| おキヌちゃんが事務所に戻ってきてから、8日目… | ||
| ってゆ〜よりは、令子が、エミと西条の二人がくっついたのを目の当たりにした当日… | ||
| キヌの部屋でお茶をしている、キヌ、シロ、タマモの3人… | ||
| シロ | 「意外でござったな。 エミさんと西条さんだなんて。」 | |
| ドゴンッ! | ||
| タマモ | 「二人とも、行き遅れるかと思ってたから、ちょうどよかったんじゃない?」 | |
| ガッシャーーンッ!! | ||
| キヌ | 「タマモちゃん、その言い方は、ちょっとひどいかも……」 | |
| バリバリバリッ! | ||
| タマモ | 「そお? 美神さんよりは、柔らかい言い方だと思うけど?」 | |
| ズドドドドッ!! | ||
| シロ | 「それにしても…、美神さん、いつまで暴れてるつもりなんでござろうか…?」 | |
| バッゴ〜〜〜ンッ!! | ||
| タマモ | 「さあ…?」 | |
| 事務室では、納得できない令子が一人で暴れている… | ||
| 横島は、ずいぶん前に血まみれになってダウン… | ||
| コンコン キヌの部屋を静かにノックする音が… | ||
| キヌ | 「いらっしゃい。 待ってたわ。」 | |
| 一文字 | 「それにしても、想像以上の荒れ方だな、美神さんは…」 | |
| タイガー | 「おじゃまします…」 | |
| やってきたのは、タイガーと一文字の二人… | ||
| キヌ | 「美神さん、エミさんと西条さんが一緒に居るのを見てから、ずぅ〜っと、あんな感じなの… | |
| はやく、立ち直ってもらいたいんだけど…」 | ||
| タイガー | 「わっしも、今朝は驚いて、しばらく不機嫌だったんジャが、エミさんのわっしたちへの配慮に | |
| 感動して、今では頭が下がる思いなんジャ〜。」 | ||
| キヌ | 「じゃあ、さっき電話で聞いた話は、正式にっ?」 | |
| 一文字 | 「ああ。 私も今日から『小笠原エミGSオフィス』の正式メンバーさっ!」 | |
| キヌ | 「おめでとうっ! よかったねっ!」 | |
| 一文字 | 「それに、タイガーもなっ!」 | |
| キヌ | 「えっ? タイガーさんはっ?」 | |
| タイガー | 「一応、肩書きがついて、所長代理に…」 | |
| キヌ | 「へえ〜、すごいですねっ!」 | |
| タイガー | 「ただ、これって、西条さんが初めて隣にやってきたときの横島サンと、同じ状態ですケン…」 | |
| キヌ | 「あっ、そういえば… でも、たぶんうまくいくと思いますよ? | |
| タイガーさんが、西条さんを襲わなければですけど。 (クスっ)」 | ||
| 一文字 | 「えっ? それって、横島が西条さんを襲ったってこと?」 | |
| キヌ | 「ええ。」 | |
| 一文字 | 「なんか、ここの実態を聞けば聞くほど、自信なくしちゃうよなぁ〜。 | |
| 一般常識が、まったく通用しない世界にきちまったみたいだもんな…」 | ||
| キヌ | 「でも、慣れれば自然に感じるわよ?」 | |
| 一文字 | 「慣れるのも、怖いけどなっ。」 | |
| キヌ | 「ところで、お仕事の方なんだけど……」 | |
| 一文字 | 「ああ。 山ほどあるぜっ。 どれから手をつけていいのかわかんないから、 | |
| 割り振りの方はたのんだぜっ。」 | ||
| キヌ | 「ええ。 ちょっと資料を見せてくれる?」 | |
| しばらくの間、エミと美神の2つの事務所に来た仕事を、今キヌの部屋にいるメンバーだけで | ||
| 協力して処理していくつもりらしい… | ||
| シロ | 「タイガーさん、拙者たちと一緒に仕事をするんでござるのか?」 | |
| タイガー | 「えっ? ああ。 一緒にすることも有るかもしれんノ〜。 | |
| ここんとこ、エミさん、ずっと仕事をキャンセルし続けてたし、美神さんも、この状態のせいで | ||
| キャンセルしてるジャろ〜? 超一流のこの二人が働かないと、他に引きうけ手の無い | ||
| 危険な仕事が、溜まる一方なんジャ〜。」 | ||
| シロ | 「結構、世間に迷惑をかけてるんでござるな…。 美神さんとエミさんって…。」 | |
| さくさくと仕事を割り振るおキヌちゃん | ||
| キヌ | 「えっと、これとこれは、タイガーさんと一文字さんでお願いしますね。 | |
| こっちの3件は、私とシロちゃん、タマモちゃんでやりましょう。 | ||
| この1件は、全員でやったほうが良さそうだわ。」 | ||
| シロ | 「あれ? 横島先生には、仕事をまわさないんでござるのか?」 | |
| キヌ | 「横島さんには、美神さんをなだめる役をやってもらわないと… | |
| 美神さん一人を残して、みんなが仕事にいっちゃうと、美神さんの機嫌が、ますます | ||
| 悪くなっちゃうでしょ?」 | ||
| シロ | 「ずいぶん手間のかかる人でござるな…」 | |
| タマモ | 「あんたも、人のこと言えないわよっ?」 | |
| シロ | 「うぐっ!」 | |
| 一文字 | 「おキヌちゃん、この仕事はどうするんだい?」 | |
| 割り振られていない1件の仕事の資料を手にする一文字 | ||
| キヌ | 「そのお仕事は、さすがに私たちだけじゃ、危険そうなの。 | |
| 美神さんと横島さんが、正常に戻ったら、お願いしようと思って…」 | ||
| 一文字 | 「でも、緊急の印がついてるぜ?」 | |
| キヌ | 「そうなんだけど…」 | |
| タイガー | 「それなら、雪之丞にやらしてみてはどうかいノ〜? | |
| 最近、弱い相手ばかりでつまらんって、ぼやいてたから…」 | ||
| 一文字 | 「そうだな、伊達さんと、弓となら、なんとかなるだろ?」 | |
| キヌ | 「そうね… いつまでも放置するわけにもいかないし… | |
| あの二人、引きうけてくれるかしら?」 | ||
| タイガー | 「その心配はいらんジャろ〜。 強い相手で困ってるって言えば一発でOKジャ。」 | |
| キヌ | 「じゃあ、これは、弓さんたちにお願いしちゃいますねっ。」 | |
| 全員でやる仕事は、翌日実施ということにして、今日はそれぞれの案件を | ||
| 処理していくことに… おキヌちゃんチームでは… | ||
| シロ | 「仕事をするのはいいんでござるが、必要な道具は事務室に有るでござるよ? | |
| あの状態の美神さんがいる所に、取りに行くのは嫌でござるが……」 | ||
| キヌ | 「そおね… 私もちょっと… そうだわ、タマモちゃん、お願いできるっ!?」 | |
| タマモ | 「え〜〜っ? 私も嫌よっ!?」 | |
| キヌ | 「そうじゃないの。 幻術を使って欲しいのっ。」 | |
| 事務室のドアの前で、中の様子を伺う3人… | ||
| 令子 | 「エミのやつめ〜〜〜〜っ!!」 | |
| キヌ | 「………」 | |
| シロ | 「まだ、機嫌が直ってなさそうでござるな…」 | |
| タマモ | 「横島の気配がしないけど、死んじゃったのかな?」 | |
| キヌ | 「横島さんは、生き延びるために、自分で気配を消してるはずなの。 | |
| そのへんは、経験豊富な横島さんだもの。 心配いらないわっ!」 | ||
| シロ | 「…………、あまり、豊富になりたくない経験でござるな…。」 | |
| ギィ〜〜〜 ドアをそっと開ける3人 | ||
| 令子 | 「誰っ!? 何しにきたっ!?」 | |
| キヌ | 「あああ、やっぱり平穏に入るのは無理だわっ。 タマモちゃん、お願いっ!」 | |
| タマモ | 「しかたないわねっ!」 | |
| カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモの幻術に化かされた令子… | ||
| 令子 | 「はっ…? ここは…? そうだ!! 私は歌わなきゃっ!!」 | |
| キヌ | 「さっ、シロちゃん、今のうちに道具を取ってきてっ!」 | |
| シロ | 「わかったでござるっ!」 | |
| タマモ | 「おキヌちゃん、こいつはどうするの?」 | |
| 横島 | 「おキヌちゃん……、助けて……」 | |
| 血まみれで床に転がっている横島… 生きているのが不思議なぐらい… | ||
| キヌ | 「あああ、横島さんっ! 今、ヒーリングしてあげますからっ!」 | |
| 横島 | 「ありがとう…。 助かった…。」 | |
| タマモ | 「おキヌちゃん、こいつ助けるのはいいけど、助かったら逃げちゃうわよ?」 | |
| キヌ | 「そうね…。 タマモちゃん、横島さんにも、術をかけてくれる?」 | |
| 横島 | 「えっ!? なんでっ!? おキヌちゃんっ!?」 | |
| キヌ | 「美神さんをなだめるのは、横島さんの役目じゃありませんか…。」 | |
| 横島 | 「そ、そうだけど、今の美神さんはっ!」 | |
| キヌ | 「大丈夫ですよっ。 そんなに心配しなくてもっ。」 | |
| 横島 | 「で、でもっ!」 | |
| タマモ | 「ごちゃごちゃ、うるさいわねっ! もう、かけちゃうからねっ!」 | |
| 横島 | 「あっ! 待てっ! タマモっ!」 | |
| カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモの幻術に化かされた横島… | ||
| 令子 | 「みなさ〜〜ん、私たちの解散コンサートにようこそ〜〜〜 | |
| 私たち、明日から、ふつうの女の子に、もどります〜〜〜っ!!」 | ||
| 横島 | 「わぁ〜〜!! ランちゃ〜〜ん!! ス〜〜ちゃ〜〜〜んっ!!」 | |
| シロ | 「また、ずいぶん古いネタで化かしたんでござるな…?」 | |
| タマモ | 「美知恵義母さんが、GS協会のカラオケ大会で真似してたの、あんたも見たでしょ?」 | |
| 仕事先のビルにやってきた、おキヌちゃんチーム | ||
| キヌ | 「手順はわかった? はじめてもいいわね?」 | |
| タマモ | 「私、吸印札は、使ったことないんだけど…」 | |
| キヌ | 「大丈夫よっ。 もし使えなさそうだったら、私が吸印するから。」 | |
| タマモ | 「わかったわ。 やってみるわね。」 | |
| キヌ | 「じゃあ、はじめるわよっ。 シロちゃんも、準備いいわね?」 | |
| シロ | 「いつでもいいでござるよ〜〜!」 | |
| ピュリリリリ〜〜〜 ネクロマンサーの笛を吹くおキヌちゃん | ||
| 隠れていた悪霊が、笛の音に操られて姿を現す… | ||
| カッ! もわわわ〜〜〜ん タマモが幻術を使って悪霊から3人の姿を隠す… | ||
| シロ | 「拙者が見えてないようでござるなっ! そんな敵など、倒すのは楽ちんでござるよっ!」 | |
| ビシ〜〜ッ!! シロの霊波刀に切り付けられた悪霊 | ||
| キヌ | 「さっ! タマモちゃん、今よっ!」 | |
| タマモ | 「うんっ! 吸印っ!!」 | |
| バシュッ〜〜!! タマモのかざした吸印札に吸い込まれる悪霊 | ||
| タマモ | 「うわ〜っ! すごい〜〜!」 | |
| キヌ | 「どお? 簡単だったでしょ?」 | |
| タマモ | 「うんっ! なんか、すっごく爽快だったのっ! 美神さんが、いつも自分でやりたがってる | |
| わけが、よぉ〜くわかったわっ!」 | ||
| シロ | 「えっ!? そんなに楽しいんでござるかっ!? どんな感じなんでござるのか? | |
| 拙者も、やったことないんで、わかんないでござるよっ!?」 | ||
| タマモ | 「ほら、冷えすぎたシェイクをストローで吸ってて、なかなか吸い込めなくてイライラ | |
| するんだけど、最後の方になって一気にズズズズゥ〜! って、吸い込めた感じっ!」 | ||
| シロ | 「え〜〜っ! 面白そうでござるなっ!? 次は、拙者がやるでござるよ〜〜っ!」 | |
| タマモ | 「ダメッ! あんたは、攻撃担当でしょっ!? 私が吸印するのっ!!」 | |
| シロ | 「拙者もやってみたいでござるよ〜〜っ! 次は拙者でござるぅ〜〜!!」 | |
| キヌ | 「あの〜〜〜、シロちゃん、タマモちゃん? | |
| これって、お仕事なんだけどぉ〜〜〜…」 | ||
| 一方、タイガー・一文字チームは、二人っきりでの初仕事 | ||
| さすがに最初から失敗したくはないので、一文字の師匠の唐巣神父に相談しにやってきた… | ||
| 唐巣 | 「初仕事の前に、相談しにくるとは、君たちにすれば賢明な判断だね。 | |
| どんな仕事を引き受けたんだい?」 | ||
| 一文字 | 「先生、この2件が、この数日の間に除霊する予定の仕事の資料なんですけど…」 | |
| 唐巣 | 「ふ〜む… おお、これはっ!」 | |
| タイガー | 「な、なにか、問題でもっ!?」 | |
| 唐巣 | 「いや、君たちの適性にぴったりの仕事だったもんだから、驚いたんだ。 | |
| 君たちで考えて、この仕事を選んだのかい?」 | ||
| 一文字 | 「いえ、おキヌちゃんに割り振ってもらったんです。」 | |
| 唐巣 | 「なるほど。 さすがは、おキヌちゃんだな。 君たちのことをよくわかっている。」 | |
| 一文字 | 「へえ〜、どんな仕事なんですか?」 | |
| 唐巣 | 「んっ? 資料を見てないのかいっ!?」 | |
| 一文字 | 「そ、その〜 これから見ようかと…」 | |
| 唐巣 | 「困ったもんだな。 ちゃんと自覚してやってかないと、命がいくつあっても足りないぞっ?」 | |
| 一文字 | 「は、はい。 気をつけます…。 で、どんな仕事なんですか?」 | |
| 唐巣 | 「これは、どんなに賢いGSでも、霊力が弱ければ解決出来ない仕事だっ!」 | |
| 一文字 | 「えっ!? そんなにすごい仕事なんですかっ!?」 | |
| 唐巣 | 「ああ。 並みのGSでは、大変過ぎて手を出せないだろうな。」 | |
| タイガー | 「そんな仕事を、わっしたちだけで解決出きるんですカイノ〜?」 | |
| 唐巣 | 「ん? そんな心配はいらないよ。 | |
| 言いかえれば、どんなに馬鹿でも、霊力が強ければ解決出来る仕事だから。」 | ||
| 一文字 | 「は、はあ?」 | |
| 唐巣 | 「まず、こちらの案件だが、『漬物石の除去』だろ? 資料によると、江戸時代から | |
| 使用されてる漬物石に霊が宿って『ツクモガミ』になってしまったらしい。 | ||
| そのせいで、石がとてつもなく重くなって、動かせなくなってしまう霊障なんだ。 | ||
| 老舗の漬物屋では、ときどき起きてる霊障だな。」 | ||
| タイガー | 「どうすれば、いいんですカイノ〜?」 | |
| 唐巣 | 「うん、タイガーくんが霊波を石に集中して浴びせれば、石から『ツクモガミ』が | |
| 出てくるから、そこを一文字くんが吸印すればいい。」 | ||
| 一文字 | 「なんか、簡単なんですね…。」 | |
| 唐巣 | 「でも、霊力が弱ければ、石から追い出せないんだよ? | |
| 決して、馬鹿にするような仕事ではないんだ。」 | ||
| タイガー | 「もう1件は、どんな感じですカイノ〜?」 | |
| 唐巣 | 「え〜っと、こっちは… うん、一文字くんにぴったりの仕事だなっ!」 | |
| 一文字 | 「やっぱり、馬鹿でも出来る仕事ですかぁ〜?」 | |
| 唐巣 | 「いや、そうではないよ。 不正輸入されて死亡してしまった『動物霊の除去』だからな。 | |
| 動物霊は、霊力も強いし動きも敏捷だから、最初に目を合わせたときに、 | ||
| 射すくめないと危険だぞっ!?」 | ||
| 一文字 | 「ええ、わかってます。 なんか、やりがいが有りそうで、ドキドキするよなっ?」 | |
| タイガー | 「ああ、そうジャノ〜。」 | |
| 一文字 | 「で、どんな動物なんですか? やっぱり、虎とかライオンとかの猛獣ですか?」 | |
| 唐巣 | 「ん…、どこに書いてあるのかな…?」 | |
| 資料をぺらぺらとめくる唐巣 | ||
| 唐巣 | 「あっ!?」 | |
| 一文字 | 「どうしたんですかっ?」 | |
| 唐巣 | 「い、いや…、その、動物が『ナマケモノ』だったんで…」 | |
| 一文字 | 「ナマケモノ〜〜?」 | |
| 唐巣 | 「ま、まあ、動きはほとんどないだろうけど、霊力は強いはずだから…」 | |
| 一文字 | 「つまりこれも、どんなに馬鹿でも霊力が強ければ解決出来る仕事…なんですね…?」 | |
| 唐巣 | 「あは、あはは、いや〜、その〜… | |
| で、でも、いいんじゃないのかな? 初仕事は、命の危険の少ないほうが…」 | ||
| タイガー | 「そうじゃノ〜。 唐巣先生のおっしゃるとおりジャ〜。 | |
| 今後、嫌でもそういう仕事をやっていくわけなんジャから… | ||
| 魔理も、おキヌちゃんが好意で選んでくれた仕事に、文句を言うんじゃないぞ〜?」 | ||
| 一文字 | 「わかったよ、タイガー。 たしかに、おキヌちゃんらしい選び方だよな。 | |
| じゃあ、早速、仕事に取り掛かります。 先生、ありがとうございました。」 | ||
| 唐巣 | 「ああ。 また、いつでも相談にのるから。」 | |