美神事務所 | |||
キヌ | 「タマモちゃん、どうしたの? 難しそうな顔をして…」 | ||
タマモ | 「小学校って、人間の子供が勉強するために行く所というのは知ってるわ。 | ||
でも、そこでどんなことをやってるの? 常識として知りたいの。」 | |||
キヌ | 「えっと、えっと、私も学校は高校しか知らないのよね…。 | ||
美神さんに、聞いてみましょう…。」 | |||
散歩から帰ってきたシロ&横島 | |||
シロ | 「先生、拙者を子供扱いするなんて、ひどいでござるよ〜〜」 | ||
横島 | 「子供そのものだろ〜がっ! 『九九』も知らねぇんだろ〜?」 | ||
シロ | 「人狼に学校なんか、無いでござるもん〜〜〜」 | ||
令子 | 「で、こいつらを小学校に行かせろ、だって?」 | ||
キヌ | 「えぇ…」 | ||
令子 | 「あんたら、軽く言うけどね〜… | ||
なんにもわかってないこいつらを学校に送り込んだって、トラブル起こして | |||
追い出されるのがオチなのよ?」 | |||
キヌ | 「で、でも、常識とか覚えないと…」 | ||
令子 | 「わかってるわよ。学校のかわりに家庭教師が必要ってこともね。 | ||
ただ、家庭教師代は誰が払うと思ってるの? あんたらが払う?」 | |||
横島 | 「結局は、それかい…」 | ||
キヌ | 「……」 | ||
翌日午後 事務所 | |||
令子 | 「ほんと〜に、ただでやってくれるのね?!」 ニコニコ | ||
弓 | 「是非、やらせてください、美神おねえさま! | ||
シロさん、タマモさん、私があなたたちのお勉強を見て差し上げますわっ! | |||
それでは、お部屋にまいりましょう!」 | |||
横島 | 「どうなってるの? おキヌちゃん…」 | ||
キヌ | 「学校で家庭教師のこと話したら、弓さんがどうしてもやるって…」 | ||
一文字 | 「弓のやつ、美神さんに会うきっかけが欲しかっただけさっ。」 | ||
横島 | 「どうしてこいつらがいるの? おキヌちゃん…」 | ||
キヌ | 「さ、さぁ…?」 | ||
雪之丞 | 「……」 | ||
タイガー | 「……」 | ||
横島 | 「てめえら、いったい何しに来たんだぁ〜?」 | ||
雪之丞 | 「弓に頼まれてな。 家庭教師やってる間、てめ〜の相手してろだとよっ!」 | ||
横島 | 「なんで、てめ〜に相手されなきゃならんのだぁ〜〜?」 | ||
雪之丞 | 「弓の邪魔しねぇとでも言うのかよっ!!」 | ||
キヌ | 「まぁまぁ…」 | ||
横島 | 「タイガーは、なんなんだ?」 | ||
タイガー | 「あっしは、一文字さんから今日ここで集まって遊ぶと聞いて…」 | ||
一文字 | 「そうそう、せっかくそろったんだから、ゲームでもしようぜっ」 | ||
キヌ | 「弓さんたち勉強してるのに、いいのかなぁ…」 | ||
一文字 | 「あいつは、自分で家庭教師やるっていいだしたんだろ? かまうもんか。遊ぼうぜっ!」 | ||
屋根裏部屋 | |||
令子 | 「弓さん、このこたちの出来はどう?」 | ||
弓 | 「み、美神おねえさまっ! そうですね… | ||
タマモさんは、知識量は少ないですが、飲み込みが早いので、 | |||
1年もすれば中学生レベルになれると思います。 | |||
シロさんには、もっと時間が必要かと…」 | |||
令子 | 「まっ、そんなもんかな。このこたちが中学レベルになるまで、家庭教師続けてくれる?」 | ||
弓 | 「ええっ!よろこんでっ!」 | ||
令子 | 「ありがとう。 よろしくね!」 | ||
弓 | 「おねえさまにお願いされるなんて…… あぁ、し・あ・わ・せっ! | ||
あなたたち、聞きましたわね? 特にシロさん、あなたは2〜3年かけて | |||
鍛えてあげます。 覚悟しなさいっ!」 | |||
シロ | 「ひぇ〜〜」 | ||
弓の授業終了後 | |||
シロ | 「やっと終わったでござる〜〜〜」 | ||
キヌ | 「お疲れ様〜」 | ||
シロ | 「あっ、先生ひどいでござるっ。 みんなと遊んでたんでござるなっ!? | ||
拙者も遊ぶ〜〜〜!!」 | |||
横島 | 「授業が終わったんなら、遊びの時間も終わりだよっ!」 | ||
シロ | 「先生のケチ〜〜〜〜、クゥ〜〜ン…」 | ||
雪之丞 | 「弓も戻ってきたんで、俺たち、帰るわ。」 | ||
横島 | 「もう、来るなっ!」 | ||
雪之丞 | 「さあな。 弓の気分しだいだな。」 | ||
弓 | 「伊達さん、当分の間、お願いね。」 | ||
タイガー | 「じゃぁ、あっしもこれで…」 | ||
一文字 | 「タイガーさん、送ってってもらえます?」 | ||
タイガー | 「えっ、ああ。」 | ||
キヌ | 「タマモちゃん、勉強のほうどうだった?」 | ||
タマモ | 「人間って、ずいぶん細かいことまで勉強してるのね。 | ||
とてもじゃないけど、すぐには覚えきれないわっ。」 | |||
キヌ | 「すぐに全部覚える必要はないのよ。 それに、弓さんは特別優秀な人だから、 | ||
あの人の言う通りにやってれば、学校に行かなくてもすごく勉強になると思うわ。」 | |||
タマモ | 「学校……」 | ||
令子 | 「さっ、あんたたち、今夜の仕事はこれからよっ。 | ||
悪霊が出るのは午前0時頃らしいから、帰りは遅くなるわね。」 | |||
タマモ | 「美神さん、私、今夜はここで勉強してたいんだけど…」 | ||
令子 | 「へぇ〜、さすがねっ! いいわよっ、しっかり勉強しなさいねっ! | ||
シロッ!あんたは?」 | |||
シロ | 「せ、拙者は、タマモと違ってGSになるのが目標でござるっ! | ||
だ、だから、そんなに勉強する必要が無いのでござるっ! | |||
ねっ、ねっ? 先生も勉強は苦手でござろう?」 | |||
横島 | 「こいつ、人をアホ扱いしやがって…」 | ||
令子 | 「まっ、シロには仕事の現場を見るのも、勉強のひとつだからね。 | ||
いいわよ、ついてらっしゃい!」 | |||
シロ | 「た、助かったでござるっ!」 | ||
屋根裏部屋で一人… | |||
タマモ | 「弓さんに勉強教えてもらうのもいいんだけど…… | ||
真友くん、小学校でどんなことしてるのかな… 行ってみたいな…」 | |||
数日後 キヌの部屋 | |||
人工幽霊 | 「おキヌさん、先ほどから男の子が事務所の様子を伺っています。 | ||
一号 | どなたかのお知り合いでしょうか? 霊波は認められませんが…」 | ||
キヌ | 「あら、ほんとだ。 お客さんかもしれないわ。 | ||
今日はお休みだけど、困っているなら助けてあげなきゃ。」 | |||
事務所の玄関 | |||
キヌ | 「こんにちは。うちにご用が有って来たんでしょ? 中に入ってお話聞かせてくれる?」 | ||
康則 | 「あっ!お、おキヌちゃん?」 | ||
キヌ | 「えっ? 私とどこかで会いましたっけ?」 | ||
康則 | 「い、いえ、あ、あの、デジャヴーランドのロボット…」 | ||
キヌ | 「あっ、あのお化け屋敷の… | ||
ロボットで知られるなんて、なんか嬉しいような、嬉しくないような… | |||
ま、とにかく事務所の中へどうぞ。」 | |||
康則 | 「は、はいっ」 | ||
事務所 | |||
キヌ | 「今日はどんなご用で来られたの? お姉さんに、お話ししてくれる?」 | ||
康則 | 「え、えっと、タマモちゃん……」 | ||
キヌ | 「あら?タマモちゃんのお友達っ!? ちょっと待ってね、呼んでくるから!」 | ||
屋根裏部屋 | |||
キヌ | 「タマモちゃん、あなたのお友達が見えてるわよっ!」 | ||
タマモ | 「えっ? 友達? 誰? 私に友達なんていないけど…」 | ||
キヌ | 「えっと、あら、お名前聞いてなかったわ…」 | ||
タマモ | 「……」 | ||
キヌ | 「メガネをかけた、小学生ぐらいの男の子なんだけど…」 | ||
タマモ | 「えっ? 真友くん?」 | ||
ドタタタタタタタ…… 階段を駆け下りるタマモ | |||
シロ | 「なんなんでござるか? タマモが血相を変えて走るなんて。」 | ||
キヌ | 「仲のいいお友達みたいねっ。」 | ||
シロ | 「拙者も、見に行くでござるっ!」 | ||
事務所 | |||
タマモ | 「真友くん!! 来てくれたのねっ!?」 | ||
康則 | 「タマモちゃんっ! あっ、ご、ごめん。タ、タマモさん…」 | ||
タマモ | 「もう…、ちゃんづけでいいのに。やっぱ、この姿じゃ気まずいのね。」 | ||
子供モードに変化するタマモ | |||
康則 | 「えっ、いや、そうじゃなくてもいいんだけど…」 | ||
タマモ | 「いいのよっ、真友くんが大きくなるのにあわせて私も大きくするから。」 | ||
キヌ | 「きゃ〜、タマモちゃん、かわいい〜〜〜!」 | ||
シロ | 「タマモッ!で、ござるか?」 | ||
タマモ | 「そ、そうよ……、紹介するわねっ。 おキヌちゃんとシロ、ここで一緒に住んでるの。」 | ||
康則 | 「はじめまして。真友…、いえ、康則です…。 名字は、もうじき変わっちゃうんで……」 | ||
タマモ | 「あっ、そうか…、じゃ、これから康則くんって呼ぶねっ!」 | ||
康則 | 「う、うん。」 | ||
シロ | 「康則どの、いったいどこでタマモと知り合ったのでござるか?」 | ||
康則 | 「あの、デジャヴーランドで…」 | ||
シロ | 「拙者と別れたあとでござるな? でもなんでタマモは、ちっこい身体に | ||
化けてるんでござるか? 理由がわからんでござるよ?」 | |||
キヌ | 「シ、シロちゃんっ!!」 | ||
あわててシロの腕をひっぱり部屋の隅へ連れて行くキヌ | |||
シロ | 「な、なんでござるか?」 | ||
キヌ | 「シロちゃん、だめじゃないっ! 康則くん、タマモちゃんのことを人間だと思ってるかも | ||
しれないんだから。 妖狐ってことが知られたら、タマモちゃん、かわいそうでしょ?」 | |||
シロ | 「うっ、そうでござった…」 | ||
康則 | 「あの、僕、タマモちゃんが人間でないってこと、知ってます…」 | ||
キヌ | 「えっ? 聞こえちゃった? 小さな声で話したつもりなんだけど…」 | ||
タマモ | 「……(苦笑)」 | ||
シロ | 「ホッ! 拙者のせいで、ばれたんじゃなくて、良かったでござる。 | ||
康則どの、ちなみに拙者も人狼で、普通の人間ではないんでござるよっ!」 | |||
康則 | 「そうなんですか。じゃあ、タマモちゃんとは仲間なんですね?」 | ||
シロ | 「まあ、そうでござるよ。 で、話は戻るけど、 | ||
なんでタマモは、ちっこい身体に化けたのか知りたいでござるよ。」 | |||
タマモ | 「うっ…。 VIPカードをなくしちゃって…。 子供料金なら半額でしょ?」 | ||
シロ | 「VIPカード? あぁ、そういえば、拙者、タマモのカードも持ってたでござるよ。」 | ||
タマモ | 「なにぃ? あんた、気付いたらなんで私を探さなかったのよっ!?」 | ||
シロ | 「だ、だって拙者、あのあとロナルドどのの後をついていったので、 | ||
カードを使う機会が無かったのでござる。 | |||
カードに気付いたのは事務所に戻ってきてからでござるもの…」 | |||
康則 | 「でもカードがなかったおかげでタマモちゃんと知り合えたんだ。 シロさんに感謝しなきゃ。」 | ||
シロ | 「そ、そうでござろう?」 | ||
タマモ | 「ま、そうね。 あ、こいつもちゃんづけでいいのよっ!」 | ||
シロ | 「こいつ呼ばわりは、ひどいでござるよっ!」 | ||
康則 | 「あははっ。 仲がいいんだねっ!」 | ||
キヌ | 「康則くん、おうちはここから近いの?」 | ||
康則 | 「えっと、電車で20分ぐらいです。」 | ||
キヌ | 「あら、それぐらいなら近いわね。 | ||
もしよかったら、タマモちゃんたちと一緒に勉強してみない?」 | |||
康則 | 「えっ?」 | ||
タマモ | 「あっ、それいいっ! 私、今、家庭教師に来てもらって、学校で習うことを | ||
ここで教えてもらってるのっ! 康則くんも、一緒に勉強しようよっ!」 | |||
康則 | 「う、うん。 塾とか行ってないから大丈夫だけど…」 | ||
タマモ | 「わ〜いっ! なんか、すっごく楽しみ! | ||
康則くん、学校のことなんか、いろいろ教えてねっ!」 | |||
康則 | 「うんっ!」 | ||
シロ | 「う〜、拙者、なんだかうらやましいでござるよ〜〜」 | ||
翌日午後 事務所 | |||
令子 | 「へぇ〜、君が噂の康則くんかぁ。 タマモが人間でないことを知ってて | ||
付き合ってくれてるのね。 ありがとうっ! | |||
このこに、人間の常識、教えてあげてねっ!」 | |||
横島 | 「なにせ、この人に人間の常識は通用しないから…ぶっ!」 | ||
横島血まみれでダウン… | |||
康則 | 「えっ? だ、大丈夫ですか?」 | ||
キヌ | 「心配しないでね。 ここではこれが、常識なの。 | ||
タマモちゃん、こんなのばかり見てるから、一般常識とずれちゃうの。」 | |||
美神・横島 「こんなの?」 (ムッ!) |
|||
キヌ | 「康則くん、タマモちゃんのこと、よろしくね。」 | ||
康則 | 「は、はい。」 | ||
弓 | 「それでは、始めますわよ。 お部屋にまいりましょう。」 | ||
弓たちが部屋に移動した後 | |||
令子 | 「あんたたち、弓さんの授業が終わるまで、ぼーっと待っててもしょうがないでしょ? | ||
せっかくだから、私がGSの仕事を無料で教えてあげるわっ!」 | |||
一文字 | 「えっ、本当ですか? 嬉しいっ!」 | ||
タイガー | 「あっしも、まともに習ったことないですケン。」 | ||
雪之丞 | 「ま、暇つぶしにはなるな。」 | ||
令子 | 「それじゃぁ、この資料を分別してデータベース化してくれる?」 | ||
書類の山 ず〜ん! | |||
キヌ | 「み、美神さん、これって業者に委託しようとして、見積もりが高くて | ||
あきらめてた仕事じゃないですか?」 | |||
令子 | 「そうよっ! でも、これもGSの仕事よっ。資料を見るのも勉強でしょ?」 | ||
雪之丞 | 「そいつは、ちょっとせこ過ぎるぜっ。バイト代が貰えるなら、やってもいいけどよっ!」 | ||
一文字 | 「アルバイトなら、私も喜んでやりますっ!」 | ||
令子 | 「わ、わかったわよ。 じゃあ、横島クンがここに来た当時の時給を払うわっ!」 | ||
一文字 | 「ありがとうございますっ!」 | ||
雪之丞 | 「時給255円…か。」 | ||
横島 | 「いや、それは昇給後の時給だ。 最初は250円だった…」 | ||
一文字 | 「……」 | ||
令子 | 「な、なによっ。 嫌なら、幽霊時代のおキヌちゃんの日給にまで下げるわよっ!」 | ||
一文字 | 「えっ? おキヌちゃん、横島より安い給料だったの?」 | ||
キヌ | 「えっ、ええ。日給30円だったの……」 | ||
一文字 | 「……」 | ||
弓の授業終了後 | |||
シロ | 「やっと終わったでござる〜〜〜。先生、また遊んでたんでござろう? | ||
あれれっ? 何やってるんでござるか?」 | |||
横島 | 「おまえ、勉強と事務仕事、どっちがいい?」 | ||
シロ | 「べ、勉強でいいでござるよ…」 | ||
タマモ | 「康則くん、ありがとう。 勉強、とっても楽しかったわ。」 | ||
康則 | 「僕も楽しかったよっ!」 | ||
弓 | 「康則くんのおかげで、シロさんに集中して教えることができましたわ。」 | ||
キヌ | 「どうやら、うまくいってるみたいですねっ」 | ||
令子 | 「そうね、シロもタマモも常識を身につけてくれそうで助かるわっ。 | ||
暇を持て余してると、何しでかすかわかんないからね〜」 | |||
横島 | 「二人とも若くて元気なケモノ系ですからね。 | ||
暇なときの美神さんは、ゴロゴロしながら金勘定するオバさん系…ぶっ!」 | |||
横島血まみれでダウン… 美神事務所での見慣れた風景… | |||
月日は流れて… | |||
3月のある日 美神事務所 | |||
令子 | 「あんたね〜、なんのために弓さんに来てもらってるのよっ! | ||
無茶言わないでよねっ!」 | |||
タマモ | 「別に無茶じゃないでしょ? 横島のとこじゃ、ピートだって通ってるし、 | ||
机妖怪の愛子ちゃんだって、いるんでしょ?」 | |||
令子 | 「彼らは、みなが存在を認めてくれたから、いられるの。 | ||
あんたは、存在自体が極秘なのよ? わかってるでしょ?」 | |||
タマモ | 「でも、人間の姿をし続ければ、ばれないわっ!」 | ||
令子 | 「あ〜もうっ! どう説明したら、あきらめてくれるのっ?」 | ||
タマモ | 「あきらめるつもりなんか、無いんだからっ!」 | ||
美知恵 | 「ずいぶんにぎやかね。何を揉めてるの?」 | ||
令子 | 「あっ、ママッ! タマモが中学校に行きたいってダダこねるのよ。 | ||
なんとか説得してぇ〜〜」 | |||
美知恵 | 「あら、いい考えね。 行かせてあげれば?」 | ||
令子・タマ | 「えっ?」 | ||
タマモ | 「わ〜いっ!康則くんと一緒に中学生になれるぅ〜〜!!」 | ||
令子 | 「こいつ、やっぱりそれが目的か…… | ||
でも、ママ、いったいどうやって…? この子の場合、妖狐ってことがばれたら困るのよ? | |||
人間ってことで通わせるしかないけど、戸籍とか偽造するわけ…?」 | |||
美知恵 | 「ああ、戸籍? 私の養子にすれば簡単じゃない。 | ||
そうね、パパが南米奥地で出会った日系3世ってことにすればいいわ。 | |||
常識不足も、外国で育ったってことで説明がつくしね。」 | |||
令子 | 「ママッ!本気?」 | ||
美知恵 | 「そのほうが、彼女にとっても人間社会になじめるでしょ? | ||
タマモちゃん、今日からあなたは、私の娘、美神タマモよっ!」 | |||
タマモ | 「美神 タマモ?」 | ||
令子 | 「そうみたいね…。 私の妹になるのよっ。 | ||
だから、私に恥じをかかせるようなことは、しないでよねっ!」 | |||
タマモ | 「恥ずかしいこと? そういえば『美神さん、お金に汚くて恥ずかしい』って、 | ||
おキヌちゃん言ってたわ。 そういうことをするなってこと?」 | |||
令子 | 「おキヌちゃんっ!?」(ギロッ!) | ||
キヌ | 「あぁぁぁ…」 | ||
横島 | 「あははは。 タマモの憎まれ口のききかたなんかは、美神家の素質十分ですよねっ。」 | ||
美知恵 | (ギロッ!) | ||
令子に殴られ、横島ダウン… | |||
シロ | 「なんか、タマモがうらやましくなってきたでござるよ… | ||
拙者も、中学校に通えるんでござろうか?」 | |||
令子 | 「あんたは、人狼の里にちゃんとした戸籍があるからね。 | ||
タマモみたいに出自を隠す必要もないから、GS本部から許可をもらえば、 | |||
なんとかなるけどね。」 | |||
シロ | 「拙者も、通ってもいいんでござるな?」 | ||
令子 | 「あんたの場合、小学校からのほうがいいと思うんだけど…」 | ||
美知恵 | 「シロちゃんも、中学校にいれてあげなさいよ。 | ||
タマモちゃんと上下関係になったら、かわいそうでしょ?」 | |||
令子 | 「わかったわよ、ママ。しょうがないわね〜 | ||
タマモは、康則クンと同じ公立中学校……じゃないと嫌なんでしょ? | |||
シロは人狼でも受け入れてくれる、六道女学院中等部になるわね。」 | |||
タマモ | 「わ〜い、ありがとう! 令子おねえさん!」 | ||
令子 | 「調子のいいやつっ!」 | ||
シロ | 「拙者、おキヌちゃんの後輩になるのでござるなっ? すっごく、嬉しいでござるよっ!」 | ||
横島 | 「おまえ、勢いで中学生になっちまったが、勉強嫌いだろ? 後悔するぞ…」 | ||
シロ | 「うっ…」 | ||
その日の康則くんとのデートで… | |||
タマモ | 「康則クン! 聞いて、聞いて! 私も、一緒の中学に入学するんだよっ!」 | ||
康則 | 「えっ?ほんと? すごいじゃんっ! 人間じゃなくても大丈夫なの?」 | ||
タマモ | 「ううんっ、違うわ。 美神さんちの養子になって、人間として入学するの!」 | ||
康則 | 「えっ? ってことは『美神タマモ』ちゃんになるの?」 | ||
タマモ | 「うん、そうよっ! これからは、人間のかよわい女の子として扱ってよねっ!」 | ||
康則 | 「か、かよわいのかなぁ〜」 | ||
タマモ | 「そっ。 とっても、かよわいんだから〜。 えへへへ〜」 | ||
事務所 | |||
令子 | 「…………」 ムッス〜〜〜 | ||
キヌ | 「ど、どうしたんですか? 美神さん…」 | ||
令子 | 「あいつら、中学校に通うんでしょ?」 | ||
キヌ | 「ええっ。とってもいいことだと思うんですけど、それがなにか?」 | ||
令子 | 「中学に行くってことは、高校にも行きたがるに決まってるわ。 | ||
つまり、これから6年間、学校に通ってるあいだは働かないのよっ! | |||
せっかく、助手として使えるようになってきたのに。 | |||
キィィィィ〜〜〜!!」 | |||
キヌ | 「……」 | ||
END |