RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 何十回目かのコールで、ようやく小笠原エミは、受話器を取った。

「……あい……もしもし……」

 寝起きですと言わんばかりの声で応対するエミ。

「公安のオクムラだ。し――――」

「ほんじつきゅうぎょうでぇす」

 問答無用で、エミは受話器を置いた。

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 再び鳴り出す電話。

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

 RRRRR、、、、、、 RRRRR、、、、、、

「ああ〜、もう!」

 しつこさにうんざりしながら、もう一度受話器を取った。

「今日はやらないって言ってるでしょう!」

『な、なんのコトですか、エミしゃん?』

 電話口の声は、先程とは違っていた。聞きなれた、弟子兼助手の声だった。

「なんだ、タイガーか。いや、こっちの話、なんでもないワケ」

『そうですか。あの、エミしゃん、調子はどうです?』

「眠いわね」

『……ひょっとして、わし、迷惑じゃったかのう?』

「ひょっとしなくても迷惑なワケ」

『ああ、スマンです。すぐに切りますけえ、話聞いてください』

「ん、いいわ。で、なに?」

『事件の経過です。教えとこうと思って』

「いらない」

『は?』

 間の抜けた声が、受話器から響く。

「いらないって言ってんの」

『な、なぜに……?』

「それ知ってどうしようってのよ。あたしたちにできることは、もう何もないワケ。

 人事を尽くして天命を待つ。果報は寝て待て。

 全部が終わってから、隊長にでも聞くわ」

『そ、そうなんじゃ……』

「それよりも!

 あたしはこれからしばらく休むけど、おたくはしっかり修行するのよ!

 ただでさえ、おたくは他の連中より遅れてるんだから。今のうちに追いついとくワケ!

 いい!? わかった!?」

『わ、わかりましたけえ、エミしゃん』

「よろしい。じゃ、切るわよ。バイ」

 受話器を置くエミ。微笑する。

「ふふ。心配して電話なんかくれちゃって。柄にもない」

 大きく伸びる。

「ん…………さて、と。二度寝する前に、シャワーでも浴びるワケ」

 欠伸を隠しもせず、エミはシャワールームへと消えていった。


※この作品は、桜華さんによる C-WWW への投稿作品です。
[ 第11章 ][ 煩悩の部屋に戻る ]