「ザ・ムーン」の名を21世紀になって見ることになるとは思わなかったサンデー31号感想
アーティストアクロ
新連載。やんちゃな主人公が夢を目指し、自分の能力を活かして大暴れ! といった感じの、極めて王道を志向すると思われる少年マンガという印象です。同じ王道志向は、「クローサー」「トラウマイスタ」にも言えることですけど。
果たして「クローサー」「トラウマイスタ」そして「アクロ」は、かつてサンデーに掲載されて人気を博した王道少年マンガ「金色のガッシュ!」や「うえきの法則」に比類するクラスの作品に成長することができるのか。サンデー的にはそれを期待しているのは明らかっぽいので、作者の皆さんにも頑張って欲しいところです。でも体と心には気をつけて下さいね! 「ガッシュ」や「うえき」の作者は、長期連載した結果結局(略)。
それで「アクロ」ですが、個人的に一番びっくりしたのは、主人公のデフォルトの彼女役となるべきヒロインが存在していないところ。今回出てきた主要キャラクターは、実質的には主人公のアクロとアクロに窮地を助けられたデコの二人だけであり、女子はエキストラ以外は全く出てきてません。
つまりこのマンガはラブコメ的な展開に振る余地を持つことなく、完全に「アート」と呼ばれる能力バトル展開だけでマンガを盛り上げてやるぜ! と覚悟を完了していると認識しました。その意気や良しです。
唯一気がかりなのは「気まぐれな女神
」の存在。女神というからには、そのうち地上に降りてきて実体化して主人公に惚れたりする展開になりかねません。アーティストアクロに女はいらねえ!(勝手に決めつける)
結界師
「やだシャンプー目に入ったー
」ってそれ記憶の捏造!
っていうか、良守は絶対それ以外にも色々と時音の裸体の記憶を捏造してるよね! 中学二年生だし!
時音の入浴シーンを覗いちゃって大ピンチと思われていた良守でしたが、時音は時音で良守に対して負い目を感じていてやっぱり大ピンチな状況だったので、結局双方が謝って和解して仲良くなっちゃったという展開でオチ。ほのぼのして良いです。
今回は、時音が良守相手に本気で悩んでいる姿が新鮮でした。あと、そんな時音の相談相手になって話を聞いてるうちにだんだん顔が紅潮して興奮状態になる、同級生のまどかさんが面白かったです。彼女はそのうち、時音と良守をくっつけようと勝手に画策するようになると思います。あと彼女の顔デザインの簡素っぷりは、「あおい坂」のキャプテンと双璧を成すとも思います(どうでもいい)。
あと「オレの方が女の体のこと知ってるぜ?」みたいなエラそうな態度を取る閃も、やっぱり中学二年生男子的な反応で面白かったです。登場した頃は「女の子に違いない」呼ばわりされた閃ちゃんも、立派な中二男子に…。
月光条例
「少女革命ウテナ」の劇場版でウテナカーを生で観てしまって以来、『女性を乗せた変な形の車が疾走する』というシチュエーションだけで全てを許せる私ですがこんにちは(挨拶)。なので、「高速で走る車の上でそのポーズを極めるのは無理ですシンデレラ姫」とかいう突っ込みは余裕で無視できます。
ちなみに、ウェイト的には「女性を乗せた」よりは「変な形の車が疾走する」の方が高いです。現実的にはあり得ない形態の車が走るとか最高。同様の理由で、「リッジレーサーR4」のデビルカーとか好きです。あと「モテモテ王国」のデビルカーも。どうでもいいですが。
そして前回のエピソードが「一寸法師」の現代から見た倫理的な問題点を明らかにする形になったのと同様、今回は「シンデレラ」を問題にする模様。
「シンデレラが王子と結婚した後、生活の退屈さに辟易する」系のネタは古来から様々なパロディが作られてきましたが、「月光条例」のシンデレラは結婚した後の退屈な生活を事前に拒否して婚前逃亡を謀る、極めてアグレッシヴな女性としてデザインされているみたいです。「月打」されたのがシンデレラなのかそれともシンデレラカーと化したガラスの靴の方かは判りませんが、どっちにしろ彼女は結婚圧力がファンタジー世界と比べるとまだしも低い現代社会に来た方が幸せになるかも知れません。でも現代社会に来たら道路交通法は守ろうぜ!
オニデレ
白ラン! 白ラン来た! 白ラン来たよ! これはサヤでなくても倒れるよね!
サンデーにおける白ランの代名詞は、これまで「うる星やつら」の面堂終太郎が30年近くその座を保持して来たのですが、ついにその座を明け渡しかねない事件が発生しましたよ! 主人公格のキャラが白ラン着るとか、なんか少年マンガにあるまじき事態に!
っていうか白ランて! 生徒会が白ランを着用て! 白ランを着て背中に天使の羽を背負う美少年の副会長ってアンタ! 少女向けボーイズラブマンガじゃあるまいし! キャー!q(≧∇≦*)(←バカ)
LOST+BRAIN
最終回。結局話題になったのは「あまりにデスノートっぽい」と騒がれた第一話がピークで、それ以降は話題的にフェードアウトしていった感が強いです。というか、「デスノートっぽい」と評価された時点でこのマンガの命運は決まってしまっていたと思われます。
このマンガ、最初は主人公の氷山が「オレ以外の人間は全てクズ
」と公言しながら凄い勢いでSATSUGAI(ネット監視対策ワード)を開始→途中から「人間の弱さを消さないと世界は変わらない
」とマトモなことを言い出して路線修正→でもやっぱり最後の方では「オレ以外の人間は全てクズ
」路線が復活して人をクズ扱い、と軸がブレ気味だったところが気になりました。
どうせSATSUGAIするなら、かの「アクメツ」並に徹底して欲しかったよ…(遠い目)
とりあえず、作画担当の大谷先生にはおつかれさまでしたと申し上げたい所存です。右手でパフェ食べながら左手で自動書記してた由香の姿は、純粋にこんな絵を描けるのは凄いと思いましたです。