『 嵐を呼ぶ女!』

著者:まきしゃ


    美神事務所に飛び込んできた冥子…
冥子 「令子ちゃん、令子ちゃん、令子ちゃん〜〜〜〜!」
令子 「ん? 冥子? 今度は何? ど〜せ、たいしたことじゃないんでしょ〜けど…」
冥子 「あ〜ん、令子ちゃん〜、もっと真剣に聞いて〜〜〜!」
令子 「聞いてるわよ。 さっさと話しなさいよっ。」
   
冥子 「実は〜、お母さまが〜、私を〜、修行に出すっていうの〜〜!」
令子 「ふ〜ん、あんたが修行にね〜。 いいことだわっ! あんたも少しは成長しないとね…
  師匠が母親じゃ、いつまでたっても甘えてるばかりだもんね〜。
  でも、あんたの面倒をみてくれるような師匠なんているの…? 
  はっ!? も、もしかして、私のところにっ!? そんな話、聞いてないわよっ!?」
   
冥子 「それが〜、令子ちゃんじゃないの〜〜」
令子 「ほっ……」
冥子 「お母さまには〜、令子ちゃんじゃなきゃ嫌だ〜って言ったのに〜
  ダメだって言われたの〜〜」
令子 「……、きわどかったのね…。 で、なんでダメだって?」
   
冥子 「令子ちゃんだと〜、気が短すぎて〜、怒られっぱなしになるから〜」
令子 「たしかにね…」
冥子 「それに〜、悪い人からの仕事も引き受けるから〜、そんな仕事を一緒にやると〜
  六道家の名に傷がつくからなんだって〜。」
令子 「うっ…」
   
冥子 「ね〜、令子ちゃん〜 しばらく悪い人からの仕事をやらないでくれる〜?
  そおすれば〜、私の修行の先生になれるわよ〜?」
令子 「遠慮しとくわっ! あいにく私には、面倒みなきゃなんない連中が沢山いるからね。
  とてもじゃないけど、あんたの面倒までは見きれないわっ。
  それに、おばさまは、もう師匠を探してきてるんでしょっ?」
冥子 「そおなんだけど〜」
   
六道母 「冥子っ! やっぱりここに来てたのねっ!」
冥子 「ああっ! お母さま〜〜!」
令子 「えっ? ママッ!?」
美知恵 「令子、冥子さんから、話は聞いたっ?」
  事務所に入ってきたのは六道母と美知恵の二人…
   
令子 「も、もしかして、ママが冥子の師匠をっ!?」
美知恵 「……、そうなのよ〜…」
令子 「なんで、引き受けちゃったのよっ!?
  冥子がどんなコなのか、ママも知ってるでしょっ!?」
美知恵 「大丈夫よ、心配いらないわっ。
  それに…、六道さんの頼みは、断れないのよ…」
   
令子 「……、そうか、冥子のお母さんは、ママの師匠だったわね…」
六道母 「美知恵ちゃんの修行時代って〜、いろいろ凄かったのよ〜〜〜
  もう、ブイブイ言わせっぱなしだったの〜」
美知恵 「ろ、六道さんっ! 当時の話は、娘の前ではっ!(汗)」
六道母 「そお〜? 残念ね〜。」
令子 (聞いてみたい気もする……)
   
令子 「でも、ママ。 ひのめがいるのに、どうするわけ?」
美知恵 「あら、指導の方法は、いくらでもあるわよっ? いざとなったら、あなたもいるしっ。」
   
   
  都庁地下の霊動実験室にやってきた美知恵と冥子、とヤジ馬の令子たち… ぞろぞろ…
横島 「懐かしいっスね〜。 ここを使ってた頃は、なにもかもが命懸けで…」
令子 「なによっ! あんたが使ったのは、たったの1回だけでしょっ?
  私なんか、1ヶ月間、毎日毎日、身体中をあざだらけにして使ってたのよっ!?
  なのに、結局、なんの役にもたたなくてっ!
  うきぃ〜〜っ! 思い出したら、腹がたってきたわっ!! ママっ!!」
   
美知恵 「れ、令子、落ちついて… もう、6年以上も前のことなんだから…」
令子 「ママには6年でも、私にはたった1年前のことなのよっ!」
横島 「まぁまぁ、美神さん、でもあんときは、俺がここを使ったおかげで、
  俺の能力が認められて、なんとかなったんじゃないっスかぁ。
  俺も、ここの結果が良かったんで、自信がついたんっスよ?」
   
令子 「結果っ!?(ピクピク) あんた、私と戦ったときのことを言ってるのっ!?
  あんときの私はねぇ、それまでの疲労も蓄積してたし、
  ベロンベロンに酔っ払ってて、ほとんど吐きそうな状態で戦ってたのよっ!?
  そんな私に勝ったからって、いい気になんないでよねっ!」
   
横島 「えっ? あんときって、美神さんのニセモノじゃなかったんスか?
  それに、戦いは、たしか引き分けと思った瞬間、俺がのされて……」
令子 「……っ!!  そ、そうよっ! ニセモノで、引き分けよっ!
  そのニセモノも、あんた用のプログラムが間に合わなくて、酔ってた私のデータを
  使ったために、弱かったのよっ!」
   
美知恵 「おしゃべりは、そのへんにしときなさいっ! 二人ともっ!
  今日は、冥子さんのために、ここに来たんだからっ!!」
冥子 「ああ〜〜、もっとおしゃべりして、私のこと、忘れて欲しかったわぁ〜」
   
   
  一人で霊動実験室に入る冥子…
冥子 「あう〜〜〜 私… 死ぬかも…」
美知恵 「冥子さん、心配しなくても大丈夫よっ。 危なくなったら、すぐ止めてあげるから。」
   
横島 「隊長、このプログラムって、冥子ちゃん用なんスか?」
美知恵 「ううん、令子と同じものよっ。 あのときは、必死でプログラミングしたけど、
  もう6年も前のことでしょ? やりかた忘れちゃったのよ。(けろっ)」
冥子 「あうぅ〜、やっぱり死ぬぅ〜〜〜」
美知恵 「それじゃあ、始めますっ!」
   
令子 「横島クン、あんた、冥子はどれぐらいやれると思う?」
横島 「そおっスね〜、20鬼ぐらいじゃないっスかぁ?」
令子 「読みが甘いわねっ! 最初の4〜5鬼は普通に倒して、あとは得意のプッツンで
  一気に50鬼ぐらい倒すわよっ! まぁ、見てなさいっ!」
   
キヌ 「あああっ! 冥子さんっ!」
令子 「えっ? どうしたのっ!?」
  令子がよそ見してる間に、もう、のびてしまっている冥子  きゅるるる〜〜〜
シロ 「それがその〜、1鬼目が出てきたのに、よそ見してたみたいで…」
タマモ 「つまり、結果は、0鬼ってことね…」
令子 「………」
   
  おキヌちゃんにヒーリングしてもらって、目を覚ました冥子…
冥子 「あう〜〜、令子ちゃん〜〜、怖かったわ〜〜〜」
令子 「なに言ってんのよっ、情けないわねっ! たいした怪我じゃないから、
  もう一回、始めからやるってよっ! 早く起きなさいよっ!」
冥子 「え〜? もうダメ〜〜 おうちに帰るぅ〜〜〜」
令子 (ぷるぷるぷる 怒!)
   
  令子にオシリをひっぱたかれて、しぶしぶ実験室内に入る冥子…
冥子 「令子ちゃん、怒ってばっかり〜〜」
令子 「あんたっ! 修行に来とるんだろうがっ!!」
横島 「冥子ちゃんのお母さんの判断は、正しかったみたい…」
   
令子 「冥子っ! あんたのおつむじゃ、鬼の出てくるスピードに対応なんか出来ないわっ!
  最初っから、式神全鬼出して、戦いの準備をしてなさいっ!」
冥子 「わかったわ〜〜、令子ちゃん〜〜」
   
キヌ 「美神さんって、怒りながらも、ちゃんと指導してるんですよねっ!」
横島 「負けるのが、嫌いなだけだと思うけど…」
   
美知恵 「冥子さん、いい? 始めるわよっ!」
  今度は、ちゃんと式神を使って戦い始めた冥子
  でも、1鬼目をなかなか倒せない…
   
令子 「あああっ! 何やってんのよ、じれったいわねっ!
  クビラで霊視して、さっさと敵の弱点を探しなさいよっ!」
冥子 「え〜? なに〜? 令子ちゃん〜、聞こえない〜〜!」
令子 「あっ! バカッ! また、よそ見してっ!」
冥子 「えっ!? きゃぁああ〜〜〜!!」
  どっごぉぉぉ〜〜〜〜ん!!!
   
  1鬼目から、暴走が始まる……
横島 「こ、これで、もう大丈夫っスね……」
令子 「そおね……」
  10分経過…
横島 「すごい、勢いっスね……」
令子 「そおね……」
シロ 「もう、30鬼を倒したでござるよっ!」
  20分経過…
横島 「俺たち、こんな凄いのに、いつも巻き込まれてたんスね…」
令子 「そおね……」
タマモ 「あと、30鬼しかいないわっ!」
  30分経過…
横島 「全鬼、倒したみたいっスね……」
令子 「そおね……」
キヌ 「あああ、でも、冥子さんの式神、暴走し続けてるぅ〜〜〜!」
  1時間経過…
横島 「ようやく、落ちついたみたいっスね……」
令子 「そおね……」
冥子 「あ〜〜ん、令子ちゃん〜〜、怖かったわ〜〜〜〜!」
   
   
令子 「ママっ、どうする気? こんなんじゃ、なんの修行にもならないわよっ?」
美知恵 「そおね……」
令子 「そおねじゃないわよっ!」
美知恵 「わかってるわよっ! 今、冥子さん用のプログラム考えてんだからっ!」
   
令子 「で、どんなの? それって。」
美知恵 「いずれにせよ、暴走は、実戦に使うわけにはいかないから、
  式神をコントロールさせて、倒すようにさせるしかなさそうね…。
  連続して戦わせるより、1鬼ずつ確実に仕留めさせるようにするわ。
  彼女に必要なのは、修羅場での精神力と、頭を使う訓練のようだしね…。」
令子 「そおね……、そんな感じかもね…」
   
美知恵 「プログラムを組むのに、少し時間が必要だわ。 私一人が残るから、今日はこれで
  解散しましょう。 冥子さん、ごくろうさま。 令子は、ひのめをよろしくねっ。」
冥子 「ご指導ありがとうございました〜…。 その〜、明日も、ここですか〜?」
令子 「当たり前じゃないのっ! なんのために、ママがプログラム組んでると思ってんのよ?
  あんたのせいで、私がひのめの世話しなきゃなんないのよっ!?」
冥子 「あ〜ん、令子ちゃん〜、怒っちゃやだ〜〜」
   
   
  ふらふらになりながら、初日の修行を終えて自宅に帰ってきた冥子
  シャワーを浴びようと、服を脱いでみると…
冥子 「ああ〜、痛いと思ったら、身体中に青あざが出来てる〜〜っ!」
   
  風呂上り、羽織っていたバスローブを脱いでベッドに横になる冥子
  ショウトラに青あざの部分を舐めさせて、ヒーリングさせている…
  ぺろぺろぺろ…… かなり情けない姿…
冥子 「ショウトラちゃん、そう、そこ。 そこが痛いのぉ〜 もうちょっと舐めてくれる〜?
  あうう……、こんな姿、誰かに見られたら、私、お嫁に行けなくなっちゃう〜〜〜っ!!」
   
   
  翌日以降、美知恵の作った冥子用のプログラムに従って修行を続ける冥子…
  とりあえず、1週間ほど続けたおかげで、少しは成長した模様…
   
   
  霊動実験室での冥子の指導を終え、美神事務所に顔を出した美知恵
令子 「へえ〜、それなりに冥子も成長したんだぁ〜」
美知恵 「自分で考える練習をさせたからねっ。 潜在能力は抜群なんだから、
  コントロールさえ出来たら、すぐに成長するわよっ。
  ま、あとは実戦で、コントロール出来るようにするだけね。」
   
令子 「冥子の場合、それが一番難しいと思うんだけど…
  ママも、気をつけないと、暴走に巻き込まれるわよっ!?」
美知恵 「あら、実戦には、私はついていかないわ。」
令子 「えっ!? ということは…」
美知恵 「そうよっ。 私の部下で弟子の、優秀な人材が一人いるでしょ?」
   
   
  翌日 ICPOオフィス  婦人警官の制服に着替えて来た冥子…
美知恵 「あら、なかなか似合うじゃない。」
冥子 「あうぅ〜〜」
西条 「六道さん、君はしばらく僕と一緒に現場に出てもらうつもりだ。
  普通のGSと違って、犯罪捜査の最前線になるので、ショッキングな場面に遭遇することも
  多々あるけれど、そこで、精神力を養って欲しいと思っている。」
冥子 「あう〜、厳しくしないでね〜、西条さん〜〜」
   
   
  美神事務所
令子 「…………」 ムッス〜〜〜〜
横島 「…………」 ムッス〜〜〜〜
キヌ 「…………」 (苦笑)
   
シロ 「おキヌちゃん、美神さんが不機嫌なのって、西条どののことが
  好きなせいでござるのか…?」
キヌ 「まあ、美神さんの初恋の人だから、気になるのは仕方ないかも…」
タマモ 「じゃあ、横島の場合、冥子さんのことが好きだってことなの?」
キヌ 「横島さんの場合は、綺麗な人が好きなのと、西条さんが嫌いなせいかも…」
   
  どんよりとした雰囲気の中、黙々と事務仕事をこなす面々…
横島 「シロっ! ちょっと話がある。 こっち来てくれ。」
シロ 「先生、なんでござるか?」
横島 「いいから、こっち来いっ! あとで散歩つれてってやるからっ!」
シロ 「散歩でござるかっ! わかったでござるよっ!」
  そう言って、シロを室外へ連れ出す横島…
   
令子 「ふんっ、横島の奴、またろくでもないこと思いついたなっ?
  ま、いいわ。 タマモ、ちょっとこっち来なさい。 油揚げ、欲しくない?」
タマモ 「欲しいっ! 美神さん、なになにっ?」
令子 「OK! いいこと?  ぼそぼそぼそ…」
タマモ 「ふんふんふん…」
   
キヌ 「あああ…、悪事の匂いがする………」
   
   
  早速、冥子を連れて、仕事先に車で向かう西条
西条 「六道さん、これから行く現場は、青山墓地の近くの道路なんだ。
  ここ数日、霊障によると思われる交通事故が多発していて…」
冥子 「きゃ〜、これ、おもしろい〜〜〜」
  ウルトラ見鬼くんを、おもちゃにしている冥子 西条の話など、聞いちゃいない…
西条 「………」
   
冥子 「あら〜? シロちゃんの霊気が私たちに近づいて来てるわ〜?
  なんでかしら〜? あら、タマモちゃんの霊気も〜?」
西条 「こっち方面は、きっと彼女たちの散歩のコースなんだよ。
  青山墓地あたりは、緑が多いからね…」
冥子 「そおね〜」
西条 (ふふっ、令子ちゃん、僕のことが気になって二人に偵察させてるんだな?)
   
   
  西条と冥子の後をつけているシロとタマモ
シロ 「タマモっ! なんで拙者の後をついて来るんでござるかっ!? あっち、行くでござるよっ!」
タマモ 「シロっ、あんた、横島に頼まれて、冥子さんの後をつけてるんでしょっ?」
シロ 「うぐっ! な、なんのことでござるかなっ!?」
タマモ 「とぼけなくてもいいのよっ! 美神さんにはお見通しなんだからっ!」
シロ 「うぅっ…」
   
タマモ 「で、冥子さんを驚かせて、西条さんを暴走に巻き込むつもりなんでしょ?
  あんた、そんなヒドイこと、ほんとにやるつもり?」
シロ 「うぅ…、拙者も、嫌だと言ったんでござるが… でも、先生が…」
タマモ 「それなら、やらないほうがいいわよっ。
  西条さんの身に何かあったら、美神さんが、あんたたちを許さないって言ってたわ。」
シロ 「そうでござるか…」
   
  足を止めるシロ
シロ 「ならば、拙者、先生に頭を下げて、謝ってくるでござるよ……」
タマモ 「ん? あんたも馬鹿正直ね〜。 チャンスが無かったとか言って、適当に
  ごまかせばいいわよっ。 それより、横島も美神さんと同じで、西条さんと冥子さんが
  仲良くなりすぎるのが嫌なわけでしょ? なら、二人がそうならないよう、
  邪魔すればいいんじゃないの?」
   
シロ 「まあ、それはそうでござるが…」
タマモ 「それに、今戻っても、横島に怒られるだけでしょ? それなら一緒に行こうよ。」
シロ 「わかったでござる…。」
  再び西条たちの後を追うことにしたシロとタマモ
   
  西条たちが現場に近づいた頃、車に警察無線が入る
無線 「青山墓地事故多発地区で、多重衝突事故が発生した模様…
  関係車両は、至急現場に急行せよっ!」
西条 「なにっ? またかっ!?」
  急ごうとする西条だが、事故の影響か、渋滞に巻き込まれて動きが取れない
   
西条 「しかたがない、走っていこうっ!」
  近くの駐車場に無理やり車を止めて現場に向かって走り出す西条
冥子 「西条さん〜〜、インダラに乗ったら速いわよ〜?」
西条 「ああ、そうかっ! ありがとう、六道さんっ! 飛ばすから、またがってっ!」
冥子 「きゃあっ!?」
  横すわりの冥子を自分の前に無理やりまたがせて、インダラで現場に向かう西条
   
  それを見ていたシロとタマモ…
シロ 「うわっ! 馬に二人乗りだなんて、なんかすごいシーンでござるな…
  …って、何やってるんでござるのかっ!? タマモっ?」
タマモ 「ん〜? 美神さんに頼まれて……」
  西条と冥子の写真を撮ってるタマモ…
シロ 「ほ、ほら、行くでござるよっ! 置いてかれるでござるっ!」
タマモ 「うん、すぐ行くわっ!」
   
   
  西条たちが現場に到着したときには、すでに救急車も到着しており
  重傷者の搬送が始まろうとしていた…
西条 「むごい……」
  ぐったりとした小学生ぐらいの子供が救急車に乗せられようとするそばで、
  母親とおぼしき女性が、子供の名前を懸命に呼び続けている…
  その女性も、肩から腕にかけて大怪我をしているようだ…
   
西条 「こんなむごい事故を二度と起こさせないためにも、僕たちが頑張らないとっ!
  六道さんっ! 見鬼くんで霊体の捜索をっ!  えっ? 六道…さんっ…?」
冥子 「あああ… お母さん、かわいそう… あああああ…」
  目の前の光景に感情移入してしまった冥子
  いつ暴走(ぷっつん)しても、おかしくないような表情…
   
西条 (うっ! 刺激が強すぎたかっ! こんなところで暴走されては、被害者が増えるばかりだ。
  ええいっ! しかたがないっ!!)
  冥子を引き寄せ、強く抱きしめる西条っ!  ぎゅう〜〜!
西条 「冥子くんっ! しっかりしてくれっ!」
冥子 「あうぅ〜〜 お母さんが〜」
   
   
シロ 「わわっ!? すごいでござるっ! こっからどうなるんでござるかっ!?」
タマモ 「そ、そんなの、わかんないわっ! とにかく様子を見るわよっ!」
  かなり興奮気味の二人… 役目なんか忘れてるみたい…
シロ 「も、もしかして、キスとかっ?」
タマモ 「さ、さあ? あっ、写真っ! 写真撮らなきゃっ!」
  西条たちの邪魔をするどころか、進展を期待しちゃっているシロとタマモ…
   
   
西条 「冥子くん、気持ちはわかるが、今は落ちついて…」
  冥子を上から覗きこむように見つめながら話しかける西条
冥子 「あの子、死んじゃダメ〜〜… あああ、西条さん〜〜〜」
  冥子もなんとか気持ちを落ち着かせようと必死になり、自分から西条にしがみつくっ!
  ふっ… コテンッ! ストレスが溜まりすぎて、気を失ってしまった冥子…
   
西条 「えっ? 六道さんっ!? まいったな、こんなところで…
  シロちゃん、タマモちゃん、手伝ってくれないか? そばにいるんだろ?」
   
   
  美神事務所
令子 「ねえ、横島クン、シロがどこに行ったか知らない〜?
  用事いいつけようと、思ったんだけど…。 あんたがさっき、外に連れ出してから、
  姿を見てないんだけど、どうしてかな〜?」
   
横島 「あっ、す、すいません。 シロのやつに、俺が買いたいと思ってるコミックスの古本を、
  近所に探しに行かせたんスけど… たぶん、見つからなくて遠くまでいっちゃったのかも…
  ほ、ほらっ、あいつ、結構、律儀っスから…」
令子 「ふ〜ん、そうなの〜」
   
横島 「美神さん、シロで出来る用なら、タマモに頼めばいいんじゃないっスか?」
令子 「えっ? タ、タマモっ? あのコは、マイペースでしょ? さっき、ふらっと出ていったきり
  どこに行ったかわからないのよっ。」
横島 「へ〜、そうなんスかぁ〜」
   
キヌ 「………」 (ああもう、二人とも腹の探り合いばっかりなんだからぁ〜…)
  トゥルルルル…  事務所の電話が鳴る
キヌ 「はいっ、美神除霊事務所… あっ、西条さんっ!」
令子・横島  ピクッ!
キヌ 「えっ? 冥子さんが倒れたっ!?」
   
   
  シロとタマモが気を失った冥子を抱きかかえて事務所に戻ってくる…
令子 「あ〜あ、冥子もしょうがないわね〜
  悲惨な現場を見るに耐えなくて、気絶するなんて…。
  暴走しなかったぶん、成長してるには違いないんだけど…。」
   
シロ 「あれ? そうなんでござるか?」
キヌ 「えっ? シロちゃん、なにか違うの?
  西条さんからの連絡だと、現場の刺激が強過ぎたせいだって…」
   
シロ 「拙者、西条どのが強引に冥子どのにキスしようとしたんで、
  冥子どのが、のぼせて気を失ったもんだとばっかり…」
タマモ 「わっ! バ、バカッ!」
令子・横島 「キスだとぉ〜〜っ!?」
   
令子 「タマモっ! 状況を報告しなさいっ!」
タマモ 「あ、あのっ、えっと、写真撮ってきたから…
  シロっ! とりあえず、逃げるわよっ!」
シロ 「そ、それがよさそうでござるっ!」
令子 「あっ! こら、待ちなさいっ!」
  ぴゅう〜〜! 事務所から逃げ出す二人…
   
令子 「いったい、どうゆうことなのよっ!」
  ぶつぶつ言いながら、タマモの残したデジカメの画像を眺めることにした令子たち
  写っていたのは、乗馬した二人と、抱き合う二人の2シーンだけ…
   
令子・横島  ぶちっ!!
キヌ 「あああ………」
   
   
  やがて、仕事を終えた西条が事務所にかけつける…
西条 「令子ちゃんっ! 六道さんは、無事かいっ!?」
令子 「もちろん、無事よっ! (ピキピキ)
西条 (えっ!? こ…こわい…!?)
   
横島 「あっ! てめ〜、よくもぬけぬけと〜〜!!
  冥子ちゃんは、俺んだぁ〜〜〜!!!」
  西条に飛びかかる横島っ!
西条 「きさまっ! なんのことだっ!?」
令子 「自分の胸に聞いてみたら?」
西条 「えっ?」
  冷ややかに言い放つ令子… 横島の暴行を止めようともしない…
キヌ 「あああ………」
   
  事務所の騒がしさに、ようやく目を覚ました冥子
冥子 「う〜〜ん、むにゃむにゃ…  んん〜〜…
  あら〜〜、西条さん〜〜 さっきは、抱きしめてくれてありがとう〜〜
  私、嬉しかったわ〜〜〜」
   
令子 「ほぉ〜〜〜っ!? (ピキピキ)
西条 「あああっ!? い、いや、令子ちゃん、あ、あれは、しかたなく…」
令子 「しかたなくっ?」
西条 「あっ、いや…」
   
横島 「くっ! 冥子ちゃんが、西条の毒牙にかかるぐらいなら、この俺がっ!」
  冥子にキスしようと飛びかかる横島っ!
冥子 「きゃあ〜っ!」
西条 「横島っ! なんてことをっ!」
令子 「あら、西条さんっ! 自分はどうなのっ!?」
西条 「あっ、その、誤解なんだよ、令子ちゃん……」
  もう、無茶苦茶…
   
冥子 「みんな〜、いったいどうしたの〜? どうして喧嘩してるの〜〜〜?
  ああ〜、みんな仲良くしてなきゃ、やだ〜〜〜〜っ!!」
令子たち 「えっ!?」
  どっごぉぉぉ〜〜〜〜ん!!!
   
   
  白井総合病院
令子 「あ〜もうっ! 冥子がからむと、いつもこうなるんだからっ!」
横島 「俺は、西条のやつが死にかけただけで、嬉しい…」
西条 「…………」
  枕を並べて入院している3人…
冥子 「ごめんなさい〜〜〜」
美知恵 「どうやら修行は、しばらくお休みね…」
   
   
  六道家
キヌ 「助けてくれてありがとう…、シロちゃん、タマモちゃん…」
シロ 「でも、冥子さんの暴走がすごくて、先生たちを助けれなかったでござるよ…」
タマモ 「あの状況じゃ、しかたないわよ。 でも、すごい部屋ね〜?」
   
六道母 「ごめんなさいね〜、うちの娘のせいで〜〜
  事務所を建て直すまで、ここに住んでていいからね〜」
   
END  

※この作品は、まきしゃさんによる C-WWW への投稿作品です。
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