もはやコミックの買い逃しがステータスになりつつある自分の社会的な立場を客観的に見つめながらこんにちは。
こちらは、椎名高志ファンのためのサイト C-WWW の更新情報ページです。
24日発売の森薫氏のコミックスのうち、「エマ」は何とか本屋をハシゴして最後の一冊を入手できたのですが、「シャーリー」の方は完璧なまでに完売してました。やっぱり、成熟した大人の女性のメイド姿よりも、13歳の少女のメイド姿の方が好きなのですね皆さん。
ネットのマンガ系サイトを読むと、「シャーリー」と「エマ」2巻は24日を待たずにその前の土日にはもう入手可能状態だったそうなのですが、どのみち土日は本屋へ行く暇がなかったので、その時点で既に私の運命は決していたと言えましょう。とりあえず、まだ版元には在庫がある(らしい)というのが救い。そんなに間をおかずに買えるといいなぁ。
いやでも、実は「シャーリー」に掲載されているマンガが載ってる同人誌を全て持っているので、そんなに悔しくないんですけどNE!
「エマ」1巻が発売された後に森薫氏の人気が急上昇し、氏が「県文緒」名義で出していた同人誌も軒並み値を上げていた、という話を聞いた時は、「数年前のコミティアで見かけた "Shirley Medison" を発見して衝動買いした、あの時のオレの目利きに間違いはなかった!」と妙な優越感に浸れましたYO!(狭い)
そんな感じで今週は個人的に大注目なマンガ(エマ/羊のうた/江戸狼浪伝/ネギま!)が立て続けに発売されたので、マンガサイトらしく購入した順番に簡単な感想を載っけておきます。
購入した順番に掲載しているので、ここは椎名高志ファンサイトであるにも関わらず「江戸狼浪伝」の感想が下の方に行ってしまっていますが、他意はないので気にしないで下さい(´Д`;)。
「エマ」2巻(森薫/エンターブレイン)
ビクトリア朝時代のイギリスの魅力がメイドだけではないことを教えてやる!(池田秀一の声で)
と言わんばかりにエマさんがメイド服をかなぐり捨てて汽車に乗ってロンドンを脱出して大変なことになる物語。それが「エマ」2巻のあらすじです(ウソです)。
1巻は主人公のエマとウィリアムが出会ってから徐々に心を通じ合わせて行く様子を描くのがメインだったので、比較的穏やかな雰囲気だったのですが、この巻では雰囲気が一変。1巻では「ビクトリア朝時代のイギリス」を演出するフレーバー程度の使われ方をしていた貴族とメイドという「階級」の違いが、二人のラブストーリーにおける最大の障害としていよいよ立ちはだかって来る様子が描かれます。特に、上流階級社会に属し、「階級」があることを当然のものと認識しているウィリアムの家族達からの彼に対するプレッシャーは相当なもので、これからの二人の恋が前途多難なものになる予兆がヒシヒシと。
一方の当事者のエマも色々あって恋を諦めてロンドンを後にしてしまいますし、このマンガはこれから相当長くなりそうな予感がします。
そして、そんなイギリス貴族社会の埒外に位置し、普段は非常識でやんちゃでエキセントリックな行動をするキャラとして描かれているインドの王族・ハキムが、エマに対して言った台詞――「変だな。エマはウィリアムが好きで、ウィリアムはエマが好きなのだろう? 何故ひとりで遠い所へ行く?
」――が、この作品世界の中において一番説得力を持っている言葉として聞こえてくるのが興味深いです。こんなところにも、作者の巧さが感じられるなぁと思いました。
2巻に登場した新キャラの若くて元気なメイドさんも、今後の活躍を期待して良いのかな(結局メイドですか?)。
羊のうた7巻(冬目景/幻冬舎コミックス)
千砂がエロい!(感想)
いやマジですマジ。このマンガの感想を私が一言で表現するとこうなります。
このマンガが描いているのは吸血病という奇妙な病に侵された一族の末裔・千砂を巡る哀しい物語なのですが、そんな重い彼女の背景に説得力を持たせているのが、はかなげであやしい魅力を放つ、彼女の存在そのものです。
長い黒髪、白い肌、少しつり上がった瞳、泣きホクロ、そしてセーラー服に和服。「吸血」という行為が意味するメタファー。常に死と向き合い、「一族の呪いは自分の死で終わらせる」と言い放つ彼女の強い意志。それでいて、死別した父親と母親への想いを断ち切れず、同じ血を引き同じ病を持つ弟の一砂を愛そうとする、少女らしい感情。そして、それらを繊細に描写できるだけの表現力を持つ、作者の冬目景氏の漫画家としての力量。
それら全ての要素が相まって、千砂というキャラの何とも言えない妖艶さというかエロさというか、そういうものを感じさせることに成功しています。千砂の破滅的な力を内包した美しさが描写できているからこそ、この物語はここまで説得力を持つことができたと言えましょう。
更にこの7巻では、このマンガのアイドル的な存在である八重樫さん(彼女には「さん」を付けるのが慣わしです)までなんかエロく! 首から血を流しながら微笑む八重樫さんのあまりのエロさ加減なんかもう! もう! って感じで合掌。
あと、このマンガの終わり方についてはなんか各論ありそうな感じですが、結果的に千砂の願いは叶い、この作品の世界と登場人物達はほんの少しだけ救われ、そして強くなった(あるいは、なろうとする)様が描かれているので、概ねハッピーエンドと呼べるのではないのでしょうか。冬目景はやっぱり凄いマンガを描く人だなぁと思いました。
江戸浪狼伝(椎名高志/サンデー超増刊2003年3月号)
俺はこの漫画オモシロイと思うのだが、読者はどうか。(コピペであり感想)
サンデー超増刊では、先月から週刊少年サンデー執筆陣による読み切りマンガを掲載し始めました。これもその中の一作です。
『駒木博士の社会学講座』さんに「実はこのマンガは大傑作なのさ〜」(要約)とまで評された2月号掲載の藤田和日郎氏の「美食王の到着」や、来月発売の4月号で掲載が予定されている井上和郎氏の「葵DESTRUCTION!!」の続編に比べるとさすがに話題性の面では落ちる感もありますが、でも椎名高志の名はまだまだ伊達じゃありません。キッチリと面白いマンガを提供してくれました。
それも、「椎名高志」のマンガのブランドイメージとも言える『パロディ』や『コメディ』の路線とは一線を画し、読者に対して真っ向勝負なテーマを掲げた、至ってシリアスな雰囲気を持った作品です。
なんか例によってサンデー超増刊の出回りが悪く、まだこのマンガを読んでいない方も結構いるようなので直接的なネタバレは避けますが、この作品を一言で説明するとすれば、「まつろわぬ者たちが『帰る』場所を探し求める
」物語ということになると思います。
こう書くとなんか『自分探し』がテーマの泣かせ系ギャルゲーみたいで萌えて来ますが(来るな)、このマンガにおける「まつろわぬ者」=人狼達の生き様は正にハード。居場所を求めて放浪を続けて江戸にやって来た主人公・藪月と、「自分の居場所は此処だ」と決めたが故に彼と対立しなければならない女性・おりょうとの対比構造が、このマンガの肝でしょう。そして、そういう構造を持ったマンガだからこそ、最後のページのあのコマが映えてくるというものです。
(週刊サンデーに比べれば)読者が限定されるサンデー超増刊というマイナー気味な雑誌に、あえてこんな直球勝負な作品を持ってきた椎名氏の度胸に敬意を表したい気分。よくやった!(エラそう)
あと、「椎名先生の新企画は続々登場予定です!」と書かれているということは、例の4巻の発売も期待して良いのでしょうかサンデー編集部。
「江戸浪狼伝」と同じく人狼がテーマの『百貨店』未収録作品「眠る牙」を収録したコミックをとっとと出しやがれと思いました。
魔法先生 ネギま!(赤松健/週刊少年マガジン2003年13号)
「パイパン」ってマガジンだとオッケーなの?(挨拶)
かつてゲームラボのインタビューで、同人界との関わりを聞かれて「(同人界とは)最新のエッセンスを吸収する場所として関わって行きたい
」「ほかのアニメを吸収しながら、最先端のところに居続けたい
」と語った赤松健氏の最新作が、ついに週刊少年マガジン誌上で連載開始。
世間的には美少女わんさかコメディーの「ラブひな」で一発当てたマンガ家、という見られ方が一般的っぽいのですが、上記のコメントからも判るように、氏は「時代」に対する意識をかなり強く持っていることを伺わせます。「ラブひな」は90年代後半におけるオタクムーブメントに迎合した(悪口じゃないよ)形でスマッシュヒットを飛ばして見事に連載を成功させた以上、その次の連載も当然今の「時代」の趨勢を読んだ形の作品になるであろうことは、容易に想像できました。
大げさに言えば、この連載は自分のスタジオを率いる企画屋としての氏の才能が試される機会でもあるのです。
そんな感じで色々と注目された新連載第一話ですが、なんかアンタ今度の主人公は10歳でショタ全開のめがねっ子(=メガネが「聡明」や「知性」の象徴ではなく、あくまで「可愛らしさ」を強調する為のアイテムとして機能している少年キャラクターのことを指す専門用語。試験に出ます)と来ましたよ!
今が旬のショタなメガネ少年に目を付けるとは、さすがは時代の寵児・赤松健! 目の付け所が的確過ぎますな! イエッヒー!
という訳で、個人的にはもうバッチオッケーですこのマンガ。そんなショタな少年が女子中学校のクラスの担任になってしまう無茶な展開とか、恐ろしいことに第一話の段階でクラスの30人の女子の顔や名前が全て決定されているというバトルロワイヤルっぷりとかも、徹底的にエンターテイメントに拘った姿勢として評価してやりたい所存。どこまでこの調子で突っ走れるか注目です。
あとマンガの話から外れますが、前にこのページで紹介した「Emily: the Strange」の日本語翻訳版「エミリー・ザ・ストレンジ ちょっと変な女の子」が、メディアファクトリーから3/20 頃に発売されるそうです。
しかも翻訳は、何の因果かあの宇多田ヒカルが担当。
個人的なイメージだと、この本が好きそうなタイプは宇多田ヒカルのファンというよりも、むしろ20年くらい前の松任谷由実のラジオ番組のリスナーみたいな印象があったのですが(どういう比喩ですか?)、でも宇多田ヒカルのセンスを持ってすれば 、Emily の不思議かつおかしい世界を彼女独特の言葉で翻訳してくれるのではないかと期待しています。
「アメリカ西海岸の名取羽美」の異名を持つ(持ってません)Emily の赤と黒で彩られた異常な世界に興味がある方、および不思議少女になりたい方は是非! という感じで一つ。
なんか今回は普通のマンガサイトの更新日記っぽくね?
最初のマンガの買い逃し自慢を除けば(ダメ)。
更新情報:
- 創作文集のページに、一ヶ月ぶりの登場となる桜華さんの作品「人魔」シリーズの最新作「人魔 第十四幕」を掲載しました。
ついに自宅にネット環境を完備し、引きこもり生活をエンジョイしている(語弊)桜華さんに励ましの感想をお願いします。 - 延び延びになってしまいましたが、毎年恒例のキャラ活躍度評価投票企画「一番湯のカナタ '2002 Conventional Wisdom」ページをようやく開設しました。
お暇な方は、確認事項をお読みの上、投票をよろしくお願い致します。投票の締め切り+結果発表は、新連載「パンドラ」がGXで始まる直前の来月18日をメドとしたいと思います。