GS美神 無限の中の一度
〜リポート02 フォトグラフ (その壱)〜
「ちわ〜っす。」
昨日からの新人のバイト横須賀が事務所に入ってきた。
「おはよう横須賀クン。
今日の仕事だけど、二件しかないから、結構早く終わるよ。
っと言いたいところなんだけど…、二件目の依頼で、人骨温泉で一泊しなきゃなんないの。
今から30分あげるわ、家で準備してきてね。」
横須賀は目を輝かせ(温泉…露天風呂…。)と胸をときめかせながら、アパートへ
そして、着替えの服やシャツなどを無理やりかばんに押し込んだ。
ちなみに、彼の部屋は、家賃30000円のボロアパートである。
「よし、これも持ったしあれも持ったしOKだな!」
そう言うとダッシュで事務所へ
「結構早いわね、これお願いね横須賀。」
そう言ってタマモはメモらしきも物を渡す。
「破魔札?神通棍?封魔札?何ッスかこれ?」
「見て分からない?
除霊に必要だから、車に積んどけってこと。
それに、ひのめあんたのために、わざわざ新車買ったんだよ。
ひのめに感謝しなよ!」
考えてみれば新車を買うのは当然である。
コブラは二人乗りなので、当然一人トランクに入らなければならなくなる。
「わかりました…。」
横須賀は、そう言って、駆け足で倉庫へ。
(倉庫って確かここだよなぁ?)
パチッ
電灯をつける。倉庫には、使用済み吸印札の入っている“GHOST HAZARD”と書かれた箱や、
お祓いを依頼されたいわくつきの品々が、無造作に置かれている。
(なんかいやだなぁ…。
とっとと済ませて行こう、確か神通棍4本と、破魔札20枚それに封魔札10枚だったよな…。)
一番奥の棚で、破魔札と封魔札を見つけ、神通棍はその横の棚で見つけた。
そして、倉庫から出る。
(ウッ、なんだよこの倉庫は…。きみの悪い物だらけじゃねえか!!これで、全部だよな…。)
さっきタマモに渡されたメモを見る。(!)
(そんなのありかよ!?裏にも続いているなんて反則だろ。
チクショー!?また、あの倉庫に逆戻りかよ…。霊体ボウガンとその矢5本か…。)
ちなみに霊体ボウガンとは、矢に霊体を攻撃できるよう仕掛がしてあるのだ。
横須賀は、しぶしぶ倉庫に入っていく…。
(ええっーと、霊体ボウガン、霊体ボウガン…。)
さっきの棚の隣の棚で、霊体ボウガンを見つける、矢は棚の上に…
(あったあった、ボウガンってこれだな。あとは矢だな、チッ!あんなところに…。
ジャンプすれば届くかな?)
「ヨッ。」そう言ってジャンプしたその時…
ガチャン ガラガラガラ・・・
矢を取った拍子にその上の荷物が崩れてきた。
(あっ、あぶねー!!ちきしょー、こんな、きみわりいとこ早く出たいのに!)
荷物をかたずけようと、手をかけた、ふとその中のひとつに目が行く
(あれ?この写真…。でも…そんなはず…。)
〜20分後〜
「横須賀…、横須賀!こら、起きな!」
タマモの声で目が覚めた。
「予想どうり、あんたどじだね〜、遅いと思って来てみたら、
落ちてきた荷物の下敷きになって、気絶してるんだもん。」
「どうも、すいません。(いや、違うオレは荷物の下敷きになって気絶したんじゃない。
確か、夕日…?そうだ、写真だそれを見たら急に…。)」
「それより、行くよ!もう、準備できてるんだよ!」
横須賀は、ガレージへいそぐ。
「横須賀、おそい!」
「すいません。」
「それより、早く乗って、行くよ!」
そう言ってひのめは、いつもどおりの荒っぽい運転で車をだした。
「一件目は、タマモにまかせるから見学するなり、寝てるなり、何しててもいいよ。」
「ひのめさん、思ったんですけどタマモさんいませんよ。
それに、どうでもいい事かもしれないんですけど、オレの隣にいる、
高級っぽい狐と雑種っぽい犬は何なんです?
それと、もう一つ、さっきから、ひのめさんずっと手放しですよね…。」
「話すの面倒だから、蛍香、教えてあげて!」
ひのめに言われ、蛍香が説明し始める。
「ええっと、まず車の事なんですかど、人工幽霊壱号…分かりやすく言うとAIが動かしてます。
人工幽霊壱号は普段は事務所にいるんですけどね…。
あと、その狐と犬は、タマモさんとシロです。」
「どういうこと?車のことは分かったけど、
この、狐と犬が、タマモさんとシロ?」
そうこうしてる間に現場につく、そこには、大きな屋敷が一件。
横須賀が車のドアを開けると、狐と犬は車から降り、そして、狐はタマモに、犬はシロに変化した。
タマモとシロはすかさず声をそろえて言う。
「こういうこと。」
「こういうことでござる。」
すると、横須賀は納得し満足そうな顔でいう。
「これで謎はすべて解けた!!」
シ―――ン辺りはいっそう静まり返る。
「横須賀どの、ネタが古いでござる…。」
一方、タマモはそんな事は無視
「ひのめ、いちおう聞くけど本当に全部焼いちゃていいの?」
「いいに決まってるじゃない、タマモ。」
「わかったわ。(ざっとみて100か。)」
そういうと、タマモは、無言で右てのひらを前に向け、念をこめる。
ボゥ ゴォォォォ
車の周りだけをきれいに避けて、辺りを青白い炎が包み込む。
(スゲー!!これじゃぁ、うかつに蛍香ちゃんに手出しできないぞ!?)横須賀はそう思ったのだった。
〜三分後〜
タマモが念をこめるを止める。
炎のあとは、辺り一面焼け野原そこにあった大きな屋敷もあとかたもない…。
「ひのめ、本当にこんなにしても良かったの?」
「いいに決まってるじゃない、むこうは“ついでに建物も取り壊して頂ければ+2000万出します”
って言ってたしね…、でもさすがタマモね、私だったら、こんなことしたら、息切れちゃうわ。」
タマモは、無言のまま、狐形態に変化し、車に乗るシロもそれに続く、
そのあと横須賀がドアを閉めた。
「じゃあ行くよ、次はここからだと、4,5時間はかかるから着くのは四時か五時ね、
まあ、その間楽にしてていいから。」
(温泉…、温泉…、露天風呂…、)「未知なる世界がオレを待っている!!。」
ギロッ
ひのめが横須賀をにらみ付ける。
(しまった、声にでた!?)
「横須賀・ク・ン・蛍香に変な事したら手加減しないからね…。」
「わ、わかってますよ…。」
〜4時間後〜
「蛍香、横須賀クン、着いたよ。」
「すいません、ねっちゃてたみたいで…。」
「べつに、それはいいけど…、シロが…。」
シロは横須賀が眠ってた間、ずっと枕代わりにされていたようだ。
だいぶ、弱っている。
横須賀が、ドアをあけると、いつもどうり、車から降り人間形態に。
シロは泣きそうな顔をして、言う。
「横須賀どの、ひどいでござる、ひどいでござるよ〜!
いくらせっしゃが気持ちいいからといって、狼形態のときに枕にしないでござるよ
人間形態のときならいいでござるが…。」
そして、自分の言った事にきずき赤くなる。
(あれって、犬じゃなくて、狼だったのか。)そう思いつつ横須賀も赤くなる。
「横須賀クン、シロとじゃれてないで、行くよ!」
ひのめに言われ、一緒に石段を登っていく。
百段近くは登っただろう、やっと鳥居だ。その、大きな鳥居の横には、
碑があり“氷室神社”と彫られている。
ひのめが鳥居をくぐる
バチッ
「ウッ」ひのめは後ろへ飛びのいた。
ちょうどそこへ、この神社の巫女らしき人物がくる。
それを見つけるなり。
「ちょっと、あんた!ここは、いつもこんな強い結界をはってあるの?」
「いえ、そんな事はないんですけど…。
それより、あなた方は、美神除霊事務所の?」
「ええ、そうよ。」
「ちょうど、よかった。中へお入りください、今結界を切りますから。」
その巫女について、中に入っていく、その途中タマモはひのめにささやいた。
「ひのめここ、もう一つ結界がはってある、
対妖怪の結界だから、人間には何ともないみたいだけど、妖怪の私やシロにはかなり辛いわ
霊力を下げる結界みたい、しかも、この結界の中じゃ体力と霊力、回復させてくれないみたい。」
「………。」
ひのめは黙ったままだった。
ひのめは、もうそのときから気配を察していたのかもしれない。
「申し遅れましたが、私は、氷室 早苗です。
さっそくですが本題に入りましょう。
あなた方をよんだのは、“しずもひめ死津喪比女”そう32年前に、美神 令子さんたちによって、
退治された地霊です。今になって、それがどういう分けか復活したのです。」
ちなみに地霊とは、大地に棲む精霊
…あるいは地脈からエネルギーを吸い取って生きている妖怪のことだ。
「けど、私のみる限りあなたもかなりの霊力の持ち主じゃない、
GSのなかじゃ上の下ってとこね。
あなたの実力なら、Bランクの妖怪ぐらいなら難なく倒せるはずよね。
そのあなたが助っ人を呼ぶぐらい妖怪ならAランクより上って事でしょ。
理論上から考えて、単体の妖怪でAランクより強力な妖怪が発生するためには、
魔族によって作られるか、または封印が解かれるか…。
その死津喪比女って妖怪が地霊って点から考えると、封印が解かれたとみて間違いないわよね。」
「さすが、美神除霊事務所の人間ですね、話す手間がはぶけました。
そう、あなたがおっしゃったとうり死津喪比女は封印されてました。
その封印を解いたのも、美神・美神令子…。
話せば長くなりますが300年前の元禄のころ話です。
死津喪比女のせいで、土地は荒れ、困った藩主は高名な道士を招いて死津喪比女の退治を依頼しました。
しかし、退治は不可能ではありませんが、敵は強い…、退けるには大きな代償が必要です。
その代償とは、人身御供です。道士は妖怪を封じる装置を作り、それを作動させるために一人の巫女を
地脈の要に捧げました。
その巫女が、かつての美神除霊事務所で、助手をしていた、私の義妹、氷室 キヌです。
それを、美神さんが地脈と切り離したせいで、作動不良をひきおこした。
そして、死津喪比女は生き返った。」
「それを、姉さんたちが倒した。」
「はい、それがまた…。
私が聞くには死津喪比女は植物からなる妖怪だそうです。
それでは、今日は、もう遅いですので、今夜はゆっくり休んでください。
部屋の用意はできていますので。それと、神社の裏には温泉もありますんで、よかったらどうぞ。」
そう言うと、早苗は5人を部屋に案内する。
「この2部屋しかありませんが、くつろいでください。
じゃ、私はこれで。」
ひのめは、すかさず言う。
「シロと横須賀クンがあっちの部屋で、私たちはこっちの部屋ね。
横須賀クン変な気おこすんじゃないよ、焼き殺すよ!!
今から私たち温泉入ってくるから、その間に荷物はこんどいてね。」
ひのめたちは温泉へいってしまう。
「せっしゃ、横須賀どのを手伝うでござるよ。」
シロは横須賀に着いて車へ。
それから、横須賀は荷物をはこびながら言う。
「なあ、シロ横島って人どんな人だったんだ?」
「そうでござるなぁ、見た目は横須賀どのにそっくりだったでござるよ。
横島先生は、せっしゃのしるかぎり世界一のGSでござる。」
そんな事を話しながら、荷物を運んで15分、やっとのことで荷物を運び終えた。
そして、二人は部屋で、再び話はじめる。
「横須賀どのと一緒にいると死んだ横島先生といるみたいでござるな…。」
「なんだよ突然、涙ぐんでよ、お前らしくないぞ、シロ!」
「横須賀どの…。」
シロは横須賀に抱きつく。
横須賀は赤くなりながらもシロにそっと手をかける。
「横島って人の話もっと聞かせてくれないか…。」
その後10分少々
「横須賀クン、荷物ちゃんとはこんどいてくれた?」
「はい、そこに…。」
「ありがとね。
シロ、結界のこともあるし、死津喪比女は、そうとう強いみたいだから気ぃつけなよ。
それから、横須賀クン、一様破魔札ぐらいは持っとくといいわ、
あれは霊能力がない人間が使っても、目くらましぐらいにはなるから。
それと、明日二時から仕事始めるから、それまでは好きにして、ていいよ。」
「ありがとう、ございます。」
そのあとすぐ、横須賀は床についた。
(死津喪比女…。キヌ…。
なんかなぁ聞いた事あるんだよな。確かこういうの、デジャブって言うんだっけ…。)
〜翌朝、朝食後〜
(部屋にいてもしょうがないや、その辺ブラブラ行くか。)
部屋の布団をたたみ、なにげなく境内に出、石段を下る。
「横須賀さん!散歩ですか?
ちょうどよかった、私も行こうと思ってたんです。この際一緒に行きません?」
「あっ…、蛍香ちゃん。
いいよ、ぼくなら大歓迎!(ブラブラがラブラブか…。)」
「じゃあ、行こ。」
「あのさぁ、蛍香ちゃん、おねがいがあるんだ。」
「何で?」
「オレに敬語使うのやめて欲しいんだ…、
だって変だろ年が同じなのに、敬語で呼ばれるなんて…。」
「そうだね…。良く考えてみたら変だよね。
それより、行こ、横須賀!」
「そうだな、じゃあいくか!!」
「うん…、(うでくんじゃえ。)エイッ!!」
(冬だけど人生の春――!
でも…こんなところ、ひのめさんやタマモさんに見られたら間違いなくオレ焼き殺されるな(汗) )
そのころ残りの3人は…。
ひのめは、朝風呂。
タマモは御神木の上で昼寝。
シロは一人で散歩。
未知なる敵を前にして、この余裕はいったい?
〜午後1時50分〜
「検鬼くんで調べたところ死津喪比女はこの先の、洞穴にいるみたいなの。」
ひのめは言った。
ちなみに“検鬼くん”とは幽霊や妖怪などの霊波をキャッチするレーダーのようなものだ。
見送りに来ていた早苗がそれを聞いて言う。
「その洞穴は、死津喪比女を封じた装置がある洞穴です。」
「そうなの、やっぱりバカなんだ死津喪比女って、
今の時代、人身御供なんてできないからその装置もうただの役立たずなのに
作動させないよう守ってるんだ。早く逃げればよかったのにね。
それより、みんないる?
じゃあ、早苗さん行ってくるわね。」
「お気を付けて。」
ひのめ・蛍香・横須賀・タマモ・シロの5人は、死津喪比女の居る洞穴に向かう。
「蛍香、別にいいんだけど、今まで何してたの?」
「(ウッ)別に…。」
「ならいいんだけど…。
タマモ・シロ、この結界の中じゃ、霊力落ちてるし、
それに、体力と霊力回復できないんでしょ。気を付けなよ。特にシロね!」
「分かってるでござるよ…。」
そして、洞穴まであと200mって時だった。
「(来る…。)来るよ!!」
バサッ×10
林の両端から、バル○ン星人みたいな妖怪計10体、5人めがけ襲いかかる。
ひのめは、とっさに胸の精霊石のペンダントを投げる。
「精霊石よ、お願い!」
バシュー
辺りに閃光がはしる。
しかし、10体のバル○ン星人はひるむことなく襲ってくる。
「ちょっと、全然効いてませんよ〜!」
「そっか、こいつら目を封じても、触覚があるんだっけ。」
「関心してる場合じゃないですよ。」
そうこうしてる間に、バル○ン星人のうちの2体が蛍香と、横須賀に襲いかかる。
それに驚いた横須賀は、ズッコケル。
「蛍香!?」
それに気ずき、とっさにタマモは
両手のひらから青白い矢のような火を放ち、ピンポイントで命中させる。
その青白い矢のうち1本は、バル○ン星人の胸を貫き、偶然にもその後ろの一体にも命中する
もう一本は一体を貫き林の中に消えていく。
「今のやばいですよ、山火事なんかになっちゃたら…!」
横須賀が、そんな面白くもないボケをかます。
――と、蛍香が心配そうな顔をして駆け寄る。
「横須賀、腕…。血出てるよ。」
「あっ、これねさっき転んだときすりむいたんだ。大丈夫大したこと無いって。」
そんな横須賀に無言で赤のバンダナを傷に巻く…。
「ありがと、蛍香ちゃん…。」
残り7体
「ウッ、ひのめ、この結界思ってた以上にやっかいだわ。
今の技だけで、霊力の三割ほどなくなったわ。(この結界の中じゃ私じゃ限界ね。)」
しかし、敵は攻撃の手を緩めてはくれない!
「しまった!?囲まれた!
ひのめ、こうなったら私の全霊力で狐火を仕掛ける。
この体勢なら確実に4体はいけると思う。
ひのめ、あとを頼むよ!」
タマモは一歩前へ行き、右手をおデコにあて、霊力を集中させる。
タマモの九つに束ねた髪が、フワッとなびく。
全身からすさまじい青白い妖気のオーラが立ち上る。
それをすべて、手のひらに集める。
「うせな!!!」
オーラを纏った右手から炎が放たれる。
その炎は渦となり敵を飲み込む。
「あと…まかせたよ…。」
タマモは、その場に倒れた…、変化が解け狐形態に…。
残り3体
「シロ、一気にかたをつけるよ!!
火の精霊たちよ!すべてを焼き尽し、浄化する聖なる炎となり、
全ての悪しき魂を浄化せよ!!」
バシュー、ボンッ
ひのめ一体を、倒し、
もう一体はそのまきぞえをくらい、片腕がもげ、倒れた。
もう一体が、後ろからひのめを狙う。
「貴様の相手はせっしゃでござる!」
ズバッ
シロは、霊波刀で、一刀両断にする。
霊波刀とは、その名のとうり霊波の刀である。
(ウッ、タマモの言ったとうりでござる…。
この結界の中じゃ力が思うようにでないでござる…。)
「これでとりあえずは、終りね。シロ、よくやったわ。
(それより、早く行かないと…。タマモが、心配だわ。)行くよ!」
バッ
歩きはじめた時だった。
ひのめの一撃で死んだと思っていた一体が、蛍香と横須賀めがけ襲いかかる。
(しまった、とどめをさしとくんだった!?ダメだ間に合わない…。)
蛍香は、覚悟を決め、目を閉じた。しかし、何も起こらない。
(あれ…、どうなったの?)
恐る恐る目を開く。
目を開くと、そこには、顔面に破魔札が貼りついた妖怪の姿があった。
それは、昨夜ひのめに言われ、たった一枚ポケットに入れておいた破魔札だった。
ボフッツ
次の瞬間、破魔札が起爆
威力は、全然だが、当たり所がよかった。妖怪の顔が吹き飛ぶ。
(やったか…。)
「こんどこそ、終りね。
横須賀クンよくやったわ。
蛍香、霊力使い果たして動くけないみたいだからタマモをおねがい。
じゃあ、またあんなにでてこられたらヤだから走るよ!」
検鬼くんで妖怪反応があった洞穴の前まで走る。
「いよいよ、死津喪比女とやらにご対面ね。
横須賀クン、霊体ボウガンかして。」
横須賀はいわれたとうり霊体ボウガンを取り出しひのめに渡す。
「行くよ。」
霊体ボウガンを構えたひのめを先頭に入っていく。
入って20mぐらいから急に広く天井も高くなっている、まるでホールのようだ。
そのホールの中心には、石でできた球型の呪的装置のようなものが。
「どうやら、ここが最深部みたいね。
どうやらこれが、早苗さんの言っていた死津喪比女を封じていた装置のようね。」
「さすがに、察しがはやいのう。
ここまで来たからには生きてかえさんぞえ。」
ナゾの声と共にさっき倒したバル○ン星人3体と、その声の主と思われる者が現れる。
「あんたが死津喪比女ね!
わたしに会ったからには、覚悟しなさい!
このゴーストスイーパー美神 ひのめが極楽へ行かせてあげるわ!!」
バシュ バシュ
2連射で妖怪を射る。
矢は1本ずつ二体に刺さり、刺さった者の動きを封じ、最後には消滅させる。
(悪いね、ザコはめざわりなんだ。矢はあと3本何とかなりそうね。)
その間、シロはバル○ン星人1体を切り裂く。
そして、ひのめは死津喪比女にボウガンを向ける。
「これで優位が逆転したわね。
あなたを、殺す前に一つ訊きいておきたいの。
あなた、なぜ妖怪なのに、この結界の中に居ても平気なの?」
「単純なことぞえ、わしは地脈からもエネルギーをとる事ができるんだぞえ。」
「ふ〜んそうなの…。これで、あなたはもう用済みだわ!極楽へ行かせてあげるわ!」
バシュ
死津喪比女を矢で射る。
(案外、簡単だったわね…、(!!))
「しょせんは、人間が作った武器、口ほどにもないわ!!」
そう言って、死津喪比女は矢を引き抜く。
(やっぱり、ただの霊体ボウガンじゃ無理みたいね…。矢は残り2本か…。)
そして、再びボウガンをかまえた。
「火の精霊たちよ!
この矢に宿り当ったったすべての悪しき存在を焼き払う矢と化せ! 」
霊体ボウガンの矢が、赤いオーラを帯びる。
「今度こそ、極楽へ!」
バシュ バシュ
2連射で放った矢は、死津喪比女の体に刺さった瞬間爆発、炎上する。
草の妖怪だけあって良く燃える。
「ひのめさん、終わった?」
ずっと黙っていた蛍香が始めて口を開いた。
「まあね…。
シロ何してるの?行くよ!」
シロは、その時から気付いていたのかもしれない…、地中に潜む何ものかの気配に。
バキッ ドン ゴロゴロゴロ
ひのめは、何者かから攻撃を受け、地面にたたきつけられ気絶してしまう。
「花を1輪つまれて痛かったぞえ。」
「貴様、生きていたでござるか!」
シロは霊波刀を構える。
「覚悟するのえはそっちだぞえ。」
10体いや13体の死津喪比女が,あらわれる。
シロはひのめがやられ、頭に血がのぼっているせいか、何も考えずに切りかかる。
しかし、結界のためか思うように力がでない!?
シロの霊波刀は、あまりにあっけなく弾き返される。
(ウッ、もう霊力が…。)
バサッ
「シロっ!?お前まで動けなくなったら俺たち、どうすりゃいいんだよ!!」
泣きそうな表情で叫ぶ横須賀。
「さぁて、邪魔者もいなくなったことだ、
その娘をいただくかえ。」
一体の死津喪比女が蛍香に襲いかかる。
「させるか!!」
バッ
横須賀が盾になり蛍香をかばう…。
(横須賀…!?)
蛍香が思った瞬間、横須賀はあまりにもあっけなく弾き飛ばされる。
「ウッ…、蛍香ちゃん…。」
「心配するな…、この娘を食ったあとでお前も殺してやるえ。」
死津喪比女は、蛍香を束縛し笑いながら言った。
(けい・か…ちゃん。
オレは二回も、お前を見殺しにしてしまうのか…。
………えっっ、二回?)
「さっそく、頂くとするかえ。」
死津喪比女が、蛍香の首もとに牙をもっていく。」
「やめてくれ…、やめてくれ…、やめろー!!」
ザンッ
死津喪比女の首がはね飛ぶ。
その、血しぶきを浴びた蛍香は、恐る恐る目を開ける、
(うっ、キモ…、
それよりいったい何が起こったの…?まさか…横須賀が?)
横須賀は呆然と立ち尽くしていた…。
(何だったんだ、今のは…。
確か、急に手のひらが熱くなって…。それから、無我夢中で…。)
「横須賀先生…。」
シロは、動くことは出来ないものの辛うじて意識は保っていたようだ。
耳を澄ましても聞こえないぐらい小さな声でいった。
その横須賀は、額に蛍香だ腕に巻いてくれた赤のバンダナをし、
死津喪比女に弾き飛ばされたときにオールバックだった髪はその姿は、横島忠夫そのもの…。
「オノレ…、青二才が!」
残り12体の死津喪比女のうち一体が、横須賀を触覚(?)で殴り飛ばす。
バキッ ダン
「横須賀っ!?」
再び地面に叩きつけられ気を失う横須賀。だが…、すぐに起き上がる。
「さっさと、うせな!このくされ妖怪!!
ハンズ・オブ・グローリー!!」
すると、横須賀は霊気を纏った右手で、さっき自分を殴った死津喪比女に襲いかかる。
「………。」
ズバッ バキッ グジャ……
流れるような華麗な動きで、
一体を原型も留めないほどメタメタに引き裂く。
(横須賀?いや、違うこれは、横須賀じゃない…。じゃあ一体?)蛍香は思った。
横須賀は笑いながら残りの死津喪比女を見た、その返り血で、染まった顔はまるで…。
「まだいたのか…、早く逃げればいいものを。」
「言ってくれるのう、こぞうが、なめるんじゃないぇ。」
「じゃあ、死ね。」
横須賀は、狂気に満ちた笑顔で、残り11体の死津喪比女の群れの中に飛び込む。
その瞬間、霊気を纏った右手を握りしめ、右ストレート
一体は、防ぐ間もなく顔面を潰される。
「ハハハッ!」
今度は狂気に満ちた笑い声を上げ、霊波刀を繰り出す。
その、一瞬の隙をつき、3体が攻撃してくる、辺りに砂ぼこりが立ちこむ。
バキッ ズバッ キンッ
その音を聞いた残り7体の死津喪比女が言った。
「ヘッ、たわいもないのう、しょせんこの程度かえ。」
しばらくし、砂ぼこりが消えようとしたとき。
「本当、たわいもないな、テメエらにわがっかりさせられたよ。」
横須賀の声と共に砂ぼこりがおさまり、中から引き裂かれた死津喪比女3体分の肉塊が現れる。
「ばかな、さっきのひのめとか言う奴ならともかく、
おまえに、そんな強い霊力が出せるはずないぞぇ!?」
「知るかよ…、そんな事言ったって…。」
「………。」
「がっかりしたよ死津喪比女、もう死んでいいぜ!」
横須賀は走りこむ、そして、次々と、切り刻む、悪魔のような笑みを浮かべながら…。
「ハハハッ!」
ズバッ バキッ キンッ
「ハハハ。」
ズバッ バキッ グジャア
「テメエで最後だ、死ね!」
「いくらわしを、倒しても本体は地中だ、いくらお前でも手出し…」
グジャア
「バーカ、わかってるよそんな事。」
そして、ハンズ・オブ・グローリーを、巨大な手の形にし、地面につきさす。
なにやら、地面から、芽じゃなく目のついた球根のような物をひきずり出す、
それは、直径4mは優にある。
「貴様の本体ってこれだろ、死津喪比女さんよ。
潰れちまいな!!」
メキメキ… グシャ
ハンズ・オブ・グローリーで死津喪比女の本体である球根を握り潰した。
「ヘヘヘッ、楽しかったなぁ、死津喪比女。」
その一部始終を見ていた蛍香は…。
(怖い…。こいつ横須賀じゃない。
横須賀、何も考えずに死津喪比女を引き裂く事を楽しんでいた。
何か、悪霊や化け物と同じ感じがした…。
確か、私を助けたあと、死津喪比女に殴り飛ばされた時ぐらいから…。)
それから、蛍香は横須賀に向かって叫ぶ。
「横須賀。もう敵はいないよ。
もう戦わなくたっていいんだよ。お願い…。」
「ル・シオ・・ラ?」
ドサッ
横須賀そう一言、言うと気を失い倒れる…。
TO BE CONTINUED