「ケーキは暴力」って台詞、『鉄鍋のジャン!』に出てきそうですよね サンデー19号感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 「神のみぞ知るセカイ」の連載終了から1年、ついに若木先生がサンデーに戻って来ました。
 若木先生のブログTwitterを読んでいる方ならご存知の通り、先生は何か常日頃からケーキばっかり食べてる人なんですけど(決めつけ)、その趣味を反映してか、新連載である「なのは洋菓子店のいい仕事」は洋菓子店が舞台の物語の様子です。

 一般的に洋菓子店が舞台の物語というと、甘くて楽しいケーキやお菓子を媒体に人々が触れ合うハートウォーミングな展開を想像しがちなのですが、しかしこの「なのは洋菓子店のいい仕事」はあの若木先生の作品なので、ハートウォーミングというよりはむしろケーキ好きに喧嘩を売ってるかのようにも読める内容になっているのが熱いと思いました。

 特に象徴的なのがパティシエのタイムで、彼は洋菓子店のパティシエなのに常にタバコを吸ってるわ、長髪なのに調理中に帽子も被らないわ、キメ台詞が「ケーキは暴力ですよ。バカな客の舌を打ち倒す力です」でケーキ好きな客に対する敬意が微塵も感じられないわと、基本的に料理人として最悪なキャラとして描かれています。
 また今回の「お客様」である木屋町苺も、タイムが作ったブリュレの暴力的な美味しさは認めつつも、さんざんひどい目にあったタイムの洋菓子店をラストでキッチリこき下ろしていたりしており、このマンガは所謂「洋菓子店を舞台にしたハートウォーミングなストーリー」とは全くかけ離れたところを狙っている作品であることが伺えます。

 このマンガはむしろ、そういった洋菓子店に対するイメージを逆手に取った、ハイブロウなパロディであると解釈するべきなのかも知れません。冒頭のハシラに書かれた「イヤなことだって忘れさせてくれる! あま~い漫画の始まりです♪」から連想される洋菓子店のイメージを作品内で意図的に破壊し、「ケーキは暴力」というキャッチフレーズでケーキが持つ強烈な甘さ故の暴力性を強調することで、ケーキ好きを公言する作者自身をも含めたケーキに簡単に魅惑される人々をメタな視点から批判する、極めて社会的なマンガだったりする可能性もあるのではないのでしょうか。考え過ぎだと思いますが。

 何にしろ若木先生がサンデーに戻って来てくれたのはとても嬉しいので、これからも楽しく読ませていただきたいと思います。よろしくお願いします。

さえずり高校OK部!

 今回登場した大阪出身の九尺とおこですが、彼女はみきこが繰り出す細かすぎるギャグに対してちゃんとリアクションを取ってくれることで、二人の間で漫才が成立しているところが面白かったです。
 個人的には、このマンガの連載が始まってから、この回が一番面白かったと思います。

 「OK部」はこれまで、みきこのギャグがひたすら空回っていた感がありましたが、そんな彼女のギャグをスルーしたり冷静に突っ込んで終わりにせず、真正面から受け止めてくれてボケてくれる相方となるキャラが出て来たことで、何かこうこの作品におけるマスターピースがついに見つかったような感慨に囚われました。いやマジで。
 「お笑い」がテーマになるマンガには、主人公の「ギャグ」を面白がってくれるキャラの存在が極めて重要であることを、今回の「OK部」から学んだような気がします。考え過ぎだと思いますが(またか)。

競女!

 「乳抜刀」に続く声に出して読みたい日本語、『真乳白刃取り』が登場しました。真乳白刃取り。リピート・アフター・ミー?(←誰?)

 「乳抜刀」はその名の通り乳を刀に見立てて高速で水着から抜刀することで威力を発揮する技なので、それを受けることができる技は、刀を素手でキャッチする「真乳白刃取り」だけである。何という説得力なのでしょう。
 斯様に言霊が宿った技の応酬は、たとえ絵面が荒唐無稽なものであっても、読者が「乳抜刀を真乳白刃取りで受ける。納得できる」と唸るしかない高い説得力を持つのです。考え過ぎだと思いますが(三回目)。

戦争劇場

 るりと翠のラブコメ展開が、そろそろ本格的に始動したっぽいですね。
 あの二人はわりとお似合いなカップリングだと思いますし、ラブコメには付き物の「この人とお付き合いして良いものかどうか」という葛藤や、「彼はいま何を考えているのか」「自分は彼をどう想っているのか」といった悩みの描写は「相反する考えを持つ天使と悪魔が脳内で殴りあう」このマンガのテーマに沿っていて面白そうではあるんですが、でもこのマンガは仮にるりと翠のカップルが成立すると終わってしまいそうで怖いのが悩みどころです。考え過ぎだと良いのですが。

 そういった意味でも、新キャラの手錠女さん(仮名)には頑張って欲しいと思いました。明らかに犯罪者ですが彼女。

AREA D

 おっぱいからガトリング砲! 「次号…発射!!」の煽り文句!
 どうしよう!(興奮してます)


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「神のみ」の香織攻略編は、今考えると作品にとっても作者にとっても決定的なターニングポイントだったのかもと思ってる今日このごろ

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