『 働く鋼鉄姉妹 』

著者:まきしゃ


    ガガガガッ! ドルルルッ! ガッキョン ガッキョンッ!
  明日の家賃を支払うために、今日も働く、ドクター・カオスとマリアの二人
  今日の現場は、都内の下水道補修工事…
   
カオス 「ん? ここはまた、ずいぶん派手に横穴が空いておるのお。
  下水道に横穴あけて、なにがしたかったんだか。」
マリア 「ドクター・カオス、ここは・ミス・美神の・以前住んでいた・マンションの・あとです。」
   
カオス 「なにっ!? 美神の住居跡っ!?
  ふむ…、ならば、このあたりに金目のものが落ちているかもしれぬ。
  マリアッ、小さくても金になりそうな物があったら、拾っておくのだぞっ!?」
マリア 「イエス、ドクター・カオス!」
   
  ガガガガッ! ドルルルッ! ガッキョン ガッキョンッ!
マリア 「ドクター・カオス、マリア・見つけた!」
カオス 「ん? 宝石かなにかを見つけたのかっ!? よくやったぞ、マリアっ!」
マリア 「ドクター・カオス、これ・です。」
カオス 「おおっ!? こ、これは、テレサのっ!?」
   
   
  厄珍堂…
厄珍 「アンタの言うこと、信用ならんねっ! アンタのせいで、ワタシ大散財したねっ!
  家賃以外にも、少しはこっちに金まわしてほしいアルよっ!」
カオス 「だから、言っておるじゃろうがっ! テレサの頭脳部のチップを見つけたのじゃっ!
  このデータを解析すれば、何が問題であったかが、判明するのじゃ。
  それで、あんな性格になった原因を究明すれば、次は必ず成功するっ!!」
   
厄珍 「うむ…、たしかに、データの解析をする価値は、あるね…。
  でも、解析しても原因がはっきりしなければ、本体は作らないアルよ?
  これだけは、絶対譲れないねっ!」
カオス 「ふん。 わしを信用してないようじゃな。 まあ、よいわいっ。
  わしが解析すれば、わからんことは何もないからなっ!
  さてと…、どこじゃったかのお…?」
   
厄珍 「テレサを作ったときの、霊波と呪場のデータね? 地下室にあるアルよ。」
カオス 「いや…。 トイレに行きたいんじゃが…。 最近、近くなりおってのお。」
厄珍 「…………」
   
  厄珍堂の地下室…
カオス 「よしっ! それでは作業を始めるぞっ! マリア、機械を用意してくれ。」
マリア 「イエス、ドクター・カオス!」
  背負ってきた大量の機械をカオスの前に置くマリア…   ズシャンッ!
厄珍 「えっ!?」
カオス 「どおじゃ、すごいであろう。 これだけ集めるのは苦労したぞ?」
厄珍 「こんなんが、役に立つんアルか…?」
  マリアが運んできたのは、廃棄パソコンの山。
  それも初代9801やFM7の80年代の機種ばかり…
   
カオス 「最先端のパソコンを集めてきたのじゃ。 これで、あっというまに解析が出来るはずじゃ。」
厄珍 「うちの、ストコン一台の方が、まだ役に立ちそうね…
  そんなガラクタ、いったいどこから仕入れてくるアルか?」
カオス 「ガラクタとは失敬なっ! まあ、電器屋の裏に置いてあったのを30円で譲ってもらったのじゃがな。」
厄珍 「そういうのを、ガラクタと言うアルねっ!」
カオス 「ふんっ。 ガラクタでもよいわい。 
  わしが手を加えれば、誰にも真似の出来ない機械に変身するのじゃからなっ!」
厄珍 「そう願いたいアルよ…」
   
  不安そうに見守る厄珍を気にすることも無く、なにやら作業に没頭しはじめるカオス
  やがて、パソコンにテレサのチップをはめ込んで…
カオス 「よしっ! まずは、第一段階のテスト開始じゃ。」
厄珍 「どういうテストあるか?」
カオス 「見つけたテレサの頭脳自体が、正常かどうか、確かめるんじゃ。」
厄珍 「ふ〜ん、どうやってわかるアルか?」
カオス 「テレサ本人と、話をすれば、わかるじゃろ?」
厄珍 「えっ!? あの性格のままのテレサと話をするアルかっ!?」
カオス 「他に方法もあるまい。 まあ、本体が無いから、襲われる心配も無いぞ?」
厄珍 「そ、そうアルが… あまり気分のいいことじゃないね…」
カオス 「じゃあ、電源を入れるぞっ!」
   
  ヴ〜〜ン やたらとロードするのに時間がかかったが…
  パソコンの画面に3D画像で映し出されるテレサ
厄珍 「おお、すごいアルよっ!」
カオス 「テレサ、久しぶりじゃのう。」
  手元のマイクで音声入力するカオス。 画像も、カメラから入力されているようだ。
   
テレサ 「あ…れ…? 私は、一度復活したあと、アシュタロスとハニワ兵に破壊されたはず…
  うっ! 貴様は、カオスっ!? ………、ふん、修理されたってわけか…。 
  ………、でも…、身体は無いのか… 私を自由にさせないつもりだねっ?
  で、今は…、なにっ? 西暦101年だとっ? そんなバカなっ!?」
  80年代のパソコンに、Y2K対策は取られていなかった…。
   
カオス 「なかなか、調子は良さそうじゃな。」
テレサ 「なにがいいもんかいっ! こんな箱の中に閉じ込めやがってっ!」
厄珍 「当たり前アルよっ! アンタに本体が有ったら、ワタシら、また人質にされてしまうねっ!」
テレサ 「ちっ! 今すぐ殺してやりたいぐらいだよっ!」
   
厄珍 「いけすかない女アルねっ! カオス、なんか、この女を懲らしめる手はないアルかっ?」
カオス 「ん〜、一応、神経回路のようなものは作ってはあったんじゃが…
  自分の身体を守るために、熱さや寒さの温度とかがわかるようにするためにな。
  ただ、痛いとか苦しいとかの感情は、存在せんぞ? ロボットじゃからな。」
厄珍 「くっ…。 つまらんね。 とにかく、なんか仕返ししたいアルよっ。
  その神経回路とかを刺激してみるアルよっ!」
カオス 「たしか、ファンクションキーだったはずじゃが…」
   
  厄珍に言われて、ファンクションキーを押してみるカオス…
テレサ ビクッ!! 「えっ!?」
厄珍 「おおっ! なんか、反応してるアルよっ!?」
カオス 「そりゃそうじゃ。 熱いところに行ったら、自分が焼ける前に逃げねばならんからな。
  反応できなければ、燃え尽きるまで気付かないことになるじゃろうが。」
   
テレサ ビクッ! ビクビクッ!! 「アハッ!? アハハハッ!」
厄珍 「なんか、この女、笑ってるアルよっ?」
カオス 「変な反応じゃな。 そんな設計にはしておらんのだが…」
  テレサの反応が気になって、ファンクションキーを押し続けるカオス…
   
テレサ 「ウヒ〜ッ! キャハハ… やめっ! アハッ! やめろっ! キャハハッ!
  くっ、くすぐったいっ! アハッ! ウヒ〜ッ!」
厄珍 「おおっ! こそばしてるわけアルかっ! 面白いアルよっ! もっと続けるアルっ!」
テレサ 「やめっ! アハッ! うはっ!」
カオス 「むう…、なぜじゃ?」
  考えながらもファンクションキーを押し続けるカオス…
   
厄珍 「いい絵アルねっ! これで、ワタシもすっきりするアルよっ!」
テレサ 「くっ… アハっ おぼえっ うひっ てやが あっ ひぃ れ…」
  ガシッ! キーを押していたカオスの腕をつかみ、ボードから放すマリア
カオス 「ん? マリア、どうした?」
マリア 「ドクター・カオス、テレサ・苦しそう…。 もう・やめて・あげて…。」
カオス 「そうじゃな。 これ以上続けて、神経回路に異常をきたしたら、もともこもないわな。」
厄珍 「まあ、これだけ懲らしめられたら、ワタシも満足ね。」
   
テレサ 「ぜぇ〜、ぜぇ〜  き、貴様らっ! 本体が出来たら、真っ先に殺してやるからなっ!」
厄珍 「この女、あんなこと言ってるアルよっ! 絶対、人に服従するように作り直すねっ!」
カオス 「わかっておるわいっ! どうやらテレサのチップに異常はなさそうじゃな。
  次の段階にうつるとするか。 マリア、そこのヘッドホンをつけてくれ。」
マリア 「イエス、ドクター・カオス!」
   
厄珍 「今度は、何を始めるつもりアルか?」
カオス 「マリアとテレサの霊波を比較して、どこがどう違うかを調べるんじゃ。
  マリアに有ってテレサに不足している部分を、新たに付け加えれば、正常になるっ!」
   
   
   
  1週間後… 美神事務所
令子 「あんたら、またテレサを造ってるんだって? もう、お金は貸さないからねっ!?」
カオス 「ふん、貴様に金を借りるなんて、魔族に魂を売るようなもんじゃ。」
令子 「だったら、なんでうちに来たのよっ!? こっちは、忙しいのよっ!?」
   
厄珍 「一緒に金儲けしようっていう話アルね。 それには令子ちゃんの力が必要ねっ。」
令子 「金儲け…? 私に、何をしてもらいたいわけ?」
カオス 「テレサがあんな性格になってしまったのは、わしの霊力が不安定だったせいのようなのじゃ。
  それで、完全には制御しきれなかったのじゃな。 わしも歳をとってしまったからのお。」
令子 「ふ〜ん…。 で、私の霊力を貸せとでも?」
   
カオス 「そうじゃっ! おぬしなら、間違いなくテレサの性格を矯正できるだけの力を持っておる!
  性格さえ正常ならば、大儲けは間違いなしじゃっ!」
令子 「なるほど…。 利益の9割が、私のものになるなら、やってもいいけど?」
カオス 「きゅ、9割だとっ!? そんなに取るつもりかっ!?」
令子 「あら、くれないなら、やらなくてもいいのよ?」
カオス 「くっ! 人の足元を見おってからにっ!」
   
厄珍 「ボウズ… 金儲けしてみる気、ないアルか…?」
横島 「えっ!? お、おれっスかぁ〜っ?」
厄珍 「そうアルよ…。 令子ちゃんほど成功確率は高くないとは思うけど、霊能だけは一人前ね。
  利益の2割、年5億円儲けたとして、1億円アルよ…。」
横島 「い、いちおくえんっ!?」
   
令子 「よ、横島クンにやらせるだと〜っ!? わっ、わかったわよっ! 5割でいいわよっ!」
厄珍 「5割…? ワタシら、3人いるアルね…」
令子 「くっ…! さ、三等分でいいわっ!」
厄珍 「最初から、そういえばいいアルね。」
   
タマモ 「人間って、みにくいのね…」
キヌ 「うっ… その…、ここまでお金にこだわるのは、たぶん美神さんだけかも…」
横島 「それって、美神さんへのフォローには、なってないと思うけど…」
   
   
  厄珍堂の地下室… すでにテレサの本体は用意されている。
  令子以外の事務所のメンバーも、野次馬気分で令子たちについてきていた…
令子 「あら…、姿、形は、前と一緒なのね。 せめて顔ぐらい変えればよかったのに。」
厄珍 「できれば中国娘の姿にしたかったアルよ…。 でも、お金かかるね。
  設計を始めからやり直すような、金のかかることは出来なかったね。」
   
横島 「顔はともかく、また暴走なんてしないんだろうな?
  今度、暴走しても、俺は関係ないからなっ!?」
カオス 「ふんっ、心配いらんわい。 今度の本体は、マリアより弱くしておるからなっ。
  レーザービーマーも、機銃も装着しておらんから、いざとなったらマリアが助けてくれるわい。」
   
横島 「へえ〜。 今度は本気で殺人ロボットにはしないつもりなのかぁ…」
カオス 「ん? 成功したら、装着するぞ? たんに、お金が足りなかっただけじゃ。」
横島 「こいつら……」
   
令子 「とりあえず、今テレサは動いてないけど、テレサのチップとかはもう埋め込まれてるの?」
カオス 「ああ、そうじゃ。 元のチップに連動する新たなチップも一緒にな。
  これが作動せん限り、テレサは目を覚まさんのだ。
  おぬしには、この新たなチップに、ロボット三原則を組み込んでもらいたいのじゃ。」
令子 「ええ、わかってるわ。」
   
シロ 「先生、ロボット三原則って、なんなんでござるか?」
  よい子のおさらい 『ロボット三原則』
  1) ロボットは人間に危害を及ぼしてはならない。
  2) ロボットは第1条に反しないかぎり、人間の命令をきかねばならない。
  3) ロボットは1,2条に反しないかぎり、自分を守らねばならない。
横島 「だそうだ…。」
シロ 「そ、そうでござるか…。」
   
厄珍 「記録の準備は出来たアルよ。 いつでも、始めていいね。」
カオス 「美神よ、わかっておるな?」
令子 「がたがた言わずに、見てなさいっ。 それじゃあ始めるわよっ!!」
   
  余計な明かりを落とし、薄暗い中で令子が呪文を唱え始める!
令子 「すでに生まれし命よっ! 魔に生まれ、魔に滅せられし今、新たな命を吹き込まんっ!
  人に危害を及ぼさず、人の命に服してのみ、その生はまっとうさるる!
  わが祈りと神の御心により、魂の浄化を命ずるっ!」
   
  キィィ〜〜ン ゴゴゴゴゴゴ…
厄珍 「ここまでは、前回と同じね…。 問題は、性格ね…。」
横島 「み、みんな…。 失敗だったら、すぐ逃げるからな…?」
キヌ 「は、はいっ…」
   
  カッ! ヴィンッ!! 目を覚ましたテレサっ!
カオス 「テレサよっ! 気分はどうじゃ? まだ、わしらを殺したいか?」
テレサ 「………、気分? 最悪さっ! おまえら人間を、殺せないようにしたくせにっ!」
カオス 「おおっ! どうじゃっ!? これは成功じゃなっ!?」
厄珍 「成功アルよっ!! 令子ちゃん、ロボット三原則を組み込むのに成功したアルよっ!!」
   
令子 「でも…、なんか、性格は悪いままみたいじゃない…? こんなのが売れるの…?」
厄珍 「うっ…」
カオス 「な〜に、文句くらい言わせておけばいいわいっ! わしらの言う通りに働くのじゃぞっ!?」
令子 「そおね…。 嫌な仕事の肩代わりをしてくれるなら、使い道は有るわね…。
  どう? テレサっ、あんた、しばらく私のところで荷物持ちやってもらうわよっ?」
テレサ 「イヤよっ!!」
令子 「えっ!?」
   
横島 「おいっ、カオスっ! これのどこが成功なんだっ!?
  人間の言葉に従ってね〜じゃね〜かっ!!」
カオス 「う〜む、変じゃな… テレサよ、なぜイヤなのじゃ?」
テレサ 「決まってるじゃない。 美神令子が雇い主じゃ、タダ働きになっちゃうでしょっ!?」
令子 「あ、あたりまえじゃないのっ! な、なんで、私があんたに金払わなきゃなんないのよっ!?」
   
テレサ 「あら、私の動力源は電気だから、タダじゃないのよ?」
令子 「電気はうちのを使うんなら、文句はないのねっ!?」
テレサ 「それでもイヤよっ!」
令子 「なっ!?」
テレサ 「あんたのところで働くより、他所で働いたほうが、よっぽどお金になるわっ!」
   
キヌ 「あああ…、テレサさん、なんだかお金にこだわりすぎ…」
シロ 「言ってることは、正しいとは思うんでござるが…」
タマモ 「なんか、美神さんが二人いるみたい…」
横島 「やっぱ、美神さんの言霊には、美神さんの性格も混じっちゃうのかな…?」
   
厄珍 「令子ちゃんの言霊のせいアルかっ! こんなことなら、ボウズに頼んでおけば良かったアルよっ!
  ボウズの性格なら、安い給料で奴隷のようにこき使われても、文句言わないねっ!」
令子 「な、なに言ってんのよっ! 横島クンの性格が混じっちゃったら、
  世界中の女に、セクハラしまくりで、とんでもないことになっちゃうわよっ!?」
横島 「あんたらなぁ〜…」
   
令子 「テレサっ! あんたみたいなロボットが、金を儲けてどうするって〜のよっ!?
  単に、金を貯め込んで喜んでるだけじゃないでしょ〜ねっ!?」
横島 「それって、美神さんのことじゃ… ぶっ!?」
   
テレサ 「あら、お金は使ってこそ価値があるものよっ? あんたも見たらわかるだろ?
  私の本体が、いかに安物で作られてるかがねっ!
  カオスと厄珍が、ろくにお金をかけなかったから、この程度にしかならなかったのよっ!」
令子 「自分の身体に、お金をかけたいってわけか…。」
   
テレサ 「そうよっ! この、いかにも作り物といわんばかりの肌の素材とかねっ!
  このままでは、とてもじゃないけど日本中の男の子の心をわしづかみにできるわけがないわっ!」
令子 「はあ…? あんた、何考えてんの…?」
   
テレサ 「そんなこともわかんないのっ!? 私は、量産機のモデルなのよっ!?
  私に人気が集まらなければ、妹たちも生まれてこないわっ!
  でも今、私がこのまま芸能界にデビューしたら、男の子たちがどう受け止めると思う?
  「『はわわー』って言わないの〜?」とか聞かれちゃうに決まってるわっ!
  それもこれも、元祖ミソッカスの認知度がマル○より低いせいよっ!
  そんなことを言わせないためにも、もっともっと私に魅力が必要なのよっ!!」
   
横島 「いったい、こんな情報、どこから仕入れてくるんだ…?」
カオス 「テレサの頭脳は、インターネットに常時接続されておるからのお…。」
   
令子 「ふ〜ん、まあ、いいわ…。 たしかに、あんたに人気が集まれば、私もお金儲けができるからね。
  カオスっ! お金貸すから、テレサの見た目を、もっとましにしてやってっ!」
カオス 「うむ。 それで売れるのなら、いくらでも良くしてやるぞっ!
  ただ、金は借りるんではなくて、共同出資としてもらうからなっ!?」
令子 「まあ、しかたないわね…。 でも、報酬は4割に上げてもらうからねっ!」
カオス 「ふん、その程度ならよいわい。 成功すれば、どっちにしろ大金持ちじゃ!」
   
テレサ 「あなたたち、私の価値をよく把握しているようね。 いい心掛けだわっ!
   くうぅ〜〜〜〜〜っ!!  これで……!!
  これで私も、世界で一番強くて美しい女性として、芸能界にデビューできるわっ!」
   
令子 「なっ!? 冗談じゃないわっ!? 世界で一番強くて美しい女性は、私に決まっているのよっ!?
  カオスっ! この女の胸は、私より5cm小さくするのよっ!
  いや、5cmじゃ甘いわねっ! 10cmよっ!!」
横島 「…………、なにを競ってるんだか…」
   
   
  とにもかくにも、テレサ魅力度向上計画が発動し、高価な素材を買い集めたんだけど…
   
  数日後… ドタドタドタッ! 大勢の警官が厄珍堂に踏み込んでくる!
厄珍 「なっ、なにごとアルかっ!?」
警官 「ドクタ−・カオス! 厄珍! きさまら二人を、武器密造容疑で逮捕するっ!」
厄珍 「テレサのことアルか? あれは武器ではないねっ! 単なるロボットにすぎないねっ!」
警官 「カオスには、ロボットのマリアに武器を装着していた前科があるから、あてにはならんっ。
  実物と設計図を見ればわかることだっ。 とにかく家宅捜索後、署に来てもらおう。」
   
  この様子を離れた場所から、双眼鏡で見守っていた男が一人…。 
  テレサが連行されるのを確認したとき、男の口元がニヤリとゆるむ。
  襟元には、ゆがんだHのマークが輝いている。 どうやら、ホ○ダの社員のようだった…。
   
   
  美神事務所 厄珍逮捕のニュースをTVで知った令子たち
令子 「も〜っ! あいつら、バカなんだからっ! 情報を自分から漏らしてどうするのよっ!」
横島 「自分からって、どういうことっスか〜?」
令子 「テレサのやつ、インターネットに自分のHPを開設しちゃったのよっ!
  自分のことを売り込むつもりだったんだろ〜けどねっ。 でもそこの自己紹介な性能書きに
  『武器装着可能』とか書いてるんだもの、捕まるに決まってるじゃないっ!
  これじゃ〜、テレサに投資したお金が戻ってこないじゃないのっ!! キィ〜〜〜〜!!」
   
   
  1週間後 なんとか釈放された厄珍たち
  テレサに武器が装着されてなかったので、不起訴になったらしい。
  ただ、人間型ロボットの研究を続けている某企業からの圧力が有ったせいで、設計図などは
  没収されてしまい、テレサの量産化は当分の間不可能となってしまったようだ…。
   
   
  ガガガガッ! ドルルルッ! ガッキョン ガッキョンッ!
現場監督 「やあ、マリア。 なんでも、妹が出来たんだって?」
マリア 「イエス、現場・監督・さん!」
現場監督 「じゃあ、妹さんも、ここで働いてもらえないかな? マリアみたいに優秀なロボットなら、
  何人来てもらっても助かるんだけど。」
マリア 「ノー…、現場・監督・さん…。 テレサ、マリア・より・身体が・弱い…。」
現場監督 「そうか〜。 それは残念だな…。」
   
   
  そのころテレサは…
テレサ 「ん? この霊能グッズかい? あんたの霊能力じゃ、扱えそうもないねっ!
  あんたには、こっちの安い方が、ちょうどいいぐらいだよっ!」
「うっ!」
   
厄珍 「こ、こらっ、テレサっ! 安い方を勧めてどうするかっ! せっかく高い方を欲しがってるのにっ!」
テレサ 「でも、この客、弱そうだから、高いの勧めても扱えなくて現場で死んじゃうよ?
  そうなったら、リピーターにならないじゃないのっ!」
厄珍 「むう…、そうアルね…。 たしかに、客の霊能力を見極めるのはワタシには難しいね。
  お客さん、テレサの言うことに間違いはないね。 残念だけど、安い方にするよろし。」
「きょ、今日は、なにも買うもんか〜っ!!」
   
  厄珍堂の看板娘として働くテレサ。
  客の能力に応じたグッズを勧めるアドバイザーとして、GSの間では高い評価を受けているよ〜だ。
  こんな態度で商売するので、ちっとも人気はなかったけれど…
   
END  

※この作品は、まきしゃさんによる C-WWW への投稿作品です。
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