妹りれき 一覧

「妹りれき」最終話を読みました日記

 お久しぶりです(´・ω・`)

 『更新を休んでいる間にサンデーでの連載が終わってしまった作品について、思い出せることを時間ができたときに書いていくシリーズ』、今回はつい最近真の最終回を迎えた「妹りれき」についてです。

妹りれき

 「妹りれき」は、作者である西村啓先生の体調を理由にサンデー21+22号で週刊連載から月刊誌である「サンデーS増刊」に移籍しましたが、サンデーSでも今発売されている10月号で(一挙2話掲載の形で)最終回を迎えていたことを知ったので、サンデーSを入手して読んでみました。
 今回はそれについての感想です。

 「無口で何を考えているのか判らない妹・いくみと、妹が何を考えているのか知ろうとして妹の検索履歴を覗いてしまう兄・咲太郎」というのがこのマンガの形式で、兄の咲太郎からの視点でストーリーが語られるのが基本パターンなのですが、最終回の一つ前の話では、普段とは逆に妹の視点から物語が語られる構成になっていました。

 彼女は実は兄のことが大好きであることは、まあ週刊連載当時にこのマンガを読んでいた人ならみんな知っていることだと思うのですが、そもそも彼女は兄との現在の関係について「兄にベタベタし過ぎたせいで兄から嫌われてしまった」と認識しており、それ故に「こんなに兄のことが好きな自分はヤバいので、兄がこれ以上自分のことで困らないようにするには、何としても己のブラコンを克服しなければならない」と思い込んでいます。
 彼女が兄に対して「直接顔を合わせない」などの極めて冷めた行動を取っているのは、むしろ兄のことが好き過ぎて直接顔を見られない→兄のことが好きなのがバレてしまうと更に嫌われてしまうと思い込む→兄との接触を極力避けてしまうようになる、という彼女の誤解が生み出した行動に過ぎなかった訳ですね。

 兄のことが大好きなことを兄に悟られない行動を取ったとした結果、兄から見ると妹からコミュニケーションを拒絶されているように見えてしまう──というこのマンガの基本構造が、改めて提示された形です。
 「何としてもブラコンを克服しなければ!」とか言いながら、何をやっても結局兄ラブ要素に結びついてしまってドジっ子になってしまう展開を読んでいると、この兄妹やっぱりよく似てるなあと思ってしまいました。

 そして真の最終回では、妹の検索履歴を兄が覗き見していることが妹にバレてしまい、それをきっかけに兄妹が「これを言ったら相手を困らせてしまう」と思い込んで心の中に隠していた本当の気持ちをお互いにぶつけ合う展開になる訳なのですが、この兄妹のラブラブなハッピーエンドを拝みたい方は読んでみて頂きたいと思います(ネタバレ)。

 あとこのマンガで個人的に興味深いと思ったのが、「妹が大好きなあまり検索履歴を覗いてしまう」という極度の変態性を秘めている兄の咲太郎が、周囲の女子達からはちゃんとモテているという点。
 彼は「妹を溺愛しすぎている」点を除けば、成績優秀でスポーツ抜群で周囲から頼られている高スペックな男子という設定で、普通にモテることに説得力があるキャラではあるんですよね。一昔前は「少年誌のコメディーマンガの男性主人公はモテない」が基本設定だったものでしたが、時代はすっかり変わったんだなと改めて思いました(おおげさ)。

 特に咲太郎のクラスメートである滝川さん(自分内コードネーム:からかい上手の滝川さん)は、最終回辺りでは完全に「妹のことが大好きな咲太郎の性格を一番よく理解し、妹との溝が埋まる行動を自然に取れるように咲太郎を勇気づける、咲太郎の彼女」的なポジションにごく自然に収まっており、滝川さんスゲえなと思いました。
 ただ、咲太郎は完全に妹のことしか頭にないアレなので、滝川さんの好意に全く気づいていないのがアレなのですが、まあ今の段階ではそれで良いのではないのでしょうか。兄に過剰な愛情を抱いている状態の妹が「兄に彼女がいる」なんて知ったら、まあ間違いなくややこしくなるだけですし、そもそも「妹りれき」はそういう題材を描くマンガじゃないですからね。そういう話は青年誌やモバMANでやって欲しいですね(読みたいの?)。

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あけましておめでとうございます(季節柄の挨拶) サンデー2019年新連載攻勢感想

 お久しぶりです(´・ω・`)

 えらい久しぶりになってしまいましたが、ここ最近始まったサンデー新連載作品についての簡単な感想を書き残しておきたいと思います。
 今年も公私共に色々ありそうな関係上、あまりここやTwitterにマンガの感想を書ける余裕がなさそうなのですが、一応書ける範囲で頑張ってみるつもりではあるので、今後ともよろしくお願いします。

アノナツ -1959-

 新連載。主人公の野球少年が今から60年前の1959年にタイムスリップし、そこでおそらくは野球部の優勝を目指して奮闘するという趣向のマンガかと思われます。

 今から60年前では「野球」の戦術や戦略面といったプレイに関する事はもちろん、「野球」を巡る社会的・精神的なあり方に至るまで今とは全く違っているのではないかと思われますが、如何にも「現代の野球」を体現していそうな主人公が、野球を巡る昔と今のカルチャーギャップに戸惑ったりする展開が期待できるのでは? と思っているところです。

 カルチャーギャップと言えば、60年前にタイムスリップした(と思しき)先で主人公とぶつかった女の子の着ているセーラー服のスカート丈が、60年前の制服にしてはちょっと短いのでは? と思ったんですが、ミニスカートは1959年には既にロンドン辺りでキてたっぽいので、先進的な学校の制服という解釈ならアリなのかもしれないと思いました。この辺のも解明されると良いですね(謎の範疇に入るのかは謎)。

 あと「今から60年前」というと随分昔のことのように思えますが、2019年の60年前は1959年で、既に第二次世界大戦の終戦から14年も経っている時代なんですよね。
 「絶対可憐チルドレン」の兵部や不二子を見てると「60年前って第二次世界大戦の末期くらい?」とか思ってしまうのですが、そもそも「絶チル」というマンガが始まったのが2005年なので既に14年前の出来事であり、ちょうどその分だけ自分の時代感覚がズレていることに気が付きました。あれからもう14年も経ったんですよ皆さん。そりゃみんなも歳取る訳ですよねー(思い出話おわり)

FIRE RABBIT!!

國崎出雲の事情」「天使とアクト!!」のひらかわあや先生による新連載。「歌舞伎役者」「声優」と特定の職業を題材にしたマンガが描いてきた先生ですが、今回は「消防士」がテーマです。

 第一話を読んだ限りでは「『消防士のマンガ』と『プロゲーマー志望の子のマンガ』の2つのマンガが並行で載っている不思議なマンガ」という印象を受けたのですが、サンデー2019年6号の第二話ではその並行して動いていた2つの物語が重なったというか、『FIRE RABBIT!!』が何をやりたいマンガなのかということが明らかになりました。そういう意味では、この第二話までが本当の意味での第一話だったと認識しております。

 それにしても、まさか凄腕の消防士が色々あって「GS美神」のおキヌちゃんみたいな存在になってしまうとは…と思いましたが、サンデーのラブコメマンガと言えば宙に浮かんでいる人間じゃない美少女が欠かせないというのは「うる星やつら」のラムから「初恋ゾンビ」のイヴに至るまでのお約束なので、これはこれでサンデーらしいマンガであると言えるのかも知れません。
 「FIRE RABBIT!!」はラブコメマンガなのか? という点は保留。

妹りれき

 このマンガは個人的に、「兄とコミュニケーションを取ろうとしないために何を考えているのか判らない妹の思考を、兄が妹のスマホの検索履歴から妄想して楽しむ」という趣向の、割と変態度が高いコメディと理解しております。
 基本的にはこういう倒錯した趣向のマンガを理解できる人向けという極めて狭い領域を狙った作品と言えますが、本来サンデーという雑誌はそういう作品を好んで読むタイプの読者のためのものだったはずなので、そういった意味において「妹りれき」はサンデーとして極めて正しい作品である言っても良いのではないのでしょうか。

 唯一の懸念点は、作品のテーマ的にいずれ「本当に大切なことは口に出さないと伝わらないんだ!」とか道徳的に正しいことを言い出してしまう可能性があることですが、そういう本当のことは最終回まで取っておいてほしいなと思いました。

映画・刀剣乱舞

 みんな大好き「刀剣乱舞」の劇場映画版のコミカライズを、「シノビノ」で好評を得た大柿ロクロウ先生が担当という趣向の作品。
 大柿先生、「ゼロの日常」の新井隆広先生と並んで、すっかりイケメン男子マンガ御用達という感じになって来た感があります(印象論)。

 ワシが若かった頃は、歴史を改変しようとする犯罪者を阻止する人というと「T・Pぼん」のリーム姐さんか「タイムギャル」のレイカかといった感じでしたが、今ではそのお仕事は刀剣男子のものなのかと思うと時代を感じます。

 そういえば「シノビノ」の最終回について書くタイミングがなかったのですが、藤堂平助や坂本龍馬が殺害された史実をきちんと踏まえた上で、このマンガらしいアレンジを加えた形でキレイに着地しているなと思いました。あと、何より坂本龍馬を最期まで「カリスマ的悪役」として描ききった点でも素晴らしいと思います。同じく歴史上の偉人であるペリー提督や吉田松陰を相当アレな感じ(褒め言葉)にアレンジした功績も含め、「シノビノ」という作品は幕末ジャンルの極めてユニークな少年マンガとして記憶に残る作品になったと言えるのではないでしょうか。
 「シノビノ」は、正直なところ個人的にはまだまだ終わってほしくないマンガだったのですが、大柿ロクロウ先生なら今後もイケてる男子(オッサンや老人も含む)が大活躍する奇想天外な作品を今後も描いて下さると思いますので、今回の「刀剣乱舞」も含めてこれからも楽しみに読ませて頂きます。

クロノマギア ∞の歯車

 「電波教師」の東毅先生による新連載。色々あって連載終了となってしまった「クロノマギア 時の召喚者と白刃の花嫁」のリブート作品という位置付けと認識してます。
 ただ、リブートといっても共通点は作品の舞台が「クロノマギアの強い奴が全てを支配できる学園」であること、および主人公に「クロノマギア」の能力者・神道花梨が取り憑いている(+彼女は過去の記憶を失っている)という点だけで、他の点は全く異なる印象を受けます。
 「∞の歯車」は東毅先生の作品なだけあって、主人公は自らの目的のためなら権謀術数を厭わない頭脳派な男子ですし、出て来る女子はみんな性格が歪んでいておっかないところが素晴らしいと思います。マジで。
 おそらく次回から物語が本格的に動き出しそうなので、期待して待ちたい所存です。

 それにしても「時の召喚者と白刃の花嫁」は、土星フジコ先生の描くマンガが個人的に好きだっただけに、ああいう形で終わってしまったのは本当に残念です。土星フジコ先生は連載中は相当苦労していた様子で、連載中に実際のゲームとの齟齬をネタにしてはしゃいでいた当時の自分が、今となっては恥ずかしいです。この件については心から反省しております。
 土星フジコ先生は現在休息中とのことですが、なんとか再起して欲しいと願ってます。

電波教師 9 公式同人誌・電波先生付限定版 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ)

「電波教師」は、コミケ話が公表を得た結果公式同人誌を出しちゃったのが今でもスゴイと思ってます


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