アシュタロスを継ぐ者


〜序章〜

流転

【1000年前 老ノ坂】
そこでは今、なにもかも始まろうとしていた…。
「!!これは―――!」
時間移動する際に生じる特有の波動がアシュタロスを包み込む。
「時空震のポイントを制御して――あいつだけを未来へ吹っ飛ばす!!できるだけ遠く…!」
軽快なキーボードを叩く音の中に戦慄が走る。
「奴のエネルギーが大きすぎて四、五百年飛ばすのが精一杯か…!でも、とりあえず充分!!」
   カチッ!
「!!空間が――!!」
空間が歪曲し、アシュタロスの姿が薄れていく。
「このままでは済まさんぞ、メフィスト…!!必ず…!!」
アシュタロスはそう言い残し、異次元に消えていった。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
それから一段落して―――。
美神達が去った後、メフィストはおもむろに高島の魂を取り出した。
「お行き、高島どのの魂・・・・今は自由にしてあげる。でも、今度あったらもう逃がさないんだから…」
寂しそうな顔をしながらメフィストは高島の魂にかけた『呪』を解き放ち、『彼』を天に還した。
「行こう、西郷殿。私、人間になるからいろいろ教えて」
「まずは名前を決めなきゃな」
「名前…?そうね…」
そう言いながら二人は歩き出す。
「葛の葉・・・・葛の葉でいいわ」

こうして先のアシュタロスによる大事件が起こり、激戦の末美神達が勝利を得たのは言うまでも無いだろう。

だが……。
すべてはまだ終わってはいなかったのだった……。

「アレが目標のようだな」
「さて、仕事にとりかかりますか」
木の陰から二人の男が出てきた。両者は忍び装束のような物を身に纏っていた。
この時代に忍者がいる訳ない。そう、彼らは人間ではないのだ。
またその落ち着いた様から見て、おそらくある程度高等な魔族だろう。
一人は頭に二本の角、そして三つ目。
そしてもう一人は髪が逆立っており、一本一本が針の様に鋭利で口には四本の牙が見える。
二人は虫を掴む様に容易く高島の魂を捕えると再び闇へと帰っていった。

こうして全世界を巻き込む新たな戦いが始まるのだった……。


※この作品は、ゆうすけさんによる C-WWW への投稿作品です。
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