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著者:西表炬燵山猫


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   ウウ〜〜〜 ウウ〜〜〜  
 地平まで見える広いアスファルトの上を引っ切りなしに緊急自動車が走り回っていた。

 その日成田国際空港は別段三里塚の過激派や、新たなB滑走路問題でも無いのに、厳戒下に置かれていた。
 千葉県下で赤色灯を装備している緊急自動車は110番も119番も揃って国際B滑走路中央に止まっているボーイング777(ジャンボジェット)を取り巻くようにしていた。

 見送りのタラップや金網越しには報道のマスコミに放送車両が大挙しては、飛び立つ素振りの見せない777を息も着かずに日本中の生中継していた。
 別段いつぞやのザンス王国のVIPが来日しているという理由では無い。それが証拠に歓迎ムードを持って出迎える者は一人もいなかった。集まった官権も報道陣も緊張はあるが笑みは営業用も無かった。
 777に乗って来ているのは確かに一応ザンス国の国民ではあるのだが、出来れば『人名は地球より重い』などと馬鹿な事を世界に公言している国には来てほしくなかった連中。隠れて持ち込んだ武器を持って民間人相手に武力行使を行なう、ありていに云えばハイジャックであったのだ。



 現在危機対策本部の置かれたテントの中の人物はモニター越しでは無く肉眼で忌ま忌ましげに見てから、口を歪ませながら開く。
   「くそっ」
 今回の事件の全権委任者であるオカルトGメンの西条(警視補)である。本来は無論オカルトGメンが積極的にハイジャックなどの一般的テロに関わる事は無い。
 餅は餅屋だと彼とて思っているので、出来れば縄張り争いの種になりそうな事はしたくなかったが、今回は素直に上司である美智江の命令に従った。
 一応縄張りを荒らされたと腹の中は穏やかでは無いだろうが、一般警察もGメンの決定には従ってくれた。
 何故なら今機体を乗っ取っているのは、実質世界のオカルト産業の中心を担っているザンス王国の、その赤色テロ(反政府活動)なのであった。

 前回の国王暗殺の二の舞は御免とばかりに多数の精霊獣を初め、装備の充実が自慢のGメン以上の物がガン首揃っていて、西条お得意の奇襲による力任せの突入も恐らくこちら側だけに死人がゴロゴロでそうな程の火力の差であった。ならば懐柔策としては、世界的には非難の的たるテロリスト相手の取り引きを考えた。
 しかし今となっては外からの強行突入以外に彼らに手立てが無かった。何故ならハイジャックの目的である犯行声明に要求にザンス政府は、まだ西条らサイドにしか伝わっていないが要求をキッパリと拒否してきたからだ。
 まあ、国王や王女を楯にしても拒否していたのだ。幾らお得意様とは云え他国の国民の為に聞き入れる馬鹿な国では無かった。
 しかしそれが世界的には当然の決定だとは云えども彼は納得しがたかった。何故ならに人質の女性は彼ら王族にとってはいわば命の恩人であったのだから・・・・。
  「つぅ」
 裏の事情に詳しいと思っていながらも、こと身内(に近しい)存在ならば希望を楽観的に持っていた甘さを悔いた。あの時貰った名誉勲章など、今更ながら屁の突っ張りにならないと痛感しながらも。


 西条は黙ってパトカー脇で煙草を吹かしながら、感情を反映して普段は心地よい紫煙にムセタので忌ま忌ましげに投げ捨てる。
  「くそっ・・・・・なんで私があんな奴に事態の収集を託さねばならんのだ」
 先程出張先から急いで戻って来ている上司である美神美智江から連絡が入った。こんな事態にただ一筋の光明をもたらす人物と連絡がついたので、それまで突入は絶対待てとの命令だ。
 ただ一人、問題の解決を託せると美智江の言った人物を、彼は無策のままに時間の無為だと思いつつ待っていた。
 非常に個人的には承服しがたいと思いながらも。


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