椎名高志作品秘宝館

椎名高志語録


 
 
■おまけ・椎名高志語録

 以下は、「人づて」で見聞した、椎名高志氏の心にしみる発言の数々である。    
 なにしろ人づての又聞きが入りまくっているので、本当にこんな事言っていたのかどうかの確証は、当たり前だが全然取っていない。いいのかこんなもの掲載して。    
    
    
「美神は(美人だから)トイレにもいかんのや!」
     −Nifty-Serve のリアルタイム会議(チャット)にて、あるマンガ原作作家が「椎名氏がこんなことを言っていた」と発言 
 
「バナナは果物の王様」
     −週刊サンデー巻末の目次の「今週の質問」で、好物を聞かれて
 
「もう格闘モノはあきたーヤメたいー」
     −「誰が為に鐘は鳴る!」編の執筆当時、こう言ったことがあったらしい
 
「本当は幽霊なんていません。オレ、いないのわかりました。

 この20世紀の科学の時代に、そんなもんいるわけないやろ(笑)」    
     −アニメイトのチラシのインタビュー記事より
 
「深刻な方向に行かないように話を作ってると、たまってくるものがありますから」
     −同上より。どうやら、たまには泣かせる話を描きたいらしい
 
「GS美神のテーマは、愛です」
     −昔、サンデーの巻末の読者コーナーのインタビューで、こんなこと言ってた気がするぞ
 
「女の涙」
     −週刊サンデー巻末の目次の「今週の質問」で、この世で一番苦手なものを聞かれて
 
「明日という日がないじゃなし」
     −週刊サンデー巻末の目次の「今週の質問」より。好きな言葉らしい
「美神は処女や! 男を知らんからあそこまで横島に強いんや」
     −編集担当者との酒の席で「美神は処女か否か」論争を行った時に発言   
      やっぱり、現場レベルじゃこういう話をしてるのねぇ   



 
■真・椎名高志語録

 ここでは、アニメ/マンガ誌等に掲載された、椎名高志氏の各種発言についての紹介を行う。    
 上の椎名高志語録はあくまで人づての情報だが、こちらは雑誌等のマスコミで紹介されているものなので、より真実度が高い。よって、「・椎名高志語録」と命名する。    

 
□エヴァンゲリオン補完計画
(以下、井汲 景太さんからの情報を転載)    

 ……アニメ情報誌「アニメージュ」では、「エヴァンゲリオン補完計画」という連載企画が組まれていたんですが、1996 年1月号に掲載されたその第1回は、“エヴァンゲリオンを毎週楽しんでいる”というマンガ家に、その感想をイラスト付きで語ってもらう、という内容でした。当時まだ放映開始間もなかったこの作品への応援メッセージを、いろんなマンガ家に書いてもらった訳ですね。    
 で、椎名先生もそれに応じてメッセージを寄せた一人だったという訳です。    

 では、その椎名先生のメッセージを、可能な限り原型を保ったまま再現しまショー!   

椎名先生のコメント(改行位置も含め原文のまま):   

「ウル○ラマンに人が乗る」とゆーアイデアは    
やられたー!!と思いました。    
何をどー都合つけたんだかわかりませんけど    
異常なクォリティーの高さもスゲーですね。    
登場人物のほとんどが神経症ってのも    
スタッフのオタク度がかいまみえて    
気持ちイイです。    
ぜひともこのまま突っ走って    
欲しいです。がんばれ    
スタッフのみなさん――!!    

'95.11月某日    
椎名高志  

 横長のスペースの左半分に上の手書きメッセージがあって、右半分は、椎名先生の書いたイラストで埋まっています。その内容は、    
  • 上の方に初号機の頭部の横からのアップ(目をちょっと光らせている) 
  • その下にプラグスーツ姿のシンジとレイ(あんまり似てない)のバストショット 
  • その脇に、街をぶっ壊しながら「がーっ」と言って暴れる、ややギャグタッチの使徒(1話・2話に現れたやつ)の遠景
  •  となっています(コメント・イラストとも白黒)。レイの眼や顔立ちはちょっと美神を思わせる感じがしますが、シンジの方は別に横島を髣髴とさせたりはしません(笑)。    
     という訳で、正真正銘の「椎名高志のエヴァンゲリオン」が載っていたのでした。    
            
         
     他に、サンデーのマンガ家では、藤田和日郎氏もメッセージを寄せられていますが、これがまたひときわ熱い名文だったので、ついでに紹介します。    
     よもや後半で物語があんな展開になるとは一部のスタッフ以外は夢には思わなかった頃の文で、見てる側の期待とスタッフの思惑というものは、こんなにも激しく隔たり得るのだ、という好例です。こうやって後から眺めると、いろいろと面白いですよー(←悪趣味)。    

     人はどうやって主人公を好きになるんだろう?スタイルかな、カオかな?いんや、ちがうよなァ。彼が何を見、何を想って戦ったかだな。どんな人にだってある「生き様」。僕は、毎週シンジを見る度に、少しずつ彼を好きになっていきます。それが、どんなに嬉しいか、どんなに楽しみか。    

     理由もなくヒロインに好いてもらう主人公なんてキライなんだ。レイよ、今はつれないけど、シンジが今のいつも背を丸めた少年から、運命を越えて、何からも瞳を逸らさぬ少年へと変わったとき、その時にこそ、彼の横顔を凝(じ)っと見つめてほしい。それでこそ主人公なんだ。シンジは主人公なんだよ。その時、少年は神話になるし、『新世紀エヴァンゲリオン』に、僕はぴょんと抱きついてはなれねえもんね。期待して、それだけの価値があると思うから、これを書かせていただきました。
     



     現実は、藤田氏の期待とは全然違う方向に進んでいった訳ですが…。シンジはますます内向的になってしまいにゃ溶けちゃうし、「ヒロイン」のはずのレイがあんな生き人形だったとは、藤田氏が怒り狂ったであろうことは想像に難くありません(笑)。きっとさぞ無念だったことでしょう。  
       
    (井汲さんからの情報はここまで)    
       

     ……エヴァンゲリオンって、第6話で終わっていれば、藤田和日郎氏のコメントみたいな、普通の「良いアニメ」だったんだよなぁ。おわり。    

    (97/ 9/28)

     
    □「GS美神」巻頭8ページオールカラー特集記事の椎名先生のコメント
     (「アニメージュ」1994年3月号)
    (以下、井汲 景太さんからの情報を転載)  
         
     「アニメージュ」の 1994 年3月号で、「GS美神」が巻頭8ページオールカラーの特集記事になったときの椎名先生のコメントをお届けします。例によって原文のままノーカットでお送りしますが、さすがに改行位置は保存してません(笑)。    
    なお、文中で椎名先生が言及している「票」というのは、アニメージュ誌上で毎号行われているキャラクター人気投票のことで、この号ではおキヌが9位に入る一方、美神はベスト30にも姿を見せない、という結果が出たことが背景になっています。  

    Q アニメを観ての感想は?    
    A 爆笑したり、「そこはちっがーう!!」と暴れたり、毎週TVの前で大騒ぎしてます。ただ、そんなに違和感は感じないですね。アニメは原作とは違うとは思うんですけど、キャラクターの解釈が原作にほぼ忠実なので「よその子」だとは考えていません。アニメでの新しい解釈に納得することもありますし、自分の作品が一人歩きしているのを不思議な気持ちで眺めてます。    

    Q 印象に残ったエピソードは?    
    A 「宇宙ゴースト退治!!」「幽霊屋敷の遠吠え!」なんかは原作にうまく手を入れていただいたので、カユイところに手が届いた思いでした。    

    Q お気に入りのキャラクターは?    
    A レギュラーキャラは声優さんも皆さん素敵で、どの子も大好きです。ゲストだと悪魔パイパーが原作を上回る魅力でしたね。    

    Q 美神よりおキヌの人気が高いことについてはどう思いますか?    
    A 美神はキッツイですからねー(笑)。私もその気持ちはよく解る。でも男の子に優しいヒロインばっかりじゃつまんないですよね。女性票だけで集計したら違う結果が出たんじゃないでしょーか。    
     ……美神とは直接関係ないけど、日本じゃ亜美ちゃんがレイちゃんより上位でしょ。でも香港のアニメ誌だと逆なんですよ。そういえば昔のアニメのヒロインって今と違ってボーイッシュな娘が多かったですよね。今の日本の男の子って強い女の子には負けちゃう気がするからな。だとしたら美神令子なんてキャラは言語道断でしょう(笑)。    

    Q 「GS美神」を実写化するとしたらどんなキャストがいいですか?    
    A 美神役にはジョディ・フォスターを希望します(笑)。他はどーでもいいです(笑)。    

    Q アニメージュ読者に一言。    
    A コミックスも買ってくださいね(笑)。それはそうと、「もののけ姫」楽しみですねー(笑)。    


     
     アニメのできばえに関してはスタッフを立てて無難にまとめる一方、美神を ダシにそれなりに自己主張をする辺りはいかにも椎名先生らしいしたたかさを感じます。当時人気を誇っていた「セーラームーン」のキャラ名が引き合いに 出される所が時代を感じさせますね。    
     そして「もののけ姫」の名前を出してちゃっ かり徳間書店をヨイショする気配りとセンスはやっぱり大阪の人ですねー(そう、「もののけ姫」はなんとこの頃からずっと延び延びになっていた作品なのです)。    

     さてこの記事の内容は、おキヌよりも華々しく活躍してるはずの美神が、人気ではいまいち及ばないのはどうしてだろう?という点をメインに、関係者の コメントを中心に2人の魅力に迫る――というものでした(椎名先生へのイン タビューは囲み記事の形を取っていたんでこのラインにあんまり沿っていない)。    
     で、その中で個人的に一番面白かったのは、以下に引用するシリーズディレ クター・梅澤淳稔氏のコメントです。「極楽」の本質をズバリと暴く分析で、「ああ、この人はちゃんと解ってるんだな」という点が印象的でした。  
       


         
     要するにプライドの問題なんじゃないかなぁ、男の。控えめなおキヌにしておけば自分が優位に立てるわけですから。だから、みんなも実は美神の方が好きなんだと思いますよ、きっと。    

     僕も個人的には美神の方が好きです。でも、僕が投票するとしたらおキヌですね。何故かと言われれば、それはもちろんプライドがあるから(笑)。弱体化してしまった男の子が完璧な女性、美神のファンになるということはもう下僕になるというのと同義なんです。虐げられることでしかコミュニケーションが取れない。だけどそれはプライドが許さない。そういうジレンマがあるから美神には手が出せないんでしょうね。    
     で、自分たちの代弁者として横島が『乳〜』『太股〜』とちょっかいを出すのを見て溜飲を下げるわけです。だけど彼らはそれが成功することを願ってはいないんですね。うまくいっちゃうと横島はもう彼らの代弁者ではなくなってしまいますから。結果的にはいつものようにズタボロにされて、みんなもまあ、ほっとする。そんな情けない横島=自分でも慰めてくれるし、立ててもくれるおキヌにみんな走っちゃうんでしょうね。    

     ……なんか、自分の首を絞める発言ばかりしちゃってるなあ。語っているうちに辛くなってくる(笑)。    
     


     うーん、見事な分析。完璧だ(笑)。特に、「溜飲を下げる」辺りの分析が よくまとまってますよね。  
    (97/10/19)

     
    □SFオンライン 98年5月号
     「SFまんが道」水玉螢之丞 VS 椎名高志 インタビュー

     ソニーの運営しているプロパイダ so-net 上のオンライン雑誌「SFオンライン」の '98/5月号で、椎名高志氏と水玉螢之丞氏のインタビュー記事が掲載されている。 

     インタビューは、基本的にはSFと椎名先生との関わりについてがメインだが、他にも「GS美神」の生まれる経緯や、おキヌ・マリアに関する事、横島に対する思い入れ、そして「GS美神」の最終的な方向性についてなど、我々にとってかなり興味深い事が話題になっている。
     詳しくはインタビュー記事をどうぞ。

    (98/ 6/ 7)

     
    □椎名先生と吉松孝博氏(アニメーター)のつながりについて
     (アニメージュ1998年12月号)
    (以下、井汲 景太さんからの情報を転載)  

    アニメージュ 1998年12月号に、椎名先生と吉松孝博氏(アニメーター)のつながりについて 触れた記事がありました。


    吉松「もともとアニメが好きで、中学の時部活で自主制作アニメを作っていた んですよ。(中略)それで、高校になると、その時の仲間でお金を出し合って セルアニメを作ろうということになって、(中略)千枚くらい描いて3〜4分 の長さのものを作って」
    インタビュアー「ストーリーは?」
    吉「ソ連とアメリカの宇宙飛行士が大気圏突入しながら、一つの酸素ボンベを 巡って戦うという話でした。よく分からないですね」
    イ「それって宇宙空間での素手のケンカなんですか?」
    吉「そう。国と国との威信をかけた戦いです。炎に包まれながら、アチアチア チとか言いながらの」
    イ「誰が考えたんですか、そんな話」
    吉「仲間の同級生で、すごく漫画が上手かったヤツなんです。今『GS美神 極楽大作戦!!』とか描いてますけど」

     宇宙空間で、炎に包まれてアチアチアチのどつきあい…さすが椎名先生、余 人の追随を許さない独創的な発想ですねー(笑)。また、このアニメは美少女 などまったく出て来ない、おっさんのみの内容だったそーで、このあたりも、 安直でありがちな話では終わらせず、何か変わったことをしてやろうという意 欲と才能の片鱗が窺えます。

    ※吉松孝博:実力派の中堅アニメーター。代表作は「サイバーフォーミュラ」シリーズ、アニメ版「TRIGUN」の キャラクターデザイン。

    (99/ 3/21)
     
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