鼎 元亨 2006/03/25 10:24
初めまして。
実は椎名高志論を書こうとして調べものをしているのですが、椎名先生ご本人が明かされていない情報を知りたくこちらでお聞きしたいと思います。
椎名先生は大学はどちらのご出身でしょうか?
京都私立芸術大学と大阪大学説を聞いております。(もちろん両方という事もあろうかとはおもいますが)
椎名先生の引用なさるネタ元を拝見すると、SFと映画以外にも国内外文学(国外は主に英文学)からの引用が多いことに気づきます。これからして椎名先生は英文科卒程度の素養をお持ちのようです。
どなたか情報をお持ちでしたら、お教えください。
るかるか at 2006/03/25 (Sat) 16:16:23

鼎さん、初めましてです m(_ _)m
えっと…正味な話、私はプライベートに絡んだ情報は全く解りかねるのですが…(←役立たずで申し訳ないです)…興味ある話題でしたのでレスさせて頂きました。

ネット上の話しでは「はてな」と「Wiki」の流れの情報が混在してて実際解り難いですね…東進ドットコムのコンテンツ内では大阪大学卒業でUPされてたりしますけど【http://www.toshin.com/news/ob/index.html】、これもソースは不明確で保証できかねますし。
これまで活字的な情報としても、せいぜい椎名WEBで触れられるレベルのお話がせいぜいで、それよりプライベート情報に踏み込んだ具体的な記事って余り記憶にないんですね…。
PNを使用してる事もその一端かもしれませんが、“職業人としての漫画家”としてプライベートとの線引きをしてメディア露出している印象を持っていました(だもんで、以前に「サンデーGX」読者頁に先生の奥方が写真付きで登場された時は、心底吃驚しましたが ^^)。

私の手持ち資料の中で、先生のデビュー前に関して唯一ソースを明示出来る些細な情報は次の一点のみです。
【「週刊少年サンデー」1988年第43号】において、「8月期まんがカレッジ」の入賞記事が掲載されているのですが、ここで佳作入賞者として「しいなたかし (22 京都)」と記載されています。
私も当初は大阪大学説を耳にしてましたので、これを見た時(大坂生まれで大坂の大学に通ってた筈なのに、京都を現住所にしてたの?)と少なからず頭抱えました。
記載の年齢(22才)だと勘定が合いませんが、UPされてる生年月日(’65年6月生まれ)換算だと ’88年時点では23才…ストレートでの大学入学&卒業後に京都へ移られた可能性もあり得ますが…今に至るも解答は得ていません(←結局、役立たずですね ^^;)
私からも、事情にお詳しい方の情報期待したいです。

実りが無いくせに長レスで申し訳ありませんでした。
鼎さんの「椎名高志論」が書き上がった折には、是非拝読したく存じますが、その際にはWEB上で公開されるのでしょうか?
期待して待っております (^^) …では。

鼎 元亨 at 2006/03/25 (Sat) 21:45:48

るかるか様、レスありがとうございます。

私は二者選択なら阪大法学部卒説の方を採りたい気持ちですが、ソースがないのが悩みです。
椎名先生は相当に教養が高いです。
というのは、高等教育を受けた人でないと引用できない元ネタが多いからです。
ファンの方には常識かもしれませんが、私の調べた範囲で披露させてください。

執筆が最も古いと思われる『電化製品に乾杯!』の最後のコマ、保証が切れたとたんに故障したミソッカスの枕元にスタインベックの『二十日ねずみと人間』が置いてあります。
『Dr.椎名の教育的指導』の最初の掲載分、キリスト教宣教師が踏み絵を強制されてすでに大地に描かれた絵を踏んでいた話の題名『沈黙』は遠藤周作の同名作品。
『GS美神 極楽大作戦』第4巻『教室漂流!!』で教室から脱出するために黒板に書いた英語の例文は、シェイクスピアの『テムペスト』からプロスペローの有名な台詞。
『絶対可憐チルドレン』の梅枝ナオミの名前は、源氏物語を現代語訳した谷崎潤一郎(谷崎主任の元ネタ)の『痴人の愛』のナオミから(カタカナで書く点まで同じ)。

というように、シェイクスピアや谷崎潤一郎はともかく、遠藤周作やスタインベックというのは尋常の教養ではありません。しかも、作品の主題に適切な作品を引用しています。元ネタを読んでいるか、少なくとも内容を把握しているわけです。

これほどのパロディをやれるのは、吾妻ひでお先生以来の傑出した存在だと思います。
それゆえ研究の対象にしたいと思うのです。

引き続き情報提供をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

fukazawa at 2006/03/27 (Mon) 22:36:40

 はじめまして。
 このサイトの管理運営を行っている、深沢と申します。

 椎名先生の出身大学についてですが、本人が公開していない情報については憶測しか語れない以上、「正式なことは判りません」としか答えられません。申し訳ない。
 あくまで個人的にですが、Wikipediaに掲載されている京都芸大説の方が有力ではないかとは思ってます(芸大→漫画家というコースはあり得そうなので)。というか、むしろ阪大法学部卒業説がどういう論拠でどっから出てきたのかの方に興味がありますね。先生が頭良さそうだから?(笑)

 椎名高志作品におけるパロディの元ネタは、文学作品からホラーや特撮やアニメに至るまで幅がたいへんに広いので、それをまとめるだけでもかなりの研究価値があると思います。がんばって下さい。
 個人的に、氏の幅広い知識と教養と、「悪魔のいけにえ」みたいなどうしようもないB級スプラッタが大好きだという氏の趣向がそうやって両立できているのか不思議でなりません。

井汲 景太 at 2006/03/29 (Wed) 22:26:25

■ 鼎さん
はじめまして。

>『GS美神 極楽大作戦』第4巻『教室漂流!!』で教室から脱出する
>ために黒板に書いた英語の例文は、シェイクスピアの『テムペスト』
>からプロスペローの有名な台詞。

!!そうでしたか!10年越しの疑問( http://ikumi.revery.net/cwww/cnabbs/nbbs.cgi/cwww/228-229,248,254 )が解決しました。ありがとうございます。また、踏み絵4コマにも元ネタが隠されていた、という点に感服しました。

個人的には、椎名先生の場合は、教養の高さは高等教育を受けたかどうかとは直接は関係していないのではないかと思っています。マンガ・アニメやお笑い・SF方面にまで広い知識を持ってらっしゃることから、後から身に着けたものではなく、子供の頃からたくさんものを見たり読んだりして、いろいろ知ってる人だったんじゃないでしょうか。ある程度以上裕福な家庭に生まれて、家に文学全集が揃っていたりして、なおかつ両親が大らかな方でテレビもマンガもいっぱい触れることを許されて育った…というようなイメージを抱いています。

トキワ荘グループは手塚先生の影響でよくものを知り、教養の高い方が多いと思うのですが、椎名先生にもその伝統が「隔世遺伝」しているような気がします。高橋留美子の影響はもちろん顕著なのですが、それとは別に椎名高志は実は手塚マンガの正当な後継者の一人という面も確実に持っている、と、以前から勝手に思っています。

椎名先生のデビュー前の経歴については、アニメージュ1998年12月号に掲載された、アニメーターの吉松孝博氏へのインタビューにチラっとだけ出てきます。高校で椎名先生と同級生で、アニメ研で自主製作をした際、ストーリーを椎名先生が考えた、とのことでした。「ソ連とアメリカの宇宙飛行士が大気圏突入しながら、一つの酸素ボンベを巡って戦うという話でした」「命と国の威信をかけた戦いです。炎に包まれながらアチアチアチとか言いながらの」「(その話を考えたのは)仲間の同級生で、すごく漫画が上手かったヤツなんです。今『GS美神 極楽大作戦!!』とか描いてますけど」というわけで、高校生の頃すでにあのギャグセンスの片鱗を発揮していたことがうかがえます。残念ながら高校名は不明なので、資料としては非常に不満足なものしか提供できず、申し訳ありません。

>しかも、作品の主題に適切な作品を引用しています。

「二十日ねずみと人間」って、「電化製品に乾杯!」で興味を惹かれて読んでみた(というのが情けないですが(笑))ことがあるのですが、あんまり主題と関係あるような感じはしませんでした。どの辺りに着目すると関連性が見えてくるでしょうか?

井汲 景太 at 2006/03/29 (Wed) 22:27:32

■ 深沢さん

>個人的に、氏の幅広い知識と教養と、「悪魔のいけにえ」みたいな
>どうしようもないB級スプラッタが大好きだという氏の趣向がそう
>やって両立できているのか不思議でなりません。

本当の教養・知性というのは、ばかばかしいものをばかばかしいまま、その価値を認めて惚れ込むことができる、という懐の広さを持っているものだと思います。椎名先生って、まさしくそういう方なんじゃないでしょーか?