ピンポーン。
どうやら、今日も依頼者が来たようだ。
本当にここはよく人が訪れる。
美神さんは日本でも五本の指に入る実力者だからな。
・・・・・。うむ、今日もいいケツしていらっしゃる。

「はぁい!どなた?」

ガチャ。

美神さんが玄関のドアを開ける。













GS!!極楽浄土大作戦!?
第二話 式神を探せ!!








「れ・・・・令子ちゃん〜〜〜!!」

そこにいたのは以前共同で除霊したことのある、『六道冥子』さんだった。
彼女は、陰陽師の名家の生まれで、式神を扱う。
十二神将という強力な式神なんだが・・・・・彼女は精神的に不安定で、よく暴走させる。
危険度から言えば、美神さんのおよそ1.45倍くらい・・・・。危険だな。

「式神が・・・式神がいなくなっちゃったの〜〜!!!!!」

ああ、そのあどけない表情と年齢のアンバランスさが!!
冥子さぁ〜ん!!!!
走り寄ろうとした瞬間。

ドゴォォォォン!!

いきなり・・・ぼうそう・・・ですか・・・・・。
やっぱり危険だ・・・。
美神さんはいつのまにか、ジェラルミンの盾を装備して完全に爆発を防いでいた。
うう・・・おキヌちゃんは幽霊だからなんともないし・・・・。
そういえば俺、前も『ビカラ(イノシシ)』に酷い目に合わされていたような・・・・。

「少しは・・・落ち着いた・・・・?」

美神さんが、恐る恐ると言った感じで訊いた。
やはり、美神さんにも苦手なものはあるようだ。

「ご、ごめんなさい〜・・・・。私うろたえちゃって〜・・・。昨日からこの子達暴走しっぱなしなの〜。」

まるでどこぞの決戦兵器の初号機のようだ。・・・・意味わからんな。

「お願い〜!探すの手伝って〜〜!!あの子今頃きっと泣いてるわ〜〜〜!!私〜・・・私〜・・・。」

ほっとくとまた暴走しそうだな。

「大丈夫!俺達が探してあげますから!!」

「ほんと?」

「だから落ち着いてください。」

さりげなく、軽く両手を組んだ状態・・・・。なんかおいしい・・・。
美神さんも親指を立てて、頷いている。『ナイスフォロー』といっているようだ。
まぁ、修理費もバカにならないしな。

「・・・・・横島さん?いつまで抱きついてるつもりですか?」

・・・・恐いよ、おキヌちゃん。っていうか、冥子さんのほうから、よっかかっているみたいな感じだから・・・俺に言われても・・・・・・。

「ごめん・・・・。」

つべこべ言わずに離れます。決して、おキヌちゃんが怖かったからではなくて、話が先に進まないから・・・である。
冥子さんは、ゆっくりとソファに座りながら口を開いた。

「式神っていうのは、人間の命令に従う鬼の事で、普通はお札なんかに封印されてるの〜。私の場合、物心つく前から、影の中に12匹の式神が住んでて、ずーっと一緒に育ってきたわ〜。」

「あんなのが12匹もいたら、自衛隊でもかなわないわね。」

とは、美神さんの言。
NN爆雷投下で終わると思うのは俺だけだろうか?

「それぞれ弱点はあるし、一定の力を使い切ったら影の中に戻っちゃうからそれほどでもないわよ〜。」

そんなことよりも俺はどういう理屈で影の中に入っているのかが知りたい・・・。
というか、本題に入ろう。

「それで、いなくなったのは?」

話が進みそうにないので促してみる。

「『マコラ(サル)』なのよ〜。」

ああ、あのリトルグレイみたいなヤツだな。

「マコラには変身能力があって、放っておくと身を守るために周囲の人間に同化しちゃう習性があるのよ〜。」

やるじゃないかグレイ・・・。

「心配で胸が張り裂けそうで、他の式神のコントロールもきかなくて、・・・・こーなったら令子ちゃんたちに頼むしか〜。」

さりげなく俺とおキヌちゃんも入っているのか?ひょっとして。

「お願い〜〜!!見つけてくれたら何でもするわ〜!!」

来た〜!!俺の時代か!!!

「何でもッスね!?本当になんで持ったら何でもッスね!!!!??」

興奮して俺は何度も確認を取る。

「本当よ〜。横島君、お願い〜!」

か・・かわいい・・・・・。
よっしゃあ、やったるで!!と、俺はかなり燃えてきていた。

「私・・・・私もう・・・心配で心配で心配で心配で〜!!!!」

式神達が暴れだし、阿鼻叫喚のありさま・・・。









「――――とにかく、あの子にあれ以上暴走されたらたまんないわ!身の安全を確保するためにも急いで見つけなきゃ!」

いい事言うなぁ。俺もそれは非常に同意見だ。

「美神さん、あれ!!」

停留所の一番後ろに並んでる男を指差しておキヌちゃんは言った。
俺には、小太りのおっさんにしか見えないけど・・。

美神さんは霊視ゴーグルというものをつけてそれを見る。

「いたわ!!あいつよ!!!」

大きな声をだしたら・・・!!
ほら、逃げようとしている。

「のまえに!!よーし捕まえ・・・!!」

「あ、バカ!!」

掴んだマコラの体がニュルリと伸びて手から抜け出す。
やるな、グレイ・・・・。・・・て気持ち悪ー!!!

「この呪縛ロープを使うのよ!!」

「先に言ってくださいよ!気持ちわりー!!」

って、逃げてるし。

「待ちなさい!!」

俺の脳裏に浮かぶ声・・・『お願い〜〜!!見つけてくれたら何でもするわ〜!!』・・・・。
いくしかねぇ!!








スケートリンク上で、美人に化けていたマコラを捕まえようとしたおキヌちゃんは審査員の方々の目に止まり、脱落。

美神さんも、老人達の旅行集団に混じっていたマコラを捕まえそこない、老人達に囲まれて脱落。


俺にとってはまたとないチャンスってワケだ。
幸い、距離はつまってきている。

「逃がすか!!」

暴力団の集会場に逃げ込もうとしたところをお縄につける。
俺は煩悩で生きる男なのだ。
さて、事務所に戻ろう。










「マコラちゃん!!ありがと〜横島君〜。」

駆け寄ってきて抱きついてくる。
女性に抱きつかれた事など初めてでは?

「何でもしてくれるって本当っすよね?」

「本当よ〜。なにをして欲しいの〜?」

あまりにも無邪気・・・というか、天真爛漫というか・・・。
煩悩が収まっちゃったよ。
じゃあ、女友達を増やすっていうのもいいかな?

「俺の友達になってくれ!」

ちょっともったいなかったか?

「友達に!?・・・・・・ありがとう・・・・。」

なんで・・・・・、冥子ちゃんが喜ぶんだろう?
なんか、事情があるのかもしれないな・・・・・・。
もしかしたら、式神が関係する事なのか?









「で、横島君・・・・・。あんたが、スケベなことを願わなかったのは誉めてあげるわ。まぁ下心はありそうだけど・・・・。でもね・・・・・・。」

冥子ちゃんが帰った後、美神さんは何故か立腹している。
俺、なんかやったか?覚えがないんスけど。

「なんで、報酬も払わせないで帰しちゃったのよ!!」

がめつすぎるわ。この人。

「み・・美神さん、お友達に感謝されただけで十分じゃないですか!ね?」

おキヌちゃん・・・・素晴らしいフォローだ。
俺が死ぬ時間が若干遅くなった気がするよ。

「そうね・・・・・・・。ま、今回は・・・・・。」

お、美神さんにしては・・・。

「イイトコあるじゃないスか!」

「・・・あんたをしばくのが報酬ってことで!!」

やっぱりか!!!前言撤回!!!



入院しそう・・・・・。


続く


※この作品は、SUMMERさんによる C-WWW への投稿作品です。
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