サンデー 一覧

あの頃の夜歩きの感覚を思い出させてくれたサンデー39号「よふかしのうた」感想

よふかしのうた

 お久しぶりです。
 サンデー39号から連載が開始されたコトヤマ先生の「よふかしのうた」が大変良かったので、気持ちを書いておこうと思います。

「よふかしのうた」第一話より

 読んでいる間の感想は「なんかエロい」。中学生男子が夜中に一人でフラフラ歩いている時に遭遇したお姉さんと一夜を共にすることになる、というシチュエーションは、この歳になっても読んでてドキドキします。

 更に、そこに至るまでに主人公の中学生男子の如何にも世界が狭い中学生らしい悩みが語られたり、そんな悩みを聞いたお姉さんが悩みから開放する通過儀礼(酔っ払ったオッサンとハイタッチ)を仕掛けて彼に心境の変化が訪れたりといったシークエンスがあったためか、読んでいる自分の心境も次第に中学生男子のマインドセットに変化。

 いざお姉さんがエッチな格好になって同じ布団で寝る段階まで話が進んだ時は、「もしかしたら、このお姉さんとデキちゃうんじゃないか」という淡い期待とそこで待ち受ける未知の体験への不安で、ちょうドキドキしてしまいました。思春期特有の性へのトキメキを思い出させて頂きましたよ。ありがとうございます(何となく)。

 あともう一つ感じたのは、歳を取ってすっかり忘れていた「夜の町を歩く時の開放感」を久しぶりに思い出したことですね。
 自分が思春期を過ごした土地は「よふかしのうた」の舞台のような団地のある街ではなく、周囲は田んぼだらけで夜まで開いているコンビニもなく、目立つものは自販機くらいしかなかったのですが、それでも夜に自由気ままにフラフラ歩きながら色々と妄想を巡らせたり、将来の夢をあれこれ考えたりするのは大好きでしたね。久しく忘れていたあの頃の感覚を、「よふかしのうた」は思い出させてくれました。
 今は毎日夜遅くまで仕事をするのが常態なオッサンになってしまったのですが、せめて夜に街を歩く時は、昔のように自由気ままに考えを巡らせてフラフラできる心の余裕を取り戻して行きたいなと思いました。

 そういった意味で、「よふかしのうた」は自分のこれからの新しい生きがいの一つになってくれそうな気がします。いやマジで。

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今回はだがしかし」よりもラブコメディに強く主眼が置かれたものになりそう。そういった意味でも期待


ラブコメで主人公を射止めるヒロインは、そのマンガで一番いやらしい子である。「初恋ゾンビ」感想

 お久しぶりです(´・ω・`)

 ここしばらくサイト更新を怠っていたことから察して頂けると思いますが、色々あってリアルタイムで感想を書くのが相当辛い感じなので、しばらくはここの更新を休んでいる間にサンデーでの連載が終わってしまった作品について、思い出せることを時間ができたときに書いていきたいと思います。
 今回は「初恋ゾンビ」について。


初恋ゾンビ
初恋ゾンビという作品の到達点

 サンデー2019年17号で大団円。すでにコミックス最終巻となる17巻が発売されています。
 最終巻ではタロウと指宿くんの将来をはじめとしたレギュラーキャラのその後の姿が(ちょっとだけ)描かれており、特にタロウの姉の一姫がいつの間にかものすごい玉の輿を成功させている様子を拝むことができるので、タロウの姉が好きな人は要チェックです。

 最終巻の見どころは、逃げる指宿くんを如何にタロウが口説くのかという点だったのですが、「タロウの完璧な理想であるイヴの魅力には自分は勝てない」と思い込んでいる指宿くんに対して、パーティーの夜に偶然遭遇したドレス姿の指宿くんを「イヴに出会ってからあの瞬間が1番きれいだと思った」と語り、そこから指宿くんの存在がタロウの想像する理想を遥かに超える魅力を持っていることを力説、そして指宿くんをもっと知るために「もう一度君と恋がしたい」と持っていく流れが素晴らしかったですね。

 この二人はお互い初恋だったのですが、結局初恋らしいことはお互い全くしていないのだから、「初恋をやり直そう」という告白は極めて正しい選択であり、そしてこの「初恋ゾンビ」という作品で描かれた物語そのものがこの二人の初恋をやり直すために必要なプロセスだったんだと納得することができました。そういった意味でも、とてもキレイに終われた幸せな作品だったのではないかと思います。

 そして「初恋ゾンビ」連載終了後、「コミスペ!」というコミックレビューメディアに掲載された峰浪先生へのインタビュー記事を読みました。
 「初恋ゾンビ」に対する理解が深まるとても有意義な記事でたいへんに面白かったのですが、個人的に特に興味深かったのが、峰浪先生が「(指宿くんが)1番いやらしい子だったかもしれませんね」と仰っているところです。

 この記事によれば、指宿くんは元々は作者の男装フェチズムが生み出したボーイッシュなキャラだったそうなのですが、初恋の相手であるタロウと再開して初恋をやり直すことになったことでどんどん「女の子」な側面が見えてきて乙女チックな方向にキャラが加速、最終的には性の匂いが漂うシーンになると激しく動揺しながらも内心ではエッチなソレに期待してしまうという、非常にいやらしい子に成長してしまいました。
 このインタビューにも出てきますが、コミックス16巻のお泊り回でタロウからのキスを待つ指宿くんのエロさには特筆するべきものがあります。

 でも、そんなエロ妄想に悶えて悶々としている指宿くんの姿から、タロウは彼女の内なる魅力を見出して惹かれていった訳であり、指宿くんがいやらしい子であったからこそ二人の初恋はキレイな形で成就することができたのだ! とも言えるのではないのでしょうか。

 美少女わんさかラブコメマンガで主人公の男子を射止めるヒロインは、そのマンガで一番いやらしい子でなければならない。納得の結論です。

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改めて第一話を読み直したくなった サンデー11号「初恋ゾンビ」感想

えっちだ(素直な感想)
初恋ゾンビ

 サンデー2019年11号で、イヴは最初から「失恋ゾンビ」だったことが明らかになりました。

 彼女はタロウの幼少期の初恋が成就しなかったことで生み出され、臨死のタロウが再び恋を望んだ瞬間に現在の「初恋をしたいと望むタロウの理想の女の子」として生まれ変わった存在だったのです。
 イヴが「心」を持っているのも、タロウがイヴに対して心があることを望み、タロウの理想であろうとするイヴが自ら「心」を生み出したということで説明できます。

 イヴの存在そのものは「初恋ゾンビ」という作品の抱える最大の謎だったのですが、イヴが自らその正体を明かし、そしてタロウもかつての幼少期の記憶を取り戻したことで、物語は一気に進展する形になりました。
 それより何より、「指宿くんの姿形をしたイヴが全裸でタロウに蠱惑的に迫りながら、自らの真実について語る」という絵面のインパクトが素晴らしかったです。やっぱりこのマンガすげえなあと改めて思った次第です。
 このマンガの到達点であろう回を読んで「すげえ」としか言えない己の語彙力のなさを悔やむ次第です。

 11号の話は第一話を反芻する内容でもあった訳なのですが、今回の話を踏まえた上で、改めて「初恋ゾンビ」の第一話を読んでみたんですよ。
 「初恋ゾンビ」の第一話って、『頭を打って倒れて目が覚めたら、自分のことが最初から大好きな人間じゃない女の子が宙に浮かんでいた! ラヴ!』っていう感じの、如何にも少年サンデーに載ってそうな、典型的な明るく楽しいお色気ラブコメマンガだったじゃないですか。
 最初の頃の江火野さんは恋愛に全く興味がないと公言する割とステレオタイプな体育会系女子で、指宿くんはタロウを一方的に目の敵にするけどツンデレっぽい男装女子だったじゃないですか。

 でも、その明るく楽しくエッチだった頃から色々あって、タロウや指宿や江火野が恋をすることの喜びや痛みや苦しみを経験し、そして物語の中心であった「自分のことが最初から大好きな人間じゃない女の子」であるイヴの正体が明かされた今になって改めて第一話を読んでみると、このマンガが明るく楽しいお色気ラブコメマンガのように見えるのは錯覚だったことがよく判ります。
 第一話の段階で、タロウを初めとした登場人物達にはそれぞれ乗り越えなければならない問題を抱えていたことが、今になってみると気付くんですよね。

 つまり連載初期の段階から、既に今現在の展開を見据えていたと思われます。
 やっぱりこのマンガはすげえッスね(語彙)。

 そして今後の展開についてですが、やはり最終的にはタロウが指宿くんに、そして指宿くんもタロウにきちんと自分の初恋を相手に伝えるべきではないかという形になるのではないかと思われます。
 いよいよ物語も大詰めに差し掛かって来た感がすごいこのマンガ、これからどのようにしてタロウと指宿の関係を詰めて行くのか、楽しみに待ちたいと思いました。

 あとサンデー12号もさっき読みました。
 江火野さん、連載初期と比べるとホント強くて優しいいい子になりましたよね…(*´ρ`*)

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今読み返すと「みんなこの頃は若かったなあ」とノスタルジーにひたれるのでオススメ


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