1998
The Age of 
Lucciola
 - 
ルシオラの時代
Lucciola Online
  アシュ編終了以後
 
ねえルシオラ、大好きだよ。
また逢えるって信じてるよ、 
だから、さよならは言わないよ。
ずっとずっと忘れないよ、その笑顔を。
だから、またね!
ルシオラ
 

 今週の美神のセリフ、どう考えても我々ルシオラファンに喧嘩を売ってるとしか思えない。
「気になる伏線がなくなってスッキリした」だとお!?
 以前誰かが書いてたとおり、ルシオラをいかに消すかを考えてたみたいですね。
「アシュタロス編が途中から収集つかなくなった」って、それは自分で動き出したキャラクタ達を制御しきれなくなった、自分自身の 漫画家としての能力の無さを世間に露呈してるようなもんです。
 EVAがテレビであの様な終わり方をして、「漫画は作者の物か読者の物か」が散々討論されましたが、ここでも同じ様なことが起こる気がします。
 私の意見をいうと、漫画をボランティアで書いててみんなにタダで見せているなら確かに漫画の内容は好き勝手にしていいでしょう。しかし美神の様な漫画の場合、漫画を見てそれを好きになって受け入れた読者たちの出資(漫画を買う)によって日々の生活の糧が得られてるわけですから、ある程度は読者の期待に応える展開に持っていく義務が漫画家にはあると思います。そのために1ヶ月間連載休止して、理想の展開を考える時間を作るのも全然OKだと思います。
 今回のルシオラの件に関しても、こう終わらさざるを得なかったのならしょうがないでしょう。一週間経って、私も気持ちの整理がつきかけてました。
 ところが今回の、明らかに読者に喧嘩を売る美神のセリフは絶対に許されるものではないと思います。自分の親に喧嘩を売ってるのと同じです。

 私ははっきりいって、作者に失望しました。
 新シリーズもちっとも面白くなさそうだし、今週以降美神を楽しむ気が全くなくなってしまいました。
 こんなに楽しくどきどきしながら読んでた漫画は今まで少なかっただけに、本当に残念です。


 発売日が遅いものでさっき読み終わりました(ファイヤースターター)。扉をみて、「もう生まれたか?」などと思いっきり勘違いしてしまいました。まあ、私も30になるこの歳でルシオラにはまったクチですから、このへんで落ち着くのもいいのかもしれませんね。

 GS美神は連載開始当時から読んでいましたが、椎名先生は物知りで面白い作家だなと言うことで人並みに好きな作品という程度でした。テレビはビデオでとりましたが、横島の成長過程などがみれる前に終わってしまいました。
 ライバルと戦う少年漫画の王道(ジャ○プの王道ともいう)は、しかし椎名先生のめざすエンターテイメントとは違ったのでしょう。むしろ、あまたの登場人物のキャラクターに触れさせることで、物語は展開していきました。そんな中で、ついに横島が本気で女性を愛したのです。それはやっぱりルシオラの魅力、性格、行動によったものです。「またいっしょに夕日を見て」といったときの私が受けたあの衝撃、あれはぜったいに結ばれない愛だと思ったからでした。結果が悲劇に違いないと確信しながらもスリリングに進む展開に、毎週発売日を待ちわびました。
 恥ずかしい話ですが、「アシュタロスは俺が倒す」という横島の決意に感動し、通勤電車の中で涙がこみ上げたことは忘れません。連載の中で、多くのキャラが生まれ、消えていきました。連載を終われなかった以上、この展開はつらいですが仕方なかったのでしょう。「収拾がつかない」というのは、きっと本当だったと思います。椎名先生は、作中にも、作外にも自分を出さない作家です。でも、作中人物には冗談めかして語らせます。最近では、美神が主人公の立場を放棄して、作者の代弁者となったりしますが、それはやはりあくまで美神のセリフです。本気と、自己パロディーと、「ぎりぎりの」セリフですよ。
 ルシオラ・ストーリーは「逸脱(脱線)の傑作」であり、たぶんあまり編集部では支持されなかったのではないでしょうか。商業誌である以上、話を伸ばされたり、語り尽くせなかったり、そのためにつぶれた作家もいます。私は、一読者としてルシオラとの出会いに感謝して、再会を気長に、そして気楽に待ちます。仮に椎名先生にその気がなくても、横島はきっとまた成長し、いい男になっていくでしょう。そのときにかならずルシオラのことを思い出します。こんなにすばらしいキャラクターを創れる作者が、横島の気持ちを無視できるわけがないじゃありませんか。私も誓ったんです。最近仕事をかえて結婚も近いのですが、横島はアシュタロスを倒しましたが、私の誓いはまだまだかかりそうです。

 ひたすら長々と書きましたが、いい作品との別れはつらいです。子供のころ「トムソーヤの冒険」がおわって、ハックやトムという友人たちに置き去りにされたような気持ちが続いたことがあります。こうなったら、もう「最終回」など考えないGS美神であってほしいですね。横島が横島でなくなったら、私はこの漫画をよめなくなりますが。とりあえず、ルシオラの話の続きは期待してまつことにします。


 ちょっとこだわり過ぎかなって思うんだけど、
 今週号で屋根裏部屋全焼しちゃったでしょ。

 あそこってちょっと前までルシオラが暮らしてたんだよね。
 そーゆー所が無くなってしまうのは哀しい…。


 私がルシオラに本格的に転んだのは南極編終了直後、「甘い生活」に突入したときで、その時にコミックスを買い揃えGS美神目当てにサンデーを買うようになりました。

 南極編までは傍観者的な立場で読んでいたためルシオラに対する感想というのは「好きなキャラだけどクライマックスで確実に退場させられるな。」という冷めたものでした。南極編に突入したときは「物語も佳境にはいってルシオラも終わりなんだな。」とか考えていました。ところが終わってみればルシオラは生き残り、横島たちと東京にもどってきてしまっています。この時、「ひょっとして椎名先生はルシオラ=横島のラインを確定させるつもりなのでは?」という疑問が湧きました。私は今までに、途中までヒロインとして設定されていたはずのキャラを押しのけてまで連載途中に登場したキャラが主人公格のキャラとくっついてしまうという少年漫画を読んだことがなかったので(青年漫画とかであれば割とありふれているんじゃないかと思いますが)、この疑問は間をおかずに「ルシオラが既存のキャラを押しのけて横島とのカップルが成立して欲しい」という期待に変わりました。

 しかし、結局は最初に思っていた通りにルシオラは物語から退場してしまいました。それでもその退場のさせかたは巧く、ただルシオラを死なせるだけなら横島君はしばらく立ち直れそうにないところを横島の子供に転生させるという裏技めいた設定をつけてまとめました。もとの三人に戻すために最短距離を走らせる見事な展開の仕方だったと思います。

 ただ、あくまで巧いと思うのはストーリーをたたむときの巧さであって、「もとの三人の関係を堅持したかったからルシオラを退場させたのではないか」とか「それなら最初からそういう展開にしていれば何度もルシオラとの別れを描かなくて済んだのではないか」という推測ができる余地を残してしまったのは非常に残念に思いますし、やはり「ルシオラと横島をくっつけて少年漫画の世界に新たな手法を導入して欲しかった」とも思います。現世で結ばれなくても来世では・・・という話はそれこそ巷にあふれていますから。


 ルシオラ、彼女の悲劇は7年前に設定されたキャラクターの枠組みに負けた事
 そして、主役より遥かに魅力的だった事
 もし、彼女が枠組みのない作品でヒロインとして主演していたら・・・・
 と思う次第であります。

 でも、ルシオラを創ってくださってありがとうございました椎名先生


 
End.
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'Lucciola Online' Written & Programed by Fukazawa Tsuyoshi
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