、作り始めるカオス
  そばでカオスの作業を覗きこむ令子姿のおキヌちゃん
令子姿のキヌ 「なんだか、難しそうな作業ですね…」
カオス 「ん〜、細かい作業が多いからな。 でも、原理はいたって簡単なんじゃ。」
令子姿のキヌ 「どんな原理なんですか?」
カオス 「人格を交換したい二人を幽体離脱させてだな、
  それを相手の身体に憑依させればいいわけなんじゃ。
  この憑依させるというのが、機械的になかなか難しくてなっ。」
   
令子・キヌ 「えっ!? 幽体離脱と憑依っ!?」
   
キヌ姿の令子 「おキヌちゃん、わかってるわねっ!?」
令子姿のキヌ 「はいっ!」
  幽体離脱して、それぞれの身体に戻る二人  ヴュンッ!
   
キヌ 「あっ、元に戻ったっ!」
令子 「さてと…」
カオス 「うおっ? ぶっ!?」
横島 「あ〜あ、ひでえなぁ… ぶっ!?」
  令子に殴られカオスと横島ダウン…
   
令子 「あ〜〜、すっきりしたっ!」
カオス 「な、なぜじゃ?」
令子 「なぜだとぉ? こんな簡単な方法が有ることに気付かなかったくせにっ!」
   
横島 「あの…、俺の場合は…?」
令子 「おキヌちゃんの身体で殴られてたときのイメージを、忘れさせてあげるためよっ!」
横島 「そ、それだけの理由で…?」
令子 「心の傷は、こうやって癒すものなのっ!」
横島 「身体の傷は、増える一方なんスけど…」
   
令子 「ふう、これでお酒は飲み放題ねっ! うれしい〜〜!!
  よしっ、元に戻ったお祝いに、事務所で宴会よっ!
  あんたたちも、好きなもの食べていいわっ! お肉も油揚げも食べ放題よっ!」
シロ 「ほんとでござるかっ!!」
タマモ 「わ〜〜い!! 楽しみ〜〜〜!!」
   
   
  事務所でのどんちゃん騒ぎは夜中まで続いていたが、
  一人、部屋に戻って、明日学校に行くための準備をしているおキヌちゃん
キヌ 「明日は久しぶりに、一文字さんたちに会えるんだ〜〜 楽しみだな〜
  あっ、そうそう。 制服の用意をしとかなくちゃっ!」
   
  制服の用意をするために洋服ダンスの中を覗くおキヌちゃん
  そこには、令子が買ってきたど派手な洋服が…
   
  その服をちょっと着てみるおキヌちゃん…
キヌ 「うわ〜〜、こんなに露出しちゃってる〜〜 ちょっと、人前じゃ恥ずかしいな〜
  でも、横島さん、似合うって言ってくれたし…
  そういえば、美神さんの仕草だと違和感が有るって言ってたわ…
  私の仕草だと、どうなるのかしら…?」
   
  姿見の前で、にっこり微笑んでみるおキヌちゃん  にこっ!
キヌ 「えっ? やだっ! 私ったらっ!
  きゃ〜〜〜 きゃ〜〜〜 きゃ〜〜〜〜っ!!!」
   
END  

※この作品は、まきしゃさんによる C-WWW への投稿作品です。
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