俺一人で、ケイのお母さんを助けることが出来るんだろうか…?
当時に比べて格段に能力UPしている自分だが、相手は気の荒い野生動物霊たちなのだ。
数個の文珠で片がつくとも思えず、ミイを助けるどころか自分を守るのに精一杯かもしれない…
不安がよぎる横島。 だが、ケイを見捨てることなど出来るわけもなく…
重苦しい雰囲気の中、おキヌちゃんが、ぽつりとひとこと…
「でも、ケイちゃんのお母さん、綺麗な人だったし、横島さん、魔物に好かれるし…」
《横島と令子の妄想》 ケイの母親ミイを無事救出する横島 → お礼の言いようもないミイ 『横島さん…、あの、私、何もお礼ができなくて… 「お、奥さあああ〜んっ!!」
「美神さんっ!! 俺、一人で行きますっ!!」 「誰が貴様を一人で行かせるかぁ〜〜〜っ!!」 バキャッ!! |
ケイたちの山に向かう令子の車…
おキヌちゃんの思惑通り、どうやら全員乗っている模様…
「兄ちゃん…、大丈夫…?」
「美神さん、なにもおもいっきり殴らなくてもいいじゃないっスかぁ〜〜っ!」
「ふんっ! あんたのせいで、金にもならない仕事をしてあげるのよっ? それぐらい、どおってことないでしょっ!?」
「ま、まあまあ…」
道中、横島に抱きかかえられているケイが、うらやましくてしょ〜がないシロ…
「ケイどの。 横島先生とは、ど〜やって知り合ったんでござるのか?」
「兄ちゃんはね、もともとボクらを退治するために、山に来たんだ。
でも、道に迷ってるところを、母ちゃんが助けてあげたんで、ボクらの味方になってくれたんだよっ!
そこのオバちゃんが、ボクらを殺そうとしたときも、ボクらを守ってくれたんだっ!」
「さすがは先生でござるなっ! やさしいでござるっ!」 ジーン…。
タマモも、口を挟む。 「ふ〜ん、私のときだけってわけじゃないみたいね。」 「あれっ? おねえちゃんも妖怪なの?」
「ん? そうよ。 私も狐の妖怪なの。 私のときは、美神さんに殺されそうになった私を 単なる気まぐれかと思ってたけど、昔からそうだったのね…。」 |
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「ちょ、ちょっと待ってよっ! それじゃ〜、まるで私が悪者みたいじゃないのっ!
ケイのときも、タマモのときも、仕事でしかたなく除霊しようとしたけど、
横島クンたちなら、こいつらを助けるはずだとわかっていたから、あえて、私が悪役を引き受けただけなのよっ!?」
「兄ちゃん、ほんと?」
「うん、本当だよ。 美神さんも、本気で除霊したいとは思っていなかったのさ。
ただ、普通のGSならそんな仕事は引き受けないのに、美神さんの場合はお金に目がくらんで… ぶっ!?」
どうやらケイの山についた模様…
「ここからは、歩いて行くしかないわね。 ケイっ! あんたミイの捕まってる場所、わかる?」
「ううん…、わかんない…」
「シロっ、タマモっ! あんたらの出番よっ! 化け猫の臭いを捜してっ!」
「わかったでござるっ!」
「わかったわ。」
シロとタマモを先頭にして、山のケモノ道を進んで行くGSたち
「あ〜あ、金にならない仕事って、やる気が出ないわね〜… わわっ!?」
ズザザザ〜〜ッ! 足を踏み外して、がけを3mほど滑り落ちた令子
「美神さんっ! 大丈夫っスかっ?」
「あたたたた… ちょっと、足くじいちゃったみたい…」
「今、助けにいきますから。 みんなは、ここで待ってて。」
横島一人、令子のところに降りていく。
怪我した足首をみてみたところ、さほど重傷ではない様子…
「これぐらいなら、おキヌちゃんのヒーリングですぐに治りますよ。 上まで一人で戻れそうですか?」
「たぶんね… あたっ!」
「あっ、無理しないでください。 俺、美神さんおぶって、上まで戻りますから。」
そういって、背を向けてしゃがむ横島。
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「(えっ?)」 令子が目にしている横島の背中は、令子の想像以上にたくましく、がっちりとしていた… ちょっと、ドキドキしている令子。 うながすように声をかける横島。 「美神さん、大丈夫ですか?」 「あっ、うん…。 上まで、お願いするわ…。」
横島の背中におぶさる令子。 横島の広い背中を実感することに… 「横島クン…、あんた成長した?」 「えっ? 俺っスか? この一年で身長は10cmほど伸びたみたいっスけど…」
横島の気持ちと言えば、背中に押し付けられている令子の胸が気になって… サワサワサワ… バキィッ!! グシャ〜〜〜〜ッ!!
「このバカ、ちっとも成長してないじゃないのっ! 人のおしりを撫でまわしやがってっ!! おキヌちゃんっ! こっちまで降りてきて、私の足の治療をしてくれるっ!? こいつにおぶさるなんて、100年早いわっ!!」 「あっ、は、はい…」 |
やがて、ミイの捕まっている場所の近くまでたどりついたGSたち…
ミイは十字架に磔にされており、そのまわりを数十頭の動物霊たちが取り囲んでなにやら祈っているようである。
「あいつらか…。 成仏させてしまえばいいだけだから、わりと簡単ね。 おキヌちゃん、あんたの出番よ。」
「はいっ。」
ピュリリリリリ〜〜〜 ネクロマンサーの笛を吹くおキヌちゃん
笛の音に心を揺り動かされている動物霊たち… だが…
「おキヌちゃん、待ってっ! ケイの様子が変っ!!」
タマモが慌てておキヌちゃんの笛を制止する。
どうやら化け猫のケイも、心を揺り動かされてしまったようだ…。
「この子、まだ純真だから、笛の音に影響されやすいようね…。 大人の妖怪なら、耐性は出来てるはずなんだけど…。
このまま笛を吹き続けるとケイまで成仏しかねないわ。 しかたないわね、別の手段にするわよ…」
「ど、どうするんスか? 美神さん…」
「山の神様を呼び出して、直談判するのよ。
山の神様が、死んだ動物霊たちに謝ってもらえれば、動物たちもうかばれるし、関係のないミイも解放されるってわけよ。」
「神様に頭を下げさせるって、あんたなぁ〜…」
「あら、悪いのは山崩れを起こした奴に決まってるでしょ?」
なにやら、山の神様を呼び出す呪文を唱え始めた令子
動物霊たちも、こちらにケイがいるのに気付いて襲いかかろうとするが、
おキヌちゃんの笛の音で動かないよう指示されて、近づくことさえ出来ないでいた。
やがて、一筋の強い光が射し込み、山の神様の降臨…?
『おお、なんだ、またおぬしではないかっ! 久しぶりだのうっ!』 「えっ? ヒミコさまっ?」 『今度はなんの用じゃ? 申してみよっ!』
「まいったな…。 山の神様を呼び出そうと思ったのに…。 私、ヒミコさまにとりつかれちゃったのかしら…」 「ヒミコさまが、美神さんにとりつかれちゃったんじゃ… ぶっ!?」
『ふむ、山の神様を呼び出せばいいのじゃなっ? おやすいご用じゃっ!』 |
そう言うなり、片手を地中に突っ込んでかきまわしているヒミコ…
どうやら、地中に山の神様は居るようだった…
やがてヒミコの腕の動きが止まり、地中から腕を引きぬき始める…
スポンっ! ヒミコの腕とともに現れた、山の神様…。 見た目のムサイ男性神ではある…。
それでも動物霊たちは、あわてて一斉にひれ伏しているっ!
「ふ〜ん、どうやら本物のようね。 あんたがきちんと山を管理しないから山崩れがおきちゃって、
そのせいであの動物たちが死んじゃって、成仏できずに暴れているのよっ!
あんた、なんとかしなさいよっ!」
神様を頭ごなしに叱り付ける令子… 世の中、怖いもん無し…
『うっ、そ、そうであったか。 地中で寝返りをうったときに、足をどこかにぶつけたと思っていたが、
それで山崩れを起こしてしまったようだ。 山の動物たちよ、すまなかったっ!』
ウオオオ〜〜〜ンッ!
山の神様が直接自分たちに謝罪しているのを聞いて、感動して成仏していく動物霊たちっ!
「ふ〜ん、二人ともやるじゃないっ! さすがは神様ねっ! 用は済んだから、帰っていいわよ、二人ともっ!」
『うっ…』 言葉に詰まる二人の神様…
「あああ…、美神さん、冷たい…」
「おキヌちゃん、この人に相手をうやまう心を期待しちゃ〜ダメだってば…」