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99/ 2/28

 「ドスコ〜イ! ごっつあんです。
  私が、スモー界新顔期待の新人、ロビン山ッス!」
 (サンデー13号、ロビン・ウィリアムス独占インタビューより)


 と、なんか今頃旬を過ぎて久しい千代大海ネタを今頃繰り出して笑いを取ろうとするインタビュー記事を読んで、思わず冷ややかになってしまった私がここにいたりするのですが、皆様如何お過ごしでしょうか?
 先週は更新を休んでしまって申し訳ないです。泣く子と仕事と体調不良には勝てませんでした。ドスコイ。

 というか、今週の「ロビン・ウィリアムス独占インタビュー記事」は、いかな「笑い」がテーマなインタビューだったとは言え、ちょっと記事内容がアタマ悪かったような気がします。いくら何でも、あそこまで文体が砕けてしまうと文章全体の信憑性が薄くなってしまいかねませんし(本当にロビン・ウィリアムスがドスコイとかチヨタイカイとか言ったんですかね?)、それより何より「(爆笑)」とか「(号泣)」とかの使い過ぎはよくないです。人として。
 「(笑)」はインタビュー記事で臨場感を伝えるために使う分には非常に便利な記号ではありますが、あまりに多用すると鬱陶しいだけで、読んでいる方が辛くなること必至です。いかなウィリアムス氏がインタビュー中に笑いを振りまいていたとはいえ、実質1ページ半程度の文章で「(爆笑)」を5回も使うのは文章としてよくないと思います! 先生からも何か言って下さい! と自戒を込めつつ言っておきます。

 いやマジな話、単に「(爆笑)」という記号を使っているだけでは、読者はおろか、「からくりサーカス」の自動人形・フランシーヌだって笑わせられませんよ! このままだと我々の行く末は人肉玉乗りのパーツになってしまいますよ! 「ほらフランシーヌ、滑稽だろう? 笑えるだろう?」とか言われてしまいますよ! っつうか、このオヤジなんか「悪の唐巣神父」みたいだよ! 目が怖いよ! ホント、藤田先生ってこういう猟奇的な人間描くのが好きなのな!


 で(突然)、笑いという観点から言うと、今週のサンデーで一番笑えたのは「サラダデイズ」に出てきた、「普段はクールな男が、雨の河川敷で捨てられた子猫たちに傘を差し掛けるという優しい一面を見せる」というシーンでした。これは、かの「サルでも描けるマンガ教室」でも少女マンガのヒロインがグッと来る典型パターンとして紹介されている程コテコテな感動シーンなのですが、このシーンを「サラダデイズ」で初めて観たときには、こういうシーンを今時堂々と持ってくる度胸とセンスに敬意を表しつつ爆笑してしまいました。やるなぁサラダデイズ。

 更に素晴らしいのは、その下のコマで「なんじゃ、そりゃ。ふた昔も前のマンガかっつーの」と、大半の読者が感じたであろう事をあえて主人公に語らせて自分で突っ込みを入れているところです。この、読者の心理を先に自分で代弁してしまう技法は、専門用語で「一人ボケ突っ込み」と呼ばれる高等技術なのですが、この手法をあえて恋愛マンガでやってしまう辺りに、「判っていてこういうネタを使っているんだよ〜笑って許してね〜」という猪熊先生のメッセージをビシビシ感じますデス(情報妄想)。
 いやもう、やっぱこのマンガ面白いですよ! もっとやれ!


 ……という感じで、最近はこんな感じであまり「GS美神」を取り上げていないこの What's New なのですが、今回は久しぶりに「GS美神」の話を少し。
 勤務中のネット検索で(ダメ)、「GS美神」の事に関する評論記事が掲載されているサイトを見つけたので、ご紹介します:

 この文章は97年2月号(コミックス26〜27巻辺りが連載されていた頃)に「ぱふ」に掲載されたものであるので、今となっては多少内容が古いと言えますが、この評論が分析している「GS美神」の変遷――作品のマルチメディア化によるイメージを逆手に取り、作品が扱っている「恋愛」の質を変化させる――についての視点は今までにないものであり、非常に興味深い評論だと思います。

 私が今まで「GS美神」のアニメ・小説・ラジオドラマなどのマルチメディア化に対するイメージは、「どんな形にしろ好きな作品が世に広まるのはいいことだ」という消極的な賛同意見であり、魅惑の國府田マリ子ヴォイスでメロメロになって壊れたおキヌファンをネット上で大量に目の当たりにし、その声優パワーの威力の凄まじさを思い知った事であり、「なんでGS美神のCMに小学館の雑誌の宣伝が入らないの?」という疑問を持った事であり、さらに言えばこの頃にマジメに雑誌のCMを打たなかった事が、その後のサンデーの凋落の原因の一つになったのではないかと思ったりした程度でありました(判らん)。要するに「マルチメディア展開が原作に与える影響」という要素まで考えが回っていませんでした。
 が、この記事では、そんなマルチメディア展開の裏で「GS美神」は密かに作品世界を進めており、メディア展開が終結したタイミングを見計らって一気に作品世界をひっくり返し、それ以前から比較すれば「別の作品」とも呼べるようなものに変化させたのだ、と指摘しています。つまり、椎名氏は「GS美神」はメディア的には終了した作品である事を自覚しており、それ故におキヌの再生、美神の過去生の登場、横島の急成長などの新展開をメディア展開の終了と同時に押し進めることによって「新しいGS美神」を読者にイメージさせることに成功したのだ――という分析です(多分)。

 言われてみれば、後の展開に大きな影響を与えた「誰がために鐘は鳴る!」「母からの伝言!」編はアニメ放映当時に連載されていたものですし、「スリーピング・ビューティー!」編や「デッド・ゾーン!」編を開始したタイミングも確かにメディアミックスが終了して落ち着いた頃です。何だかんだ言いつつも、当時は色々と今後の構想を練っていたのは間違いないでしょう。もし、そこまで計算してこれらの展開を行っていたのであれば、椎名先生は真に先見性を持ち合わせた希代のエンターテイナーと称するにふさわしいと思います。
 ……単にタイミングがたまたま一致していただけ、という可能性もありますけど(笑)。


 ただ、ここで語られているGS美神の面白さは、長い間張ってきた「美神対魔族」という伏線を一気に顕在化させた事によってもたらされたものであり、それ故にもうその「美神対魔族」路線がアシュタロス編終結と共に完全に終わってしまった現在となっては、「GS美神」はもうそのタイプの面白さを読者に提供することはできなくなっているでしょう。また「恋愛」の要素も、一応美神と横島の関係に発展の余地は残されているものの、ここ最近はこの手の話が出てくる素地すら見えませんので、以前のようなラブコメ的路線を過度に期待しない方が良いのかも知れません。
 要するに、今の状態は、今まで長い間に渡って張って来た伏線やプロットがリセットされてしまっていると言えます。この状態は、良く言えば連載初期の純粋なコメディマンガへの回帰と取れますし、逆に悪く言えば今まで読者の興味を引かせて来た展開そのものが崩壊してしまった抜け殻のようなマンガと化してしまった、とも取れる訳です。

 私は、どちらかと言えば、「美神対魔族」と「美神と横島のラブコメ」が並列して展開していた18巻以降の展開が始まってから本気でのめり込んだタイプなので、それらの要素が抜け落ちてしまった今の展開は、『確かに面白いんだけど、でも何か物足りない』ような印象を抱いているのが、正直なところではあります。
 正直言って、「デッド・ゾーン!」編〜アシュタロス編の間に登場した設定で今現在の展開に引き継がれているものって、横島の文珠と、美神事務所の屋根裏部屋だけなのではないのでしょうか?

 今現在、サンデーでは、久しぶりに登場したシロと、アシュ編以降に登場した新キャラのタマモがペアになってになって活躍しそうなエピソードが展開されています。このエピソードはアシュ編終了以降に作成された初めての長編モノになりそうな感じなのですが、個人的には『もしかしたら、今回のエピソードで、アシュ編終了以後の「GS美神」が目指しているマンガの内容が少しは見えて来るのではないのか?』という期待感を抱いています。今後の展開に素直に期待したい次第です。


 あと、紹介したサイト「富士参號工房・すたじおすうぱあかぶ第三スタジオ」には、「GS美神・極楽大作戦(2)」という、もう一つの美神評が掲載されています。こちらでは「GS美神」と「椎名百貨店」の両椎名作品の質の違いについて述べられており、参考になります。こちらもご一読を。

 しかし、「GS美神」って、仮にもオタクにバカ受けな少年サンデー(褒め言葉)において長期連載を続けているマンガなので、こういう評論やレビュー関係の記事を載せているサイトってもっと沢山あるのではないか? と常々思ってはいるのですが、なかなか見つかりません。ネット上で観られる美神関係のリソースがありましたら、掲示板とかに書き込んで頂けると幸いです。と、マトモな事を書きつつ終わり。ドスコイ(原点回帰)。


更新情報:

  • 「煩悩の部屋」のイラストページに、緒理さんの新作「蘇る白狼!!」「ききょう屋の看板娘」を掲載しました。「蘇る白狼!!」はシロ、「ききょう屋の看板娘」はタマモを、共に時代劇っぽい雰囲気で描写した、とてもファンタスティックなイラストです。
     先週から始まった「白き狼と白き狐」編で一気にモチベーションが高まった緒理さんの気合いが入った、とてもいい雰囲気のイラストですよ! オススメ。

  • GS美神・極楽大作戦!!・コミックス未収録話一覧」を更新しました。
     ついに37巻掲載分に突入です。どこまで続ける気なんでしょうかこのマンガ(失礼)。

  • 藤宮ケイ氏提供の Cna-Chat のメインページへの URL を変更しました。

  • あと、前回も一応お伝えしましたが、3/18 にコミックス35巻が発売されるので、それについての情報を「ニュース・イベント情報」に掲載しておきました。

     なお、この前日の 3/17 には、講談社から「ラブひな」1巻が発売されますので、この辺要注意です。
     「GS美神」35巻が、80年代を代表する「うる星やつら」的なラブコメ展開をエンハンスする形で発展させた末にたどり着いた、ダメハーレムマンガの一種の終局であると仮定すると、「ラブひな」は90年代を代表する「ときめきメモリアル」や「同級生」などのギャルゲー的展開を始祖にして発生した、新しい形のダメハーレムマンガであると言う事ができるのではないのでしょうか。
     3/17 〜 3/18 の二日間、我々は「ラブひな」と「GS美神」の二つのマンガによって、ラブコメマンガの一つの終わりと一つの始まりを見ることになるのです。これぞまさに「君は命の始まりを見る」のであり、即ちスペースランナウェイ! スペースランナウェイイデオンなのであります! 乞うご期待!(何故?)


    追伸:
     冬コミ同人誌レビューは今週も書く暇ありませんでした。次週にはぜひ!(←自分へのプレッシャー)


99/ 2/16

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99/ 2/14

99/ 2/ 7


99/ 2/ 1


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