その後のGS美神 2003 リポート4 弓&一文字

話になりませんわっ!

著者:まきしゃ


    おキヌちゃんが事務所に戻ってきてから、8日目…
  ってゆ〜よりは、令子が、エミと西条の二人がくっついたのを目の当たりにした当日…
   
  キヌの部屋でお茶をしている、キヌ、シロ、タマモの3人…
シロ 「意外でござったな。 エミさんと西条さんだなんて。」
   ドゴンッ!
タマモ 「二人とも、行き遅れるかと思ってたから、ちょうどよかったんじゃない?」
   ガッシャーーンッ!!
キヌ 「タマモちゃん、その言い方は、ちょっとひどいかも……」
   バリバリバリッ!
タマモ 「そお? 美神さんよりは、柔らかい言い方だと思うけど?」
   ズドドドドッ!!
シロ 「それにしても…、美神さん、いつまで暴れてるつもりなんでござろうか…?」
   バッゴ〜〜〜ンッ!!
タマモ 「さあ…?」
   
  事務室では、納得できない令子が一人で暴れている…
  横島は、ずいぶん前に血まみれになってダウン…
   
  コンコン キヌの部屋を静かにノックする音が…
キヌ 「いらっしゃい。 待ってたわ。」
一文字 「それにしても、想像以上の荒れ方だな、美神さんは…」
タイガー 「おじゃまします…」
  やってきたのは、タイガーと一文字の二人…
   
キヌ 「美神さん、エミさんと西条さんが一緒に居るのを見てから、ずぅ〜っと、あんな感じなの…
  はやく、立ち直ってもらいたいんだけど…」
タイガー 「わっしも、今朝は驚いて、しばらく不機嫌だったんジャが、エミさんのわっしたちへの配慮に
  感動して、今では頭が下がる思いなんジャ〜。」
キヌ 「じゃあ、さっき電話で聞いた話は、正式にっ?」
   
一文字 「ああ。 私も今日から『小笠原エミGSオフィス』の正式メンバーさっ!」
キヌ 「おめでとうっ! よかったねっ!」
一文字 「それに、タイガーもなっ!」
キヌ 「えっ? タイガーさんはっ?」
タイガー 「一応、肩書きがついて、所長代理に…」
キヌ 「へえ〜、すごいですねっ!」
   
タイガー 「ただ、これって、西条さんが初めて隣にやってきたときの横島サンと、同じ状態ですケン…」
キヌ 「あっ、そういえば… でも、たぶんうまくいくと思いますよ?
  タイガーさんが、西条さんを襲わなければですけど。 (クスっ)」
一文字 「えっ? それって、横島が西条さんを襲ったってこと?」
キヌ 「ええ。」
   
一文字 「なんか、ここの実態を聞けば聞くほど、自信なくしちゃうよなぁ〜。
  一般常識が、まったく通用しない世界にきちまったみたいだもんな…」
キヌ 「でも、慣れれば自然に感じるわよ?」
一文字 「慣れるのも、怖いけどなっ。」
   
   
キヌ 「ところで、お仕事の方なんだけど……」
一文字 「ああ。 山ほどあるぜっ。 どれから手をつけていいのかわかんないから、
  割り振りの方はたのんだぜっ。」
キヌ 「ええ。 ちょっと資料を見せてくれる?」
  しばらくの間、エミと美神の2つの事務所に来た仕事を、今キヌの部屋にいるメンバーだけで
  協力して処理していくつもりらしい…
   
シロ 「タイガーさん、拙者たちと一緒に仕事をするんでござるのか?」
タイガー 「えっ? ああ。 一緒にすることも有るかもしれんノ〜。
  ここんとこ、エミさん、ずっと仕事をキャンセルし続けてたし、美神さんも、この状態のせいで
  キャンセルしてるジャろ〜? 超一流のこの二人が働かないと、他に引きうけ手の無い
  危険な仕事が、溜まる一方なんジャ〜。」
シロ 「結構、世間に迷惑をかけてるんでござるな…。 美神さんとエミさんって…。」
   
  さくさくと仕事を割り振るおキヌちゃん
キヌ 「えっと、これとこれは、タイガーさんと一文字さんでお願いしますね。
  こっちの3件は、私とシロちゃん、タマモちゃんでやりましょう。
  この1件は、全員でやったほうが良さそうだわ。」
シロ 「あれ? 横島先生には、仕事をまわさないんでござるのか?」
   
キヌ 「横島さんには、美神さんをなだめる役をやってもらわないと…
  美神さん一人を残して、みんなが仕事にいっちゃうと、美神さんの機嫌が、ますます
  悪くなっちゃうでしょ?」
シロ 「ずいぶん手間のかかる人でござるな…」
タマモ 「あんたも、人のこと言えないわよっ?」
シロ 「うぐっ!」
   
一文字 「おキヌちゃん、この仕事はどうするんだい?」
  割り振られていない1件の仕事の資料を手にする一文字
キヌ 「そのお仕事は、さすがに私たちだけじゃ、危険そうなの。
  美神さんと横島さんが、正常に戻ったら、お願いしようと思って…」
一文字 「でも、緊急の印がついてるぜ?」
キヌ 「そうなんだけど…」
   
タイガー 「それなら、雪之丞にやらしてみてはどうかいノ〜?
  最近、弱い相手ばかりでつまらんって、ぼやいてたから…」
一文字 「そうだな、伊達さんと、弓となら、なんとかなるだろ?」
キヌ 「そうね… いつまでも放置するわけにもいかないし…
  あの二人、引きうけてくれるかしら?」
タイガー 「その心配はいらんジャろ〜。 強い相手で困ってるって言えば一発でOKジャ。」
キヌ 「じゃあ、これは、弓さんたちにお願いしちゃいますねっ。」
   
   
  全員でやる仕事は、翌日実施ということにして、今日はそれぞれの案件を
  処理していくことに…  おキヌちゃんチームでは…
シロ 「仕事をするのはいいんでござるが、必要な道具は事務室に有るでござるよ?
  あの状態の美神さんがいる所に、取りに行くのは嫌でござるが……」
キヌ 「そおね… 私もちょっと… そうだわ、タマモちゃん、お願いできるっ!?」
タマモ 「え〜〜っ? 私も嫌よっ!?」
キヌ 「そうじゃないの。 幻術を使って欲しいのっ。」
   
  事務室のドアの前で、中の様子を伺う3人…
令子 「エミのやつめ〜〜〜〜っ!!」
キヌ 「………」
シロ 「まだ、機嫌が直ってなさそうでござるな…」
タマモ 「横島の気配がしないけど、死んじゃったのかな?」
キヌ 「横島さんは、生き延びるために、自分で気配を消してるはずなの。
  そのへんは、経験豊富な横島さんだもの。 心配いらないわっ!」
シロ 「…………、あまり、豊富になりたくない経験でござるな…。」
   
  ギィ〜〜〜 ドアをそっと開ける3人
令子 「誰っ!? 何しにきたっ!?」
キヌ 「あああ、やっぱり平穏に入るのは無理だわっ。 タマモちゃん、お願いっ!」
タマモ 「しかたないわねっ!」
   
  カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモの幻術に化かされた令子…
令子 「はっ…? ここは…? そうだ!! 私は歌わなきゃっ!!」
   
キヌ 「さっ、シロちゃん、今のうちに道具を取ってきてっ!」
シロ 「わかったでござるっ!」
タマモ 「おキヌちゃん、こいつはどうするの?」
   
横島 「おキヌちゃん……、助けて……」
  血まみれで床に転がっている横島… 生きているのが不思議なぐらい…
キヌ 「あああ、横島さんっ! 今、ヒーリングしてあげますからっ!」
横島 「ありがとう…。 助かった…。」
   
タマモ 「おキヌちゃん、こいつ助けるのはいいけど、助かったら逃げちゃうわよ?」
キヌ 「そうね…。 タマモちゃん、横島さんにも、術をかけてくれる?」
横島 「えっ!? なんでっ!? おキヌちゃんっ!?」
キヌ 「美神さんをなだめるのは、横島さんの役目じゃありませんか…。」
横島 「そ、そうだけど、今の美神さんはっ!」
キヌ 「大丈夫ですよっ。 そんなに心配しなくてもっ。」
横島 「で、でもっ!」
   
タマモ 「ごちゃごちゃ、うるさいわねっ! もう、かけちゃうからねっ!」
横島 「あっ! 待てっ! タマモっ!」
  カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモの幻術に化かされた横島…
   
令子 「みなさ〜〜ん、私たちの解散コンサートにようこそ〜〜〜
  私たち、明日から、ふつうの女の子に、もどります〜〜〜っ!!」
横島 「わぁ〜〜!! ランちゃ〜〜ん!! ス〜〜ちゃ〜〜〜んっ!!」
   
シロ 「また、ずいぶん古いネタで化かしたんでござるな…?」
タマモ 「美知恵義母さんが、GS協会のカラオケ大会で真似してたの、あんたも見たでしょ?」
   
   
  仕事先のビルにやってきた、おキヌちゃんチーム
キヌ 「手順はわかった? はじめてもいいわね?」
タマモ 「私、吸印札は、使ったことないんだけど…」
キヌ 「大丈夫よっ。 もし使えなさそうだったら、私が吸印するから。」
タマモ 「わかったわ。 やってみるわね。」
キヌ 「じゃあ、はじめるわよっ。 シロちゃんも、準備いいわね?」
シロ 「いつでもいいでござるよ〜〜!」
   
  ピュリリリリ〜〜〜 ネクロマンサーの笛を吹くおキヌちゃん
  隠れていた悪霊が、笛の音に操られて姿を現す…
  カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモが幻術を使って悪霊から3人の姿を隠す…
   
シロ 「拙者が見えてないようでござるなっ! そんな敵など、倒すのは楽ちんでござるよっ!」
  ビシ〜〜ッ!!  シロの霊波刀に切り付けられた悪霊
キヌ 「さっ! タマモちゃん、今よっ!」
タマモ 「うんっ! 吸印っ!!」
  バシュッ〜〜!!  タマモのかざした吸印札に吸い込まれる悪霊
   
タマモ 「うわ〜っ! すごい〜〜!」
キヌ 「どお? 簡単だったでしょ?」
タマモ 「うんっ! なんか、すっごく爽快だったのっ! 美神さんが、いつも自分でやりたがってる
  わけが、よぉ〜くわかったわっ!」
シロ 「えっ!? そんなに楽しいんでござるかっ!? どんな感じなんでござるのか?
  拙者も、やったことないんで、わかんないでござるよっ!?」
   
タマモ 「ほら、冷えすぎたシェイクをストローで吸ってて、なかなか吸い込めなくてイライラ
  するんだけど、最後の方になって一気にズズズズゥ〜! って、吸い込めた感じっ!」
   
シロ 「え〜〜っ! 面白そうでござるなっ!? 次は、拙者がやるでござるよ〜〜っ!」
タマモ 「ダメッ! あんたは、攻撃担当でしょっ!? 私が吸印するのっ!!」
シロ 「拙者もやってみたいでござるよ〜〜っ! 次は拙者でござるぅ〜〜!!」
   
キヌ 「あの〜〜〜、シロちゃん、タマモちゃん?
  これって、お仕事なんだけどぉ〜〜〜…」
   
   
  一方、タイガー・一文字チームは、二人っきりでの初仕事
  さすがに最初から失敗したくはないので、一文字の師匠の唐巣神父に相談しにやってきた…
   
唐巣 「初仕事の前に、相談しにくるとは、君たちにすれば賢明な判断だね。
  どんな仕事を引き受けたんだい?」
一文字 「先生、この2件が、この数日の間に除霊する予定の仕事の資料なんですけど…」
唐巣 「ふ〜む… おお、これはっ!」
タイガー 「な、なにか、問題でもっ!?」
   
唐巣 「いや、君たちの適性にぴったりの仕事だったもんだから、驚いたんだ。
  君たちで考えて、この仕事を選んだのかい?」
一文字 「いえ、おキヌちゃんに割り振ってもらったんです。」
   
唐巣 「なるほど。 さすがは、おキヌちゃんだな。 君たちのことをよくわかっている。」
一文字 「へえ〜、どんな仕事なんですか?」
唐巣 「んっ? 資料を見てないのかいっ!?」
一文字 「そ、その〜 これから見ようかと…」
唐巣 「困ったもんだな。 ちゃんと自覚してやってかないと、命がいくつあっても足りないぞっ?」
   
一文字 「は、はい。 気をつけます…。 で、どんな仕事なんですか?」
唐巣 「これは、どんなに賢いGSでも、霊力が弱ければ解決出来ない仕事だっ!」
一文字 「えっ!? そんなにすごい仕事なんですかっ!?」
唐巣 「ああ。 並みのGSでは、大変過ぎて手を出せないだろうな。」
タイガー 「そんな仕事を、わっしたちだけで解決出きるんですカイノ〜?」
   
唐巣 「ん? そんな心配はいらないよ。
  言いかえれば、どんなに馬鹿でも、霊力が強ければ解決出来る仕事だから。」
一文字 「は、はあ?」
   
唐巣 「まず、こちらの案件だが、『漬物石の除去』だろ? 資料によると、江戸時代から
  使用されてる漬物石に霊が宿って『ツクモガミ』になってしまったらしい。
  そのせいで、石がとてつもなく重くなって、動かせなくなってしまう霊障なんだ。
  老舗の漬物屋では、ときどき起きてる霊障だな。」
   
タイガー 「どうすれば、いいんですカイノ〜?」
唐巣 「うん、タイガーくんが霊波を石に集中して浴びせれば、石から『ツクモガミ』が
  出てくるから、そこを一文字くんが吸印すればいい。」
一文字 「なんか、簡単なんですね…。」
唐巣 「でも、霊力が弱ければ、石から追い出せないんだよ?
  決して、馬鹿にするような仕事ではないんだ。」
   
タイガー 「もう1件は、どんな感じですカイノ〜?」
唐巣 「え〜っと、こっちは… うん、一文字くんにぴったりの仕事だなっ!」
一文字 「やっぱり、馬鹿でも出来る仕事ですかぁ〜?」
   
唐巣 「いや、そうではないよ。 不正輸入されて死亡してしまった『動物霊の除去』だからな。
  動物霊は、霊力も強いし動きも敏捷だから、最初に目を合わせたときに、
  射すくめないと危険だぞっ!?」
一文字 「ええ、わかってます。 なんか、やりがいが有りそうで、ドキドキするよなっ?」
タイガー 「ああ、そうジャノ〜。」
   
一文字 「で、どんな動物なんですか? やっぱり、虎とかライオンとかの猛獣ですか?」
唐巣 「ん…、どこに書いてあるのかな…?」
  資料をぺらぺらとめくる唐巣
   
唐巣 「あっ!?」
一文字 「どうしたんですかっ?」
唐巣 「い、いや…、その、動物が『ナマケモノ』だったんで…」
一文字 「ナマケモノ〜〜?」
   
唐巣 「ま、まあ、動きはほとんどないだろうけど、霊力は強いはずだから…」
一文字 「つまりこれも、どんなに馬鹿でも霊力が強ければ解決出来る仕事…なんですね…?」
唐巣 「あは、あはは、いや〜、その〜…
  で、でも、いいんじゃないのかな? 初仕事は、命の危険の少ないほうが…」
   
タイガー 「そうじゃノ〜。 唐巣先生のおっしゃるとおりジャ〜。
  今後、嫌でもそういう仕事をやっていくわけなんジャから…
  魔理も、おキヌちゃんが好意で選んでくれた仕事に、文句を言うんじゃないぞ〜?」
一文字 「わかったよ、タイガー。 たしかに、おキヌちゃんらしい選び方だよな。
  じゃあ、早速、仕事に取り掛かります。 先生、ありがとうございました。」
唐巣 「ああ。 また、いつでも相談にのるから。」