地獄に権威を誇る大公爵。きわめて醜い天使の姿で地獄の竜にまたがり、左手にマ ムシを持つ。耐え難い悪臭があるので、彼を召還する者は、そばに近づかれないよう しなければならない。
アスタロトは過去と未来を知り、どんなに秘められたことに関する質問にも喜んで 答えてくれるし、天使の創造・過ち・失墜の一部始終にも精通しており、快く語り聞 かせてくれる。……諸学問を徹底的に教授し、40の軍団を従える。というのが、「地獄の辞典」(講談社)での記述だが、アスタロトには他にもこんな記述もある。 ……アスタロスは元来、フェニキア人の崇拝した古代セム族の豊饒と生殖の女神で あって、またギリシャ人やローマ人は月の女神と考えていた。 ところが、キリスト教の布教により、いわゆる「邪神」とされ、最後には大悪魔と して扱われるようになってしまった。「赤い竜」という中世の有名な魔術書では、ア スタロテはサタン、ベルゼブブと並ぶ地獄の三大権力者として扱われている、と言う。
という訳でこのアスタロスも「今、そこにある危機!」編で出てきたワルキューレ・ジークフリート達と同様、キリスト教の布教で悪魔になったという経緯を辿って来たようだ。
人生と同じく、悪魔にも歴史あり……。