「こんにちは」
 ピエトロ・ド・ブラドーは、放課後、毎日この病院を訪れるようになった。
 白井総合病院、GS科。
 先の戦闘で負傷した、師匠の見舞である。
 ピエトロ・ド・ブラドーは、ナースステーションで用向きを告げ、師匠である唐巣神父の病室へと足を運んだ。
 ピエトロ・ド・ブラドーは、大変師匠思いであった。放課後、すぐに病院へと足を運び、面会時間が終わるまで、敬愛する師匠の傍にいる。
 ああ、なんと美しい師弟愛。
 この美談を、もちろん、看護婦達は歓迎していた。
 見目麗しいピエトロ・ド・ブラドーと、心優しきその師匠。
 美談は、医師の間を、看護婦の間を駆け巡り、病院全体へと広がっていった。
「ねえねえ。今日も彼、来てるの?」
「うんうん、来てるわよ」
「これで何日目?」
「もう一週間にもなるわ」
「へ〜。すごいわねぇ」
「でも、勿体無いわよねえ」
「あんなにカッコイイのに」
「美しいバンパイア・ハーフと」
「さえない中年のGSの」
「師弟を超えた禁断の愛!」
「「「「きゃ〜! いっや〜ん!!」
 ………………………その間で、かなりの歪みを見せながら。
 唐巣神父が退院する頃、病院内で、『唐巣×ピート』(あるいはその逆)説は不動の地位を築いていた……

ちゃんちゃん♪



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