なのは洋菓子店のいい仕事 一覧

唐揚げ屋は死んだ鶏の肉を使っているという事実 サンデー22+23号「なのは洋菓子店のいい仕事」感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 前回、ついに「なのは洋菓子店」のライバル役となる和菓子店「和菓子しらかわ」と、レギュラーキャラ(およびラブコメ要員)となるであろうそこのオーナー姉妹が登場し、いよいよ前作「神のみぞ知るセカイ」のようなラブコメ展開が開始されるのでは? と期待されていたこのマンガなんですが、今回は何故かまさかのニワトリ回に。

 ストーリーとしては、「なのは洋菓子店の卵を生んでいるのは、個性的なニワトリ達である」「洋菓子にとって卵の存在は極めて重要である」ということが伺える、洋菓子マンガとしてはある意味正しい内容でしたが、前回で美少女キャラを出しておいてからの突然のニワトリ女子回というのは、明らかに読者の意表を突くものであったと思います。この話の筋の崩し方はすごいです(褒めてます)。

 このマンガ、実は本当は第一話や今回の第四話のような、ちょっと型破りなことをやりたいのはないか? と思えるようになって来ました。冷静に前回の内容を振り返れば、ラブコメ回というよりはうんこ回というべき内容だったしなあ。やっぱりそういう方向性なんでしょうか。


良いパティシエは死んだパティシエだけである サンデー20号「なのは洋菓子店のいい仕事」感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 第一話を読んだ段階では、『「なのは洋菓子店のいい仕事」とは、洋菓子店の持つハートウォーミングなイメージをぶち壊し、盲目的に甘いモノが大好きな全てのケーキ大好き人間共に対して暗に喧嘩をふっかける、ストロングスタイルな社会批評作品である』という結論に達せざるを得なかったこのマンガですが、サンデー20号に掲載された第二話は、それでも多少はハートウォーミングな要素が入って来ていたのではないかと思いました。

 今回の話は、ファッティかつ多汗症気味の洋菓子大好きなバレーボール部女子・川端かすみが、洋菓子が好きな自分の心を偽ることを止め、これからも部活を頑張りつつお菓子食って生きていこう! と己を見つめなおす(というか開き直る)物語です。
 特に「マドレーヌ20個分のカロリーを消費するためにはフルマラソン一回分の運動が必要」とタイムから言われても、「ですよね!」とハキハキと応える開き直りっぷりが印象的でした。自分の心に素直になった彼女を見ていると心が暖まります。ハートウォーミングです。多分。

 ただこのマンガ、第一話のケーキで孤独を癒やそうとした(結果、全然癒やされずに終わった)苺にしろ、第二話の部活のために洋菓子好きを克服しようとした(結果、再び洋菓子に屈服した)かすみにしろ、自身の抱えた問題を根本的には何も解決できていないところが気になります。
 彼女たちは、洋菓子が好き過ぎるあまりに性格や行動が極端に歪んでいるのですが、なのは洋菓子店を訪れた彼女たちは、その問題を結局は克服できていません。

 前作の「神のみぞ知るセカイ」では、登場する女子達はみんな登場時は自身の抱えた問題につけ込んだ「駆け魂」のせいで行動や性格が極端に歪んでいたんですけど、桂馬に攻略されて「駆け魂」を除外し、心の隙間を埋めたことで、最後にはその問題を克服することができていました。
 しかし「なのは洋菓子店のいい仕事」の場合は、今のところそういう話にはなっていません。苺はこれからも孤独を癒やすために暴力的な美味しさのケーキを求め続けるでしょうし、かすみもあの後ダイエットに成功してバレー部のレギュラーになれるかどうかはかなり疑わしそうです。なのは洋菓子店は、問題を抱えた女子達の前に現れはしますが、ただ彼女たちが求める菓子を提供するだけで、決してお菓子を通じて彼女たちの問題を解決するようなことはしないのです。
 いつか彼女たちも、なのは洋菓子店をキッカケに己の心の隙間をなんとか出来る日が来るのでしょうか。

 この点だけを見ても、このマンガがいわゆる「洋菓子店を舞台にしたハートウォーミングなストーリー」を狙っていないというか、むしろそれを逆手に取っている構造になっている、と言えるのではないのでしょうか。
 さすが「神のみ」を経て成長した若木民喜先生の最新作、色々とひねくれてますよね(褒めてます)。

 それはそうと、汗を異常にかいてこの年頃の女子特有の甘い匂いを振りまくかすみの姿は、セージ君ならずとも非常にグッと来るものがありました。結論としては、今後もそういったフェチズムを刺激する描写にも期待したいところです。

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全然関係ないですが、個人的に「マドレーヌ」という単語から連想されるマンガがこれ。面白いです


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