考える人達。

No.12000/04/22 16:38 中村 守博(task17@mocha.ocn.ne.jp)


 「ヤローども、声が小さいぞ―――!!」

  まさに、今は滅んだと思われる「暴走族のヘッド」の如く
 信長様の突っ走り振りには感服いたします。

  って、このシリーズで考えるべき新しいワードが出てきました。

 「力じゃなくて力をどう使う・・・て考える頭。」 By ヒナタ
 「実は徹底した合理主義者。」          By ヒヨシ

  ヒナタの言葉はそのまま前編での、「力」と言う曖昧なパラメーターに
 ジパングなりの「定義」を、この編で、ある程度「明確に」しておこうと言う
 考え方があります。

  後者は、今までは「信長」に対しては、椎名先生自身が
 この漫画での「織田信長」が、どういう考え方、行動理念を
 持ったキャラであるのかを、日吉の口を借りて明確に出したと言う事です。

  今回のシリーズでは、ある程度「信長」と言う、数々の
 小説・漫画・で構築され普遍化してしまった「こうあるべき信長像」を
 椎名先生流の流れで、「オレの信長はこうだ!」って事を
 読者に認識させるかもしれません。

  さて、蜂須賀村の前門で、信長狂騒族(仮称)と、蜂須賀応援団(仮称)
 が、声の張り上げ合戦を繰り広げていますが、どちらも基本的に「体育系」
 な気がするので、声を出すのは基本でしょう。(笑)
 しかし、「威嚇ソング」とは面白いですね。

  多少軍歌調なのがアレですが、まあ「まもるも攻めるも〜♪」は
 軍艦マーチの第二番の出だしですし。

  お互い、大声張り上げて威嚇し会うってのは作戦としては
 面白いですね・・・って言うか、これに似たような話があります。
 太平洋戦争中、中国戦線で、日本軍と中国軍が相対したものの
 両軍とも戦う気がなく、ある日本軍の知恵者が「中国古来の音楽で
 中国人の戦意を阻喪させよう?」ってなり、実行。

  昼間ひたすらその付近の日本部隊が、中国の歌を合唱。
 しかし、兵法の発祥の国「中国軍」負けません。
 夜間、中国軍陣地から、日本の故郷を偲ぶ歌が合唱で流れてきたそうな。
 お互い涙して、戦うことなく終戦になったと言う実話があります。

  話を戻します。

  合唱合戦の親玉が、BGM付きでお互いの主張と要求を堂々と提示しています。

 信長は「この村は完全に包囲した、村焼くぞコラ!」と完全に威嚇脅迫モード
 小六は「戦国時代にもルールはあるんだ、うつけ!」と、ルールを盾に抵抗。

 しかし、信長は、この行動は「正当なものである」と言いつつ、
 犬千代をボコボコにしたヤツを出せと何とも、この様な陣立てで
 威嚇して得る戦略要件にしては小さいです。
 確かに、マブダチがあの様にされては黙ってはいないと思いますが
 ちょっと大人げない。

  これは、日吉が指摘しているように、「蜂須賀親分」が
 絶対飲めない要求を問答無用で突きつけている状態です。
 信長としては、「犬千代をボコボコにしたヤツを引き渡せば良し
 しかし、任侠道の感点から自分の村(蜂須賀村)を救うために
 部下を見殺しにしては「メンツ丸つぶれ」&「蜂須賀一党の統制が乱れる」
 のオマケ付き・・・」って考えてるでしょうね。

  次善としては、「蜂須賀親分が「腹を切り」部下の責任をとる。
 これも良し、村は解放されて、蜂須賀村は瓦解するか、
 美濃道三寄りの姿勢から、中立的な立場に転ぶかもしれない、
 そうなれば、一挙に尾張に引き込む事もできるかもしれない。」

  下策としては、お互い最後の一線を越えて愚かにも戦いに突入するか。
 これはマズイ。

  と言う訳で、信長は「村は包囲した」と、夜の暗闇を良いことに
 確認不可能な状況を創り出しました。
 しかしよく考えれば、村を包囲するほどの兵隊は連れてきてないでしょうね。
 まあ、前門に展開している部隊だけって感じが見え見えですね。
 包囲すれば、幾ら大軍でも手薄になる、「守る所多ければ薄し」を
 知る(ってると思う)信長ですから。あと「一時間(半刻)」の時間制限を
 設けた時点でばれてます。

  狼煙は夜は上げられぬだろう〜♪って行ってる信長ですが
 密偵は走るでしょうね・・・その為の密偵なのですから。
 つまり、一応美濃の勢力圏の外郭をなして、且つ中立を守っている
 蜂須賀村ですから、道三がこれを聞けば、ある程度の兵力は差し向けます。
 稲葉山から蜂須賀村までは、そう距離があるわけではないですし
 信長も「正当な行為だ要求だ」って言ってても、夜が明けて美濃と
 尾張の軍が小競り合いを起こせば、胃が痛いが持病の「平手政秀」が
 本当に胃潰瘍になりますよ。

  と言うか、包囲した軍だろうが前門で唸っている軍だろうが
 守城救援の軍が来れば危うい。 それくらいのことは信長だって
 分かっています。

  問題なのは、お互いのメンツが潰れぬようにして
 「一緒に幸せになりましょう」が出来上がればいいのです。
 なんせ、信長も自分の部下がヤレれて黙っているわけにもいかない
 あの卍をわざわざボロボロの犬千代にぶら下げて返せば
 彼としても部下の手前動かざるおえない。
 さらにこれだけの兵を並べて「はい、そうですか引き上げます。」
 等は、軍である以上出来ません。(そう言うものなのです)

  よく考えれば、今回の悲劇は「お互いの誤解と不理解が」
 起こした事件です。
 これを解決するのは大変難しいのですが、ここで
 日吉にその解決の下駄を預けています。
      
  椎名先生は、日吉をして、「力を預けた・・・上手くやってくれ」
 と言っているようです。
 「力」この場合は、蜂須賀&織田両軍の軍勢の「力」です。

  「凡そ、謀を為すものは、敵の軍を力に為すことを・・・云々」

  はて、日吉は「スナイパー」を集めて何をするのでしょうか。(笑)
 彼には「幸せに解決する」って、条件が付いています。
 信長自身に対する射撃もあり得ましょうが、それは逆効果ですし
 私にも読めませんね。

  まさに、このジパングは、先に投稿なされた方の言う通り
 「推理漫画」的な展開を見せつつあります。
 私としてはこの漫画は、その要素も含みつつ歴史シュミュレーションも
 やっている気もします。 そう、「椎名流歴史シュミュレーション」
 連載開始に私が述べた「派手に生きるぜ戦国乱世!愉しむのは読者じゃない
 この漫画に登場する生き生きとした、登場人物達だぜ!!」との言葉に
 って確信を強めました。

  しかし、ヤローばかりですね・・・ヒナタもあまり動かないし。
 戦国時代ってのは(今までは)女性が結構重要な役回りをするのですが
 それは、帰蝶姫の為にとっておくのでしょうか。

                       やっぱ、椎名先生ってスゴイや。/中村@休養中   


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