美神 令子・その人生・その愛
お久しぶり。
いよいよここも1ヶ月に一度の更新ペースが定着して来たなぁ。もはや遠い過去の話になってしまうが、コミックス26巻が発売された。
26巻を読んだ感想だが、正直に言ってしまえば「サンデーで読んだ時よりも、遥かに面白くなっている」。話の内容そのものはもちろんサンデーに掲載されていたものも全く変わらないのだが、コミックスで一括でまとめて読んだ方が、個々の話を1週間単位で読んだ時よりも、何故か知らないけど面白いと感じだ。何故かと言えば……26巻に収録されている話の内容はかなりバリエーションに富んでいるので、こういう構成のものはまとめて読んだ方が個々の話の内容の違いが際立って面白く感じる、という事なんだろうな。多分(笑)。
後は、26巻の様な「短い話が沢山収録されている」コミックスはかなり久しぶり(似たような構成のものは15巻が最後だった)であり、こういう構成のものが逆に新鮮に感じた、というのもあるかも知れない。
何はともあれ、普段サンデーで毎週美神を読んでいる私に、「コミックスで美神を読む事の面白さ」を認識させてくれたという点で、26巻は私にとって有意義なものであったと言える。
……と、そんな26巻のただ一つアレなのは、「話が9話分しか登録されていない」という点だ。個々の話のページ数が増えたのが原因なのか、それとも消費税5%導入のアオリを受けて枚数を減らされたのか、謎は尽きない。
たかがコミックスに余計な謎を増やしやがったな、小学館!
許さん!(ウソ)
で、話は変わって、現在のサンデーで展開中なのが、久しぶりの長編「ストレンジャー・ザン・パラダイス!」編である。略してストザンパラ編(長い)。
内容は詳しく言ってしまうとコミックスだけで読んでいる人にはアレなのでアレなのだが、正直言って今回はかなり濃い内容を期待できる話になりそうだ。サンデーを毎週買っていて良かった良かったと、素直に思える今日この頃だ。
で、今回の話のポイントになりそうなのは、やはり時間移動能力である。
時間移動能力が出てくる話は、時間SFのお約束として、「タイムパラダックス」を起こさないように話の整合性を取る必要がある。「ある日どこかで!」や「デッド・ゾーン!」編なんかではその辺の整合性を説明するのに苦労している節があり、そういう意味では時間移動能力はネタとしては非常に危険なモノを孕んでいる事は確かだ。
だが、私は時間移動ネタが話のベースになっている上記のエピソードは、話の整合性はともかくとしても(笑)、サンデーで話を追いかけている時は、毎週毎週かなり楽しんで読んでいた記憶がある。
私は基本的に「ドラえもん」とか「T・Pぼん」とかの、時間移動ネタが頻繁に出てくる藤子・F・不二雄のマンガを読んで育ったので、何だかんだ言っても「時間移動能力」と聞いただけでワクワクしてしまうモノがあるのだ。やっぱSFロマンの基本はタイムポーテーョンからだよな(断定)。そんな私なので、今回のような「未来の自分が未来からやって来る」という冒頭のシーンを読んだだけで、もう「おお、今回はいい感じだぞっ」と思ってしまった。オレの心の琴線にターッチするとは、なかなかやるな椎名高志とその仲間達!(←誰?)
そういう点を抜きにしても、今回は「美神と横島は、はたして将来本当にラブラブチュッチューな仲になるのか?」という、GS美神長期読者であれば非常に気になる甘酸っぱい話題にスポットを当てているというだけで、もう注目である。
まぁ、最後の最後では将来の事は適当にはぐらかして終わるんじゃないかとは思っているのだが(笑)、この話がこれからどうなるのか、非常に楽しみだ。という訳で、頼むぜ椎名高志とその仲間達!(←だから誰だよ)
上で書いた「ストザンパラ」編だが、意外にあっけなく全4話で終了した。
ネタがネタなので10週は確実に引っ張るだろうと思っていただけに、この展開はさすがにビックリ。
それで、オチはサンデーを読んだ人ならご存知の通り、「文珠の力を借りて、当事者である美神と横島が今回の一件を完全に記憶から抹消する」、という形を取った。
これはまぁ、「来週から後腐れなくいつもと同じような話を続ける」連載マンガの宿命から見て、やむを得ない措置であったと言えよう(この点については、思うことがあるので後述)。また、今回の話の柱であった「美神と横島が将来結婚する」という設定も、「未来の横島が過去に干渉して未来をバラしたことで、もはや未来は変わってしまった」という説明で、とりあえず不確定な状態に戻ったと言える(と、作者は読者に思ってもらいたいに違いない ^^;)。
そのオチそのものよりも美神=横島のラブコメ関連で興味深いのは、「美神が今回の記憶を自発的に消した」点だろうか。
もしも、美神が本当に横島と結婚することがもうイヤでイヤでしょうがない(笑)のであれば、今回の一件で記憶を自発的に消さず、自分が横島と結婚する要因を意図的に排除する行動に出かねない(未来横島も「事の次第を知ったら、ものの例えでなく本当に殺されるぞ」とか何とか言ってるし)。
だが、結局美神はこのオプションは取らず、自発的に今回の騒動の記憶を消して、自分の将来を不確定な状態――横島と最終的に結婚する可能性も十分にある未来――に戻した。
自らの記憶を消す時、彼女は一体、何を思ったのであろうか?……この辺の、最終的に美神が「自分の記憶を消す」という判断を下した時の心理状況を想像しながらサンデー23号を読み直してみると、色々と楽しめると思う。
で、今回はこんな感じで記憶が消えたことで、今回のエピソードそのものが今後のGS美神に影響することはなくなった。先行きを不確定にすることで読者の興味を失わせないようにすることを考えれば、これはこれでベストの解決方法であることに違いはない。
ただ、これを読み終わった時点で、私は「結局、今回も何も変わらないまま終わってしまったんだな」とも思った。今回はネタがネタだっただけに、ある程度は美神=横島=おキヌの奇妙な三角関係に何らかの進展がみられるのかなー、という期待も、実はちょっとだけしていたのだ。
ストーリーマンガとしてGS美神を見た場合、正直言って、おキヌちゃんがレギュラー復帰を果たした去年の春以来、話そのものはほとんど「停滞」している(例外は、「私を月まで連れてって!」編で、アシュタロスの陰謀そのものは続いていることが提示された点のみ)。
今現在のGS美神は、単体のマンガとして非常に安定した面白さを見せており、これはこれで不満はない。……ただ、「アシュタロス」という強大な存在を提示してしまった以上、このキャラの存在すらも感じさせない現在の展開は、なんか物語の本筋から離れて「停滞」してしまっているよーに感じてしまうのも確かなのだ(個人的に)。……要するに、私の今の停滞感を吹き飛ばしてくれるような話を作ってもらいたいのよねー。どうするんだろこの後。