「え〜、と、いう訳で、世間へのアピールなどもろもろの事情を踏まえ、我が除霊委員も文化祭で何か出し物をすることになりました。」 
ぱらぱらと拍手が響き、教壇に立つ愛子は微笑む。  
「・・・・おい。」 
「はい、横島君?」 
「文化祭があるのは、ま―仕方ない。」 
「何よ?」 
「俺達にも何かやれとお達しが来たのも事実だ。」 
「何が言いたいんじゃ横島さんは?」 
「さあ・・・・?」 
タイガーとピートは顔を見合わせる。 
「不本意だが、除霊委員がこうして集まっているのもよしとしよう・・・・・だが・・」 
「「「だが?」」」 
「何でここに当然のようにタマモがいるんだよっ!!?」 
ばんと机を叩く横島は、お茶をすすってポテチをかじるタマモを指差した。  
「?」 


きつねレポート

 学園祭ヘブン −2つの珠主− 


「まあまあ、いいじゃないですか横島さん。」 
「その通り。 タマモちゃんは今や我が除霊委員の正式なメンバーなのです。」 
「って、いつからそんなことにっ!?」 
「前横島君が学校さぼった時からかな?」 
「だからって・・・・お前、まずかないのか・・・・?」 
横島はばりっと新たなポテチを封切るタマモを見やる。 
「別に・・・・このガッコ程度の人間に後れはとらないけど・・・・・アタシの知らないところで勝手に委員に組み込まれてもねえ・・・」 
「なんだお前も知らんかったんか?」 
「うん。」 
「これは既に決定事項です。 委員に拒否権はありません。」 
「「おいおい。」」 
「愛子さん強気じゃの―。」 
「委員長ですからね・・・」 
「そこっ、私語は慎むっ!」 
「は、はいですじゃ。」 
「怖・・」 
愛子はこほんっと咳払いをする。 
「ではこれから・・」 
「意義あり――――――――――っ!!」 
がっしゃんっ!! 
「「「「!?」」」」 
「?」 
教室の窓を突き破って転がり込んできたシロは横島に跳びつく。 
「先生っ、拙者を差し置いて何故女狐などを―――――――っ!!?」 
「俺に言うな俺にっ!! だいたい何でお前がここにいるんじゃっ!?」 
「って、ここ3階なんじゃが・・・」 
横島はシロを放り投げる。 
「弟子は常に師と共にあるのでござるっ!!」 
「ストーカー2号か・・・」 
「何だとクソ狐!? 何か言ったでござるか・・・・!?」 
「ストーカー。」 
「むっき―――――っ!!」 
わなわな体を振るわせるシロは尻尾を逆立てた。 
「シ、シロ・・・・お前そんな危ない奴だったのか・・・・?」 
「えっ、違・・」 
「シロさんストーカーだったんですか・・・?」 
「いやだから・・」 
「女は怖いですのう・・・」 
「そうじゃなくって・・」 
「シロちゃんそんな危ない子だったんだ・・・・」 
「違うでござる―――――っ!!」 
シロはだんだん足を踏み鳴らし、ばりばりポテチをかじるタマモに詰め寄った。 
「馬鹿狐っ、変な誤解を植え付けるな・・・!!」 
「事実じゃない。」 
「拙者はそんなんではござらんっ!!」 
「ふむ・・・」 
タマモはお茶を口に含んで一息つく。 
「ならアタシの質問に答えなさい。 ストーカーか否か判定してあげる。」 
「いいでござるよ。」 
シロは胸を張って反り返る。 
「あなたは横島が好きですか?」 
「当然でござるっ!!」 
「「「おお―――っ!!」」」 
ぱちぱち拍手する愛子、ピートとタイガーに、横島は顔を赤らめた。 
「や、やめんかお前らっ!!」 
「あなたはどれだけ横島と一緒にいたいと思いますか?」 
「24時間っ!!」 
「「「おおお―――――っ!!!」」」 
ぱちぱちぱちっ! 
「24時間なにするの?」 
「散歩っ!!」 
「「「「・・・・・」」」」 
「・・・・勘弁してくれ。」 
横島はげんなりした。 
「横島が他の女と付き合ったら・・・・?」 
「そんなことはありえんでござるっ!!」 
「何でじゃっ!?」 
「まあまあ・・・」 
愛子たちはいきり立つ横島を押さえつける。 
「仮定としてよ。」 
「ありえないのに・・・」 
「仮定だって、それで?」 
「先生を殺して拙者も死ぬっ!!」 
「・・・・」 
頬を引きつらせて笑うタマモに、横島達も同じだった。 
(ストーカーだ・・・) 
(ストーカー・・・・青春よね・・・) 
(憐れじゃのう横島さん、でもちょっと羨ましいかも・・・・?) 
(お、俺の生活は・・・・?) 
「質問はそれで終わりでござるか?」 
「うん。」 
「それで?」 
「決を採ります。 シロがストーカーだと思う人、はい。」 
5本の腕がびしっと挙がった。 
「な、何ですとっ!?」 
「圧倒的多数で可決されました。」 
「先生まで何で!!」 
「お前・・・・・常識ある人なら誰でもそう思うぞ、普通。」 
「がが―――――んっ!!」 
「で、でもまあ、まだシロさん子供ですし・・・・」 
「犯罪にはならんと思うがの〜。」 
「でも数年後には・・・・・青春よね〜横島君。」 
「んな青春いらんわ―――――っ!! 俺のまっとうな生活返して〜〜〜〜っ!!」 
「だから拙者は違うでござる〜〜〜〜っ!!」 

かん  かん  かん  かんっ、かんかんかんからからから・・・・・   
「・・・・・」 
古ぼけた部屋の1室に、青く透き通る珠が転がった。 ブラインドの隙間から漏れる光に当てられ、珠が光る。 椅子に座っていた少年は立ち上がり、屈んでそれを掴み上げる。 
「・・・・・」 
それを握り締めた男は軽くそれを放る。 
『鳥』 
ばしゅっ 光が鳥を象りぱさぱさ羽ばたく。 が、わずかに羽ばたいただけで、それは光の粒となって消えた。 
「・・・・まだまだか・・・」 
ふんっとため息をつき、少年はどっかり椅子に座り込んだ。  

「先生っ、ほんとはそんなふうには思ってないでござるよね? ね?」 
「暑っ苦しいから引っ付くな―――っ! 事務所に帰って仕事しろっ!!」 
「あい〜〜〜〜んっ!!」 
「・・・・・今日はおひらきにします。 各自、明日までに何するか考えてくるように。」 
「はい。」 
「明日までですかい?」 
「そうよ。」 
「わっし今夜は仕事が・・・」 
「仕事中に考えるっ!!」 
「そんな・・・」 
「頑張れタイガー。」 
ピートがタイガーの肩をぽんと叩いた。 
「タマモちゃんもいい?」 
「・・・・・」 
「タマモちゃん!?」 
「ん、あ・・・・? 何?」 
窓の外をぼんやり見ているタマモは振り返った。 
「文化祭のやること考えてくるの、OK?」 
「はあ・・・」 
「じゃあ、僕はこれで。」 
「わしも、先に帰りますじゃ横島さん。」 
「ん―。」 
かばんを持って立ち上がる2人は教室を出て行った。 
「タマモ、俺らも帰るか?」 
「拙者はっ!?」 
「・・・・・・」 
「タマモ?」 
「先に帰りなさい。 アタシは1人で帰る。」 
「・・・・・そか。」 
横島も立ち上がった。 
「じゃな愛子。」 
「ええ、また明日ね。」 
「先生っ、拙者はストーカーではないでござるよっ!?」 
「わ―かったわかった。」 
すたすた先に歩いていく横島を、シロはばたばた追っかけた。 
「・・・・・どうかしたの?」 
愛子は机に座り、足を椅子にかけているタマモに近寄った。 
「文化祭とかっていつだっけ?」 
「来週よ。 実は準備も切羽詰ってるんだ。」 
「・・・・・」 
「な、何?」 
「止めたほうがいいかもしれない。」 
「!? どうして・・・・?」 
「わからないけど・・・・・何となく・・・・感・・・・」 
「・・・・・私は・・・」 
「・・・・」 
タマモは、空を見ながら背中の愛子の声を聞いていた。 
「私は、やりたいな・・・・・皆と出来る、最後の文化祭だし。」 
「・・・・そう。」 
「学校妖怪だから、いつでも出来るんだって思ってるでしょ?」 
「さあ・・・・そうなの?」 
「へへっ。 でも、私今のクラスが好きなんだ。 だから・・・」 
「・・・・・じゃあ、やれば。」 
「うんっ、タマモちゃんも手伝ってよ!?」 
「めんどい・・・」 
「やるのっ!!」 
「はいはい。」 
振り返ったタマモの笑ってる顔に、愛子は笑顔をさらに崩した。 

「・・・・・」 
校庭を校門に向かって歩く横島は校舎を振り返って見上げた。 
「先生・・・・?」 
「・・・・・」 
窓から見える長い金髪に目を細める。 がぶっ 
「いっで―――――っ!! 何すんじゃこいつはっ!!?」 
横島は足に噛み付いているシロをぶんぶん振り回した。 
「先生は拙者のものでござる〜〜〜〜っ!!」 
「そういうのがストーカーっちゅうんじゃこの馬鹿っ!!」 
「きいいいいいっ、違うでござる――――っ!!」 
「付き合いきれるか・・・!」 
シロを振りとばした横島は一目散に走り出した。 
「お待ちあれ―――――っ!!」 
砂ぼこりを巻き上げ、2人は突っ走った。 

その夜(夕飯時) 美神除霊事務所  

「へ〜、じゃあ、横島さん達で何かやるんですね?」 
「愛子が勝手に張り切ってるだけさ。 こっちはいい迷惑だ。」 
「いいじゃないですか。」 
おキヌは茶碗にご飯を盛り、お代わりを横島に手渡す。 テーブルを囲む美神、おキヌ、横島、シロ、タマモは黙々と箸を進めていた。 
「先生っ、拙者は喫茶店をやりたいでござる。」 
「誰がお前のやりたいことを聞いたよ?」 
「ところでシロ、今日あんたが仕事すっぽかした分、来月の小遣いはカットよ。」 
「がが――んっ!! そんな殺生な!!」 
「何が殺生か。 あんたが仕事来なかった所為で危うく大赤字だったのよ!?」 
「きゃいんっ!」 
ばんとテーブルを叩く美神にシロは小さくなる。 
「シロちゃん、そんなんじゃちゃんとしたGSになれないよ? 仕事はきっちりけじめをつけなくちゃ。」 
「だってだってタマモが〜〜〜先生が〜〜〜・・・・」 
「はあ?」 
ぷるるるる ぷるる・・・
「あ、私出ます。」 
立ち上がったおキヌはデスクにぱたぱた駆け寄る。 
「何でタマモは仕事をさぼってるでござるかっ!!?」 
「アタシ従業員じゃないもん。」 
タマモはこりこり漬物をかじる。 
「美神殿っ!! 何でタマモには報酬形式で払うでござるか!!?」 
「だってあんたより使えるもん。」 
「が――んっ!!」 
「シロちゃん、ちょっと静かにしてっ! もしもし、美神除霊・・・・・・クロさんっ!? お久しぶりですっ!!」 
4人の視線がおキヌに集まる。 シロはばっとおキヌに跳び付いた。 
「お、おキヌ殿っ、代わってくだされっ!!」 
「わっ、ちょっと待ってシロちゃん。 ほら・・・」 
シロは両手で受話器を握り締めた。 
「クロ兄っ? シロでござるっ!」 
『お―シロか、久しぶり久しぶり。 元気にやってるか?』 
「はいっ!」 
『怪我とかしてないか? 美神殿や横島に迷惑かけてないか?』 
「大丈夫でござる。」 
『そっか・・・・ならよしっ!』 
「はいっ!!」 
『すまないが、美神殿かタマモと代わってくれないか?』 
「うっ・・・・・拙者じゃ駄目でござるか?」 
『だだをこねるな。 大事な話なんだ。』 
「・・・・・は、はいでござる。」 
シロはすっと受話器を外し、テーブルに目をやる。 
「・・・・・」 
「シロ、どした?」 
「クロさん何だって?」
「・・・・美神殿かタマモと代われって・・・」 
「?」 
「何かしら? タマモ、聞いといて。」 
「ええ〜〜、今食後の一服を堪能してるのに・・・」 
湯飲みを置き、のっそり立ち上がったタマモはのらくら歩いてシロから受話器を受け取った。 
「・・・・」 
「何で睨む?」 
「ふんっ!」 
シロはずかずかテーブルに戻っていった。 
「も―しも――し。」 
『タマモか。 俺だ。』 
「うん、で?」 
『・・・・・』 
「もしもし?」 
『・・・・あ、すまない。 手っ取り早く話すぞ。』 
「・・・・・やられたの?」 
『生きてるさ。 ちょ―っと動き難いだけだ。』 
「そ、なら平気ね。」 
『冷てえなあ、もう少しいたわりの言葉はないのかよ。』 
「切るわよ。」 
『待て待てっ、変な奴を取り逃がしたんだ・・・・・そっちに向かうかもしれない。 一応、知らせとこうと思ってな。』 
「何?」 
『わからない・・・・人間の格好をしてるが、この国の者じゃないかもしれない。』 
「仕事失敗したの?」 
『まあ、そうなるな。 GSも楽じゃないな。』 
「・・・・それで、そいつはどういうの?」 
『あいつは・・・・・相手の能力を喰う。』 
「霊力じゃなくて、能力自体を?」 
『両方かな・・・・特に特殊な奴らを好むそうだ。 横島とおキヌ殿とかは、気をつけたほうがいい。 お前もな・・・』 
「何がしたいのそいつは?」 
『さあねえ・・・・だがこれはGS教会から依頼されたんだ。』
「・・・・何で新人のあんたに依頼が行くのかしら?」 
『俺の実力と言って欲しいなあ。』 
「はいはい。 5位さんの実力ね。」 
『3位だよ、忘れるなよな。 まあいい、詳しくはGS教会に問い合わせればわかるだろう。』 
「ま、忠告ありがとね。」 
『お前に何かあったら困るからな。』 
「・・・・・・」 
『なんてな。 話はそれだけだ。 もしかしたら、美神殿宛に依頼がくるかもしれないがな。』 
「・・・・・・クロ。」 
『ん?』 
「・・・ありがと。」 
『お・・・・おうっ。 じゃあな。』 
「うん。」 
かちゃん・・・・ 
「・・・・・」 

「そう、クロがねえ・・・・」 
食後のお茶をすすりながら、美神は深く息を吐いた。 
「クロさんが除霊出来なかったなんて、ちょっと心配ですね・・・」 
おキヌはテーブルの上で手を重ねあわせる。 
「ま、生きてるみたいだし、そんなに心配することも・・」 
「あお〜〜〜〜〜んっ!! クロ兄―――――――っ!!」 
「「「「・・・・・はあっ。」」」」 
頭をかきむしって部屋の中を走り回るシロに、4人は揃ってため息をつく。 
「ともかく、詳細を調べてみるわ。」 
「どうするんすか?」 
「クロの言う通りなら、GS教会に問い合わせればわかるでしょ。」 
「やっぱり、妖怪か何かでしょうか・・・?」 
「多分ね。 ともかく、2人共気をつけるのよ?」 
美神はおキヌと横島の顔を見る。 
「そんなに心配なら24時間美神さんの傍に・・・っ!!」 
べきっ 
「おキヌちゃんは、学校への送り向かいはしてあげるわね。」 
「よ、よろしくお願いします・・・」 
笑顔の美神に、おキヌは隣で引っくり返っている横島に頬を引きつらせながら頭を下げた。 

その夜 屋根裏部屋 

「あお〜〜〜ん・・・・・クロ兄ぃ〜〜・・・・しくしくしく・・・・」 
「・・・・うざいわね、静かに寝てよ・・・」 
「ううう〜〜〜・・・・」 
シーツを噛み締めながら泣くシロに、隣のベッドで横になっているタマモは背中を向けた。 
「拙者・・・・拙者〜・・・・」 
「う、る、さ、い。」 
「ふんっ、愛を知らん狐に、拙者のこの身も裂けそうな思いはわからんでござるよ!」 
「あ、そ。」 
「あいいい〜〜〜〜ん・・・・・」 
「ああんっ、もうっ! あんたが泣いたからなんだってのよ!?」 
タマモはがばっと体を起こして枕をシロに投げつけた。 
「何するでござるかっ!!」 
シロもばっとシーツを跳ね除ける。 
「あんた、横島横島クロクロクロクロうるさいのよっ!!」 
「何だとこらっ!」 
「そんなんじゃ2又ストカーになるわよ!」 
「きいいいいいっ、まだ言うかこいつはっ!」 
「ど―せどっちにも相手にされてないんだから諦めて寝ろっ!!」 
「そんなことないでござるっ! 先生もクロ兄も拙者のものでござる――――っ!!」 
「っはん。」 
「鼻で笑うな〜〜〜!! だいたいいっつもお前が拙者の恋路を邪魔するくせにっ!!」 
「そ―だっけ?」 
「そうでござるっ! 拙者と先生の間に割って入り、クロ兄との間にさえも入ってくるくせにっ!!」 
「そんなん知るかい。」 
「・・・・そうだ、全ての元凶はお前でござるっ!! 拙者の幸せな人生設計を粉々にしてきたでござる――――っ!!」 
「じ、人生設計・・・・?」 
「こん悪魔が――――っ!!」 
シロは霊波刀を出してタマモに跳びかかった。 ごすっ 
「ぎゃいんっ!?」 
がっしゃあん・・・・ぱりん、からん・・・ぐちゃっ・・・・! 
「やれやれ、すっかり目が覚めちゃったわ。」 
割れた窓ガラスに向かってぱんぱん手を払うタマモは、ドアから階段を下りていった。 

「!?」 
暗い夜の中、事務所の外に出たタマモは白いそれに目を奪われた。 暗闇にぱたぱた羽ばたく小さな鳥がタマモの前にゆっくり舞い降りてきた。 
「・・・・・」 
すっと差し出し手にとまる刹那、それはくるっと向きを変えた。 
「あ・・・・」 
すっと滑空するそれの先に、タマモは少年の姿を見た。 白い鳥は、タマモより少し背の低い少年の元にたどりつく前にぱしゅっと光の粒になって消えた。 
「また駄目か・・・・・あ・・・」 
少年がタマモに目を向けてきた。 タマモもそれを見返す。 
「・・・・あんた、狐か?」 
「そうね。」 
「狐がこんな街中で何してる?」 
「さあ・・・・何かしら?」 
「・・・・・」 
「・・・・・」 
「・・・・」 
「・・・・」 
「・・・・・・あんたを祓えば金になるかい?」 
「知らない。 けど、あんたじゃ無理よ。」 
「試してみるか?」 
「結構。 ガキの相手する気はないわ。 遊びたいんなら、ガキ同士でやって。」 
タマモは地面にめり込んでいるシロにくいと指を指す。 
「な、なんだそれ・・・?」 
「ストーカー未遂少女、かな。」 
タマモはすたすた歩き出し、少年を無視して道路を進む。 
「ま、待てよっ!」 
少年は声を張り上げるが、タマモは振り返らなかった。 
「・・・・・俺を無視すんじゃねえっ!!」 
「!?」 
突然後に5メートルくらい引っ張られたタマモはもんどりうって転がった。 
「―――何っ?」 
立ち上がるタマモは少年に向き直る。 
「狐なら丁度いい。 あんたをどうこうしたって、法にも触れないって訳だからな。」 
「いい度胸ね。」 
じゃきっと爪が伸びる。 
「おおっと怖い怖い。」 
少年はおどけて1歩下がる。 
「けどいいのかな? 俺を怪我させると、お前は除霊対象になるぜ?」 
「だから?」 
「だからって・・・・わかってんのかお前・・・!?」 
「死ぬ前に言いたい事はそれで終わり?」 
ぎりっと擦りあわされる爪に、少年はびくっとなった。 
「な、なめんなっ!!」 
ばしゅっ 光を放った少年の手から小さな珠が作りあがる。 
「文珠っ!?」 
「喰らえっ!!」 
「っ!!」 
『浄』 
どしゅううううううううううっ!! 

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【次回予告】 
愛子 「ど―も、主役の愛子です。」 
横島 「違うだろ。」 
愛子 「迫りくる文化祭という名の強敵に、我々除霊委員は何が出来るのかっ!?」 
ピート「要するにまだ何するか決まってないんですね・・・」 
愛子 「青春という1ページに組み込まれるシーンやいかにっ!!?」 
タイガー「わっしは食える物がいいのう。」 
横島 「あ、俺もそれ賛成。」 
愛子 「さらに、迫りくる謎の妖怪、謎の少年の正体はっ!!!?」 
横島 「いきなりまじめな内容に戻すなって。」 
愛子 「そして、ストーカー未遂の結末はっ!!!?」 
シロ 「せ―んせ――いっ!!」 
横島 「出た―――――――――――――っ!!」 
愛子 「次回、『学園際ヘブン −グルメ・ビジター−』」 
横島 「誰か助けて―――っ!!」  
シロ 「お待ちあれ―――っ!!」  


※この作品は、狐の尾さんによる C-WWW への投稿作品です。
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