史上最大のカラオケ大会!!

著者:J・D・A


 それは美神除霊事務所に届いた一通の手紙から始まった。
「美神さん、GS協会からお手紙が届いてますよ。」
机の前に座り、ボーっとしてる美神におキヌが声をかけた。
「GS協会から〜?なにかしら?おキヌちゃん、ちょっと読んでくれない?」
やる気のなさそうな声で返事をする美神。
「はい。え〜と、『GS協会主催 第一回GS対抗カラオケ大会のお知らせ』だそうです。」
「はあ〜!?カラオケ大会〜!?なに考えてんの〜?」
「ええ、なんか・・・『日頃ご多忙でなかなか他のGS達と交流の少ない皆さんに、交流の場を持ってもらう』だそうです。」
「はあ〜!?馬鹿みたい。そんなもん、出るわけないでしょ?」
「あ、でも一位から三位までは賞品がでるみたいですよ。」
「賞品つったて、たいしたもんじゃないんでしょ?」
「いえ・・・一位には『最高級精霊石30個』だそうですよ。」
「マ、マジ!?」
「ええ。二位も15個で、三位も10個らしいですよ。」
「よし!!おキヌちゃん、私は出場するわよ!!」
「でも・・・」
「でも、何?」
「これ・・・団体戦らしいですよ。GS、もしくはそこで研修している人がチームとなって、一チーム二人から五人って書いてありますけど・・・」
「団体戦〜?」
「メンバーの平均点で競うらしいんです。」
「よし、うちは幸い、私とおキヌちゃん、横島くんもいるし、いざとなったらシロとタマモも研修生として出場させるわ!!」
「じゃあ、出場ということで。」
「ええ。なら善は急げだわ!!早速カラオケに行くわよ!!」
「え!?今からですか?お仕事は・・・?」
「そんなもん、やってられるわけないでしょ!?」
「そ、そんなあ〜・・・」
そんなこんなでカラオケに向かう美神除霊事務所の面々。
ところで他のGSたちは・・・

その1  小笠原エミの場合
「タイガー、カラオケに行くわよ!!」
エミが叫ぶ。
「へ!?カラオケ?」
「そうよ!!おたく、この手紙読んでないワケ!?」
「なんですカイノ〜。カラオケ大会!?これにでるんですカイノ〜?」
「当然よ!!どうせ令子も出場するだろうし、負けてられないワケ!!」
「で、でも・・・ワシ唄は下手でノ〜・・・」
「関係ないワケ!!あの一文字って子もつれていくわ!!」
「一文字さんも?それはちょっと・・・」
「いいから行くワケ!!」
あんまり美神と変わってない・・・

その2  六道冥子の場合
「マーくん、一緒にカラオケ大会でましょ〜〜」
「へ、僕でいいんかい、冥子ちゃん?」
「うん〜〜。だって〜〜、冥子、お友達少ないから〜〜。それに〜〜令子ちゃんやエミちゃんもでるだろうし〜〜。」
「わかったで、冥子ちゃん。僕もでたるわ。」
「ありがと〜〜、冥子うれしい〜〜。」
相変わらずノホホンとしてますな〜。

その3  弓かおりの場合
「雪之条さん、一緒にでませんこと?」
「は!?なにに?」
「これですわ。」
「なになに、カラオケ大会だあ〜!?こんなもんでてられっか!!」
「あら、でてくれませんの?」
「あたりめーだ!!」
「では、私達ももう・・・終わりですわね・・・短いおつきあいだったけど楽しかったですわ・・・」
「な、なんでそうなんだー!!」
「では、でてくださるの?」
「解ったよ!でりゃいんだろ!?」
「それでこそ雪之条さんですわ。」
「(ったく、めんどくせーなー。これだから女は・・・)」
「あら、ご不満ですの?」
「い、いや・・・別に・・・」
がんばれ、雪之条!!

その4 ピートの場合
「ピートくん、カラオケは得意かい?」
「いえ・・・僕は音痴なので・・・」
「そうか・・・なら仕方ない。出場は諦めよう・・・」
「なんです?」
「いや・・・これなんだが・・・」
「なになに・・・カラオケ大会?これにでたいんですか?」
「いや、なに・・・たまにはね・・・」
「解りました。音痴だけど僕も頑張ってみます。」
「そうか、でてくれるか!ありがとう、ピートくん!」
やめろ、唐巣神父!!ピートは並の音痴じゃないぞ!!

とまあ、こんな調子で・・・
さあ、話を戻そう!
カラオケに着いた美神たち・・・
「じゃあ、まずおキヌちゃんから歌ってみて。」
「はい、下手ですけど頑張ります。」
恥ずかしそうにマイクを握るおキヌ。
「じゃあ、モーニング娘。の『LOVEマシーン』を唄います。」
「いやあ、おキヌちゃんはモーニング娘。かあ。可愛いだろうなあ、ねえ、美神さん?」
横島が美神の顔を見る。
「チッ。」
ちょっと不機嫌そうな美神。
「美神さん?どうかしたんですか?」
「え・・・いえ、別に・・・」
やっぱり不機嫌そうだ。
そして曲が始まり、おキヌが歌い出す。
♪アンタにゃ もったいない
     中略
 LOVEマシーン
終了後・・・
「どうでしたか?」
おキヌが不安げに聞く。
「いやあ、可愛かったよおキヌちゃん。」
「ありがとうございます、横島さん。」
「かっこいいでござるなあ、おキヌどの。」
「ホント、良かったよ。」
シロとタマモも誉める。
「ありがとう、二人とも。どうでした?美神さん。」
まだ不機嫌そうな美神に声をかける。
「ん?ああ、良かったわよ、おキヌちゃん。ただ・・・」
「ただ・・・?」
不安そうに訪ねるおキヌ。
「ちょっとおキヌちゃんのキャラには合わないわね。」
「別にいいじゃないっすか。」
横島が口を挟む。
「何言ってるの!!優勝を目指すならその辺も考えなくてどうすんの!!」
叫ぶ美神。
「そこまでしなくても・・・」
「うるさい、アンタ、給料減らされたいの!?」
「そ、そんなあ・・・」
「とにかく、おキヌちゃんはバラードの方がいいかもね。」
何故だ、何故そんなにこだわるのだ、美神よ。
「解りました、美神さんがそう言うなら・・・」
ちょっと残念そうなおキヌ。
「じゃあ、次タマモ!!」
美神がタマモを指名する。
「ハーイ。じゃあアタシは相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』唄いまーす。」
ノリノリのタマモ。
そして曲が始まり、歌い出すタマモ。
♪午前零時の交差点
      中略
 夢見る少女じゃいられない
終了後・・・
「タマモちゃん、上手いじゃない!!」
「ほお、予想外だったな・・・上手いなあタマモ。」
「く、狐のくせに・・・」
誉める二人と、悔しがる一匹。
「ありがと。」
素直に喜ぶタマモ。
「美神さん、今のはいいんじゃないっすか?」
美神に聞く横島。
「ええ、タマモ、アンタはその曲で出場しなさい。」
「はーい。」
素直に納得するタマモ。(まあ、断ったら後が怖いから・・・)
「じゃ、次シロね。」
シロを指名する美神。
「解ったでござる!!狐には負けてられんでござる!!」
妙に気合いの入っているシロ。
「拙者、石川さゆりどのの『津軽海峡冬景色』を唄うでござる!!」
「やっぱ演歌か・・・」
呟く横島。
曲が始まり、歌い出すシロ。
♪上野発の夜行列車
    中略
 津軽海峡冬景色
終了後・・・
呆然としている面々。
「どうでござった?」
そんな面々に聞くシロ。
「どうって・・・」
「はあ・・・」
「下手くそ・・・」
あまり口を開かない。
「シロ・・・」
ようやく口を開く美神。
「なんでござる、美神どの!!」
「アンタ、でないでくれる・・・」
美神の言葉ショックを受けるシロ。
「な、なんででござる!?なにがいけないんでござるか!?」
「なんでもなにも、下手すぎるのよ、アンタ。」
とどめを刺すタマモ。
「そ、そんな・・・先生、何か言って欲しいでござる!!」
「まあ、な。タマモの言うとおりだ・・・」
「そんな・・・先生まで・・・ひどいでござる!!」
その場で泣き出すシロ。
「まあ、気を取り直して・・・次、横島くん。」
横島を指名する美神。
「よし、カラオケタダちゃんの実力見せてやる!!」
気合い入りまくりの横島。
「いくぜー、GLAYの『とまどい』だあ!!」
曲が始まり、歌い出す横島。
♪恋は真夏のように 愛さ・・・グワッ!?
マイクが飛んできて、打ちのめされる横島。
「美、美神さ〜ん、ひどいっスよー。」
美神に食ってかかる横島。
「アンタ、キャラに合った曲にしろっつただろーが!!アンタはGLAYってキャラかあ!!」
叫ぶ美神。
「そんなあ〜。」
「いいから、次、もう一回おキヌちゃん!!」
「はーい・・・」
恐る恐るマイクを握るおキヌ。
「じゃあ、バラードということなので、倉木麻衣の『Secret of my heart』歌います・・・」
曲が始まり、歌い出すおキヌ。
♪どんな言葉に変えて
    中略
 Our future is forever
終了後
「よし、おキヌちゃんはこの曲ね!」
美神が勝手に決める。
「はーい・・・」
すごすご従うおキヌ。
「次、横島!!今度はちゃんと歌いなさいよ!!」
「さっきは歌わせなかったくせに・・・」
呟く横島。
「なんか言ったか!!」
「いえ、歌います・・・」
怯える横島。
「じゃあ、sadsの『忘却の・・・』グワッ!?」
再びやられる横島。
「お前がsadsって面かあ!?」
「ひ、ひどい・・・」
「もう一回!!」
「じゃあ、福山雅治の『さく・・・』グワッ!?」
「お前が福山って面かあ!?」
「ひ、ひどい・・・」
「次!!」
これが15回ほど続き・・・
「じゃ、じゃあ・・・」
すでにぼろぼろの横島。
「あああ・・・」
おろおろするおキヌ。
「19の『水、陸、空、無限大』歌います・・・」
そして曲が始まり、歌い出す横島。
♪包んでく全部
    中略
 越えて行く
終了後・・・
「まあ、この辺が妥当ね。」
ようやく納得する美神。
「よ、よかった・・・」
ぼろぼろの横島が呟く。
「じゃあ、各自、今の曲を練習ね!!」
満足げな美神。
「あれ、美神さんは歌わないんですか?」
「わ、私は本番だけよ・・・」
少し動揺する美神。
「もしかして・・・歌が下手とか・・・」
さりげなく言う横島。飛んでくる鉄拳。
「んな分けないだろうがあ!!」
ややキレ気味の美神。
「とにかく、本番まで練習しときなさいよ!!」
「はーい・・・」
渋々従う二人と一匹。ところでシロは・・・・まだ泣いていた。
「グスッ、みんなひどいでござる・・・」
ほっておこう・・・

そして時は過ぎ・・・カラオケ大会当日。
「さあ、GS対抗カラオケ大会開幕!!」
司会者が宣言する。
「さあ、早速参りましょう!!まず一番手は・・・小笠原エミGSオフィスチーム!!」
「行くわよ、タイガー、一文字さん!!」
「がってん!!」
「はい!!」
気合いの入った三人。
「気合い入ってるわねえ、エミのヤツ。」
「そうッスね。」
「いい、エミのとこだけには負けないわよ!!」
妙に気合いの入っている美神。
「では歌ってもらいましょう。」
司会者の声。
「ではまずワシから・・・L'Arc〜en〜Cielの『NEO UNIVERSE』歌いますケンノ〜!!」
「ええ〜〜〜!!!!」
会場から起こるブーイングの嵐。しかし、それにもめげず歌うタイガー。頑張れタイガー、いつか報われる筈だ!!
「次、私行きます・・・椎名林檎の『本能』歌います。」
「一文字さ〜ん、頑張って〜!!」
おキヌが応援する。
「最後は私なワケ!!宇多田ヒカルの『Wait&See〜リスク〜』歌うワケ!!」
「ふ、アイツに歌えるのかしら!?」
蔑む目で見る美神。
終了後・・・
「ありがとうございました〜!!次のチームは・・・」
どうでもいいのでとばします・・・・
「はい、次のチームは・・・唐巣神父チーム!!」
「さあ、いくぞピートくん!!」
「はい!!」
ピートの姿を見つけ、横島とタイガーは同時に思った。
「(しまった!!耳栓忘れた!!)」
しかし、もう後の祭り・・・
「では歌ってもらいましょう!!」
「え〜、では僕から・・・LUNA SEAの『TONIGHT』歌います。」
「きゃ〜!!」
会場から上がる歓声・・・しかし、それはすぐに悲鳴と変わった・・・
「す、凄まじい音痴ね・・・」
美神は驚愕していた。
「え〜、では私はサザンの『TUNAMI』歌います。」
会場は唐巣神父の歌声で癒された。
「あ・・・ありがとうございました・・・つ、次は・・・」
また、とばそう。
「次は・・・弓式除霊術チーム!!」
「行きますわよ!!」
「はいはい・・・」
渋々つきあう雪之条。
「では歌ってもらいましょう!!」
「じゃあ、俺から・・・sadsの『TOKYO』歌うぜ・・・」
「あ、雪之条じゃねーか。アイツ・・・弓さんに取り入りやがってえ・・・!!」
怒りの炎を燃やす横島。
「次は私ですわね・・・aikoの『カブトムシ』歌いますわよ。」
「きゃ〜、弓さんがんばって〜!!」
おキヌの声援が飛ぶ。
終了後・・・
「ありがとうございました!!次は・・・六道冥子チーム!!」
「げ、冥子まででてんの!?」
ちょっと嫌気な美神。
「では歌ってもらいましょう!!」
「ほな僕から・・・黒夢の『少年』歌います。」
「あ、先生。頑張って〜!!」
おキヌの声援。
「じゃあ〜次は私ね〜。鈴木あみの『BE TOGETHER』歌うわね〜。」
終了後・・・
「はい、ありがとうございました!!次は・・・」
またまたとばします・・・
「それでは最後のチーム・・・美神令子除霊事務所チーム!!」
「行くわよ!!」
「「はーい。」」
「へいへい・・・」
「横島!!気合い入れないと給料なしよ!!」
「そんなあ・・・」
「さあ、いくわよ!!」
「では歌ってもらいましょう!!」
「じゃあまず私から・・・倉木麻衣の『Secret of my heart』歌います。」
おキヌが歌いだした。
「じゃあ、次はアタシね・・・相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』歌いま〜す!!」
タマモが歌った。
「じゃあ、俺は・・・19の『水、陸、空、無限大』歌えぜー!!」
歌い終わった後・・・
「(これで俺もヒーローだ。)」
そんなことを思ったが・・・結果は声援無し。
「そ、そんなあ・・・」
「どきなさい!!ラストは私ね・・・モーニング娘。の『LOVEマシーン』いくわよー!!」
呆然とする二人と一匹。
「だからおキヌちゃん時文句言ったんだ・・・」
納得する面々。
終了後・・・
「はい、ありがとうございました!!では・・・結果発表!!」
すぐさま告げる司会者。
「第三位は・・・弓式除霊術チーム!!」
「おお〜〜!!」
歓声が上がる。
「やりましたわ!!雪之条さん!!」
「はいはい・・・(なんでこれくらいで喜べるんだ・・・)」
「第二位は・・・小笠原GSオフィスチーム!!」
「おお〜〜〜!!」
「チ、優勝できなかったワケ!?タイガー!!おたくのせいよ!!」
「そんなあ〜!?」
「そして優勝は・・・」
一端切る司会者。
「ま、ウチに決まりね。」
自信満々の美神。
「六道冥子チーム!!」
「おお〜〜〜〜!!」
「な・・・そんな馬鹿な!?」
信じられない美神。
「え〜?なに〜?」
分かってない冥子。
「冥子ちゃん!!僕らが優勝したんや!!」
「え〜?」
「僕らがトップなんや!!」
「え〜、本当〜〜?やったわ〜、マーくん〜〜〜!!」
喜ぶ冥子と鬼頭。一方・・・
「納得いかないわ!!」
「そうよ!!なんで冥子達が優勝なワケ!?」
キレまくる美神とエミ。
「まあまあ、いいじゃないッスか・・・」
「そうですノ〜・・・」
おさえる横島とタイガー。
「「うるさい!!!!」」
血塗れで横たわる二人・・・
「あああ〜・・・」
おろおろするおキヌ・・・
「令子ちゃ〜ん、エミちゃ〜ん、怒らないで〜〜。」
泣きそうな冥子。気付かぬ二人。
「二人が怒ってると〜、式神が暴走しちゃう〜〜〜!!」
言うが早いか暴走する式神・・・
一分後・・・会場は廃墟と化していた・・・


美神たちはその後・・・生死の境を十日間彷徨ったらしい・・・


※この作品は、J・D・Aさんによる C-WWW への投稿作品です。
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