「最悪」
美神玲子はうな垂れ、焦燥した顔を壁に外聞も無く預けて、力無く諦めたように呟いた。普段は絶対に、そう口が裂けても言わないような弱気な言動が自然と口をついてしまった。しかしそれを当たり前のように認めていた。
それほどに彼女は、まるで死地で切羽詰まった刃の綱渡りの窮鼠以上に追い詰められていた。
美神令子。
多分二十歳?(反論必死?)。
国内のみならず、世界的にも見て心霊業界屈指の実力者である。それを口外しても、けして憚らない程に自他ともにその実力は確かであった。
更にそれを上回る阿漕な商売の名声?は越後屋と大黒屋と悪代官を合わせたよりも遥かに超える女性である。しかし実力主義の業界であるので、重宝されている所からも分かるように実力は値段相応のモノを持っている。そして霊力も臨機応変な作戦もであるが、彼女の顕著な長所には決して諦めない精神があった。
ズーン
しかし、今の彼女は打ちひしがれて絶望の淵の深淵にいた。その身にはダブダブのデニムのシャツ一つで、その身を守るモノとしては脆弱過ぎるのも彼女を追い詰めていたかもしれない。
「くう。あたしとした事が・・・・・・・・・・こんなに追い詰められるなんて・・・・・・以前の都庁地下でのママの地獄車特訓
(仮名)より辛いわ」四角の壁に囲まれた空間。その眼前のドアに向かってボヤク。
表情は焦燥して、先ほどから毛ほども事態の好転を得られぬ現在の状況に打ちひしがれていた。さながら残弾ゼロで、命からがらゾンビ屋敷で敵のいない部屋に逃げ込んだが、弾もナイフもバズーカも無いので動くに動けないジルのようである
(バイオハザー○参笑)。「どうすればいいのよ・・・・・・一体?」
両手を爪が手の平に食い込む程に握りしめ、唇を噛む。
「くううう。一体どうすればいいのよ」
もう一度目の前に広がる四角いドアを見て、そして脇の漆喰の壁の一角にビスで留められた蝶番で可動する銀色の金属製の物体に視線を走らせ、困窮している事態の打開を求めて再度希望の灯を探すようにソロソロと手に触れる。
キイ
今の耳につんざく金属が擦れ合う音がした。
「有る分けないか・・・・・・・・・・」
やはり、先程見たままに、そこには無かった。
弾丸でも、ナイフでもバズーカでも無限マグナムでもレオタードでも無い。
この今いる場所には絶対に無くては成らないモノ。
それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・紙(トイレットペーパー)であった。
「くうう。あたしとしたことが、こんなギャグマンガのような理由でトイレに閉じ込められるなんて」
便座の上で慙愧に駆られて身悶えする。
数分前に彼女は朝一番のトイレに入った。まさかトイレで他にやることはありまいにやることは一つ。そしてやる事をやって、哺乳類特有の生理的安息を得た後に、天使の顔をいつのまにか悪魔のあぎと(顎)の微笑みに変えていたのであった。
普段なら絶対こんなアホは理由は、ありがちなギャグ漫画であるから警戒していたが、昨夜の深酒で二日酔いでボケた頭で予め確認を怠ってしまったのが悔やまれる。然し幾ら悔やんでも、空中からトイレットペーパーが現れるワケも無い。
上を向いて、何時もなら棚に予備があるのにそれすら無かった。
「くうう。トイレの掃除をオキヌちゃんからシロにしたのがいけなかった・・・・・・・・」
目の前の
(掃除)当番表によると昨日の当番はシロであった。オキヌもこの頃は忙しいので、掃除は上の二匹に交代でやらせていたが、タマモはまだしも粗雑なシロは補給品を忘れていたのだと推察した。「あの、お馬鹿犬・・・・・・・・・・・・・普通の鋼鉄の檻なら師匠
(横島)に似て不条理にも逃げ出す恐れがあるので、特注のオリハルコンの檻に鍵付きの首輪に繋いで散歩禁止にしてやるから。本当は、いつもならウオシュレットが付いていたが、前回の掃除の折に力を入れ過ぎてただ今修理中。ちなみに壊したものシロであった。災難のトドメを差したのが二つともシロであったので美神の怒りもごもっともであった。
キイ
もう一度空のトイレットペーパーケースを開ける。
今度はもう、無いと分かっているトイレットペーパー
(本人?)を探して開けたワケでは無かった。今一度見て、ガクッとうな垂れ、思わず親切なヒトで無くても肩を叩きたく成るほどに打ちひしがれる美神。
「うう・・・・・・・・シームレス
(芯無し)になんかしなけりゃ良かった」ラストリゾート
(最後の手段)でダンボールの芯を細かく裂いて使おうと思ったが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。新幹線で紙の無かったトイレから出てきた青空球○の球○師匠は靴下カタッポ履いて無かった話もあるが、昨日酔ったまま寝たパジャマがわりのシャツだけで下着も付けていない、長めのYシャツだけの美神にはそれすら出来なかった
(やったら相当問題あるだろうが・・・・・・・)。
*
「人工生命一号
(art-life-first=以下ALFと略)!!」「はい。なんでしょう。オーナー」
目の前に何も映っていないレビューが浮かび上がる。普通なら対話する時に気分的なモノから、ポストペ○トで精神的な安堵を得るのと同じように彼女も擬似的な描写に変えていた。ギャリソン
(ダイター○3)のような執事が現れるのだが、流石に場所によっては呼び出した時には出てこないように言ってあるし、幾ら管理人でもこんな場所だけは覗くのを禁止してある。無論彼も横島と違い覗く事に趣味は無いので無論守っている。ちなみに横島は自分が呼び出した時にはキャナル
(○ストユニバース)になるように(しかも下着orビキニ仕様)黙って変えていてが、スグバレて思いきり殴られたらしい。「オキヌちゃんまだ戻っていないの?今日は試験で半ドン
(午前のみ就業の意。”はいからさん○通る”によると昔は大砲の空砲が正午を告げていたので、一日の半分を表すので半ドン!!と言ったらしい)でしょう。それにしちゃ偉く遅いわね。やっぱ魔理ちゃんの影響かしらね。あの不良娘との付き合いを控えるようにいっとこうかしらね」己が過去を棚に上げて叱責する。
「はい。ミスオキヌは私のデータでは今日清掃当番です。過去の確立からすればそろそろ終了していると思われますので、ただ今から下校すると思われます。しかし夕食の食材を買うと思われますので、帰宅は二時間程後だと思われます」
「あらま〜〜」
二時間もこのままいれというのかと疲れて突っ伏す。
「シロタマは?」
「半時間ほど前に散歩と食事に出掛けられました。今日は二つ先の沿線に新しいウドン屋が開店セールで半額だと、ミスシロは肉蕎麦でミスタマモはキツネうどんをたらふく食べるから帰宅は三時間後の今日の仕事時刻の直前だと言っておられました。尚ミスタマモの
PHS反応は屋根裏部屋にあるので連絡を取るのは不可能だと思われます」「・・・・・・・・・・・・・・・」
思わずロダンの考えるヒトをやってみる。
屋根の上の聖霊二人も聖霊同志の寄り合い旅行で暫く留守だし、彼女の母は熱帯雨林のど真ん中。冥子は口が軽いし、エミに頼めば何と卑語流言を広げられるか判ったモノでは無い。
つまり自力で事態打開を図らねば成らないのであった。
「ああ。人間って孤独なのね」
ニヒルにつぶやく美神であったが、そりゃあんた、普通トイレは孤独なんじゃないかと思う筆者であった。男が朝顔
(男の小さいようの便器)を前にして、隣に友人がいても、あまりクッチャベル奴は見たことないぞ。
*
ギイ
ちょっとドアを開けて廊下を見る。他に事務所に誰もいない事は確認してはいるが・・・・・・・・・・・・・・ドアの隙間から外を覗く。その格好は・・・・・・・・・・・もし見られたら、見た人間を殺さなくては成らないほど
(死にたいんじゃ無い)見っとも無い格好であった。どうやら諦めて、このままの格好で・・・・・・・・・・・例の一件で誰も部屋を貸してくれなくなったので、新たに事務所裏に建て増しした自室まで取り敢えず逃げ込もうと考えていたのだ。
(うう。もう少し近くに建て増ししとけば良かった)
金にあかして元の倍ぐらいデカイ美神の自室は、横島が通りすがりに進入を試みられないように自室のドアは階段からも通路からも離れて作っていたのだ。今はその僅か数十メートルが遠かった。
「よし」
意を決してドアを開けて・・・・・・・・・・・・。
ガチャ
古いドアの開く音が響く。
ビクー
開ける音は、自分の開けたドアで無かったので思わず飛び上がって、美神は飛び上がり手に掛けていたドアを閉める。
「おはようございま〜〜す」
階下からドアを開けて誰かが入ってきた。
「おはようございます。横島さん」
ALFの挨拶から直ぐに人物は分かった。
「ま まずい・・・・・・・」
思わず顔に青筋斜線が入る美神であったが、そんな事を知らないので相変わらず呑気な横島。良く考えてみればAFLに誰も入って来れないように鍵を掛けさせておけば良かった事に気が付いたが後の祭りであった。女性にありがちに、周りの事しかパニックに陥ると考えられなくなるのと美神と言えども同じであったらしい。
「お〜〜〜っす。寒いな〜〜〜〜。こう冷えると(厠が)近くて困るぜ」
ALFが同意をする。本来は横島にもミスターと言う称号を冠していたが、美神も当人も柄じゃないと今は止めてもらっている。話方もそうなように、お互い一応男同志?であるのでフランクな付き合いなので砕けている。
「事務所ちゃんと暖房入れてくれてるか?。ま〜〜〜た、ケチっていないだろうな。全く自分が居ないときは灯油代もケチるし、居るときだって俺は女と、特に将来太りそうな食材ばっかり食っている御方さんとは違うんだから体脂肪率は少ないんだから堪らんぜ」
「・・・・・・・・・・・・」
同意出来ない
ALFと、黙って陰口を聞く言われた当人であった。この会話を盗聴されていると教えたかったが、それも出来ないので彼の行く末を考えると辛かったらしい。「それに、どうせあんなアンバランスなモノばかり食っていたら、将来は幾らダイエットしても取り返しがつかんキャシー○島のような体になっとるんだろうな。若いうちは代謝が頻繁だからまだダマしダマしでダイエットも出来るが、体の体質は二十歳あたりで固まるんだから・・・・・・・・・・・・20超えたら悲惨だろうな。まあ、そうなったら薄給の事務所には用が無いから、普通の事務所に勤める事になるだろうから今の内にコネ作っといた方がいいな。この間仕事で一緒にやったエミさんの知り合いの所に履歴書でも送っとくか。高校卒業してまで、何時までもガキじゃないから見るだけじゃつまらんしな。将来の目の保養の特典の無い所にいるのは馬鹿らしいからな〜〜〜」
当人聞いているとは思わず、言いたい事を言う横島。怒りに震える目から血が流れたので、景色と一緒に赤く染まる横島を文字通りに記憶の無くなるまで赤く染めるように殴ってやりたかったが・・・・・・。
「おお、忘れとった。トイレ トイレ」
そう言いながら、いつもの調子でトントンと上がってくる。
「ま まっままま まずい!!」
思わず小さな声だが叫ぶ。
上がって来ようとしている二階にトイレは今美神のいる一つしかない。当然ここにくれば・・・・・・・・。同性ならまだしも、トイレで紙が無いのを男に知られたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。使いべりのしないバイトを無くしたくは
(同意語=亡くしたくは)無い。急いで鍵を掛け、横島用に作って措いた閂(カンヌキ)、更に霊力結界まで掛ける。がちゃがちゃがちゃ
「あれ?誰か入ってるのかな」
AFLとの会話から誰も居ないと聞いていたので、先ほどの暴挙な陰口もあけすけに言ったのだ。事務所の、性格と諸行は悪代官か悪領主で、怖さの比は大魔人を遥かにマクル美神がいるのかと蒼ざめる。組んだ腕を目の前に交差して、顔が憤怒の表情に変る美神の顔が目の前に浮かぶ。
コン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ コン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コン コン「?・・・・・・・・」
シーーーーン
がちゃ がちゃ
ノックをするが答えは無いので、安堵しながらも「鍵壊れたのかな」と首を捻る。
(早く行きなさいよ)
場所がトイレだけにセッチン詰めの美神は生まれて初めて神に祈った。こんな諸行を見られるのは死ぬより辛い。ただノックを反すだけでいいと言う考えは既に無く、自分がトイレにいるだけで紙が無くて出て来れないとまでバレルと思ってしまっているのであった。
「ああ、そう言えばシロの奴がトイレの何か壊したってタマモが文句を言っていたよな。壊したの鍵だったのかあ」
思わずタマモ偉い!と誉め、今安いウドン屋にいっているであろうタマモに、今度の仕事の合間の食事はチョット好い(キツネ)ウドン屋に連れて行ってやろうと思った。ドアの向こうの横島も、二人が今頃特売ウドン屋に言っている事を思い出したようだ。強欲女の薄給の性で牛丼ですらで満腹になれないので、横島も後で行く事に決めた。
「しかし中に入って居る時の壊さなくて良かったよな。今時トイレに閉じ込められるなんて、ギャグマンガだって当の昔に使い古されたネタだからな。今時やったら間抜け過ぎるものな。あはははは」
「・・・・・・・・・・・(後でタップリ食べさせてあげるわよ。特盛りツユだく味噌汁お新香付きリンチのコースをね)」
その言われた間抜けは神に誓った。
その内に階段を降りる足音がした。どうやら階下のトイレに向かったらしく、数分で直ぐ事務所に入っていった。
(ああ。あの馬鹿が下に行った内に戻れば良かった)
安心して座り込んだのを悔いた。
(と 取り敢えずあの馬鹿を追い出して・・・・・・・)
ALFに伝言をしていた事にして事務所を追い出そうと画策する。
(今日の仕事はあっちの事情でキャンセル扱いになったと言えば好いわよね)
そう伝言させようと思ったが・・・・・・・・・・それは思いとどまる。
実は今日の仕事は自分と横島が結託しないとヤバイぐらいの相手であったのだ。謙遜ではくても(する女じゃないし)、自分一人とオキヌ達では分が悪い。横島を家に帰せば、今日の仕事はコチラ側からキャンセルしなくてはならなくなるであろう。
あちらの事情で今日絶対除霊とあったので、それで値を吊り上げたので、今更コチラの事情でキャンセルとあっては違約金と、何より信用問題が痛い。
一度今日はキャンセルだと追い返して、自分の事情が終わった後で呼び戻せばいいかと思ってやろうとしたが・・・・・・・・・。
(ま まずい それはまずい)
赤貧に窮する横島は、今時珍しいが携帯もPHSも持っていないので呼び出す手段が無いのだ。大人しくアパートに戻っても・・・・・料金滞納で電話を止められたと先日言っていた。つまり家に反したら呼び出す手段が無い。大体突然暇になって大人しく部屋に帰るような奴で無いのは分かっていた。
(慈愛の心で、後50円ぐらい自給上げてあげようかしら・・・・・・・・・・・・・・止めた・・・・・・・・・・・・・いや、少しなら・・・・・・・・いや駄目よ・・・・・・・・・・・・若いうちの苦労は買ってでもって言うじゃない。・・・・・・・・だからあたしは心を鬼にして・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うううう)
アクセル無駄に一発踏み込めば出る金額で悩む美神であった
(コブラの燃費は普通に走っても確か5キロ/g以下。何しろ427キュウビックインチ【約8g】もあるから)。彼女の事情で自給を上げる事も頭を過った。
それは・・・・・・・・・・・・・・・・・この間横島は良くソファーでアルバイトニュースを読んでいた。本当に食うものに困ったレベルで生活に窮しているので、やはり最後は色香より命だと呟いていたのがALFからご注進
(チクリ)された。多分当面はコチラの薄給を補填するつもりであろうが、もしバイト先に可愛い女性が沢山いる某ファミレス
(PIA−CARR○T等)だったりしたら・・・・・・・・・・・・・・・・若い女性は多いわ、給料はマトモな分だけに目の前に肉を(ギャー○ルズ風肉参照)をぶら下げられた状態で首輪の切れたシロのように戻って来ないであろう。アイツはそんな奴だと確信していた。それはハッキリ言って超(死語)不味い。金銭もそうだが・・・・・・。認めたくは無いが・・・・・・・・・この頃あの馬鹿は女性に受けが良くなっていた・・・・・・・。
今まで美人の依頼人が来たら一も二も無く自分からアプローチしていたのに・・・・・・・・・・・・・馬鹿の方より先に女性の方が話掛けるのだ。おまけに頬を染めながらだ。粗相を止める大儀で殴る事は出来るが、依頼人の行動では殴るワケにもいかずに辛酸を嘗める美神らであった。
単なる馬鹿であったのに、時折見せるようになった。あの事件の時に生還した時、自分ですらが胸の高鳴りを押さえられなかった。もう頼りなげな少年では無い・・・・・・・それは紛れも無く男の顔。
ポッ
その想いが蘇り、想わず顔が朱に染まる。しかし・・・・・・・・。
「え・・・・・・ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!。今はそんな事、今はどうでもいいのよ」
気を取りなおして叫んだ顔は、朱を通り越して真っ赤である。
少なくとも、紙の無いトイレにセッチン詰めで乙女
(自己申告・・・・・・・・・・・)が考える事では無いと思い出したらしい(笑)。 まあ、いわゆるそう云う仲を、臭い仲とも云えるのでトイレは相応しいかも知れないが・・・・・・・・。
馬鹿な想い
(自称)にドップリと沈んだ己を追い払い、取り敢えずの打開策を考える。暫く事務所から追い払うには・・・・・・・。(そうだ。厄珍の所に何か買いにいかせよう・・・・・・・・・ああ。今日は休みだった。あの馬鹿もそれを知ってるから駄目ね)
事務所で雑誌を読んでいる横島を出したモニター越しに見ながら途方にくれる。
(なんて言って追い出そうかしらね・・・・・・・)
そんな事に思い馳せている無為な時間に、更に新しい来客が告げられる。再び玄関のロックを掛けさせなかった愚を悔いた。横島の対策だけで手一杯なのに頭を抱えていると、宙に浮かんだモニターに新たな来客の姿が映る。
*
「よう。横島君。相変わらずむさ苦しい顔をのぞかせているね。世間の女性が不愉快になるからそろそろ自殺でもしないかね。これから生きていてもあまり好い事もないだろうからね。なんだったら自縛霊になった時は僕自身が君を哀れなほどに情けない姿を露呈させてあげて成仏させてあげようかね、はははは」
元気ハツラツと厭味を言い放つのは西条。美神の姿が見えないと分かると、手に取り出したのは多分見せびらかす為に出した恋文を玩んでいる。しかし、横島はアルバイトニュースから面倒臭そうに顔をチョット上げただけで、嫌味に答える素振りは無い。
「お前も将来薄くなりそうな長髪を精々風になびかせやがって、後を歩く奴の迷惑を考えて見れば今から五部刈りにしておいたほうが、禿げた時にお前も周りもインパクト少なくていいぞ。そうなっては誰もお前を相手にはしないだろうからら、今のうちに我が世の短い春を謳歌しておけよ。お前から容姿を取ったら、後は馬鹿な金持ちしか残らんからな」
あれからあの西条のお手伝いバアサンに西条の幼少の写真を見せられるた。それに写っている親父と爺さんを見て、多分将来薄くなるのが分かっているので突っ込む。唇を噛む西条に。
「ほれ。プレゼントだ」
飲みかけのペットボトルにマジックで101
(昔流行った中国の養毛剤)と書いて、プレゼントと西条に放り投げる。シュバ バシュー
今の今まで手紙以外は手ぶらであったのに、何処にも無かった4尺
(120センチ)ありそうな霊剣でボトルを真っ二つにする西条。本宮ひろ○の昔の漫画じゃあるまいし(タイトル忘れた)背中に仕込んでいた風も無いのに当たり前に長剣を出した西条に「一体何処から出したんだ?」「今日という今日は聞きたいぜ」と、あたるとメガネのように突込みを入れた(笑)。
グヌヌヌヌヌヌヌ
ぎぎぎぎっぎぎぎぎぎ
当人同志、むさ苦しいと想っている相手と面を付き合わせる。絡み合う殺意のレーザービームが素粒子崩壊し部屋にストロボフラッシュの光を明滅させていく。
「ふふふふ。どうだろう横島君・・・・あの時チャラになっていた決着をつける時が来たとは想わないかい」
巻数とタイトルも忘れたが、美神令子ゲシュタルト崩壊事件参照。
「おおよ。俺もあの時貴様に引導を渡せなくて、悔恨なる慙愧に打ち震える日々に決着をつけようとは想っていたんだ」
バチバチバチバチ
火花が散り、グラウンドで向かい合う星飛雄○と花形○のバックのように炎まで出現する。ちなみに
”ふおし君とあながたみつる”でも可能です(テレビ版うる星や○ら タイトル忘れたが、蘭ちゃんが超新星の欠片を紛失して探す話参照)。ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
霊剣ジョスティスが唸る。
ひょい
しかし横島はカンガルーかキョンシーのようなポーズでヒョイと逃げ、哀れ代わりに座っていたイタリア製のソファーが真っ二つで中綿が舞い散る。
ズザズザズザズザ
ひょいひょいひょいひょいひょい
寸前でかわしながら、鬼さんコチラ手のなる方へ お尻ペンペン と挑発する。
「ええい。逃げるな卑怯者。正々堂々と戦え」
部屋の床と謂わず壁と謂わず天井までも走り回る二人。
「うはははははははっはあっはあはは。お前も成長せんな。今時卑怯もラッキョウも無いんじゃ。シロの里の連中じゃあるまいし、チャンバラなんぞ流行らんわい。精々破壊活動に勤しんで、事務所の強欲あるじに睨まれるがよいわ。おいAFL!!ちょんと記録しておいてくれよ。破壊活動防止法に抵触しているのは西条だとさり気無く告げ口しといてくれ。破防法で危険人物の指定を受けて、出入り禁止になるように伝えてくれ」
「判りました横島さん。正しい記録は私の義務ですからちゃんとオーナーには・・・・・・伝えています・・・・・・・・」
シマッタという顔をする西条。
「うぐぐぐぐ」
策にハマッタ事は分かった。
幾ら幼馴染で頼ってくれていても・・・・・・・事務所を荒らされて、大人しく笑っている女で無いことは百も承知なのだ。
しかし明らかに自分を挑発していると分かっているので、今更事務所の主にどう思われても止める奴でも無かった。毒をくらうば皿までも。
ガシ
切るより被害が少ないと、今度は胸元からガバメントを取り出す。
「死ね!!」
パンパンパンパン
ひょいひょいひょい
それも同じく交わす。まるで映画マトリック○のようだと言いたいが、キアヌリ○ブスのように格好良く避ければ良かったが、横島の格好は殆ど阿波踊りに近かった。これでは映画にならないだろう・・・・・・・・コミック映画だったらいいだろうが。
ガスガス パリーン
横島の避けた後ろで絵画の額縁や本棚の硝子の砕ける音が響く。
「ええい。簡単に避けるな馬鹿者。貴様それでも人間かあ!!」
弾丸を、エポ○ク社のピッチングマシーンで投げられるピンポン玉のように避ける横島に吐き捨てる。
「馬鹿め。アシュ編が終わった今は、この原作に残されたのはギャグ以外にありえんのだ。ギャグ漫画で弾に当たって死んだキャラが古今東西居た試しなぞないんだ。お前の本性のような奴が主人公を張っているギャグだかマジだか、原作者も分水嶺に困っているような話
(Mr○○○○)と同じにするな。・・・・・・・・・・・・・・しかし、あの話大丈夫なのかな?。俺にはコッチ(GS美神)と違う点が見当たらんのだが。キャラも相変わらずに代わり映えしないし、それに話だって推敲したらば、大元の大綱は殆どダブルメロン(ソックリ)だし・・・・・・・・・・・・・・」異論は多々あろうが、物語の根底を覆すような事を口走る横島であった。
「ええい。それは言ってはならんことだあ」
これ以上喋らせると、サイトの管理者らの怒りを買うと、横島の息の根を止めようと今度はM15アサルトライフルを乱射するわ、グレネードランチャー
(ロケット弾)まで室内で発射する西条。折角主役をやれる事になった?話を潰されて堪るかという気概に満ち溢れているように感じられた。チュドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
爆音に続いて事務所が揺れる。
「ああ〜〜〜〜。私の事務所が・・・・・・・・・・買ったばかりのドガがモジリアーニがルノアールがソファーが机が、椅子が〜〜〜〜〜〜〜〜」
西条の破壊行動をモニターで見ながら、止められぬ己が身に便器の上で苦悩する。
「避けないで盾になりなさいよ横島あ」とか「ドンパチは桶狭間とかでやってよ」とか「早く本能寺で殺されちゃって、あたしの連載再開してよね」と、西条は誰かに似ているので、連載が中途半端で終わった誹りを受けているのが判っているのもあって、思わず本音の飛び出す美神であった
(あぶねえ発言・・・・・・大丈夫か?)。
幸い西条が人外魔人の横島を倒すには普通の火気では足らぬと、バスターランチャーかポジトロンスナイパーライフルとかを取り出し、事務所全体が瓦解の危機を迎える前に唐突に現れた人物によって二人の争いは終止符を打った。
現れたのは唐巣
(神父)で、流石に傍若無人な二人であっても年長者の言う事には従った。「頭薄くても人徳は厚いのね」
師匠に失礼を言いながらも思わず、少しぐらい教会に寄付してやろうと思った。多分三千円ぐらいの予定ではあったが・・・・・・・・・・・・・。
to be contineud
次回予告
さあ、果たして美神はアシュタロスを遥かに超えた?人生最大の窮地から無事脱出する事が出来るのか(笑)。
そして、唐巣神父の現れたのは何故か?
しかし、美神がセッチン詰めネタだけで終わってはタイトルのGS(ゴーストスイーパー)に嘘偽りがあるような気がするので次は凄い敵の悪霊が出る予定です。美神が精神的にアシュ編より窮地に陥っているので、現れる敵もそれ以上の奴を用意している後編に 乞うご期待の事を(嘘)。