美神 令子・その人生・その愛

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97/ 8/ 5

 イエー!
 今、何か知らないけど、ゲーム・アニメをネタにした、トレーディングカードがうようよ出てきており、何か大変な事になっている。

 現在のトレーディングカード人気に火を点けたのは言うまでもなく Magic: the gatheringなのだが、MTG のおかげで MTG プレイヤー(言うまでもないが、彼らはアニメ・ゲームを日常的に消費している層と一致する)達が「カードをコレクションする」という、大量消費文明が生み出した背徳的な楽しみを覚えてしまったからさぁ大変。
 今までトレーディングカードと言えば「プロ野球スナックについてくる選手カード」くらいの認識しかなかった我々日本人にも、アニメ・ゲームというオタク文化を媒体にして、見事に「トレーディングカードを買ったりトレードして集める」という行為が広まった訳だ。

 でも、日本人はこういう遊びに対しては飽きっぽい性格を有しているので、今後は次第にトレカ集めという遊びも廃れていくと思う。現に、私と同時期に MTG を始めた友人達は、私を除いて皆 MTG から足を洗い、今は Diablo にズッポリとハマっている始末だ(笑)。


 という訳で、今日のコーナーは、「GS美神のキャラを Magic: the Gathering のカードにしてみましたコーナー」(勿論、これが最終回)。
 勤務時間を30分くらい割いて作った非力作なので、あまりバランスは考慮していない。なので、美神よりもエミの方がカードとして「使える」という欠点がある(笑)。



97/ 8/14

 サンデー読者ならご存知の通り、現在、サンデー誌上ではアシュタロスとその仲間達が登場する「仁義なき戦い!」編という話が展開中である。
 このエピソードが開始された直後から、コアなファンの間では、「これが始まったって事は、もうすぐGS美神が終わるという事なんだよな。ぼちぼち覚悟決めなきゃ」という認識が流れ始めている。

 だが、それは何故か? ここを読んでいるGS美神ビギナーな方に、その理由を説明しよう。
 そんな存在がいるかどうかは、この際無視。


 説明開始:

 アシュタロスというキャラは「霊力エネルギー結晶を燃料とした無敵の肉体を完成させ、そのパワフルな肉体で神界・魔界を統一、魔王として君臨する(コミックス22巻参照)」事を最終目的にしている。

 アシュタロスの新生ボディは、平安時代の時点で「完成までに1000年かかる」と言われていた。現在はとりあえず平安時代から1000年くらいは経過しているので、もう彼のボディはほとんど完成しているはずだ。
 ただ、美神の前世であるメフィストの手によって、その肉体が完成するために必要な「結晶」が奪われてしまったため、未だ完全復活を遂げるまでには至っていない。

 アシュタロスが現代に復活を果たすためには、メフィストの後世である美神の魂に結び付けられた高エネルギー結晶を奪取するしかない……という関係上、彼の野望を達成するためには、どーしても美神の存在そのものが必要とされる。
 結果として、美神は最終的に自らの命を守るためにアシュタロスと決着を着ける必要がある。美神の母も、美神を守るために魔族と戦って来たのだ(コミックス12巻参照)。

 さらに、アシュタロスの野望は現在の神界・魔界のバランスを崩すことにも繋がるため、現状維持を継続しようとする小竜姫を始めとする神々とも対立する。
 サンデー誌上では、今まさにアシュタロスの尖兵達が小竜姫を倒そうと行動中であり、お盆明けを待ってハルマゲドンが始まりそうな雰囲気である。

 とにかく、「美神 VS 魔族」という構成がコミックス12巻に掲載されていた時期から一貫して描かれて来ている事、およびこの戦いのスケールがかなり大規模なものになることが必至である事、等より、「美神がアシュタロスと決着を着ける戦いをする=GS美神の連載終了」という共通認識が読者の間で生まれている、という訳だ。

 以上、復習終わり。


 ファンの中には、勿論「アシュタロスとケリが着いたからって、それイコール連載終了ではない。GS美神は、いくらでも継続することが可能なマンガだ」という意見を持つ人も多い。

 ただ、私個人は、「GS美神で椎名氏の連載継続能力は十分に証明されたし、もう椎名氏はGS美神というマンガでやりたい事はやったのではないか。そろそろ、次の椎名作品も読んでみたい」という気もしている。
 いくらでも継続することが可能なマンガを、「惰性連載から来る人気低下→消滅」という最悪の道筋ではなく、ファンを納得させる形でキッチリ終わらせるのも、優れた作家(および編集部)の力量のうちだと思う。

 ただ、正直言えば、「アシュタロスを倒して終わり」というマンガの終わり方は、「GS美神」というマンガの終わり方として相応しいものである、とは到底思えない。
 長い間連載を引っ張って来た「美神 VS 魔族」の構想にケリを着けた上で、私のような長期読者でも「ああ、長い間このマンガを追いかけてきて良かった良かった」と思えるような終わり方を目指して欲しい。

 ……確か、このマンガの真のテーマは「」だったよな?
 男の最後の夢は、やっぱラブコメだよなー



97/10/12
 えらいお久しぶりになってしまった。

 現在、サンデー本誌ではアシュタロス一派対美神とゆかいな仲間達の戦いが展開されている真っ最中であり、GS美神をリサーチしているこのサイトとしては当然この辺を追いかける必要がある、という事は、とりあえず認識している。
 では今までの間、そうしなかった理由は何か? ――はい、更新サボっていただけです(笑)。

 それはともかくとしてさりげなく話を戻すが、アシュタロスの再登場と共に開始された「仁義なき戦い!!」シリーズは、現時点では

 という流れで続いている。

 これらのエピソードの傾向を一言で表現すると、

 という感じになるであろうか。

 このお話はまだ現在進行中であり、まだ全体的な今後の見通しも不明確な部分が多い状況であるので、現段階での全体的な感想や分析はまだ行えないのだが、とりあえず今週からしばらくの間、今まで「仁義なき戦いシリーズ」編を読んでいる時に思った事を、これから何度かに分けて書いてみることにする。

 とりあえず、今回はコレ:
 

§「おキヌちゃん問題」再び

 この「仁義なき戦いシリーズ」編で一つ注目すべきなのは(というか、イヤでも気になるのだが)、「おキヌがほとんど活躍していない」点であろう。
 どのくらい彼女が活躍していないかを調べるため、彼女が発した台詞のフキダシの数をちょっと調べてみた。
・仁義なき戦い!! ・続・仁義なき戦い!! ・その後の仁義なき戦い!!  これを見れば判る通り、おキヌちゃんのここ最近10話の平均の台詞の数は、わずか2.5回に留まっている。しかも、その台詞のほとんどは「美神さーん!」とか「ど、どうもー」とかといった、比較的どうでも良い系のものであることが多い(笑)。
 一番台詞が多かった36・37話合併号も、「美神の魂が肉体を離れた」という状況を説明するためのものであり、おキヌの台詞である必然性は薄い。早い話が、この「仁義なき戦い」シリーズでは、おキヌは全くと言って良いほど目立っていないのだ。

 「椎名先生はおキヌの存在を消したがっているのではないか」という極めて悲観的な意見が Cna-BBS に書かれていたが、それもこの状況を見れば何となく判らないでもない。

 では、何故ここまでおキヌが登場させてもらえないか? という事になるのだが、まぁ端的な理由は「おキヌというキャラは格闘路線向けなキャラではない」という事になるだろうか。
 強力な霊能力を持っている美神や、どんな状況下においても活躍できるだけのキャラクター性を備えた横島に比べれば、確かにおキヌというキャラの戦闘能力は低い。どうしても「励ます」系のサポートとして登場するくらいしか活躍の場がなく、話の都合上どうしてもおキヌが登場する回数は減少してしまう――というのが、主な理由だ。
 この、「格闘メイン路線の話になると、おキヌが活躍できなくなる」状態を、私は個人的に「おキヌちゃん問題」と呼んでいる。

 だが、この問題点は、既にGS美神が格闘マンガ的な展開を取り出した頃(12巻辺り)から顕著になっている。実はこれは、「既にこうなる事が昔から判っていた」タイプの問題点なのだ。
 この問題点は作者も把握しており、それ故「スリーピング・ビューティー」編で一度おキヌというキャラを退場させたのも、「おキヌちゃん問題」が生じる行き詰まりを打開し、ハードな展開にも耐えられるキャラクターに作り直す目的があった……と、思う。

 「スタンド・バイ・ミー」編で再登場したおキヌは、「ネクロマンサーの笛」というアイテムが与えられた上にヒーリング能力も身に付け、彼女のプレゼンスの重要性をアピールするために「おキヌちゃん効果」というキーワードを導入するなど、格闘路線でも何とかなるようなキャラ性能を彼女に持たせた。
 さらに、横島とのロマンスを匂わせるような展開まで見せて読者にソレを期待させるという柔剛兼ね備えた路線を打ち出し(ソレって何だソレって)、まさに「生まれ変わった」に相応しい印象を与えた。
 ……はずだった。

 だがしかし、これらの新要素のうち、現段階で彼女に残されているものは事実上「何もない」と言って良いだろう(横島とのロマンスはまだ保留状態だが、少なくとも今の展開が終わるまではこの話が進展するとは思えない)。
 結局、作者の側は、これらの新能力を活用させるに十分な展開をおキヌに与えることができなかったのだ。これはつまり、「これらの能力をおキヌがガッツンガッツン使うような展開にする事は彼女のキャラクター性を良い方向に伸ばす事にはあんまりならないし、マンガそのものもそれほど面白くならない」、と作者の側が判断したためではないのだろうか。

 確かに、おキヌの新能力を試す試金石となった「サバイバルの館」「バッド・ガール」編は、(個人的には)どっちも話としてはイマイチだった印象が強い。
 作者の側も、この2つの話を作った時点で「格闘路線に耐えうるおキヌ」を創り上げる事をとりあえず断念し、従来のキャラクター性をより伸ばす方面に切り替えたのではないのだろうか、と私は思っている。ハナミズの話とか(笑)。

 ――という仮定が正しいのであれば、今のような展開の上で今のままのおキヌを活躍させるのは、いかな椎名先生と言えどもさすがにちょっと辛いだろう。
 しかし、流石におキヌを全く登場させないのはおキヌファンに対して申し訳ないと思っているのか、「その後の仁義なき戦い!!」(その2)では、おキヌはヒャクメから心眼を授かり、敵の強さや弱点を見極める「スカウター」役として今後の戦いに参戦するようである。これは悪くない兆候だ。
 「スカウター」役がおキヌのキャラクター性に合うかどうかはまだ判らないが、何はともあれ台詞もロクに与えられない今までの役回りよりは、状況は遥かに改善されるはずだ。
 話に登場し続けていれば、そのうちおキヌに再度活躍の場を与えるような展開を、作者の側が考え付くかもしれない。

 「おキヌが出てこないとイヤ」という重度のおキヌファンな方も、しばらくは希望は捨てずにマンガを読み続ける根性を持って頂きたい。そのうち報われる日も来るさ。きっと(笑)。

 ……なんかうまくまとまっていない気がするけど、
 次回は、この調子で今回のシリーズの「行き当たりばったりな展開」について考えてみる予定です。


97/11/ 9
 現在サンデーで連載されている「仁義なき戦い!!」編は、今週から「ワン・フロム・ザ・ハート!!」とサブタイトルを一新した。
 「仁義なき戦い!!」編は「アシュタロス一味との戦い」をメインに据えていたのだが、今週から始まった「ワン・フロム・ザ・ハート!!」では、「仁義なき戦い!!」で築き上げられた設定を元にしたロマンスが物語のテーマになりそうだ。

 だが、この「仁義なき戦い!!」編は、読んでいて「おお、何かあんまり準備しないで話を始めたな」というのが何となく把握できる程、ありていに言えば「行き当たりばったり」な展開を見せていた。あまりに先が読めない展開に、読んでいて多少の苛立ちを感じた時もあった(特に 42-43号まで)。

 ただ、その行き当たりばったりの連続が、美神母の参戦という強力な「掴み」を生み出し、そして今のアシュタロス一味の個性化も生み出し、さらにそれをバックボーンにしてルシオラと横島の奇妙な関係が発生・発展し、今の話が盛り上がってきているのもまた事実だ。
 
 結局、こういう「次週の展開が描いている時点で判らない」ような状況下になった時に次々に話を矛盾なく展開できるのが、マンガ家には必須の条件であるという事になるのだろう。
 私個人としては、勿論話を十分練った上でマンガを作って欲しいのはヤマヤマなのだが、週刊連載マンガ家にはそれを最初から最後まで要求するのは難しいのも判る。我々としては、ストーリー上の些細な点で矛盾が発生するのは致し方ないと考え、「まぁ細かい点はともかく、話そのものの盛り上げ方は凄いじゃん」という大きな気持ちでマンガに接する余裕が必要だろう。
 
「仁義なき戦い!!」編は、今は細かい点が気になっても、コミックスになった時に改めて読み直せば、全体としてはキチンとまとまった話になっている――と思っている。
 

 という心構えを踏まえた上で、「仁義なき戦い」編の全般より、「こりゃー行き当たりばったりだよなぁ」と思われるところを抜き出してみた。
 基本的には長期的な展開を読むつもりで接するべきなのだが、細かい点の矛盾を探してマンガを読んでみるのも、また楽しいものだ。このような部分から、物語を盛り上げるために色々な設定や言葉や展開をデッチ上げ続けるマンガ家という職業について考えてみたり哀れんでみたりするのも、またマンガファンにとっては大切なのだ。そうなのだ。

 ああ今までのフォロー台無し。でも参る。
 
 

§行き当たりばったり的台詞列伝

35号
「ひどい……!
 全身の霊力中枢(チャクラ)がズタズタだわ!」

 チャクラという概念は、このマンガではこのシーンで始めて登場。
 その後「チャクラ」という単語の出番は、43号までなし。43号以降も一度もなし。
 「おキヌちゃん効果」と同様、二度と使われない概念なような気がする。
 

「パピリオの胸には未来があるでちゅ!
 ルシオラちゃんみたく、もう終わってないでちゅ!」

 パピリオの台詞。
 その後、44号で彼女たちの余命が残り少ないという設定が登場。今となっては涙を誘う台詞となった。
 

36号
「さすがだな。
 奴等の目をくらませるために、探査される直前に幽体離脱したんだ」

 美神(というよりも、おキヌ以外のキャラ)が自力で幽体離脱ができるとされた描写は、これ以前にはない。結構、行き当たりばったり臭い雰囲気だ。
 だがしかし、離脱する時にパンスト越しパンチラを披露したのは見事。「GS美神・パンチラベスト5」にランクインできるほどの実力パンチラと言えよう。
 

37号
「よーし、それじゃメカ戦だーっ!」
「今週のビックリドッキリメカー!」

 次週に出てきたのは、ビックリドッキリメカじゃなくてビックリドッキリ蜂だった。
 ちなみに、この台詞の元ネタが判らず、「今週のビックリドッキリメカって何ですか?」と尋ねた現役高校生を、私は知っている。ジェネレーションギャップを感じた瞬間だった。
 

41号
「な……なんです、ここは……?」
「都庁の地下よ! 知らないとこみると、神族でもここを知ってるのはまだ一部みたいね」

 本当にこんな施設があり、「東京は霊的に設計され、管理された都市」であったのだったら、ゴーストスィーパーもICPOオカルトGメンも最初から必要ないじゃん――というツッコミは、胸の中にしまって墓場まで持っていった方が良いと思う。
 

43号
「マ……ママ!!」

 という訳で、何の前触れもなく、美神母が制服コスプレしながら参上。誰もが予想できなかった展開だろう。
 
 最初に読んだ時には「うわぁアンタ死んでもまだ出てくるかー」とビックリしたのだが、結局ここで美神母を登場させたことがストーリー展開の進展をもたらしたようだ。この週以降から、「仁義なき戦い」編は加速度的に面白くなって行く(逆に言えば、この週まではつまらなかったのね(笑))。
 

「「竜の牙」は変幻自在の神の剣!!
 的の特性に合わせて有効に使わないでどうしますか!!」

 「竜の牙」というアイテム名が出たのは、この台詞が初めて。能力が使い手によって変化するという設定が出てきたのも始めてだ。
 しかし、いきなり渡されたアイテムを使いこなせと言われましても。美神も大変だ。
 

「たとえ力で劣っていても、立ちはだかる敵を倒すのが美神家の戦いです!!」

 「美神家」って、代々ゴーストスィーパーだったようだ。
 
 美神公彦氏(美神令子の父)はGSじゃなくて大学教授が仕事らしい。という事は彼は元々違う名字であり、美神の母の婿養子になったという事なのか? 謎は深まる。解明されそうにないが。
 

44号
「あ…あんたら1年しか生きられないわけ…!?」

 35号のパピリオの「パピリオの胸には未来があるでちゅ」発言を覆す、今後の展開を決定付ける設定が登場。
 矛盾は生じたが、これのおかげでこの後のドラマがもう盛り上がって仕方なし。物語作りのツボを押さえた、良い設定えを作り上げたと言えよう。
 

45号
「私の「心眼」を一つ授けたんですから、訓練すればすぐ出来ますよ!」

 ヒャクメの「心眼」がリムーバブルだったという衝撃の事実が発覚。これ以後、私は彼女をキュウジュウクメと呼んでいる。
 それよりなにより、「心眼」が仮に覚醒した場合、「心眼」はおキヌの何処で開かれるのか。オデコというのがパターンだが、個人的にはヘソのある場所に心眼が開かれるのがカッコ良いと思う。ついでにそこからビームとか出たらもう最高。頼むぜ心眼。
 

48号
「げっ!? ぜ…全員ニセモノ!?」

 たまに横島のクラスメート一同が出てきたらコレだ(笑)。