『 大竜姫さまぁ〜! 』

著者:まきしゃ


    時はまだ、21巻『今、そこにある危機』の頃
  妙神山の猿神(ハヌマン)の作った仮想空間で横島たちは修行?を続けていた…
   
   
雪之丞 「う〜〜、暇だ〜〜。横島、おまえ、よくこんな状況を我慢できるな?
  もう、一ヶ月はたってるぞっ!」
横島 「だって、これ、滅茶苦茶ハードな修行コースなんだろ?
  ここにいるだけで強くなれるなら、すっげ〜楽だと思うよ〜〜」
   
雪之丞 「俺は、身体を動かしてなきゃ、気がすまねぇんだよっ!」
ジーク 「雪之丞さん、落ち着いてください。詳しいことは申し上げられませんが、今は
  精神の鍛錬を行っているのですから。それより、老師さまがお呼びですよ。」
雪之丞 「ちっ、しょうがねぇなっ!またゲームかよっ!」
   
横島 「ま、暇なのは認めるけどね〜〜別に不満は……
  あっ! し、しまったっ! 忘れてたっ!
  小竜姫さまの上司で師匠がサルだったなんてぇ〜〜〜!!
  むちむちぽよよ〜んの大竜姫さま(仮名)じゃなきゃ嫌だ〜〜!!」
ジーク 「えっ?横島さん、大竜姫を知ってるんですか?」
   
横島 「えっ?ほんとにいるの?言ってみただけなんだけど…」
ジーク 「いえ、私も噂を聞いているだけなんです…
  神界の情報は、私も調べたいとは思っているんですけどね。」
横島 「いるんなら、調べるために見に行こうっ!
  おまえ、プロの情報屋だろ?それくらいできるよなっ!」
ジーク 「うっ!できることはできますが…」
   
横島 「よっしゃ〜!大竜姫さまに会える〜〜〜!!」
ジーク 「しかたありませんね。横島さんには、姉上のことを教えてもらった借りも
  ありますから。では、目をつぶってください。」
横島 「ん?こうか?」
  ヴィ〜〜ン
  横島の目に入ってきたのは緑生い茂る山道
小竜姫 「サル〜〜〜、こっち、こっち〜〜」
横島 「えっ?小さな女の子?小竜姫さまに似てるけど…」
ジーク 「横島さん、今僕達は、老師の霊波にシンクロして、彼の記憶を覗いているのです。」
横島 「うわっ、とんでもねぇこと出来るんだな。」
ジーク 「魔族ですから。」
   
横島 「じゃぁ、今見えてる女の子も、実物じゃないわけ?」
ジーク 「ええ、老師の記憶映像です。おそらく、何百年も昔の小竜姫さんですね。」
横島 「そうかぁ。これだけ小さいと、色気もなんもないなぁ。
  でも大竜姫さまは、すっげ〜色っぽいのかも。期待しちゃうなっ!」
ジーク 「霊波の感じでは、このあたりの記憶に有るらしいのですが…」
   
小竜姫 「サル〜〜〜、ここだよっ。私、先に入るねっ!」
  衣服を脱ぎ捨て、素っ裸で温泉に入る小竜姫
横島 「ぶっ! この子が将来、小竜姫さまになると思うと…
  でも、さすがに幼すぎるよな〜、胸ないし… 興奮するもんでもないな…
  いや、まてよっ?大竜姫さまも、温泉に入ってるに違いない?」
  キョロキョロあたりを見まわす横島
ジーク 「横島さん、老師の記憶を覗いているだけですから、キョロキョロしても
  見える光景は、かわりませんよっ」
   
横島 「くっ、そういうことかっ。でも、サルが大竜姫さまの裸を見ていたら?
  いやっ、大竜姫さまの裸をサルが見てるなんて、許せんっ!
  で、でも、見てないなら俺も、見れないわけだし……
  うぐぅ〜〜〜、俺はどうしたらいいんだ?!」
ジーク 「……、悩んでも見える光景は、かわりませんってば。」
   
   
小竜姫 「ねぇ、サル、聞いて。お姉さまがへんなこと言うのよ?」
猿神 「ん?大竜姫さんが、何か?」
   
   
横島 「おぉ!!大竜姫さまは、小竜姫さまのおねえちゃんっ!?
  うんうん、それなら想像どおりの美人に違いない。
  ほらっ、サルッ!はやく、大竜姫さまに会いに行けっ!
  裸じゃなくていいから早く見たいぞっ!裸ならもっといいけど
ジーク 「……」
   
   
小竜姫 「今度、私、妙神山っていうところに括られるらしいんだけど、
  『竜神族に限らず、すべての男性に興味を示してはならない』
  なんてこと言われたの。どういうこと?」
猿神 「ほお、大竜姫さんがそんなことを…」
   
小竜姫 「お姉さまは、最近スサノオノミコトとかいう人といつも一緒にいるくせに、
  なんかずるいよね〜?」
猿神 「まあ、なぜそう言ったのか、心当たりはあるけどね。
  今度、聞いておいてあげよう。」
小竜姫 「お願いねっ。老師さまっ!」
   
   
横島 「いいぞっ、その調子!大竜姫さまに会いに行けっ!」
ジーク 「小竜姫さん、そんなこと言われてたんですね…」
   
  光景が変わり、神殿とおぼしき建物の一室で女性が一人座している
横島 「おおっ!この人が大竜姫さま?うん、間違いないっ!想像どおり美人だっ!
  それに、あの胸の大きさっ、美神さんと同レベルッ、いやもっと大きいかっ?!
  でも、やや年増気味かな?あれ?なんかメドーサを柔和にした感じ?
  同じ竜神族だから、そんなもんかな?」
   
   
大竜姫 「老師さま、いつも小竜姫がお世話になっています。」
猿神 「いえいえ、私も彼女の師匠ですから、これぐらいのことは…
  それより小竜姫から聞きましたよ?男作るな、ですって?(笑)」
   
大竜姫 「あ、あのこったら、余計なことばかり言って…」
猿神 「妙神山は修行のための霊山ですから、間違った指示とは思いませんけどね。」
大竜姫 「そ、そうなんですよっ!修行場は厳粛な雰囲気が必要ですから…」
   
猿神 「それに、しょっちゅう山火事を起こされても困りますからねっ!」
大竜姫 「えっ?」
猿神 「神界ならともかく、人間界にある妙神山で小竜姫の逆鱗に触れてしまったら、
  触れた男を含めて、周りのすべてが灰になってしまうでしょ?」
   
大竜姫 「老師さま、わかってらっしゃるなら言わないで欲しかったのに…」
猿神 「そういうわけにもいきますまい。小竜姫もまだ幼いですから問題ないものの、
  大人になれば、いずれ男性に心を惹かれることもあるでしょう。
  それまでには、言っておかなければならないことですから。」
   
大竜姫 「そうですわね。よろしくお願いしますわ、老師さま。」
猿神 「わかりました。小竜姫には、ときをみて話しておきましょう。
  大竜姫さんが、どのようにしてたかをねっ!」
   
大竜姫 「えっ?私のことをっ?」
猿神 「最近、出雲の国で山火事が頻発してるんですよね。
  どうやらヤマタノオロチという竜が原因らしいんですが…
  心当たりはありませんか? 大竜姫さん。
  いえ、人間名では、櫛名田姫でしたね?(笑)」
大竜姫 「えっ?えっ?えっ?
  なんのことですかぁ〜〜? わたしには、さっぱり〜〜〜(汗)」
   
猿神 「はっはっはっ。スサノオという人間の若者も、なかなかの霊能者のようですな。
  あばれる姫を、何度もおとなしくさせるとはっ!」
大竜姫 「え、えっと。お茶、お茶をいれますわね、老師さまっ!
  少々お待ち下さいっ!」
  真っ赤になって退席する大竜姫…
   
  ヴィ〜〜ン 猿神の記憶映像から仮想空間に戻る二人
横島 「照れてる大竜姫さまも、色っぽくて良かったな〜。
  でも、竜神の姫といちゃつくのはいいけど、うっかり背中の逆鱗に触れるたびに
暴れられたんじゃたまらんなぁ〜
  スサノオノミコトって、そういう意味で英雄だったのかぁ〜」
ジーク 「なんだか小竜姫さん、彼氏を作れないなんてかわいそうですね…」
   
横島 「そうでもないだろ?
  大竜姫さまも、暴れても鎮めてくれる男を見つけて、うまくやってたんだから。
  ただ、俺が小竜姫さまの逆鱗に触れたときの暴れっぷりはすごかったからな。
美神さんでも霊力不足で一人じゃ抑えきれなかったし、今の人間界じゃ
  小竜姫さまの相手出来る奴なんていないと思うよっ。
  俺の生きてる間は、清純派の小竜姫さまのままでいて欲しいっ!!」
   
ジーク 「えっ?横島さん、小竜姫さんの逆鱗に触れたことがあるんですか?」
横島 「え、ああ。初めて来たときに、俺の影法師(シャドウ)が…」
ジーク 「どうやって、おとなしくさせたのですかっ?」
横島 「ん〜、竜の眉間を霊体の矢で射るんだけど…」
ジーク 「そうですかっ!ありがとうございます、横島さんっ!!」
横島 「えっ?そお?俺も、大竜姫さまを見れて、結構うれしかったけど…」
   
  そんなこんなで横島たちの修行も終わり、ダミアンをやっつけて
  傷ついた姉ワルキューレとともに魔界に一時帰国したジーク…
   
ワルキューレ 「おまえも、完全に軍人の心を持つようになったか。今日も軍事訓練とはな。
  ただ、霊体の弓矢とはずいぶん旧式な武器を使ってるな。」
ジーク 「姉上、この武器は竜神族に効くんだそうです。
  メドーサのような竜神族の悪人に撃ち込んでやりますよっ!」
ワルキューレ 「ふんっ。効けばいいがなっ。
  ま、ことが全ておさまってからににしろよ。小竜姫の逆鱗に触れるのはっ!」
ジーク 「ははっ…(バレてる…)
   
END  

※この作品は、まきしゃさんによる C-WWW への投稿作品です。
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