サンデー 一覧

何でまだ12月なのに「1月1日号」なの?という質問が聞かれる時期になりましたサンデー09年1号感想

神のみぞ知るセカイ

 ちひろ編完結。今回特筆するべきは、桂馬がちひろをギャルゲーの攻略テクニックではなく、桂馬が彼女に付き合っている間に彼女が何に悩んでいるのかを理解し、そこをケアする形で口説いて攻略を成功させたという点にあるのかなと思いました。
 ちひろは桂馬にとって(ゲームでは決して攻略対象にはならない没個性な存在故に)リアルの権化とも言える存在だったのですが、その桂馬がちひろの「個性」を見抜き、没個性であると自分で思い込んでいた彼女に自信を与える形で口説くことに成功したことは、彼にとっても現実というものに対する認識を改めるきっかけになりそうな感じです。

 作者のサイトでは今回のエピソードを「2周目」と表していますが、桂馬も徐々に変わりつつあるということなのでしょうか。かつて「現実なんてクソゲーだ!」と高らかに宣言して我々の喝采を浴びた桂馬も、いつかは現実と折り合いをつけて特定の女性と落ち着く日が来たりするのでしょうか。桂馬は何だかんだでモテる素質あるしなあ。
 何か書いてて悲しくなってきたのでこの項おわり。

金剛番長

 「荒殴零猛怒」って、「モード」はともかく「荒くれ」は日本語なんだから、わざわざ「荒殴零」にしなくてもいいんじゃいか? と一瞬思ったのですが、すぐにそれが無粋であることに気付いたので考えるのを止めました。

 今回のマンガ的な見せ場は、金剛が打舞流叛魔を放ってマシン番長を破壊するところを2ページの見開き×2を使って描いた、「4ページぶち抜き」としか表現しようがないシーンで決まり(個人的に)。2ページで1コマを表現する手法は頻繁に見かけますが、4ページ使って1コマを表現するってのはちょっと珍しいんじゃないかと思います。鋼鉄の身体を持つマシン番長が倒されるシーンに説得力を与えるためには、これくらいのオーバーな表現が必要だったという判断があったのかも知れません。
 マンガ表現の限界に挑戦せざるを得ないところまで力のインフレが進んで来たこのマンガの、今後の展開が楽しみです。いやマジで。これでもまだストーリー的には半分過ぎたくらいですよね。我々はこれから更に恐ろしいモノを見なければならないのか。

アーティストアクロ

 「いかに素早く敵を倒すか、それで君達の技巧の価値は決まるんだ!
 アーティスト協会の教育が「子どもに戦闘技術を仕込む」ことだけを考えていることがよく判る台詞。今回のエピソードは「アクロの能力は師匠のヴルーの作品から影響を受けて開花した」ことの提示が主題なので、人々の笑顔を見るために技巧を使うと教えたアクロの師匠と正反対のことを子どもに教えるドーナに対して怒りを覚えるのは当然でしょう。
 前回のデコと謎の壁の男との会話もそうですが、このマンガは「師弟の絆」が大きなテーマとなっているのかなと思いました。

 あと、アクロとスバルが女性の好みで口論してるシーンを見て、「いいから君たち付き合っちゃえYO!」とか思いました。アクロがスバルよりも年上だったら両思いも可能ですよ?

月光条例

 「いかのおすし」の標語を子どもが暗唱してるシーンを見てると、都市部における体感治安の悪化はここまで来てるんかと絶望的な気分にさせられてなんか鬱になって来ます(挨拶)。

 今回は、そんな現代社会における都市部の子どもの悪夢を具体化した様なエピソードだと思います。これは怖い。すげえ怖い。自分は子どもの頃はいわゆる「鍵っ子」(ビジュアルアーツ的ではない意味で)だったので、尚更怖く感じます。当時この話を読んだら絶対トラウマになってます。
 藤田先生はこういう話描かせるとホント上手いですよね。世界中の子供たちに愛と勇気を与えてあげる前提でまず怖がらせるだけ怖がらせる、富士鷹ジュビロスピリッツは今も健在であることを再認識させられました(注:富士鷹先生と藤田先生は別人物です) 。

魔王

 爪の下にある皮膚は刺激に対してもの凄く敏感なので、爪が剥がれると治るまで本当にやっかいです。なので、生爪剥がれ経験がある人は、してない人に自慢して良いと思います(何)。

 主人公が金属バットで兄の敵を撲殺しようと血走り眼で街を歩く展開も凄かったですが、今回は無実の人に生爪剥がして拷問させて罪を着せようとする変な組織が登場したことで、更にその上を行ってしまった気がしてなりません。しかもこの「令嬢」って組織、構成員が基本的に変態っぽいです。瓶底メガネで七三分けサラサラヘアーの三人組が一斉に髪を梳き始めるコマなんか、図らずも笑ってしまいました。そういうマンガじゃないのに!
 これからこんな変態さん達が沢山出てくるのかと思うと、なんかワクワクして来ます。まさか「魔王」第二部がこんな路線になろうとは(認識間違い)。

オニデレ

 ユナの兄(属性:染みついた女装癖)登場。
 見た目の割にはかなり性根が歪んでいるサドキャラっぽいので、単なる直情おバカキャラで耐久力がやたら高い竹取君とはお似合いなのかも知れません。SM的な意味で。

ハイド&クローサー

 まさかの第一部完+Web連載移行。ハイドを復活させてからの春瓶君の精神的成長は著しいものがあり、「少年の成長物語」としてのこのマンガはとりあえず第一部でケリを着けたという形になりました。ちょっと急成長し過ぎな感はありますが、随分立派な男の子になりましたよね。『誰かに「信じる力」を与えることが呪術である』とか、さらりと凄いこと言ってますし。

 Web連載化についてはサンデーとしても初めての試みであり、正直どうなるか不安なところはあるのですが、今後のサンデーという漫画公開媒体の場所の存続を考慮した上での実験的な企画として、個人的には好意的に捉えてます。連載が終わって読めなくなるよりは、Webで連載が続いて単行本も出る方が読者としてはありがたいですし。
 現実問題として紙の雑誌が徐々に売れなくなっている現状、コミックスを出し続けていくために「固定ファンが多くコミックスは出せば売れる」タイプの作品はWebで連載するという形態は、今後更に増えていくのかも知れません。


サンデー52号感想圧縮版

お茶にごす。

 実に西森博之先生のマンガらしい話。部長がいないとこのマンガもこうなるのかなと思いました。
 あと個人的には、「サバイバル」はネズミが怖いマンガでした(聞かれてない)。

結界師

 『とのー♥』のシーンを見た時、やはり田辺イエロウ先生には何かの機会でぜひ一度、「結界師」で築いた全てをかなぐり捨てる勢いでもって美少女わんさかコメディーを描いて頂きたい! と改めて思った次第です。三人の姫にちゃんと個性が存在しているのが凄い。個人的にはロリっぽい子がちょっと好みです(聞かれてない)。

神のみぞ知るセカイ

 現実の女性にはゲームの様な「モブキャラ」は存在しないことを認識したエピソードと理解しました。でもこの壁を越えちゃうと、桂馬は本当に現実でモテちゃうような気がしてなりません。オレがちひろなら既に桂馬に惚れてますよ(聞かれてない)。

オニデレ

 結論としては、正少年は落とし神です。

アーティストアクロ

 基本的に女性キャラが希少なこのマンガにおいて、メメンサの振りまくエロスは貴重です。性根がねじ曲がっていそうなところも好感。この調子で敵味方の区別なく周囲を苦しめて欲しいですね。
 そして、そのメメンサとは正反対の「お姫様」ポジションキャラであるデコがパワーアップする兆しが。彼にどんな才能が眠っているのか、ちょっと期待しちゃいます。

トラウマイスタ

 「分別盛り」って、この手の能力バトルマンガ的には基本的にあり得ない名前だと思いました。カミーユさんって、ああ見えて一般的に「分別盛り」と呼ばれるお歳なんでしょうか。大人の女性は色々と大変ですよね。同情します(何)。


「コナン」の高木刑事は幸せになるべきだと思ったサンデー51号感想

史上最強の弟子ケンイチ

 「中華街じゃいつもこんなのと戦う毎日だったわ!

 昔の「拳児」もそうだった記憶があるのですが、格闘マンガ界における横浜中華街は常に中国拳法使い同士が闇でバトルしてたりするバイオレンスアンダーグラウンドである、という不文律があるように思えます。海外のマンガで現代日本にニンジャが出てくるのとノリとしては同じようなものなのかも知れません。
 表通りでマクロスFの「まぐろ饅」を売ってたりする裏では中国拳法の使い手達が火花を散らす。いいなあ横浜中華街(いいの?)。

 あと、「ケンイチ」に出てくる格闘体系って格闘マンガの中でもかなり独特なものなんじゃないかと、最近になって思う様になって来ました。前回のバトルにおける、ケンイチが連華にガイドされながら攻撃をすり抜けつつ九官鳥男の背中によじ登る展開なんて、まかり間違いなくこのマンガ世界でなければ成立しない戦法だと思われます。作者の松江名先生の想像力はホントに凄いです。
 Wikipediaの「ケンイチ」の項目には、この作品の世界観が簡潔にまとめられていて参考になります。

結界師

 「何このまやかし、超スゲー!」って言ってる良守がバカっぽくて良かったです。こういうバカっぽさと、烏森を守るために修行に打ち込む一途さの描写のバランスが取れているのが地味に凄いと思った回でした。

 あと今回は、カケルに引っぱたかれた「壱号」が、屈辱に耐えつつも冷酷な意志を瞳の奥に秘めているようにも、それとも単にカケルに叩かれて赤面している様にも見えました。彼はサドなの? それともマゾなの?(←そういう視点からだけでキャラクターを判断するのは止めよう)

神のみぞ知るセカイ

 ゲームに限らず、パソコンに向かってネット相手に作業してると、自分がリアルな世界に肉体を持っている存在であることを忘れてしまうことってよくありますよね?(挨拶)

 ただ桂馬の場合、彼のリアルに対する拒否姿勢は明らかに「ゲームに没頭する自分の存在を理解してくれない」という怨恨絡みであり、逆にいえばそのルサンチマンがあるが故に彼はゲームの世界で「落とし神」となるまで技術と才能を極めることができたという側面もあるので、そこは相当やっかいです。リアルの拒否は桂馬のアイデンティティの拠り所なのです。
 今回のエピソードは、歩美が桂馬にそれとなくアプローチをかけて来たところから推測すると「リアルからの干渉」がテーマになっているように思えますが、如何に桂馬がリアルを嫌っていようとも、彼がリアルの世界に肉体を持っている以上、生きている間はリアルは常に彼に迫り来る訳であり、この問題は避けて通れません。要するに、桂馬には都合が悪いことかも知れませんが、彼は次第にリアルの世界でモテ始めてしまっているのです。
 桂馬が斯様なリアルに対してどのように折り合いを付けて行くのか? ということに対する結論が出るのは、それこそこのマンガが終わる時になるんじゃないかな、とか考えてしまいました。

 あと今回の展開では、結局桂馬はちひろの恋のお手伝いをすることになりそうな雲行きですが、少女マンガとかだと「ヒロインのことが一番好きだったのは、実は彼女の恋の手伝いをしている幼なじみの男の子だった!」みたいなパターン以外はあり得ないので、何かこれからそういう方向でフラグが立つ展開を期待していきたいです。ベタな展開大好き。

アーティストアクロ

 アクロの「信じてっから」という言葉一つでフラグが立っちゃったスバル坊ちゃんが良かったです。
 あと、アクロとスバルが番犬相手に息のあったコンビプレーを見せつけるところも良かったです。まーあの二人ってすっかり息が合っちゃってもー(←見合いセッティングマニアの槍手さんっぽいしゃべり方で)

 そして、デコの話し相手が「一人じゃ創れんモノもあるぞ」と言った次のコマに、『なんとも首の痛くなる海』の中にある「握手」のスタチューを挿入する作者のセンスは素晴らしいと思いました(フォロー)。

月光条例

 今回は「わらしべ長者」。「わらしべ長者」の能力を『わらしべとあらゆるモノを強制的に取り替える』と定義したのも凄いなと思いましたが、それ以上に月光がわらしべ一本で超おとぎ話級の大冒険を経験したってエピソードにしたのは更に凄いなと思いました。何が凄いって、こんなおかしな話を考えつく作者の頭が。
 1話完結のエピソードになってからというもの、何かこのマンガが内包している狂気っぷりが加速しつつあるような気がします。藤田先生は永遠に侮りがたい作家です。

魔王

 自分がバットで撲殺しようとしたマスターが自分の目前で「押し屋」に殺されたことを逆恨みし、バットを持ったまま能力(推測:ギャンブルでは自分の思った通りの結果になる)を駆使して彼を追跡、自宅を発見したら扉をバットで殴りつけて「押し屋」を脅迫するという、潤也の常道を逸した狂気っぷりが大変に面白いエピソードでした。
 こういう主人公の存在を許せる文化がある限り、サンデーという雑誌はまだ大丈夫ではないかと個人的には思ってます。

 あと最期に出てきた兄弟(兄妹?)は、確か前にアンダーソングループのビルの工事現場で「事故」に巻き込まれた子達だったような気がします。


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