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00/ 2/28 第0回 広告から妄想する

祝! 連載開始

 祝!
 椎名高志先生の新連載「MISTER ジパング」、週刊少年サンデーで次号より連載開始!

 という訳で、椎名高志作品を勝手に愛好する、ファンサイトという名のストーカーサイトである(自分で言うな)我が C-WWW としても、「MISTER ジパング」を積極的にサポートして行きたい所存であります。

 今回の新連載のタイトルは「MISTER ジパング」。前号のサンデーには予告記事が掲載されていましたが、そこに載っている情報らしき情報は、「ハデに生きるぜ、戦国乱世!!」というアオリ文句と、主役とおぼしき三人の男性キャラのイラストだけであり、これだけからマンガの内容その他を推測するのはちょっと難しい状況です。情報量が圧倒的に足りてません。
 だがしかし、我々のようなマンガ好きには、「わずかな情報を妄想で補い、勝手に真実を創り出して自分自身が納得しないと気が済まない」という、実に困った性根がたたき込まれているのであります。我々としては、ここで「マンガのタイトルとアオリ文句と一枚のキャラ絵」だけから勝手にパラノイアチックな深読みを行って妄想を広げ、マンガの内容を意地でも推測しないと気が済まないのであります! まさにこれぞ我らの生き様! ボクはもう止まらないよ!

 ですので、今回は現段階の限られた情報からどこまで新連載の「真実」に迫れるか、妄想を駆使してみることにしました。

タイトル

 「MISTER ジパング」。なんつうか、とってもシンプルで判りやすい名称だと思います。もし私が高校のマンガ研究会に所属していたら、「なんかこのタイトル、エラく安直な感じがしませんか? 先輩!」って瓶底メガネ掛けてズボラに髪を伸ばしている上級生女子のマン研部長(メガネを外して髪を整えれば実は美少女なのだが、本人は容姿の事をまったく意に介していないという設定)に言いたくなる程シンプルで判りやすいですね。一応誉めてるつもり。
 あと、「MISTER ジパング」は「MASTER キートン」と語呂が似てる、と指摘する筋もあるかも知れませんが、そんな事言ったら「GS美神・極楽大作戦!!」だって「河童の三平・妖怪大作戦!!」と語呂が似ていると指摘しなければならなくなります。細かいことは気にしないに越したことはありません。そこそこインパクトがあって憶えやすければ、タイトルなんぞどうだっていいのであります。
 もし「GS美神」が「女囚美神令子・701号怨み節」とか「美神令子の大霊界 死んだらどうなる!」とか「ボディーガード美神・必殺三角飛び」とかのインパクトだけが溢れる名前だったら、貴方はこのマンガを読んでいると思いますか?

 それよりも注目するべきなのは、やはり「ジパング」という文字列がタイトルに含まれているという点でしょうか。
 「ジパング」とは、元々はマルコ=ポーロの「東方見聞録」に登場する黄金の国=日本のことですが、ここではサンデー超増刊 1996年6月号に掲載された椎名高志氏の読み切り作品を指します。この内容は、『黄金の国・ジパングに夢を馳せるコロンブスと、そのジパングの「ソームライ」(侍)の息子を名乗る少年ジパングの冒険を描いた、海洋冒険ロマンコミック』というものでした。
 どちらも同じ「ジパング」というキーワードが新連載の中に組み込まれている以上、双方の間に何らかの関連性を期待しても良いのではないか、と思いますね。コロンブスの時代 (1490年代) と日本で戦国乱世が盛り上がっていた時代 (1550年代〜) では年代が微妙に異なるのが問題なのですが、まぁ所詮はマンガなので、その辺は何とでもなるでしょう(なりません)。

 また、「ジパング」というマンガの真の価値は、椎名高志氏のオヤジキャラ好きが全面に出たところにあります。
 何と言っても「ジパング」は、主人公のコロンブスがオヤジ、コロンブスのライバルキャラのクーロン船長もオヤジ、そのクーロンの手下達も当然オヤジ。主人公のジパング君以外の主要キャラは全てオヤジだけで構成されている、と申しても一向に差し支えのない、まさにオヤジが大活躍するマンガなのです。
 椎名高志というマンガ家は、美少女わんさかコメディーマンガ「GS美神」でメジャーになったが故に、世間では「美少女キャラを描くマンガ家だ」と認識されがちですが、実は美少女キャラ描くよりもオヤジキャラ描く方が絶対に好きに違いないのです(少なくともオレの中では←妄想)。実際、椎名氏のメジャーデビューのきっかけとなった小学館のまんがカレッジに佳作入選した作品は、マッドサイエンティストなオヤジキャラが海洋冒険を繰り広げる『絶海絶命!』というマンガでした。
 即ち、椎名氏にとって「オヤジ」と「海」の二つはマンガ家としての原点であり、「ジパング」というマンガはそのエッセンスを抽出した作品である、と言えるのです。今そう決めました。

 ですので、次回作には、まず間違いなくオヤジキャラが出てくるはずです。しかも大量に。「GS美神」に毎週毎週美少女キャラが出てきたように、「MISTER ジパング」には毎週毎週オヤジキャラが出てくるに違いないのです! 「オヤジキャラこそ椎名作品の神髄である」という認識を、「GS美神」の女性キャラに萌え萌えな野郎共に叩き込んで頂きたい所存! っつうか、オヤジオヤジ! まずはオヤジを出せ! 話はそれからだ!(どうしてよ)

アオリ文句

 「ハデに生きるぜ、戦国乱世!!」が、サンデーに掲載された予告に被せられたアオリ文句です。このアオリを読む限りでは、当然の事ながら今回のマンガの舞台設定は戦国時代であると認識してしまいがちなのですが、だがしかし油断は禁物であります。
 以前ここで取り上げた「『下心と金欲が支配する、オトコとオンナのハーモニー!?』とアオっておきながら、実際にはオトコとオンナのハーモニーでも何でもなかった」事件が示すように、アオリ文句は所詮広告記事担当の編集者がイラスト一枚から想起されるキーワードを並べたものに過ぎず、作品とは直接関係ないものだ、という気構えで相対しなければいけないものなのです。作品そのものと作品に付けられたアオリ文句の関係は、言うなれば原作のマンガとそれをアニメ化した番組と同じくらい違うものであるのです。

 主人公達の格好は確かに戦国時代以外の何物でもないので、まぁ十中八九の確率でアオリ文句通りの内容であるとは思いますが、もしかしたら「戦国時代の人間が現代にタイムスリップした」なんていう、高橋留美子先生の「炎トリッパー」みたいな設定かも知れませんですよ? ゆめゆめ侮るな!

キャラクター

 では、最大の論点であるところのキャラクター像に迫ってみます。
 予告に載っていたキャラは三人。主人公とおぼしき鉄砲担いで虎柄の袴履いてるナイスガイと、その従者とおぼしき気弱そうな少年と、おじゃる丸コンパチの子供、という布陣です。今のところ、中央の主役っぽい男性を「戦国時代」「虎柄」「鉄砲」「チョンマゲ」のキーワードから連想して「織田信長」、右の少年を信長つながりで「木下籐吉郎」(豊臣秀吉)、左の子供は同じく「竹千代」(徳川家康)とする説が最も有力です。

 もし本当にそうだったら、「MISTER ジパング」は日本の戦国時代を題材にしたマンガということになります。この場合は、どこまでヒストリカルな展開にするのか、戦国時代でもいつの時代を舞台にするのか、という辺りが興味の対象になりますね。「GS美神」が終了した週のサンデーの読者アンケートの設問『あなたは椎名高志先生に、次にどんな作品を描いてもらいたいですか?』には「歴史まんが」という選択肢がありましたが、まさか本当に歴史モノやるとは驚きですよ。いや、まだそうと決まった訳ではないのですけど。
 もう一つありえるのは、信長とか秀吉とかの歴史上の人物のイメージだけ借りて、史実とはまったく違った作品世界を構築するという、平野耕太氏の「大同人物語」がやってるような手法を取る可能性でしょうか(例え悪過ぎ)。

 そして、もっとも興味を惹かれるのは、なんだかんだ言いましたけど、やっぱり「どんな女性キャラが出てくるか?」になるでしょう。さすがにこればっかりは蓋を開けて見ないと判らない事ですので明言はできませんけど、もしヒストリカルな歴史に沿って話を作るのであれば、信長や秀吉に絡んで戦国時代に名を馳せた女性キャラ(キャラ言うな)が逐次登場してくるのはほぼ確実と思われます。
 とは言うものの、予告に出てきたのが男性キャラ三人だけという辺りから推測すると、今回は女性上位な傾向が目立った「GS美神」とは違い、今回はあくまで男性キャラを主役とした物語を構築して来るのかも知れませんねぇ。

 オヤジばっかり大量に出てきた「ジパング」には女性キャラが事実上二人(スペイン女王とコロンブスの恋人)しか登場して来ませんでしたが、彼女たちのシナリオ上での役割は、「黄金の国ジパングを探す夢を実現しようと旅に出るコロンブスの男のロマンに理解を示し、何だかんだ言いながらも彼に協力する」事でした。
 つまり、「ルパン三世のテーマ」で高らかに歌われているように、男には自分の世界がある訳であり、それは例えるなら空を駆ける一筋の流れ星だったり、風を払い荒れくるう稲光だったりする訳なのですが、そういうのをバカバカしいと思いながらも理解してくれる女性キャラです。背中で泣いてる男の美学を判ってくれる女性に、世の男性(特にオヤジ)は弱いのです。

 もし「MISTER ジパング」が男性キャラを中心とした物語構成になるのであれば、女性キャラの役割は「ジパング」と似たようなものになるのではないのかな、という気がします。「GS美神」のエピソードの中にも「ミニ四駆に興じる男性キャラ陣を見て美神が『男ってバカよねぇ』とあきれる」シーンがあったりしましたけど、この「バカ」にささやかな愛情が込められていれば、もうそれだけで十分萌えることは可能であります。
 でもまぁ、美神の場合は、なんか本心からあきれていたみたいでしたけどね。っつうかアンタ、ミニ四駆だって立派な「背中で泣いてる男の美学」の範疇に入るんだっての! 美神くらいの年代だったら絶対に子供の頃「ルパン三世」の再放送観てたに違いないってのに、判ってねぇよな!(ドクロ)

結論

 という訳で、以上の考察の結果、今回の新連載の予想は、

 という事に決定しました。
 まぁ、どんな事も実際に始まる前に色々と予想している段階が一番楽しいものなんですよねー。

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