蛍のいる世界で
著者:ヒッター
蛍・・・
暗闇を照らすほのかな光・・・
一夏のはかない光・・・
君を思い出す・・・切ない光・・・
君に出会ったあの日・・・
あの日・・・俺のすべてが変わった
はじめは敵意と恐怖しかなかった・・・
化け物としか思っていなかった・・・
だけど違った・・・
笑ったり・・・短命なのに強く生きてて・・・何より暖かかった・・・
夕焼けの君の横顔・・・
きれいだった・・・
敵なら何でも化け物だと思っていた俺・・・
君を化け物だと思っていた俺・・・
それなのに君は・・・
こんな俺を・・・好きだといってくれた・・・
ありがとな・・・
君は真剣だったのに・・・
俺の心は汚かった・・・
ごめんな・・・
でも、ほんとに好きだった・・・
いまも・・・ずっと・・・
俺は君に約束したよな・・・
強くなってみせるって・・・
必ず迎えに行くって・・・
初めてのキス・・・
何でか分からないけど・・・
君にあげたかった・・・
君を安心させてやりたかった・・・
俺は必死に強くなった・・・
君のためだけに・・・
何からも逃げてた俺を俺は捨てた・・・
君の笑顔のために・・・
俺は戦った・・・
君との日々を勝ち取るために・・・
その後の一瞬の平和・・・
その時の俺はまた馬鹿だった・・・
君のこと考えてやれなかった・・・
それなのに君は俺のことを信じていてくれた・・・
幾度となく他人に拒絶された・・・俺の汚さ・・・
なのに君は馬鹿な俺を受け入れてくれた・・・
俺の汚さを受け止めてくれた・・・
数回見た夕日・・・
きれいだった・・・
君も・・・
一緒に過ごした日々も・・・
ずっと続くと確信してた・・・
俺も・・・
君も・・・?
その後の戦い・・・
君は命を張って戦っていた
俺は確かに強くなっていた
自分を守れる程度にだけ・・・
俺はまだ弱かった
一匹の蛍も守れないほどに・・・
君が見せた・・・
蛍の光・・・
絶対に忘れない・・・
俺が君の元を去った後・・・
君はあの一瞬の間・・・
何を思ってた・・・?
俺のこの体・・・
君の鼓動が聞こえてくる・・・
認めたくなかった・・・
俺の未熟さを・・・非力さを・・・君の死を・・・
君がいなくても何の変化もなく過ぎていく日々・・・
君がはじめからいなかったかのように・・・
たまらなかった・・・
また馬鹿やってる自分が・・・
生き残ってしまった自分が・・・
なにもできなかった自分が・・・
俺は英雄なんかじゃない・・・
俺は守れなかった・・・
一番大切なものを・・・
俺をいつも照らしてくれたものを・・・
あのときの君の嘘・・・
怒ってる・・・
俺を引き留めてほしかった・・・
俺を頼ってほしかった・・・
強かったよ・・・
君は・・・
俺なら君と離れられなかったかもしれないのに・・・
必死に強がっている君に・・・
苦しさを隠している君に・・・
気づいてやれなくて・・・
ごめんな・・・
君が守ったこの世界・・・君が守ったこの俺・・・
もっと君を幸せにしてやりたかったのに・・・
何度も続く眠れない夜・・・
何度も見る悪夢・・・
何度もよみがえる君との日々・・・夕焼け・・・
やさしい笑顔・・・
悲しんでばかりいられないこの世界・・・
俺はもっと強くなった
窓の外は雪が降っている・・・
夕日もきれいだよ・・・
夕日に照らされる雪の輝き・・・
蛍のように・・・儚げで・・・悲しげで・・・
俺は君がいなくなった日に誓った・・・
二度目の誓い・・・
必ず迎えに行くと・・・
そして今・・・
君は俺の横にいる・・・
俺は強くなった・・・
時間を操れるほど
強くなるのに時間はかかったけど・・・
そのぶん君を幸せにしてみせる・・・
もう・・・
なくしたりしない・・・
もう悲しませたりしない・・・
一人にさせない・・・
守ってみせる・・・
幸せにしてみせる・・・
君とまた出会えた奇跡・・・
俺の隣で外を見ている君・・・
初めてであった日から何年たっただろう・・・
君は・・・
今・・・
幸せですか・・・?
俺は君をもっと幸せにする・・・
過ごしてきた時間なんて・・・
関係ないから・・・
絶対に幸せにする・・・
君を一人にしてしまったぶんも・・・
だから・・・
ひとつお願いがあるんだ・・・
俺の身勝手な頼みだけど・・・
聞いてほしい・・・
君は・・・
どの季節でも・・・
何年たっても・・・
君は・・・
僕のそばで・・・
ずっと・・・
ずっと・・・
僕の暗闇を照らす・・・
やさしく・・・暖かい・・・蛍でいてほしい・・・
ありがと・・・ヨコシマ・・・