GS美神 無限の中の一度

〜リポート04 フォトグラフ (その参)〜


〜翌日〜
横須賀が目覚めるとそこには誰もいなかった…。

「しまった!寝すぎた!?」

急いで服を着替え、布団をたたむと修行場へ…だがそこには誰もいない…。

「横須賀さん!」

――と、後ろから小竜姫の声、とっさに後ろを振り向く。

「あっ、小竜姫様…すいませんオレ寝過ごしたみたいで、
それで蛍香ちゃんたちはどこに?」

「今、応接室にいますよ、案内します。」

急ぎ足でそこに向かう小竜姫と横須賀。
ガチャ
ドアを開ける横須賀…。

「おはよーッス!
    あれっつ?タマモさんとシロは?」

「タマモとシロなら“昨日の修行の続き。”とか何とか言ってパピリオについていったわよ。」

「さっそくですが、修行を始めたいと思います。
    それで、ひのめさん時間がかかると思いますんであなたも二人と一緒に
パピリオにけいこ付けてもらって来てはどうでしょうか?」

「そうね、そうするわ。」

そう一言いい残すとひのめは、タマモたちのいる修行場へ向かう。
いったいどの位の距離を歩いただろうか?屋内とは思えない長い距離を経てやっとたどりつく。
ガチャ
ドアを開けるとそこは昨日と同じく異空間の修行場、だが荒野が広がっているのではない…。
濃紺のまるで大宇宙を感じさせる光景が広がっている。
ドアの前の魔法陣では…丁度、タマモがパピリオと組んでいた。
それが終わるのを魔法陣のよこで座って見ているシロに問い掛けるひのめ。

「どうシロ?」

「歯が立たないでござる…。」

「もう戦ったの?」

「何回も。
あの強さじゃ、せっしゃとタマモが二人でかかっていっても勝てないと思うでござるよ。
もう少しで交代だから、ひのめどのも組んでみるといいでござる。」

「そうするつもり。」

魔法陣の中で戦っているタマモは珍しく神通棍を使っている。
使い慣れてないせいかその太刀筋は、パピリオにことごとくかわされる。
タマモは頭に来たのか神通棍の出力を上げ、さらに斬りつける。
――と一瞬の隙に左手から霊波刀のようなものを出す「セイッ!」それを右下から斜めに上に振り上げる。
その切っ先はパピリオの髪をかすめ、切れたそれが中に舞う。

「フェ、フェイクですか…。やりますね、でも二度目はありませんよ。」

そう言ってパピリオも霊波刀のようなものを出す。
そして、地面に足をつけはしりこみ振り下ろす。
それを神通棍と霊波刀の二本の剣で受け止めるタマモ。
バチバチバチ
三本の剣が交わった瞬間すさまじい重圧が二人にかかる、二人とも後ろへ弾き飛ぶ。
パピリオは空中でふわりと一回転し着地し、タマモは地面に倒れそしてよろけながら立ち上がる。

「タマモ交代の時間でござるよ。」

魔法陣の外に出、空を眺めるように仰向けにねころがり荒い息を立てている。
タマモと入れ違いにひのめが魔法陣に入る。

「おねがいします。」

「分かりました。」

そう言ってパピリオは構える。
何もしてないのにものすごい圧迫感がある…。

「一応聞いとくけど、何でもありよね?」

「そうですね、ずる以外はいいですよ。」

ひのめも構える…。しばらくどちらも動かず、膠着状態がつづく。
しばらくして、パピリオが口を開く。

「そちらからかかって来てくれて結構ですよ。」

「言ってくれるじゃないの、そうさせてもらうわ!!」

パピリオのその言葉にムッとした声で答えると、神通棍片手に走りこみ左から右に真横に切る。
それを、ヒラリとかわし空中に飛び上がるパピリオ。

「甘いですね。」

「甘いのはあんたよ!」

空中のパピリオに破魔札を投げつける。

「こんな札きかないわよ!!」

それを弾き返そうとするパピリオ――とその時。

「残念賞〜〜!」

その声と同時に破魔札が起爆!!
それもハンパな威力じゃない…。爆風が消え去った後空中に破魔の文字が青白く浮かび上がる…。

「どう?破魔札の威力を私のパイロキネシスで増幅させたの。
      少しはきくでしょ…。」

「少しはやりますね…でも敵の最後を確認するまで油断してはいけませんよ。」

「!!!」

きずいたときにはもう遅かった…。
背後からパピリオの攻撃をもろに受け倒れる。

「まだまだですね。今の攻撃は完璧にヒットしました、
      しばらくは立てませんよ…。」

「いえ、まだまだいけるわ…。
      負けてなんかいないんだから…。」

ひのめは立ち上がる…。

「ひのめどの交代の時間でござるよ。」

「“交代”ってどういうこと?」

「10分交代のいんたーばるトレーニングでござるっ!
  あれっ、言わなかったでござるか?」

「みなさん、調子はどうです?」

――とそこに小竜姫が来る、それに続いて横須賀と蛍香が来る。

「あれっ?もう終わったの?まだ15分もたってないわよ。」

「はい、こっちの世界では話をしただけで
    修行は異界で行いましたから…。二人にとっては結構長かったと思いますよ…。」

「そう…。
  で、修行は終わったのね。」

「いえ、まだ一つ残っています…。」

「――というと?」

「実戦訓練です。」

「じゃあ、さっそく始めましょうよ。」

「分かりました、それでは横須賀さん蛍香さん魔法陣に入ってください。
    その間みなさんは見学でもしててくださいな。」

二人は魔法陣に入る…。
その顔は昨日よりは明らかに成長しているのが分かる。

「準備はいいですね。装甲剛練武(よろいゴーレム) 銃過刀羅守(リボルバーカトラス) 」

魔法陣の中の二人に対面する形で鎧を纏い大きな剣を持った騎士のような剛練武と
背中に大きなライフルを背負った過刀羅守が現れる。

「二体ともパワーがかなり高いので気をつけてくださいね。」

「横須賀来るよ!?」

「分かってる蛍香ちゃん!」

装甲剛練武は見た目からは想像できない速さで襲いかかってくる。
それをヒラリとかわす蛍香。そして、詠唱を唱えながら空を縦横に切り始める。

「臨、兵、闘、者、か――――。」
だが、それは銃過刀羅守の格好の標的に…。
ダンッ
詠唱を終えるより早く銃過刀羅守のが放たれる。

「ワッ!」

体勢を崩しながらの何とかよける蛍香。

「横須賀―!私はあの大砲ヤローをやる、ゴリラ騎士はまかせたわよ!」

「分かった、まかせろ!」

走りこむ蛍香、迎え撃とうとする大砲ヤローこと銃過刀羅守…右手の刀を振りかざす。
それを察知し、後ろに引く蛍香――で再び詠唱を始める。

「臨、兵、闘、者、皆―――」

その途中銃過刀羅守の主砲が放たれるが、必要最低限の動きでそれをかわし詠唱を続ける。

「――、陣、裂、在、前  破っ!」

空を切り終えた後“破”と同時に左下から右上に切る。
その瞬間蛍香が切った縦5本横4本の筋は、光の筋と化し銃過刀羅守に向かう。
9本の光の筋は当たった者の動きを強力に封じる。
銃過刀羅守が動こうとしても、火花が少し散るだけで何もおきない。

「小竜姫、何?あの強力な封魔の術は!?」

蛍香の術に驚いたひのめは小竜姫に問い掛けた。

「あっ、あれですか。
  あれは陰陽道の《九字》別名《ドーマン》の応用です。
            封魔札なんかよりずっと強力ですよ。」

ところで横須賀の方はどうなったのかというと…。

(ちきしょー、“まかせろ”って言ったのはいいけど、
    こいつ見た目のわりにメチャメチャはえぇ!?これじゃあ術を使えねぇ!?)

ゴリラ騎士こと装甲剛練武はその大きな剣を容赦なく振り下ろしてくる…。
それをなすすべなくよける横須賀…。振り下ろされた剣は地面の岩を砕く。
何とか、スキを作ろうと間合いを開けてみる、しかし、当然のことながら装甲剛練武も動くため
間合いは変わらないまま…。
カコン
何かが装甲剛練武の動きにスキを作る。

「臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前  破!」

蛍香と同じ術を放つ…。

(やったか…。
  とっさに思いついてよかったぜ、こんなもんでも弱点に当てれば
              スキを作る事ぐらいには使えるってことだな…。)

その横須賀が使った物…それは装甲剛練武が剣で壊した地面の岩の破片だった。

「(横島さんの生まれ変わりだけあってこういう裏技は美神さんゆずりですね)
   では、二人とも次で最後ですのでがんばってください。
   次はさきほど教えたもう一つの術をつかってください。」

「はい。」
「わかりました。」

「装甲剛練武 銃過刀羅守。」

小竜姫の声と共に二体は溶け込むように合体する。
(あーあまたごつくなっちゃたよ。)
メチャメチャごつくて武器いっぱいの化け物を想像してくれるといいだろう。
蛍香と横須賀は詠唱を始める。

「・・・・・・・・・・・・・・・・解き放て!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・解き放て!
              スーパーサ○ヤ人とうっ!!」

「横須賀あんたアニメの見すぎ!
  それはそうとして、小竜姫、あの二人何したの?霊力が急激に高まっててるわよ。」

「一時的に封印を解いただけです…。
      大丈夫、心配ありません。」

「速攻でかたをつける!ハンズ・オブ・グローリー!」

ハンズ・オブ・グローリーで装甲剛練武+銃過刀羅守のデカブツに切りかかる。
デカブツは逆方向に逃げようとする。それを蛍香が挟み撃ちにし霊波のかたまりを放つ。
その一撃でデカブツはバラバラに。
――で二人は魔法陣から出る。

「すごいでござる〜、すごいでござるよ横須賀どの〜。」

「そうかシロ?
でもよ、この力俺の力じゃないんだよな。
     小竜姫さまの話じゃ俺の前世の横島って人の力なんだってさ…。」

「でも、すごかったでござるよ〜。」

シロは横須賀をほめまくる。

「――で、小竜姫これでもう事務所に帰れるのね。」

「はい…、でも少し休んだほうが…。」

「休むのは事務所でもできるわ。
     来たときみたいに瞬間移動で送ってよ。」

「しかたありませんね…。では5人とも準備はいいですね…?
                   事務所に飛ばしますよ。」

TO BE CONTINUED


※この作品は、赤のバンダナさんによる C-WWW への投稿作品です。
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