まだ僕には帰れるところがあるんだサンデー32号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 WHFの椎名先生サイン会に参加された皆様、おつかれさまでした。
 っていうか、生原稿にサインしたとかマジっスか! なんという太っ腹な! さすが最終回を迎えたマンガは貫禄が違いますね!(まちがい)

 そんなアレで自称暫定最終回を迎えた「絶チル」。「薫達が大人の皆本と一緒にいることを望み、兵部の試みが失敗する」ところまでは概ね予想通りだったのですが、個人的にちょっと意外だったのは、パンドラの中心メンバーが兵部を心配する描写がきちんと描かれていたことでした。

 先週、兵部が自分の生命と引き替えに皆本を子供にしようとする自らの計画を明かした時でも、真木を初めとした彼らパンドラのメンバーは「少佐の命令」があるためにで全く動かなかった(動けなかった)姿は、必死で皆本を探して取り戻そうと自ら行動したチルドレン達とは、ある意味対極的だったと思います。が、今回はそのパンドラのメンバー達もやっぱり兵部のことをもの凄く大切に思っていて、如何に彼のことを心配していたかが描かれています。
 特に葉のツンデレっぷりは非常に可愛らしく、自分の中で彼が更に株を上げました。口ではなんだかんだ言ってても、彼は本当に兵部のことが大好きであることが伝わって来る良いシーンだと思います。

 そして兵部も、そんな葉や真木を見て、自分の存在が彼らにとっては(チルドレンにおける皆本と同様に)必要な存在であることに気付いた様子。かつて信頼されていた仲間に銃で撃たれてから、兵部は「仲間」というものを心から信用できなくなっていたのではないかと思うのですが、今の彼は既に自分が「仲間」から信頼されるかけがえのない存在になっていたことを自覚したのです。これは兵部にとって、かなり大きい意識の変化なのではないのでしょうか。
 「次の機会が来るまで、せいぜい長生きするとしよう」と軽いことは言ってますけど、おそらくこのような形で兵部が無茶をすることは、もう無いような気がします。

 その一方で幼少期のトラウマ故に子供に戻りたがっていた皆本は、チルドレン達に「あたしたちが大人になって追いつくから」と諭され、大人に戻ることを選択します。
 皆本にとって「幼少期の孤独」は連載第一話の一番最初に描かれたことからも判る様に彼にとって最も大きな心の傷であったのですが、それを『幼少期に経験した孤独があったからこそ、今ではチルドレン達に必要な存在であることができる』という形で肯定されたことで、皆本は心の中に抱えていたこの問題に決着をつけ、乗り越えることに成功したのではないのでしょうか。

 兵部がかつて失った「仲間への信頼」を取り戻して再び生きる決意をし、そして皆本もまた自分の過去を肯定してチルドレンと新しい未来を作り出す希望を得ることができた。「絶対可憐チルドレン」における最重要人物二人が共に最も大きな心の問題をクリアすることができたんだったら、そりゃもう確かにこのマンガもう終わらせてもいいよね、という気にもなると言うことですね。わかります。

 後は比較的どうでもいいことなのですが、最後の小学校を卒業したシーンにおける葵の胸のなさには、何というかこう如何ともし難いものを感じました。破滅の未来における大人の葵はやっぱりおっぱいが小さいので、これはつまり結局未来はそれほど変わっていないということを意味している訳であり、破滅に向かっている未来はいまだ回避できていない――と解釈できます。
 つまり、葵の胸の大きさはハルマゲドンへのカウントダウンになっているのです。チルドレンが人類にとっての天使となるためには、葵の胸を大きくして未来を変えなければなりません。葵の胸が小さいままだと人類滅亡。たいへんだ。

 もし現代にフランスの哲学者ブレーズ・パスカルが生きていたら、「葵の胸がもう少し大きければ、歴史が変わっていた」と評するに違いないと思いました。嘘です。

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