船酔いをする少年は萌え対象 サンデー19〜20号「天翔のクアドラブル」感想

天翔のクアドラブル

 天正遣欧少年使節と聞くと思い出すのが、昔通っていた小学校の図書館に置いてあったどこかの出版社の歴史マンガの中で、使節団の少年が船酔いでゲロゲロ吐いてるシーンです(いきなり)。
 そのシーンが今もやたらと印象に残っていることを考えると、もしかしたらその頃から自分はマンガのキャラが嘔吐しているシーンを見るのが好きだったのではないか? と自分の性癖のルーツについて思いを馳せざるを得ません。

 あとは、少年が熱帯地方で熱病にかかってウンウン苦しんでるシーンも印象的でした。美少年が病気で苦しんでいる様は萌え要素です(断言)。

 そんな少年使節団(そんな?)が題材の「天翔のクアドラブル」においても、早速第二話でジリアンが船酔いでゲロ吐いてるシーンが出てきたので、やっぱり少年使節団と船酔いは切っても切れない関係なんだよなと嬉しくなりました。

 ただ、このマンガが普通の歴史マンガとちょっと(というか大きく)違うのは、少年使節団の目的を「戦国時代の日本でキリスト教を布教するため」ではなく、「暗黒時代のヨーロッパを跋扈している魑魅魍魎を忍術で退治するため」としているところです。少年たちのキャラ設定も、キリシタンではなく、「志能便」という名の対魔忍になっています。
 つまりこのマンガは、一見するとヒストリカルな少年使節団を題材にしているように見えながら、実はファンタジーな日本のニンジャがファンタジーなヨーロッパのモンスターと戦うことを目的とした、極めて少年マンガっぽいファンタジー異能力バトルマンガであると言えましょう。
 ニンジャ対ファンタジーヨーロッパのモンスターを描く題材として、あえて少年使節団を選ぶセンスが個人的には素晴らしいと思いました。

 実際の少年使節団に参加した少年たちは、色々あって最終的にはみんなあまり報われない最期を遂げたと言われていますけど、こういう設定であればヒストリカルとは違った明るい結末を描くことも可能になるでしょう。こういう歴史のアレンジの仕方は面白いですね。

 そして作者の新井隆広先生は、「ダレン・シャン」を読めば判るように元気な少年と陰鬱なモンスターの描写に定評がありますので(自分の中で)、そういう意味でもこのマンガは新井先生の作風に合っているように思えます。今後の展開に期待です。
 新井先生のマンガなので、今後出てくるであろうヨーロッパの渋いオッサンキャラの登場にも期待。

LES MISERABLES 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
新井 隆広
小学館 (2013-12-12)
売り上げランキング: 86,213

新井先生がゲッサンで連載していた「レ・ミゼラブル」のコミカライズ版。たいへんに評判が良い

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