告白。おまけ2


「なんだったんだ……」
とうーんとうなりつつ横島。
「なんでもないわよ……」
疲れたように美神。
半額…半額とうわ言のように呟いている。
「じゃあ、おれこの辺で帰りますね…明日も仕事ではやいから美神さんも寝たほうがいいですよ?」
横島はぽりぽりと頬をかきながらいうが、美神は半額…と呟いている。

「ああ……もーいいじゃないですかっ。半額っていっても結構な金額なんでしょ?」
とじれたように横島。
「よくないわよっ!この私が利子も上乗せもしないなんてっ……ああっもう一生の不覚だわっ」
と美神。
あまりにもらしい言い方に苦笑する横島。
まあこの場合関のほうが一枚上手だったのだろう
そしてその後にぼそぼそと呟く声が聞こえた。
「……それに、横島くんは普通にもらっても相場以上の働きはするのなあ」
と。
当然その相場以上の働きをしたとしても現金が入るのは美神のところで―
自分にはなんの収入もないという事はわかっているのだけども―
美神がこんな風に自分を評価したのを聞いたのは初めてで……
じわああっと嬉しさが胸に上がってくるのが分かった。
……
「あの……」
と硬い声で横島。
「ん?何?帰るんでしょ?」
と横島の方をみずに美神。
「いやその前に…あの抱きしめてもいいっすか?」
「へ?」
と振り向いた視界の先には真っ赤になった横島
「いや、襲いたいとかそんな変な事考えてる訳じゃないんすけどっいいや考えていないって言われたらそーゆう訳じゃないんすけどあのっ美神さんだけ抱きしめておれはなにもしてないっていうのがなんか不公平なってあれ俺なにいってんだ?」
わきわきと両手を伸ばしつつ横島。
自分でも何をいってるのか分からないらしい。
くすくす
と肩を震わせて笑う美神
「なにがそんなおかしいんですか?」
少し怒ったように横島
「………い、いや……あんたがそんな事いうなんて……」
というと美神はすたすたと横島の前まで来た。
「ほらっやれるもんならやってみなさい?」
顔を紅く染めて美神。
もう笑っていない。
「じゃあ…遠慮なく。」
というと横島は壊れ物に触れるように美神の背に腕を回す
それはいつもの襲い掛かるようなものではなく優しい優しい抱擁
「なんか……照れるわね」
「……すっげえ心臓うるさいっす」
さっきの痛い沈黙とは違う柔らかい沈黙が心地いい。
お互いの心音が聞こえて安心する。
ぼそりと美神。
「そーいや関さん」
「はい?」
「あんたの事誉めてたわよ」
「そうっすか」
「なによその返事?私ほどじゃないけど日本屈指のGSよ」
「でも俺はさっきの美神さんの…言葉のほうが嬉しかったですよ」
なすがままだった美神はそっと腕を伸ばし横島の首に巻きつけた。
「……明日も早いわよ」
「そうですね」
「……遅れたら給料なしだかんね」
「美神さんこそ…」
そうして、二人は抱き合ったまま日が昇るまで優しい抱擁と言葉を交わした。
それは助手としての最期の夜
そして恋人としての一日目の夜ー

おわり

 

PS
「そういやなんで関さん俺のこと誘うのに美神さんと一緒にいたんですか?」
とふと思い出したように横島
腕の中の美神の体がぴくりと強張る
「……………………」
「なんでそんなに紅いんですか美神さん?」
「うるさい」

さて理由がわかりますか?


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