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この彼女はフィクションです。(2) (少年マガジンコミックス)

 作家ならではのたくみな想像力!(挨拶)

 フーコ先輩がユーリに対する自分の感情を自覚するまでのエピソードが収録された巻。フーコ先輩がユーリのことを好きなのは読者には既に判っていることではありますが、キャラクターがそれを自覚したことで、ラブコメとしての物語はここから新しい局面に入りましたね。

 この物語は、ユーリの妄想が産み出してしまったミチルという存在が織りなすドタバタコメディであると同時に、恋に不器用なフーコが恋愛を経験することで成長する物語であるとも言えるのではないのではないか? と、この巻を読んで思いました。
 フーコ先輩の作家ならではのたくみなエロ妄想をもっと読みたいです(笑)。

2011-09-09 12:52 | Permalink | Other Review


結界師 35 (少年サンデーコミックス)

結界師 35 (少年サンデーコミックス)
田辺 イエロウ (小学館) / ¥ 440
「結界師」最終巻。宙心丸の真界に志々尾と自分の分身を登場させたシーンは、何度読んでもグッと来ます。

改めて読んでみると、騒動の中心に存在していた日永や水月、そして良守の母の守美子といった超常的な力を持つ者たちが、「家族とコミュニケーションがうまく取れない」といった如何にも人間くさい悩みを抱えていたんだなということが描かれており、彼らに好感を持てました。日永も守美子も、超常的な力があるが故に「普通の」コミュニケーションが取れず極端な行動に出てしまったこと、そして彼らの近しい存在である水月や良守はそれでもその相手を「ただそこにいるだけでいい」と思うほどに愛していたこと、という点で共通していたと思います。
まあ結果的には「一人で悩まず、家族に相談しましょう」が結論ということですよね(そういう話?)。

そして巻末には田辺先生による主要キャラクターへのコメントが書かれているんですが、閃の項目には「このマンガ一のツンデレキャラで、実は女の子疑惑があるとか…ねえよ!」の記述が。
わざと閃ちゃんをツンデレ女子っぽく描いていた訳じゃなかったのか…ちょっとショック…!

2011-09-09 12:43 | Permalink | Other Review


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃 (早川書房) / ¥ 756
 職場の同僚から「この物語は百合ですよ?」と勧められて読み始めた作品。

 最初のうちは、医療監視システム「WatchMe」を体に埋め込むことが普通となった世界を舞台にしたディストピアSFなのかな? と思って読んでいたが、物語が進むに連れて「高度に発達した社会で生きる人間には、『意識』は本当に必要なのか」という哲学的な問い掛けが物語の根幹となっていることに気付き、そのスケールの大きさとテーマの深遠さに驚かされました。読み終えた後も色々と考えさせられる、知的な興奮を味わえる作品だと思います。面白かった!
 また、この小説はXML言語を模したタグを使って書かれていますが、最後まで読んだ時に初めて「何故XMLで書かれているのか」にきちんとした意味があることが判る点も、職業プログラマー的にはグッと来ました。このアイデアはすごい。

 百合的には、主人公のトァンが、かつて自分の人生に大きな影響を与えた少女ミァハの足跡と思想を追い続けて再び対峙する、という筋書きから百合要素を見出すことが頑張れば可能かと思いました。ラストシーンで「百合展開キター!」と叫べればたぶんホンモノ(何の?)。

この物語に連なる次の作品が読めないことが、本当に残念です。

2010-12-30 22:44 | Permalink | Other Review


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