とら! 第5節 GS資格試験(前編)


   
 
タイガーの卒業から半年後―――
10月3日早朝、タイガー・水樹・早苗の3人は電車で東京へと向かったのである―――

リポート24 『再会』
■GS資格取得試験 一次試験会場■
 
試験会場前の広場で多くの受験者がたむろしている中、一文字はタイガー達を待っていた。
他にはおキヌの応援に美神や横島、水樹の応援に仙香や他の六女の生徒たちもいた―――
 
一文字 「 ―――ったくおせえな、タイガーの奴! あと10分で受付終わっちまうぜ!
  普通こういう試験があるときは 前の日にきとくのが常識だろ!
「 どうせぎりぎりまで修行してたとか言うんでしょ?
 
シロ 「 おお! 屋台がでてるでござるよ!
タマモ 「 見てシロ! あのひとヘンな格好!
 
はしゃぐシロとタマモ。 すると横島が―――
 
横島 「 ・・・なんかこうして待ってると“天下一○○○”みたいっすね。
ぼかんっ☆
令子 「 危険な発言しない!
 
横島を殴る美神。
一方、少し離れたところでカオスが取材をうけていた。
 
リポーター 「 GS協会広報課です! 受験者中最年長として、なにかコメントを・・・
カオス 「 今年こそ合格して 貧乏暮らしから脱出しちゃる!! 言いたいことはそれだけじゃ!
リポーター 「 2年前の銃刀法違反については?
カオス 「 当然じゃろう! 700年前にそんなもんはなかったぞ。
 
その様子を見た横島は、シロに自慢する。
 
横島 「 カオスのじいさん またでるのか。
シロ 「 あのご老人強いのでござるか?
横島 「 強いぞー! だがこのおれがばっさりと倒したんだ!
シロ 「 さ さすが師匠!!
令子 「 試合中泣いて逃げ回ってたのはどこのどいつよ。(汗)
 
「 あ きたわよ。
 
タイガー達に気づいた弓が、走ってくるタイガー・水樹・早苗を見つけた。
 
水樹 「 みんなー! おくれてごめーん!!
仙香 「 遅いわよ水樹! とにかく先に受付済ませちゃって!
 
 
 
タイガー達は先に受付を済ませた後、仲間地との再会を果たした。
タイガーの周りに集う、一文字、弓、ピート、愛子、洋子。
 
タイガー 「 みなサン 久しぶりジャノー!!
一文字 「 遅いんだよお前は!
洋子 「 で どうなん修行のほうは?
タイガー 「 まあなんとか。
 
きょろきょろと辺りを見回すタイガーに、ピートが―――
 
ピート 「 どうしたんです?
タイガー 「 いやーエミさんが来とるか思うてノ。
一文字 「 おめーふられたんだろ! いい加減諦めろよ!
タイガー 「 い いやー でもエミさんはワシの師匠じゃし・・・・・・
ぼそっ
一文字 「 ・・・あの女がこねえわけねえだろ。
 
・・・面白くなさそうに一文字は呟いた。
早苗の周りに集う、美神、おキヌ、横島、シロ、タマモ、小鳩、貧たちは―――
 
令子 「 早苗ちゃんも今年はでるのね?
早苗 「 はい! ごぶさたしてますだ・・・・・・!
 
早苗は横島を見つけると―――
 
横島 「 久しぶりだなー早苗ちゃん。 2年ぶりかな?
早苗 「 ・・・・・・あんた誰?
 
―――露骨にイヤな顔をした。
 
横島 「 !! 横島だよ! 一緒に死津喪比女と戦った仲じゃなねーか!!
早苗 「 あんたにはセクハラされた思い出しかないべ。
横島 「 うっ!
早苗 「 しっしっ! もっとわたすとおキヌちゃんから離れてくんろ。 なにされるかわかったもんじゃねえべ。
うがーっ
横島 「 チクショー!! やっぱり このオンナ嫌いだ〜!!
おキヌ 「 ははは・・・(汗)
 
カラ笑いするおキヌ。 シロは興味深く早苗を見ていた。
 
シロ ( 珍しいでござるな。 師匠をここまできらう女は。
 
 
 
そして水樹の周りに集う、もと同級生の仙香・亜美と、D組の春華・聖羅。
 
仙香 「 落ちても受かっても、これがすんだら六女に戻ってくるんでしょ?
水樹 「 うん。 結局1年近くもあっちにいってたからね。 あと半年だし六女で専門的なことも勉強しないとね!
亜美 「 とかいって タイガーがいなくなるからじゃないのか?
 
亜美の質問に、水樹と仙香が反応する。
 
水樹 「 えっ!?
仙香 「 そうよ。 あんたタイガーとはどこまですすんだのよ!
水樹 「 べ 別になにもありません!!///
じと〜っ
仙香 「 ほんとにー?
水樹 「 なによ!なによ! 仙香! その疑いの目は!!
 
仙香は水樹の両肩に手をかけ、ため息をつくと―――
 
仙香 「 はあーっ・・・水樹〜あなたが最後の砦なのよ。
水樹 「 は?
仙香 「 亜美もさー こないだカレシできたのよー。
水樹 「 えっ ホント!?
亜美 「 へへっ まあな。
仙香 「 春華もかおりもカレシいるのになんで私だけ・・・・・・!
  こないだの校内試験で学年1位になったこの私が―――!!
 
わめく仙香。 カラ笑いする水樹。
 
水樹 「 あははは・・・・・・でも春華さんにですかー 意外ですねー。
春華 「 ちょっと水樹さん。 意外とはどういう意味かしら?(怒)
 
後ろで春華は口元をヒクヒクさせながら水樹を威嚇していた。 
 
水樹 「 ごっごめんなさぃ…!
聖羅 「 言葉通りの意味でなくて?
春華 「 あ あんたねー!!
 
 
ぴん・ぽん・ぱん・ぽ〜ん♪
 
    ≪ えー、これより一次審査を行いますので、選手の皆さんは――― ≫
 
一文字 「 時間だ! 頑張れよ、タイガー!
タイガー 「 ウッシャ―――!!
 
 
タイガー達は、一文字ら友人達に見送られながら、一次試験会場へと向う。
一次試験は霊力測定の試験であったが、タイガー達はみな合格。
こうしてタイガー寅吉・神野水樹・聖聖羅・氷室キヌ・氷室早苗・ドクターカオスの6人は
昼食をとったあと、二次試験会場へと向かったのである。
 
そしてここにもう2人、タイガー達に関係する者が一次試験をクリアしていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「 ・・・・・フフフッ。
 
静かに微笑む、謎の重装備少女。
 
《 ふんふんふーん♪  待ってたよ♪  早苗クン♪ 》
 
バラをくわえた、謎のピアニスト。((バレバレだ‥‥))
波瀾の予感を残しつつ、1回戦が始まる!
 
 
 
 
 

リポート25 『タイガーVSカオス!』
※今回のお話は、『誰が為に鐘は鳴る!!(その3)』と読みくらべてみてください。 楽しんでいただければ幸いです。
 
 
ざわざわざわざわっ・・・
 
―――実況席―――
 
ヒラカタ ≪ まもなく本年度、GS資格取得試験第1回戦が行われようとしております。
  実況は私、GS協会記録部広報課の枚方亮(ひらかたりょう)。 解説は・・・・ ≫
厄珍 ≪ 創業42年!!
  親切ていねい、魔法のアイテムなら何でもそろう厄珍堂!!
  信頼のブランド厄珍堂店主、厄珍がお送りするあるよっ!! ≫
ヒラカタ ≪ あのー 今年は呼んでいないんですけど・・・・ ≫
厄珍 ≪ 厄珍厄珍やくちんどおおー♪ 魔法のことなら厄珍堂ー♪ ≫
ヒラカタ ≪ おっさん! ≫
厄珍 ≪ あいててよかった厄―― ≫  ぼかっ =☆
 
・・・・・・厄珍リタイア。
 
ヒラカタ ≪ えー本日の解説は、GS美神令子と、オカルトGメンより西条輝彦でお送りいたします。 ≫
令子 ≪ どーもー。 ≫
西条 ≪ どうぞよろしく。 ≫
 
それを見た客席の横島が西条に向かって―――
 
横島 「 こらー! なんで解説が2人もおるんじゃー!! 西条てめー美神さんから離れろ―――!!
ピート 「 横島さんおちついて!
 
横島をおさえるピート。
その横で目を輝かせている弓の隣に座っている仙香は、面白くない顔をしていた。
 
「 美神おねーさま☆
仙香 「 あんな露出狂のどこがいいんだか。
「 失礼なこと言わないでよ!! エミさんのほうが露出狂なんじゃない!?
仙香 「 なんですって!! 脱税しまくりの女を崇拝してなに言ってんのよ!!
「 ありもしないこと言わないでよ! エミさんだって違法して呪いまくってんじゃない!?
仙香 「 美神さん マフィアと手を結んでるって聞いたわよ!!
「 エミさんは悪魔と契約したらしいじゃない!!
仙香 「 なによ呪い屋!!
「 なによ地上げ屋!!
仙香 「 ガングロ!!
「 ボディコン!!
亜美 「 ちょ ちょっと2人共・・・・・・!!
 
事実をのべまくるかおりと仙香をなだめる亜美。 その2人の後ろに、美神とエミの姿が・・・
 
ずごごごごごご!!!!
令子 《 ちょっと あんたたち・・・
エミ 《 いい加減にするワケ!
 
弓・仙香 「「 ひぃっ!!
 
 
 
 
 
 
     =☆
           =☆
 
 
おおきなたんこぶをつくり、弓と仙香。 痛みでうずくまってる。 
 
「 難儀なやっちゃなー。
一文字 「 こいつらがうちの学校のエースとは情けないな。 
 
一文字はエミが来ていたことに、何となくホッとした気持ちでいた。
実況席では、横島が西条の服を引っぱりながら―――
 
横島 「 こら西条!! 俺と席をかわれ!! 美神さんの隣りは俺だときまっとるんじゃ―――!!
西条 「 こ こらやめないか横島君!!
 
がんっ  =☆  ・・・・・・横島を美神が殴った。
 
令子 「 ―――ったく どいつもこいつもー!!
横島 「 ・・・う・・・美神さんはおれんや・・・・
 
ヒラカタ ≪ ・・・あのー 試合初めてもよろしいでしょうか?(汗) ≫
 
 
 
                 ◆
 
 
 
ヒラカタ ≪ さあ、本日は2000人のなかから選びぬかれた128人、64試合が行われます。
  今年の審判長は唐巣和宏氏。 GS界屈指の聖職者でもあります。 ≫
 
聖羅 「 唐巣神父が審判長!? 聞いてませんわ!!
 
 
実は聖羅、今は唐巣の弟子である。
3月に高校を卒業したピートは、オカルトGメンに所属するため、唐巣のもとを離れてイギリスに研修にいっていた。
その後、ピートの穴を埋めるかのように、同じ聖職者ということもあり、おキヌの紹介で聖羅が弟子入りしたのである。
 
 
ヒラカタ ≪ 唐巣氏、あらゆる霊的干渉をよせつけず、運命を示す“ラプラスのダイス”を振ります! ≫
 
 
    ―――どうか知り合いとあたりませんように!―――
 
 
そう念じるタイガー達。 そして対戦相手が決まり、早苗とおキヌは番号の書かれた紙を見ていた。
 
早苗 「 おキヌちゃん何番?
おキヌ 「 私は4番コート第2試合。
早苗 「 よかっただー みんなばらばらで。 がんばろな! 姉妹でGSになるべ!!
おキヌ 「 うん!!
 
一方、抽選が終わった唐巣神父のもとに、聖羅が駆け寄っていた。
 
聖羅 「 唐巣神父、びっくりしましたわ!
唐巣 「 いやー すまない聖羅くん。 急に頼まれたもんでね。 ただし審判は公平にいくよ。
聖羅 「 わかってますわ! 攻撃技を覚えた私の力、じっくりと見ていただきますわ!
 
タイガーは紙に書かれた番号を見ながら、結界が張ってあるコートの中に入った。
 
タイガー 「 えーと ワシは1番コートの第1試合か・・ しょっぱなからジャノー。
カオス 「 なんじゃおぬしか!
タイガー 「 ひいいっ! ド、ドクター・カオス!!
 
ヒラカタ ≪ ではまず注目の一戦。 ドクターカオスの試合をみてみましょう! ≫
西条 ≪ あ エミ君の所のタイガー君じゃないか。 ≫
ヒラカタ ≪ 西条さん、エミ君と言いますと・・・・・・小笠原エミ!? ≫
西条 ≪ そうです! ≫
ヒラカタ ≪ いきなり燃える展開です。 運命の女神は何を思ってこの対戦を仕組んだのでしょう!! ≫
 
タイガー ( ・・・・・・ワシもうエミさんとこ、クビになったんジャガノー。
 
とそこで、カオスが細目の審判に近づき―――
 
カオス 「 あー 審判、今一度聞く。 道具は1つだけなら何でもいーんじゃな?
審判 「 銃刀法違反はダメですよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・で、
 
 
 
 
 
 
 
 
カオス 「 いくぞ マリア!!
マリア 「 イエス・ドクター・カオス!!
 
 
関係者全員 「「「「「   またか――――――っ!!!!!
 
 
審判     ≪ 試合開始っ!! ≫
 
 
一文字 「 ぶっどばせー タイガ―――!!
洋子 「 負けんなや―――!!
 
おキヌ 「 タイガーさんがんばって―――!!
早苗 「 いきなり負けるんでねえべ―――!!
 
客席から一文字と洋子、結界の外から水樹と早苗が応援していた。
 
タイガー 「 ・・・・・・・・///
カオス 「 ・・・・なんかおぬし なにげに女の声援が多くないか?
 
顔を赤くするタイガー。 一方で客席の横島は、タイガーにあるまじき黄色い声援に―――
 
横島 「 ・・・・・!! <プチッ!> なんかむかつくぞ―――!!
  なんであいつがモテるんだ!! 俺のときはブーイングの嵐だったのに!!
  はーはーはーはー もーやってらんねえよちくしょー!!
愛子 《 いいじゃないのよ別に‥‥!(汗)
 
カオス 「 まあいい いけ! マリア!! 奴をつかまえるんじゃ!!
マリア 「 イエス・ドクター・カオス!!
 
がしっ!   ―――!!―――
タイガーとマリア、両手をガップリと組む!
 
マリア 「 ・・・・・・・・・・・・・
タイガー 「 ふんぬぬぬぬぬぬ!!
 
ヒラカタ ≪ 結界の中では霊的な力以外は相手にダメージを与えられません。 ≫
西条 ≪ 確かに。 ですが動きを封じることはできますよ。 ≫
 
大家のばあさん 「 おらいけー! カオッさん、今度こそ負けんじゃないよ!!
  家賃をキッチリ払えないとアパートから出ていってもらうよー!!
 
客席では、大家のばーさんがナギナタを振り回して応援している。
そんなひときわ目立つ応援をしているばーさんを見たカオスは、複雑な心境で―――
 
カオス 「 ・・・・わしにはばーさんだけかい。 
  まあいい! マリアそのまま押さえていろ!! くらえっ!! <カッ>
 
カオスは胸からだされた怪光線がタイガーに直撃する!
だがタイガーにはほとんどきいていなかった!
 
タイガー 「 今のワシに生半可な攻撃はきかんですケンノー。
カオス ( む、いかんなこれは。 いまのは結構おもいっきりやったんじゃがなー。(汗)
  ・・・・・・いたしかたない。 これを使うとしよう。 <カチッ>
 
カオスは何かを噛みしめた。
ブワッ!
するとカオスの霊力が一気にあがる!!
 
カオス 「 いくぞ小僧!! <カッ>
 
ドゴオォオオオオ――――――ン!!!!!!
 
カオスは胸から怪光線を放つと、先ほどの数倍の威力の光がタイガーに直撃する!
 
一文字 「 なにいまの!?
洋子 「 霊力がいきなり上昇した!!
 
タイガー 「 うう・・・・・・
カオス 「 ぐわははは!! みたかわしの真の力を!!
 
さすがに今の攻撃は効いたらしく、タイガーは少しよろめきながら立ち上がった。
とそこで細目の審判が近づき、タイガーの手を取ってあげると―――
 
 
 
ピピーッ
審判 ≪ 勝負あり! 勝者、タイガー!! ≫
 
だあっ =☆
カオスはこける。
 
カオス 「 待たんかいっ!! どーいうことじゃっ!!
審判 ≪ 説明します! ただいまの攻撃は・・・ ≫
 
すたすたすた
審判はカオスに近づき、手の平をむけると―――
 
カオス 「 な なんじゃ。
審判 「 だしなさい。
カオス 「 え?(汗)
審判 「 わかっているだろ。 
カオス 「 なんのことかの〜。(汗) ピピピピピ〜♪
 
額から大量の汗を流しながら、口笛を吹いてごまかそうとするカオス。
すると細目の審判は、すばやくカオスの懐から小箱を取り出すと―――
 
カオス 「 あっ!!
 
審判は高々とそれを上にあげてみせた。 箱には“カタストロフ‐A”と書かれていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
審判 ≪ ただいまの攻撃は “薬事法違反”です!! ≫
 
 
だあああっ =☆
 
全員こける。 “カタストロフ‐A”とは、かつて厄珍が横島に飲ませたことがある薬で、
一粒飲むと恐ろしいほどのサイキックパワーが与えられるが、副作用があるため
現在発売禁止になってる代物である。
どうやらカオスは副作用が出ないように自ら調合しなおしたようなのだが―――
 
ハイホー♪ハイホー♪
ヒラカタ ≪ おーっとこれは前回の教訓が生かされていません! またも国家の法にふれてしまいました!
  警官隊がカオス容疑者(1053)を連行します! アンドロイドもカオスの後を追います。 ≫
 
カオス 「 かんにんやー! わし どうしても資格とらんと家賃が―――!!
 
タイガーはぼーぜんとしている。
 
大家のばあさん 「 あ・・・あのバカまた・・・!! 戻ったらせっかんじゃ・・・!!
 
額に怒りマークの大家のばーさん。
 
タイガー 「 い、1回戦突破・・ あと1回勝てばGS!!
  うおおおおん!!
  エミさん見ててクレー!! ひょっとして、【GSタイガー極楽大作戦】!?
 
エミ ( ・・こいつそーいや運悪いからなー。 また2回戦で・・・いや、まさか・・・

リポート26 『おキヌVS蛮 玄人!』
一文字 「 やったなタイガー! 1回戦突破だぜ!
タイガー 「 い いやー でも結局ワシほとんどなんもしとらんのじゃが。
 
客席から声をかける一文字。 そして実況席のほうでは・・・
 
ヒラカタ ≪ いやー まさか薬事法違反(ドーピング)で決着がつくとは思いませんでしたねー。 ≫
西条 ≪ そうですね・・・しかし“カタストロフ‐A”は販売禁止のはず。
  ドクター・カオスはいったい どこで入手したんでしょうね。 ≫
 
実況アナ・ヒラカタと解説の西条の後ろ・・・こそこそ逃げようとする厄珍に、美神は声をかけた。
 
令子 「 厄珍〜。
厄珍 「 どきいっ!! な なにあるか令子ちゃん!?(汗)
令子 「 ウフフフフ。 今度お札買う時半額に負けてね☆
厄珍 「 ううっ 令子ちゃんせめて3割・・・
 
すると美神はくるっと振り返り、ヒラカタに向かって―――
 
令子 「 あのねー それ売ったひとー
厄珍 「 あー わかったある! わかったある!
 
 
                   ◆
 
 
一文字 「 えーと・・・次は誰の試合だ?
「 あっ! あそこ氷室さん!!
 
客席からおキヌを見つけた一文字たち。
 
シロ・ピート 「 おキヌちゃんがんばるでござるー!!  「 落ちついていこう!!
 
どきどき・・・
おキヌ ( 横島さん 見ていてくださいね。
 
おキヌが客席に目をやるとそこには・・・・・・・・・・・・・ナンパしている横島がいた。
 
ぴしっ!
おキヌ 「 よっ 横島さん・・・・!
 
ぱこん!
横島が一文字に殴られる。
一文字、おキヌのほうに指をさす。
横島気づく。
横島手をふる。(以上おキヌ視点)
 
おキヌ 「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・横島さんのばか。
 
怒りとショックの中、おキヌはぼそっと呟いた。
 
ヒラカタ ≪ さあ 次の注目の試合は、声援がこれまた一段と多いネクロマンサーの氷室キヌ選手! ≫
令子 ≪ ごーごーおキヌちゃーん!! ≫
西条 ≪ 自分の力を信じて戦うんだ!! ≫
ヒラカタ ≪ あ あのー美神さん西条さん、解説者がひいきじみたことしないでもらえます? ≫
 
おキヌ 「 よっし やるぞー!
 
可愛らしく気合を入れるおキヌの前に、フッと影ができる。
おキヌが見上げると、身長2メートルを越える、上半身裸の大男がこちらを見てニヤついていた。
 
ヒラカタ ≪ 相手は前回一文字選手に負けた、3年連続出場の【蛮・玄人(ばん・くろうと)】選手!
  『誰が為に鐘は鳴る!!(その4)』参照!! ≫
 
おキヌ 「 ひいっ!?(泣)
蛮・玄人 「 ふっふっふっ・・・・・・女とはツイてるぜ。
  12%だ! 12%の力で勝負してやろう! せめてものハンデだ・・・!
おキヌ 「 よ よろしく・・・
 
 
審判 ≪ 試合開始!! ≫
 
 
ゴゴゴゴゴゴ!
蛮・玄人 「「  はああ―――――っ!!!!!
ピョロリイ〜〜〜ッ
おキヌ ((  眠りなさい!!
ばたっ・・・蛮選手倒れる。
 
審判 ≪ 勝者 氷室キヌ! ≫
ヒラカタ ≪ なんと試合開始わずか5秒(行)で勝負が決まった―――っ!! ≫
 
むにゃむにゃ・・・
蛮・玄人 「 ま・・まて・・まだ88%が・・・・・・
ヒラカタ ≪ 放っておきましょう! こんなバカは相手にするだけムダです! ≫
うるるっ
おキヌ 「 やった・・・初めて1回戦勝てた・・・!
 
目に涙を浮かべるおキヌ。 実況席では机に上に足をのせ、マイク片手にしている美神が―――
 
令子 ≪ おキヌちゃんよくやった!! えらいわよ―――!! ≫
ヒラカタ ≪ だから解説者がマイク使って応援しないでください!! ≫
 
・・・おキヌの勝利に一番喜んでいた美神であった。
 
 
                           ◆
 
 
ぎゅっ
早苗 「 さ、つぎはわたすの番だべ。
 
白いはちまきを締めなおす巫女の早苗。 水樹とおキヌが応援する。
 
水樹 「 早苗ねえちゃん! 頑張って!
おキヌ 「 おねえちゃん! ファイトよ!
 
ヒラカタ ≪ さて、次の試合は先ほど戦った氷室キヌの姉、氷室早苗選手の登場です。 対するは・・・ ≫
 
フッ ―――!?―――
 
ヒラカタ ≪ なっ!? と 突然電気が消えました!! 停電でしょうか!? ≫
早苗 「 なんなんだべ!? 真っ暗でなんも見えねえ!
パッ!
1ヶ所だけ、上からスポットライトの光が落ちてくる。
そこには巨大なグランドピアノ1台と、薔薇をくわえたタキシードの男がいた。
 
早苗 「「  あっ!!
 
 
じゃじゃじゃじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪
 
 
じゃじゃじゃじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪
 
 
ぱらりらぱらりあぱれりあー♪
 
 
ぱらりらぱらりあぱれりあー♪
 
 
ぱらららん♪ ぱらららん♪ ぱらららんっらっら〜〜〜〜〜ん♪
 
 
 
 
じゃじゃじゃじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    ・
 
    ・
 
    ・
 
メゾピアノ 《 ・・・・・・ん? 拍手がないようだね。 僕の演奏に聞きほれてしまったのかな。 
 
パッ! 全ての電灯が点灯した。 早苗は口元をヒクヒクさせながら―――
 
早苗 「 めっ めっ めっ・・・・・・・・・
メゾピアノ 《 やあ早苗クン。 相変わらず面白い顔してるね。
 
 
 
    『『『   メゾピ――――――!!!!!   』』』
 
 
 

リポート27 『早苗VSメゾピアノ!』
メゾピアノ 《 キミとの出会いはまさに奇跡(ミラクル)!
  まさか1回戦であたってしまうとは 確立にして64分の1!
  この喜び どう伝えたらいいのでしょう! ああっ なみだがとまりませんっ。
 
客席にいた愛子が叫ぶ。
 
愛子 《 あ あなたは私と同じ学校妖怪の【メゾピアノ】!!
メゾピアノ 《 やあ 2年ぶりだね愛子クン。
愛子 《 妖怪のあなたがなんで試合にでてんのよ!?
メゾピアノ 《 フッ バンパイアハーフのピート君も GS試験を受けたそうではないか。
愛子 《 ピート君は半分人間なの! だいたいあなたそんなに強い妖怪だった!?
 
唐巣 ≪ それについては私が説明しよう! ≫
 
係員 「 唐巣和宏審判長!
 
唐巣 ≪ 【メゾピー】こと【メゾピアノ】君は、確かに最下級の妖怪でした。
  しかし聞く所によれば、彼は氷室早苗君から大量に霊力を流しこまれたことにより、
  霊の質が変化し 人と妖怪の霊力が混ざりあってしまったようなのです。
  つまり彼は、霊的には人と妖怪のハーフと同じ状態なんです。 ≫
 
早苗 「 わ わたすのせいか?
メゾピアノ 《 だから言ったろ 【マイ・シスター】と。
 
唐巣 ≪ そしてもうひとつ、人間以外がGS試験を受けるには適性検査があります。
  邪悪なものに資格をもたすわけにはいきませんからね。
  その点でいえば 彼は今まで一度も人に危害を加えたことはありませんし、
  数少ない学校妖怪の教師でもあります。
  以上のことにより、私達GS審査会は彼の受験を認めることとしました。 ≫
 
メゾピアノ 《 ・・・というわけだ。 わかってくれたかい?
早苗 「 ・・・・・・あうー。(汗)
 
ショックを受ける早苗。 一方横島は・・・
 
横島 「 こらー! 原作じゃあたった1話しかでとらんくせに、ここじゃあ俺より
  出番が多いっちゅうのはどういうこっちゃー!!
メゾピアノ 《 わははははっ! ひがまないでくれたまえ横島クン。
  美しいキャラは必然的に出番も多くなってしまうものなのさ!
横島 「 ・・・おまえちょっと性格変わってねーか?
メゾピアノ 《 フッ たった1話で僕のすべてをお見せすることはできないのさ。
うがー!
横島 「 くそー 使い捨てキャラのクセしやがって!!
小鳩 「 横島さん 危険な発言はやめといたほうが・・・!
 
早苗 「 わ わたすの記念すべき1回戦の相手がこんな奴とは!
メゾピアノ 《 さあ! 早苗クン! 運命の試合を始めようではないか!
 
とそこに、コートの中に置かれたままのピアノの対処に困った係員が、メゾピーに近づき―――
 
係員 「 あのー試合のジャマなんで このピアノどけてもらえます?
メゾピアノ 《 なにを言う!! ピアノは僕の武器でもあり 僕自身でもあるんだ!!
  先ほどの早苗クンのシスターも笛を使っていたではないか!
係員 「 しかしこんな大きな物・・・・・・
 
ヒラカタ ≪ えーと今 審査会から連絡がはいりました! どうやらピアノの持ちこみを認めるようです! ≫
 
メゾピアノ 《 とーぜんだ。
 
 
 
ど――――――――ん
 
 
 
コート内の5分の1を巨大なグランドピアノでうめている。
 
メゾピアノ 《 さあ 始めようか。
早苗 ( ・・・・・・どうすりゃいいべや?(汗)
 
メゾピーは薔薇をくわえたままイスに座り、ピアノを弾く準備をした。
 
ヒラカタ ≪ 妙な組合せです! ピアノを弾くタキシード男と巫女が向かいあってます!
  はたから見てるとなんだかわからない光景です! ≫
 
客席にいる一文字が、愛子に聞いてきた。
 
一文字 「 なあ愛子ちゃん。 あいつどういう奴なんだ?
愛子 《 見ての通りの奴よ。 私と同じ学校妖怪で、夜中にこっそりピアノを弾くだけの妖怪なの。
  妖怪暦は私より短くて霊力も低かったから、
  2年前まで並の霊能者でも目視出来なかったんだけど・・・
  ・・・・・・そういえば私、彼が戦うところ一度も見たことがないわ。
 
すると真剣な表情をした弓が―――
 
「 そんなことより気になることがあるんだけど・・・
愛子 《 どうしたんです弓さん。
「 あのピアノ いったいどこから持ってきたのかしら?
 
・・・沈黙する愛子や一文字達。 しばらくして愛子が口を開く。
 
愛子 《 彼 人を脅かすのが結構好きなのよ。
「 ・・・で ピアノはどうやって?
愛子 《 あ ほら一文字さん! 試合が始まるわよ!!
 
コートを指差す愛子。
愛子にもメゾピーがどうやってピアノを持ち込んだのかわからないらしい。
メゾピーの謎が、またひとつ増えたことをここに加えておこう。
 
審判 ≪ それでは氷室早苗選手対メゾピアノ選手の試合・・・・ ≫
 
メゾピアノ 《 待ちたまえ審判! 私は【 ピエール・ザ・ブルゴホッ!!!<ボカッ!>
 
早苗はメゾピーの頭をおもいっきり殴った。
 
早苗 「 それはもういいだ・・・!!
審判 ≪ ちょっとキミ いきなり攻撃しない! まだ開始の合図はしてないよ! ≫
早苗 「 す すみません・・・
メゾピアノ 《 ははははは! まったくあわてんぼうさんなんだから早苗クンは。
早苗 「 ムカ! おめえが言うな!!(怒)
 
 
審判 ≪ それでは両者 試合開始!! ≫
 
 
メゾピアノ 《 いくよ! 早苗クン!
早苗 「 こうなったらもーやってやるだ!
メゾピアノ 《 まずはこの曲・・・!
 
メゾピアノはバラをくわえたまま、持ち込んだ巨大なグランドピアノで演奏を始めた!
 
ぱ・ぱ・ぱらっぱーぱ・ぱ・ぱ・ぱーらん♪
ピシィッ!
早苗 「 うっ!? う 動かねえだ!
 
ヒラカタ ≪ ああーっと! メゾピアノ選手がピアノを弾いた途端 氷室選手の動きが止まったー! ≫
令子 ≪ 音よ! ピアノの音に魔力をのせているんだわ! ≫
 
メゾピアノ 《 どーだね早苗クン! 僕の演奏は!!
早苗 「 うぐ・・・・・・動け・・・・・・!
 
必死に動こうとする早苗だが、ほとんど動かすことができなかった。
一方でメゾピーの演奏は、別の結界内で試合をしていた受験者達にも影響がでていた。
 
ぷぅわらっぱ・ぱ・ぱらっ ぱーらっぱらっぱん♪
 
受験者 「 なんなのよこの演奏ー!
受験者 「 音が気になって心理攻撃に集中できないわ!
 
ヒラカタ ≪ なんとメゾピアノ選手の弾くピアノの音が、他の試合中の選手にまで影響を及ぼしています! ≫
令子 ≪ 霊波は結界で他の舞台までは届いてないけど、音だけは聞こえちゃうからね! ≫
 
ぱぱぱぱぱあ〜ん♪ ぱーぱぱぱぱーん ぱぱぱぱーんぱーん♪ どぅぱぱぱ〜ん♪
 
早苗 「 うぐぐぐっ! こったら奴に負けたら一生の恥だ!!
メゾピアノ 《 わはははははっ! さあ これで僕がピアノを弾いている限りキミは一歩も動けまい!
 
そのセリフに、客席にいた愛子があることに気づく。
 
愛子 《 あれ? てことは逆にメゾピアノも攻撃できないってことじゃない?
ピート 「 そういえば! あいつもピアノを弾いてる限り 両手がふさがってる状態なんだ!!
メゾピアノ 《 フッ さすが愛子クン! そのとおりだ!!
愛子 《 自慢して言うことかっ!!
 
ぱっぱーらっ ぱーらっ ぱらっぱ〜ん♪
 
早苗 「 くっ・・・ところでおめえ なにか攻撃技もってるんべか?
メゾピアノ 《 ない。
早苗 「 は!?
メゾピアノ 《 僕はピアニストだよ。 誰かを傷つけるなんて そんな野蛮なことできるわけないじゃないか。
ぐぎぎぎぎっ!
早苗 「 お おめさやる気あるんか〜!
メゾピアノ 《 いいではないか。 しばらく僕のコンサートを楽しんでくれたまえ。
  僕は別に勝負にこだわっているわけではない。
  ただGSになるキミ達に、素敵な演奏をプレゼントしているだけなのさ。
早苗 「 ・・・とんだありがたメーワクだべ。(汗)
メゾピアノ 《  マイ・シスター!僕はキミのために、何十時間だって弾いてあげるよ!
  今宵はオールナイトオーケストラだ!! ふははははははははははははは!!!!!
早苗 「 このアホンダラ・・・・・・!
 
 
 
 
 
ピピーッ
審判 ≪ 勝者 氷室早苗!! ≫
 
 
ヒラカタ ≪ おーっと、唐突に審判が勝負を決してしまった――! ≫
 
メゾピアノ 《 待ちたまえ! まだ演奏中ではないか!
一文字 「 試合中だろ!
 
審判 ≪ えーただいまの勝敗について説明します。
  基本的に、勝敗を決するには相手を倒すか、ギブアップさせるかのどちらかです。
  しかしメゾピアノ選手は、戦う気どころか資格を取る気もありません!
  更にこのまま演奏を続けてもらっては、他の選手の試合の妨害になります!
  よって、“試合放棄”“業務妨害”とみなし、氷室早苗選手の勝ちとします! ≫
 
ヒラカタ ≪ これは珍しい!! “業務妨害”で勝敗が決まった――!! ≫
 
メゾピアノ 《 そうか・・・・・・フッ、天才はいつの世も認められるものではないんだね。
早苗 「 どう解釈したらそうなるだ?(汗)
 
唐巣 「 私達GS審査会が認めたことはいったい・・・・
聖羅 「 唐巣神父! お気をたしかに!
 
ショックを受ける唐巣を支える聖羅。
 
愛子 《 ・・・・・・そりゃ戦う所、一度も見たことないはずだわ。(汗)
ピート 「 メゾピアノ全然変わってない・・・・結局ピアノを弾くだけの妖怪だったんですね。(汗)
愛子 《 ていうかあれでよく一次試験受かったわね。
 
あきれる愛子とピート。
一方で試合を終えたメゾピーと早苗は・・・・
 
メゾピアノ 《 というわけで早苗クン、初勝利おめでとう。 どうだい? この後僕の演奏の続きでもー
早苗 「 却下!!
 
早苗の初戦は、タイガーと同じくほとんど何もせずに勝ち上がることができたのであった―――

リポート28 『吸血鬼ハンター』
早苗とメゾピアノの試合が終わった後、水樹は、仙香や亜美達の座ってる席の前に走ってきた。
 
水樹 「 仙香ー!! 亜美ー!! 私勝ったよー!!
仙香 「 え? 水樹試合してたの?
水樹 「 え? もしかして見てなかったの?
仙香 「 あ いやあ・・・・・・ははは。
亜美 「 ・・・・すまんな。
 
ごまかす仙香と謝る亜美。
 
がーんがーん
水樹 「 うっ・・・なによなによ〜〜〜っ!! 仙香と亜美のばか―――!!! うわ―――ん!!!
どんっ
タイガー 「 み 水樹サン!?
 
水樹はタイガーにぶつかったあと、泣きながら走っていってしまった。
 
仙香 「 ま 待ってよ水樹ー!!
 
おいかける仙香と亜美。
 
一文字 「 可哀想に・・・
ピート 「 メゾピアノの音楽が気になって、試合はほとんどみてあげれなかったですからね。
 
一文字とピートが哀れむ。
するとピートの後ろから、金髪ショートカットの少女がいきなり抱きついてきて―――
 
アン 「 じゃ 私の試合はちゃんとみてね☆
一文字 「 えっ!?
ピート 「 きみは・・・・・・!
アン 「 えへっ! ピートおにーさま☆
 
 
 
《《《   アン・ヘルシング!!   》》》
 
 
 
一文字 「 誰?
愛子 《 アン・ヘルシング・・・ 19世紀末にドラキュラを退治した科学者、【ヴァン・ヘルシング】のひ孫よ。
  ・・・って なんだか今日は知ってる人によく会うわね。(汗)
「 バンパイアハンターの!?
 
驚く弓。 その横で嫌そうな顔をしている愛子とタイガーに気づく。
 
「 あなたたちなんで嫌そうな顔してるの?
愛子 《 このコのせいで学校壊されるし・・・
タイガー 「 ワシ その爆発で1週間入院したんジャ・・・
横島 「 俺はいいように操られた思い出しかないぞ。 だが!
「 だが?
横島 「 うん、色っぽく育った! あと2年もすれば美神さん並に―――
おキヌ 「 なんの話ですか!
 
アンをまじまじと見て観察する横島。
 
「 そのバンパイアハンターの子孫が、なんで吸血鬼のあなたに抱きついているんです?
ピート 「 それはまあ いろいろあって・・・
 
アンはピートから離れると、丁寧に頭を下げて―――
 
アン 「 はじめまして。 ピートおにーさまのお友達ですね。 許嫁のアンです。 どうぞよろしくー!
アンの許嫁発言にざわめく関係者たち。
 
一文字 「 本当なのかピートさん!?
ピート 「 嘘に決まってるでしょう!!
  だいたい僕の父はカオスさんによって 700年以上封印されてたんですよ!
  そんな約束できるわけないじゃないですか!
アン 「 ひどーい! お兄ちゃん小さい頃に『大きくなったらまたおいで。』って言ってくれたじゃない!
ピート 「 だからってどうしてそれが許嫁って話しに―――ハッ!!
 
ずごごごごごごごご!!!!!
ピートの背後に立つ額に怒りマークのエミ。
 
エミ 「 ピ〜ト〜! その子 誰なワケ〜!?
ピート 「 エ エミさん!(汗)
 
異様な霊気を放つエミにおびえるピート。 エミはピートの右腕をつかむと―――
 
エミ 「 おたく離れなさい。 ピートは私の彼氏なワケ。
アン 「 なにこのおばさん えらそうに。
ピシッ!
エミ 「 !!
ピート 「 あああっ!!(泣)
 
キレかかるエミに、ピート泣きそうになっている。
 
エミ 「 だ 誰がおばさんですって〜! 10歳も違わないじゃない!
アン 「 充分じゃない お ば さ ん ! おにーさまも若いコのほうがいいよねー☆
エミ 「 このガキ・・・!
 
愛子 《 2人ともピート君が700歳越えてるってこと 理解してるのかしら?
  ・・・でもこれはこれで青春かも♪
 
楽しむ愛子とは別に、タイガーはエミをなだめようとするが―――
 
タイガー 「 お 落ちついてクレ エミさん!! エミさんは充分若くてお美しいですジャ!!
エミ 「 うっさいわね! お黙りなさい!!
タイガー 「 エ エミさん・・・(泣)
一文字 「 だから諦めろって。
 
 
目をうるわせているタイガーに、一文字は肩に手を置き慰めの言葉をかけるのだった。
ピートは2人を何とか落ちつかせたあと、話題をそらそうと、アンに話を聞いた。
 
 
ピート 「 ―――それでアンちゃん、さっき試合に出るとか言ってたけど?
アン 「 はい! 私も16歳になり GS試験を受けれるようになりました。
  せっかく資格を取るのなら、ピートおにーさまのいた唐巣神父さんの所で
  修行したいと思いまして、お父さんに頼んで日本に来たんです。
ピート 「 日本にはいつ?
アン 「 昨日着いたばかりです。 でもまさかこんな所であえるとは思いませんでした!
春華 「 てことは聖羅とも同じ姉妹弟子になるのね。
アン 「 はい! さっき挨拶さましたが 優しそうな方でよかったです!
  ・・・あ 私そろそろ試合の時間なんでいきますね!
ピート 「 ああ がんばってね。
アン 「 はーい☆
 
アンは走りながらピートに手を振っていた。 それを見ていた弓は・・・
 
「 かわいいコですわね。
アン 「 はあ 一見そうみえるんですが・・・
エミ 「 ピ〜ト〜 私っておばさんなのかな・・・
 
エミはあまい声をだしながら、再びピートの腕にしがみつくと―――
 
ピート 「 そ そんなことないですよ! 僕からみたら エミさんずっと若いじゃないですか!!
エミ 「 ほんと!? エミ・嬉しい☆
 
今度はピートの首に抱きついてきた。
 
春華 「 これが私達の師匠・・・・・・エミ・嬉しい☆って・・・(汗)
仙香 「 おねーさま いつものワイルドさはどこへ・・・
 
今はエミの助手となった春華と仙香。
仙香はいつのまにか水樹を連れて戻ってきており、普段めったに見られないエミの姿に幾分ショックを受けていた。 一方で横島は・・・
 
がんがんがんがん!
横島 「 ちくしょー! なんだかとってもちくしょ〜〜〜!! なんでピートばっかり―――!!
  しかも今回タイガーまでもがなんだか知らんがモテとるし〜〜〜!!
シロ 「 横島先生! 頭を柱にぶつけるのはやめるでござる!!
タマモ 「 ・・・・ナンパ全滅したのね。
 
と、シロとタマモ。
 
 
審判 ≪ それでは1回戦最後の試合をはじめます! 次の試合は――――――
 
 
 
 
 
 

リポート29 『アン・ヘルシングVS聖 聖羅!』
聖羅 「 なんで・・・
アン 「 聖羅おねーさま・・・
 
舞台の上、アンと聖羅はお互いの顔をボーッと眺めていた。
黒の法衣を着て十字架の首飾りを身に着けたショートカットの少女、聖羅。
彼女は非武装結界を初めとし、守りに関しては六女最強なのだが、
結界に頼りすぎたことが仇となり、去年の試験は1回戦で敗退した。
 
一文字 「 なんでこう1回戦から知り合い同士の戦いが続くんだ?
「 確かに2人とも唐巣神父の弟子。
  その唐巣神父は今回、1回戦の組合せ抽選を行った審判長だからひょっとして・・・!
 
アン・聖羅 「「  唐巣神父!!
 
聖羅とアンが、唐巣神父の所に詰めよると―――
 
聖羅 「 神父! あなたご自分の弟子同士を戦わせるおつもりなんですの!?
アン 「 教会をめちゃくちゃにしたこと まだ怒っているのね!
唐巣 「 い いやー私はそんなつもりは・・・むしろ2人が戦わないように願っていたのだが。(汗)
 
観客席でその様子を見ていたピートは―――
 
ピート 「 そういえば、先生はあまりクジ運よくないんですよね。
  今年のお年玉年賀はがきも1枚も当たらなかったし、
  当たりつきのアイスも、一度も当たったことがないって言ってましたし・・・
愛子 《 確かにあんまり幸運そうにはみえないわね・・・(汗)
 
唐巣を問い詰めていた聖羅は、あきらめのため息をつくと―――
 
聖羅 「 はあ・・・決まったことは仕方ありませんわ。
  戦いましょう。 ヘルシング教授の子孫のあなたの力を見せてもらいますわ。
アン 「 わかったわ!
 
 
 
2人は結界の中に入り、聖職者同士の戦いをはじめた。
聖羅は聖書を片手に、唐巣直伝の精霊の力を借りた攻撃と、相手の力を無効にする“非武装結界”を駆使して戦い、
アンは対吸血鬼マシン、フルアーマー(全身鎧)の“イージス・スーツ ダビデ号”を装着。
額・盾・槍の3ヶ所から聖なる光を放って攻撃した。
 
はあっはあっ・・・
聖羅 ( このコ強いですわ・・・さすが吸血鬼ハンターのヘルシング一族の末裔・・・ならば!!
 
聖羅は聖書をひろげて、胸の十字架を手にした!
 
キィイイイイイン!
聖羅 「 草よ木よ 我が共なる精霊たちよ!! 我に力を与えたまえ!! アーメン!!!
 
カッ‐‐ ドゴオオ―――――――ン!!!!!
アン 「 キャア―――ッ!!
 
聖羅の唐巣直伝の精霊攻撃が、アンにヒットする!
 
仙香 「 聖さん、去年までとはくらべものになんないくらい強くなってるわ。
「 以前は守ってばっかりでしたのに・・・
 
聖羅の強さに感心する六女のツートップ。
 
春華 「 半年間 唐巣神父に戦い方をみっちりと教えてもらってたからね。
   防御に関しては六女最強だもの。
  その聖羅が攻撃技を覚えたら まさに“無敵の盾(イージス)”!!
洋子 「 あのコも結構やるようやけど さすがにここでキャリアの差がでたな。
 
聖羅と同じクラスの2人はすでに、聖羅の勝利を確信していた。
 
はあっはあっ・・・
アン ( ピートおにーさまの見ている前で 負ける訳にはいかないわ!
  こうなったら奥の手よ!! ・・・・・・・・・・・・・・・・いでよ ゴリアテ号!!!!!
 
ずど―――――――んっ!!!!!!!
 
試験会場の壁をぶち破り、結界の中に高さ3メートルの巨大マシン“ゴリアテ号”が入ってきた!
 
アン 「 行くわよっ!! ゴリアテ!! 目標は聖 聖羅!!
 
いきなり現れた巨大ロボに、聖羅はあせりだす―――
 
聖羅 「 ちょ ちょっと待ってよ!! 武器は1人1つのはずですわよ!
アン 「 “ダビデ号”と“ゴリアテ号”は本来2体で1つ!
  ちゃんと使用許可はとってるわよ! 更に自動操縦も可能なんだから!!
 
案の言葉に反応した横島は―――
 
横島 「 おいこらまて。 じゃああの時 俺がゴリアテ号に乗る必要なかったんじゃ・・・?
小鳩 「 よ 横島さんあまり深く考えないほうが・・・
 
アン 「 行くわよゴリアテ!! ミサイル発射用意!!
 
がっちょん!
ゴリアテの腹が開きミサイルがでてくる!
 
聖羅 「 なによそれー!! 違反じゃないのー!?
アン 「 私の霊力を攻撃力に変換した立派な武器よ!! 日本人がよく使うお札と変わらないわ!!
  ふふふふっ 痛いのは最初だけよ★ すぐに楽にしてあげるわ、おねーさま★
ひーっ
聖羅 ( 最初はかわいい後輩ができるんだと思ったんですけど・・・
  このコひょっとしてとんでもなくアブナイコ!?
 
アン 「 発射―――!!   <<ドンッ!>>
聖羅 「 ほんとに撃ちましたわこのコ!!
 
 
ドゴ――――――――――――――ン!!!!!!!!
 
 
愛子 《 ・・・・・・ひょっとしてまたとりつかれてんじゃないの?
「 もともとああいうコなんでしょ? さすがマッド・サイエンティストの子孫ね。
ピート 「 ピィートォ 大丈夫〜? 顔色悪いわよ〜
 
その話を聞いたか否か、エミにまとわりつかれているピートの顔からは大量の汗が流れていた。
その横では、タイガーがうらめしそうな顔をしていたり・・・
一方舞台上の聖羅は、ゴリアテ号のミサイル攻撃をかろうじて防御していた。
 
聖羅 「 く! 今ので結界の紙がほとんど焼かれてしまいましたわ。 もう一度今のをくらったら―――
アン 「 第二撃用意!!
聖羅 「 ひいっ!
アン 「 私は負けない!! 反則負けなんかにはならなくてよ!!
  ヘルシング家の誇りにかけ、この聖戦に勝利してみせるわ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
ピピーッ
審判 ≪ ヘルシング選手 反則負け!! ≫
 
 
だあっ  =☆
こけるアン。
 
ヒラカタ ≪ ああーっと またも反則負けです!! 本日3度目!! 今度はいったい何の反則でしょう? ≫
アン 「 どういうことよ! ちゃんと使用許可はとってるはずよ!
審判 ≪ ちょっと君 あれを見なさい! ≫
 
審判の指差す先に、先ほどゴリアテ号がぶち破った壁のあとがあった。
 
 
審判 ≪ ヘルシング選手の行為は“公共物破壊”です!! ≫
 
 
だあああっ =☆
全員こける。
 
ヒラカタ ≪ これは試合と全く関係ない所で勝敗が決まってしまったー!!
  警官隊が少女A(16)を現行犯逮捕します。 ゴリアテ号は証拠として押収されるよーです。
  まことに残念です。 カオス選手に続き、本日2人目の逮捕者がでてしまいました。 ≫
 
アン 「 嘘よー!! だって前に学校や教会を壊しても何もいわれなかったもん!!
唐巣 「 アン君 きみね・・・(汗)
 
あぜんとする唐巣。
 
聖羅 「 あ あのコとこれから一緒に修行するんですの・・・?
 
ぼーぜんとする聖羅。
 
愛子 《 GSになる前に、まず常識を教えておいたほうがいいんじゃない?
ピート 「 そ そうですね・・・・・・
 
顔面蒼白のピートだった。
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・・こうして、波瀾の資格試験1日目が終了した。
 
      [ 1回戦突破者 : タイガー・おキヌ・早苗・水樹・聖羅 ]
 
 
第5節・完

※この作品は、ヴァージニアさんによる C-WWW への投稿作品です。
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