『がんばれ!西条!!』

著者:まきしゃ


2001年 美知恵の家
  美知恵 「令子、あんたもそろそろ、はっきりさせなきゃダメよっ!」
  令子 「えっ?なに?ママ」
 
  美知恵 「とぼけないで。あなたも、もう23歳でしょ?すぐ結婚しろとは
言わないけど、誰と付き合うかぐらい、はっきりさせなきゃ。」
  令子 「ま、まだ、早いわ。今は、仕事が楽しいのっ!」
 
  美知恵 「あんたはよくても、西条クンは30になっちゃうのよ?
横島クンだって、おキヌちゃんに好かれてるんでしょ?
    二人とも、いつまでもあんただけを待ってるわけにはいかないのよ!
あんたの相手出来るのは、この二人しかいないのにっ!」
 
  令子 「そ、そんなこと無いわよっ!私がその気になれば、すぐにかたが
つくに決まってるわっ! ね〜、ひのめちゃん!」
 
  ひのめ 「れ〜こおばちゃんって、うれのこりなの〜?」
  令子 「うっ!! ママッ!! なんて言葉教えてんのよっ!!」
 
令子の寝室
  令子 「その気になればっ、かぁ…
西条さん?…横島クン? う〜〜〜〜!!!」
 
翌日 ICPO事務所
  美知恵 「西条クン、令子とほんとに付き合いたいのなら、いまのままでは
たぶん無理よ。あなたから、動かなきゃぁ。
横島クンもどんどん大人に成長してきたしねっ!
まぁ、私はどちらでもかまわないんだけどっ。」
  西条 「うっ!」 (グサッ!グサッ!!)
 
  美知恵 「西条クンに、その気がないなら、それでもいいわよ。
そうそう、パリの本部から人員補充の要請をうけてるんだけど…」
  西条 「い、いえっ、僕はまだ日本にっ!」
 
  美知恵 「そうよねっ!男は、そうでなくっちゃ!
で、仕事なんだけど、例の事件の証拠品、霊臭で分別してみたいって
言ってたわよね。令子のとこに行って、シロちゃん、タマモちゃんを
借りてらっしゃい!」
  西条 「えっ、あっ、はいっ!」
 
美神事務所
  西条 (ふうっ、先生に煽られっぱなしだなぁ。でも、たしかになんとか
 しないとな…)
 
  西条 「おはよう。令子ちゃん、いるかい?」
  キヌ 「あっ、西条さん、おはようございます。あの〜、美神さんは、
今日はお休みなんです…」
  西条 「えっ?具合でも悪いの?」
 
  キヌ 「いえ…なんでも、昨晩隊長さんにいろいろ言われたそうで、それが
気になって眠れなかったそうなんです。
それで、今日は昼寝するために休むって……」
  西条 「はは、そういうことか…」
(先生は令子ちゃんの方も、煽ってたのかぁ)
 
  キヌ 「あ、あの、ご用でしたら、美神さんにお電話しましょうか?」
  西条 「い、いや、いいんだ。仕事のお願いに来ただけだから。
また、シロちゃんタマモちゃんをお借りできるかな?」
 
  キヌ 「シロちゃんは、横島さんと散歩に行ってるんで無理ですけど、
タマモちゃんは、大丈夫よね?」
  タマモ 「別にいいけど、シロほど協力的にはいかないわよ」
  西条 「仕事が終わったら、老舗のうどん屋できつねうどんをご馳走しよう!」
  タマモ 「行くっ!!」
  キヌ 「……」
 
老舗のうどん屋
  タマモ 「ハフハフッ あぁ、美味しい!」
  西条 「タマモくん、仕事とは関係ない話なんだが…
僕は、令子ちゃんをなんとかものにしたいと思っている。
そこで、君に協力してもらいたいんだが…いいかな?」
 
  タマモ 「ふう〜ん、いいけど……いくら出す?」(クスッ)
  西条 「うっ!(令子ちゃんの影響はハンパじゃない?!)
よ、よしっ!10万だそう。」
  タマモ 「そんなに?!やるっ!絶対やるわっ!!
で、どうすればいいのっ!?」
  西条 「まずはだな… ゴニョゴニョ…」
 
ICPO事務所
  西条 (よしっ、<作戦その1:タマモを買収して味方にする>は、うまくいったぞ。
みてろよ、横島クン。貴様には、絶対に令子ちゃんを渡さないぞっ!!)
「ふははっ!ふははははは!!!!」
 
  ピート 「さ、西条さんっ!?」
  美知恵 「少し煽り過ぎたかしら…?」
 
美神事務所
  タマモ 「ただいま〜
あっ、おキヌちゃん。西条さんが、なんか相談が有るんだって。
美神さんや、横島に気付かれないように来て欲しいって。」
  キヌ 「あらっ、なにかしら?」
 
ICPO事務所
  キヌ 「あの〜、西条さん?」
  西条 「やぁ、おキヌちゃん。待ってたよ。ピートくんも来てくれたまえ。」
  ピート 「あっ、はい」
 
  西条 「実は、令子ちゃんのことなんだが、あいかわらず違法行為など
気にせずに、いろいろやってるんだろ?」
  キヌ 「えっ、えぇ…」
 
  西条 「もちろん、そんなことはやめさせたいんだが、言って聞くような
人じゃないしね…。そこで、おキヌちゃんに、彼女のやっている
違法行為の実態を教えてもらいたいんだ。」
  キヌ 「あ、あの、それじゃ美神さん、捕まっちゃうんですか?」
 
  西条 「いや、そうじゃない。僕が実態を知っていることを彼女が知れば、
今後、少しは慎んでくれるんじゃないかと思ってね。
どうだろう、協力してくれるかな?」
  キヌ 「ええ。私も、美神さんの違法行為には、困ってますから…」
 
  西条 「よしっ、それじゃあピートくんに、実態を話してくれたまえ。
ピートくんは、それらを記録して、それぞれどれぐらいの刑罰にあたる
のかを調査しておくように。法律の勉強になるからね。」
  ピート 「はい。」
 
  西条 「今日は、もう遅いし、準備も出来てないから、これで終わりにしよう。
明日から、何日かかけて、二人でやってもらえばいいから。」
  ピー・キヌ 「わかりました。」
 
  西条 「おキヌちゃん、くれぐれも令子ちゃんと横島には、ばれないようにね。
ばれたら、説得力が半減しちゃうから。」
  キヌ 「はい。」
 
  西条 (ふっふっふ!<作戦その2>も順調にいきそうだなっ!)
 
 
数日後 美神事務所
  タマモ 「横島。最近おキヌちゃん、あんたや美神さんが帰ったあと、
ICPOに行ってるみたいなんだけど、知ってる?」
  横島 「えっ?なんだ、それ?」
  シロ 「そういえば、ここ数日、出かけているでござるな。」
  タマモ 「ピートに会ってるのかもね」
  横島 「そ、そんなはず、あるわけがねぇ〜!」
  タマモ 「気になるなら、本人に聞いてみれば?」
 
 
  横島 「お、おキヌちゃん。最近、ピートに会ってる?」
  キヌ 「えっ、えっ?なんのこと?
あっ、お掃除、お掃除しなくっちゃ…」
 
  横島 (な、なんだ、今の反応は? 怪しいっ! 絶対に怪しい!!)
 
事務所の向かい側の路地
  横島 「よし、美神さんも帰ったな。そろそろのはず…
あ、おキヌちゃん……あぁ!ICPO事務所にっ!!」
 
ICPO事務所
  横島 「ピート〜〜〜!!ゆるせん、覚悟〜〜〜〜!!!」
  ピート 「えっ?」
  キヌ 「あぁぁ…横島さんっ!!」
 
  西条 「横島っ!貴様、なにを血迷ってるんだっ?!」
  横島 「西条〜、てめ〜離しやがれっ!!
おキヌちゃんは、俺のもんだぁ〜〜〜〜〜!!!」
  西条 (よしっ!!よくぞ言った!!ニヤッ!!)
 
  西条 「ピートッ!こいつ、何か勘違いしてるらしい。
いったん霧になって、横島くんの部屋に連れ帰って
経緯を説明してきてくれっ!!」
  ピート 「わかりましたっ! バンパイア・ミスト!」
  横島 「ちくしょう、おキヌちゃん〜〜〜!!」
 
ピート・横島退出後のICPO事務所
  キヌ 「あ、あの、ごめんなさい。ばれちゃったみたいで…」
  西条 「いや、いいんだ。こっちこそ、迷惑かけて申し訳無い。
ただあの様子じゃ、僕やピートが説明しても納得しないだろうから、
これを二人にあげるよ」
 
  キヌ 「えっ?デジャヴーランドのVIPチケット2枚?」
  西条 「それで、ピートくんへの誤解をといてやって欲しい。
次の休みにでもデートしてくれば、彼の気持ちもおさまるよ。
それとも、横島くんとのデートは、嫌かい?」
 
  キヌ 「い、いえ。」
  西条 「そうか、よかった。ここまで、協力してくれてありがとう。
今回の調査は、これでおしまいにしよう。お疲れ様」
  キヌ 「はい、失礼します。」
 
キヌ退出後のICPO事務所
  西条 (<作戦その2:横島とおキヌちゃんをくっつける>も無事完了!
横島クン、君にはもう令子ちゃんをくどく資格は無いんだよっ!!)
「ふっふっふっふ。わぁ〜っはっはっは!」
 
ピート入室後のICPO事務所
  ピート 「西条さん、横島さんに説明してきましたが、まだ信用してもら
えてないようなんです。どうしましょう?」
  西条 「あとは、おキヌちゃんにまかせれば大丈夫だよ」
 
  ピート 「そうですよね。ああ、さっきはほんと、おどろいた。
ところで、美神さんの違法行為なんですが、刑期を全部あわせると
懲役150年になってしまいますが……」
  西条 「…………」
 
横島の部屋
    トゥルルルル トゥルルルル …
  横島 「ん〜、横島です… あ、おキヌちゃん?」
  キヌ 「ごめんなさい、ごめんなさい。私が、変な行動とったばっかりに、
横島さんに、心配かけちゃって…
ピートさんが説明してくれたと思いますが、私、西条さんに頼まれた
ことを話しに行ってただけで、本当に、それだけで…」
 
  横島 「あっ、いや、ごめん。俺も、みさかいなくあばれちゃったけど、
おキヌちゃんが、変なことするわけないもんな。
悪いのは、西条のヤツに決まってるんだっ!!」
 
  キヌ 「あ、あの、その西条さんからデジャヴーランドのチケットを2枚貰ったん
ですけど…  わたしと…
え、えっと、悪いのは、西条さんですよねっ!
ごめんなさいっ! おやすみなさいっ!」    ガチャッ!  プーーー
 
  横島 「!!」
 
    トゥルルルル カチャ
  横島 「おキヌちゃん!? あさって休みだったよね?
二人でデジャヴーランドに行こう! チケット持ってるんだろ?」
  キヌ 「よこじばざん?」
 
  横島 「そ、その、俺とでよかったら…だけど…」
  キヌ 「い、いえ、そんな… うれしい… 横島さん…」
  横島 「よかった… それじゃ、また明日!おやすみ、おキヌちゃん!」
  キヌ 「おやすみなさい!!」
 
 
  横島 「ふぅ………………………………
西条のヤツに、はめられたってえのは、わかってんだよなぁ〜〜〜
あいつの思い通りになるってえのも納得いかんが…
でも…………
……………………ごめん、美神さん…」
 
翌日 美神事務所
  令子 「今日は、二人ともどうしちゃったの?もう少し、シャンとしないと、
命落とすわよっ。」
  横島・キヌ 「す、すいません」
  令子 「ま、明日は休みだから、ゆっくり身体を休めてらっしゃい」
  横島 「はい。それじゃあ、俺、帰ります」
  キヌ 「私も、部屋に戻ります。おやすみなさい」
 
横島・キヌ退出後の事務所
  令子 「あんたら、あの二人についてなんか知ってる?」
  シロ 「昨日のピートどののことでござろうか?」
  タマモ 「あれは、たんなる横島の勘違いよっ。
明日、二人でデジャヴーランドに行くんだって言ってたわ。
シロ、邪魔しちゃだめだからねっ!」
 
  令子・シロ 「えっ!!」
  令子 「そ、そうなんだ… やるわね、あのこたちも…」
  シロ 「うう〜〜、横島せんせえ〜〜〜〜」
 
それぞれの寝室
  令子 (横島クンだって、おキヌちゃんに好かれてるんでしょ? by美知恵)……
そうよ、あたしの出る幕じゃないわよね……」
 
  西条 「<作戦その3:ちょっと弱ったところをすかさずゲット>を実行する
ときがきた!うう!緊張する!」
 
  タマモ 「お金もらっといて、なんだけど、西条の思い通りに進みすぎるのも
なんか、気に入らないわね〜〜〜…」
 
  キヌ 「えへへ… 横島さん!」
 
翌日 美神事務所
  タマモ 「おキヌちゃん、ずいぶん嬉しそうに出かけていったね。」
  シロ 「う〜、拙者も行きたいでござるよ〜〜」
  タマモ 「シロ、別のところに連れてってあげる。ついておいでっ!」
  シロ 「え?どこでござるか?」
  タマモ 「わかんないけど、きっといいとこ」
 
美知恵の家
  美知恵 「へえ〜、おキヌちゃんと横島クンがデートっ!」
  令子 「つい最近まで、そんな雰囲気なかったんだけどなぁ〜」
  美知恵 「あんたがのんびりしてるから、横島クン取られちゃったわね〜
ま、おキヌちゃんなら仕方ないか」
  令子 「取られたなんて言い方しないでよっ! ママッ!」
 
  ひのめ 「れ〜こおばちゃん、うれのこっちゃったの?」
  令子 「ひのめ〜!!意味わかってなくても、ムカツクわねっ!
そんなこというのは、この口か? キィ〜〜〜〜!!」
  ひのめ 「ふが、ふがぁ〜〜」
 
  美知恵 「令子、やめなさいっ。 あら、電話?
    はい、あ、西条クン? 令子?いるわよ。ちょっとまってね。
ところで西条クン、ずいぶん動いてるみたいね〜〜?
結果がよければ何も言わないけど、ことによったらパリ行きよ!」
  西条 「えっ?はっ、はは」
 
  令子 「ちょっと、ママ!わたしへの電話でしょ?かわってよ。
西条さん?令子です。え?はい、いいわ。
ええ。そうね、それじゃぁ」
 
  令子 「ママ、出かけてくるわね」
  美知恵 「バカなこと、しないようにねっ」
  ひのめ 「ママ〜、おねえちゃん、うれちゃったの〜?」
  美知恵 「ううん、これから売りに行くのよ。売れるといいわね〜」
  令子 (くっ! なんて家族なの?うちって…)
 
一流ホテルのロビー
  西条 「いきなり呼び出したりしてすまなかった。令子ちゃん」
  令子 「いえ、嬉しかったわ、西条さん…」
     
  魔鈴 「あら、西条さん。私のかわりに、美神さんを呼ばれたんですか?」
  西条 「魔、魔鈴くんっ?!」
  令子 「かわりっ!?」
 
  魔鈴 「先ほどお電話頂いたときは、忙しかったのでお断りしたんですが、
なんとか時間を作れたので来てみたんですけど…」
  西条 「で、電話?し、してない!し、信じてくれ!令子ちゃん!」
  令子 「じゃあ、なぜここがわかるの?」
  西条 「そ、それは…魔、魔鈴くん、どうして?」
 
  魔鈴 「お電話頂いたからじゃありませんか。いやだわ、西条さん。
少し、ご相席してよろしいでしょうか?」
  令子 「い〜わよ」 ズゴゴゴゴゴ〜
  西条 「ひ、ひぇ〜〜〜」
 
  シロ 「そのへんにしとくでござるよっ!」
  令子 「えっ?シロ?」
  魔鈴 「えへへっ!ちょっとやりすぎだったかな?」
    変化の術をといて、魔鈴からタマモの姿に
 
  令子 「えっ?じゃあ、さっきからずっとタマモが?」
  西条 「そ、そうだよ、令子ちゃん!いまのは、タマモちゃんのいたずらで、
僕の身は、潔白だっ!」
 
  タマモ 「潔白?」
  西条 (ギクッ!!)
 
  タマモ 「美神さん、ごめんね。
わたし、ここ数日、西条に買収されて情報操作していたの。
    横島とおキヌちゃんがデートすることになったのも、そのせいよ。
でも、おキヌちゃん幸せそうだったから、これはいいと思うわ。

ただ、美神さんが西条の策略を知らないで付き合うことになるのは、
ちょっと問題有るかな〜っと思って。
あとは、本人から聞くといいわ。

さっ、言うこと言ったから、逃げるわよっ!シロッ!!」
  シロ 「えっ?あ、うん!」
  西条 「タマモちゃん!?」
 
  令子 「西条さん…」
  西条 「は、はい…」
  令子 「お話し、していた・だ・け・る・わ・よ・ねっ!?」 ズゴゴゴゴゴ〜
  西条 「は、はい…」
 
    がんばれ!西条!! 負けるな!西条!!
おまえが選んだ女は、あの美神令子だぞ!?
自分の人生、すべてを賭けて、戦うんだ!!
 
デジャヴーランド
  キヌ 「横島さん。花火がきれいっ!」
     ぎゅっ コツン
  横島 (この決断…… 大正解かもっ!!)
 
  END  
 
 

※この作品は、まきしゃさんによる C-WWW への投稿作品です。
[ 煩悩の部屋に戻る ]