みすてぃっく・あい

みすてぃっく・あい (ガガガ文庫) (ガガガ文庫 い 3-1)
一柳 凪 弧印
小学館 (2007/09/19)
売り上げランキング: 67312
内容紹介

冬休みの女子寮には、4人の美術部員しかいなかった。ぼけぼけおっとりの沖本部長に読書魔の天才・三輪先輩、あっぱらぱーの門倉せりか、そして優柔不断な私・久我崎蝶子。私たちはひたすらに戯れる――ピクニックをしたり、チェスをしたり、いっしょにお風呂に入ったり。けれど、蛇行をつづける他愛のないおしゃべりも、ぼんやりとした空想に耽る時間も終わるだろう。なぜなら私は迫られてしまったから――せりかと先輩に。三角関係。私は選ばなければいけない ――愛の行方を。
第1回小学館ライトノベル大賞・期待賞受賞作。

 今日は以前読んだ本の感想書きます。

 この「みすてぃっくあい」ですが、取り上げている書評サイトでの評判が軒並み高かった印象があったので購入。実際読んでみたところ、確かにこれは噂に違わぬ本でした。おもしろかったです。
 買ってから三ヶ月くらい積読状態にしていたのが勿体ないくらいです(読めよ)。

 読んでいて上手いなと思ったのが、上記の内容紹介から連想されるライトノベル系百合作品にありがちな設定――閉ざされた女子寮、如何にも今時のギャルゲーに出てきそうな記号化された少女達、同性愛的な志向を内包した少女達の戯れ――といったものが、単なる読者の嗜好に合わせた味付けというだけではなく、物語の根幹に関わる「意味」を持たせる仕掛けが施されているという点です。

 物語が進んで行くに連れ、次第にキャラクター達(特に、主人公の幼なじみの角倉せりか)が「これちょっとおかしくね?」と思える行動をし始めるのですが、私の場合は「でもまあラノベだし、こういうのもあり得るよね」と脳内で違和感を補正しながら読み進めて行ったのですが――しかし物語内における三角関係の緊張が最大限になった時、「違和感」の原因であるこの作品世界に潜んでいた矛盾が一気に暴かれ、主人公が抱えている問題とは何なのか、そしてそれはこの作品世界にどんな影響を及ぼしていたのかが明確なものとなります。
 一見するとギャルゲー的な楽園として設定された作品世界の中に巧妙に織り込まれた矛盾が明かされ、不確かな世界が抱えた問題が一気に明確なものになった時に受ける衝撃。それを味わうのがこの作品の醍醐味なのかも知れません。
 「ライトノベル」というジャンルを謳うレーベルから出ている本だからこそ成立する叙述トリックもあるんだな、というのが本作を読んだ時の感想です。

 また、全体的な語り口が全体を通して理知的なのも特徴的です。物語を通して「虚数」、および三輪先輩の語るアレイスター・クローリーの魔術書の記述がキーワードになるのですが、語り口がそれらにもっともらしさを与える雰囲気を上手く作っています。
 あとは、「閉ざされた女子寮 わたしたちの、キケンなアソビ」という売り文句の期待に違わない、少女同士のエロスな雰囲気の散りばめ方もなかなかだとと思いました。特におっぱいが大きい三輪先輩の胸胸しさが良いです。先輩になら抱かれたい。

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