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期待のアホの子降臨記念 サンデー22+23号「tutti!」感想

tutti!

 個人的に高校の吹奏楽部というと、「中学の頃から吹奏楽やってる音楽好きな連中が集まる部活」という文化系的なイメージと、「基本的なノリは体育会系であり、夏の高校野球の応援に駆り出されて暑い中で延々と演奏させられるのがすごい大変」という体育会系を併せ持った、アンビバレンツな存在であるという歪んだイメージしかないんですけど、この認識は一般的なものなんでしょうか(挨拶)。

 新連載。テーマは吹奏楽部。音楽をテーマとした「響け!ユーフォニアム」や「セッション」といった作品が話題となる中、やるなら今しかない! と狙っている感がありありと伺えます。いいと思います

 物語としては「人数が少ない弱小吹奏楽部に、天才的なセンスを持った型破りの新人がやって来る」という基本的なパターンだと思われますが、その「型破りの新人」役である金髪キャラの頼城君がものすごくカワイイ音楽バカであり、個人的に好感が持てました。バスケの音や動きを音階やリズムとして聞き取る描写をすることで、このキャラが根っからの音楽バカであることを表現している所は上手いと思います。
 そして彼は過去にトランペットを演っていて今も音楽が大好きであるのにも関わらず、何か過去に色々あって音楽を捨てたという感じの描かれ方をされていますが、その実態は全然音楽を捨てられていないことがンもうバレバレであり、吹奏楽部女子の桜井さんの罠にあっけなく釣られる始末。
 この感じだと、多分「音楽を捨てた」理由も何かものすごい下らないことが原因に違いありませんね(決めつけ)。

 とにかくこの頼城君がものすごくアホの子でカワイイので、このマンガもとても気に入りました。次回以降、如何に彼が吹奏楽部に籠絡されていくかが楽しみです。

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サンデー超増刊で連載されていた片桐先生の前作


武蒼の監督から中年男性の悲哀を感じたサンデー20号感想

BE BLUES!!

 今回は龍と交代した小田さんがかわいい弟の期待通りの活躍をしましたが、話の内容はまさかの監督回
 「俺自身、思っていたほどの時間はないかも…だ」とか意味深なモノローグを入れてきたり、柄にもなく桜庭の成長にチームの未来を期待したりと、何かものすごい勢いで自らフラグを立ててきました。少年マンガ的には、後は「ムシブギョー」の仁兵衛の父ちゃんのように、陰で口から血を吐いて咳き込めば完璧な感じです。
 いかなスポーツマンと言えども四十代になったら基本的に体はオッサンですので、日々の生活を気を付けて体を労った方が良いと思いました。オッサン同士お互いに頑張りましょう(馴れ馴れしい)。

 そんな感じで死期が近い(決めつけ)監督の期待を暗に受けている桜庭さんですが、チームが逆転勝利しても相変わらずベンチで不機嫌そうにグラウンドから目を逸らす態度を取り続けており、「そんなことじゃ使ってもらえないぞ!」「えらそうな口をたたくなポンコツが!」と龍と息のあった夫婦漫才をする始末。
 でも、彼はこれでいいんですよ。彼は独善的なカスだからこそ、サッカー選手としての価値があるんですよ。素直な龍とひねくれた桜庭のコンビをどのように使っていくかこそが、武蒼のチーム力を上げる要になるんですよ。その辺は監督も判ってると思いますよ。多分。

競女!

 ここのところ毎回のように声に出して読みたい日本語の必殺技を繰り出している「競女!」ですけど、今回もまたやってくれました。「乳魂」。にゅうこんです。魂を入れる「入魂」と乳の「乳魂」をかけてるんですよ(解説)。

 乳首を注射に見立て、乳を通じて他人にパワーを送り込むと思しきこの技、もはやここまで来ると通常の物理法則では説明できない超能力としか言いようがないんですけど、このマンガの世界観は乳から外に気を飛ばす(通常の物理法則では説明できない)「発勁」が存在するので、乳を通じて気を注入する「気功」もアリなんだと解釈できます。
 実際、このシーンを見ても「これはありえない」と思った読者はおそらく皆無であり、むしろ読者は皆「『競女』だから仕方がない」という境地に達していたに違いありません。

 これまでのエピソードで「このマンガは乳と尻さえ経由すれば何でもできる」ことを読者の共通認識として刷り込ませることに成功しているが故に、今回の「乳魂」も許されるのです。現実には存在しない独自の格闘体系をマンガの中で組み上げ、それに基づいてストーリーを作り、読者を納得させる説得力を持たせるという意味では、もはやこの作品は、かつての「史上最強の弟子ケンイチ」に匹敵する作品になったと言えるのではないのでしょうか。
 おっぱいから楽しそうに衝撃波出したり光ったり抜刀したりするこのマンガを読んでいると、「二つの胸のふくらみは何でもできる証拠なの」という魔女っ子メグちゃんの歌詞ってこういうことだったのかも知れないとか思ってしまいます。

 我ながら言い過ぎだと思います。

絶対可憐チルドレン

 まさかの島編開始(島編=「ふしぎの海のナディア」をリアルタイムで視聴してた世代だけに通じるオッサン用語)。

 今回のシチュエーションは、松風君が紫穂と葵と一緒に孤島に突然閉じ込められるという形式になっており、皆本と薫は本筋から締め出された形になっていますが、前のエピソード(薫が風邪引いた話)では単に隣の部屋で朧さんとダベってただけでいまいち見せ場がなかった紫穂や葵の出番と活躍をフォローする意味合いもあるんじゃないかと思います。

 実際、今回の紫穂は、松風君をその気にさせて彼のサバイバル能力を無駄に発揮させ、タダで食料を貢がせることに成功してました。紫穂らしい大活躍です。さすがは将来世界を支配する女(未来が変わってもこれは決定事項)。
 彼女がこうやって男子を意のままに操ってる姿がマンガに出てくるのって、実は小学生編以来なような気がします。学校ではずっと日常的にやってそうだけど。

ノゾ×キミ

 大団円。終盤のノゾミが自分の本当の気持ちに気づき、冷徹な仮面をかなぐり捨ててキミオの愛を受け入れる展開は、そういうのが大好きな私にはンもう大満足でした。ありがとうございます。

 基本的には本名ワコウ先生の「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」の少年誌向けリメイクといった感じの物語でしたけど、個人的にはこれくらいのエロさ加減の方がサンデーで読むには丁度良かったのかなと思います。
 でも最後のロッカーでのキスシーンは、本名ワコウ先生のマンガなので多分あの後で二人はロッカーの中で(略)。

ノゾ×キミ 5 OVA付き限定版 ([特装版コミック])
本名 ワコウ
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OVA観てみたいナー


良いパティシエは死んだパティシエだけである サンデー20号「なのは洋菓子店のいい仕事」感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 第一話を読んだ段階では、『「なのは洋菓子店のいい仕事」とは、洋菓子店の持つハートウォーミングなイメージをぶち壊し、盲目的に甘いモノが大好きな全てのケーキ大好き人間共に対して暗に喧嘩をふっかける、ストロングスタイルな社会批評作品である』という結論に達せざるを得なかったこのマンガですが、サンデー20号に掲載された第二話は、それでも多少はハートウォーミングな要素が入って来ていたのではないかと思いました。

 今回の話は、ファッティかつ多汗症気味の洋菓子大好きなバレーボール部女子・川端かすみが、洋菓子が好きな自分の心を偽ることを止め、これからも部活を頑張りつつお菓子食って生きていこう! と己を見つめなおす(というか開き直る)物語です。
 特に「マドレーヌ20個分のカロリーを消費するためにはフルマラソン一回分の運動が必要」とタイムから言われても、「ですよね!」とハキハキと応える開き直りっぷりが印象的でした。自分の心に素直になった彼女を見ていると心が暖まります。ハートウォーミングです。多分。

 ただこのマンガ、第一話のケーキで孤独を癒やそうとした(結果、全然癒やされずに終わった)苺にしろ、第二話の部活のために洋菓子好きを克服しようとした(結果、再び洋菓子に屈服した)かすみにしろ、自身の抱えた問題を根本的には何も解決できていないところが気になります。
 彼女たちは、洋菓子が好き過ぎるあまりに性格や行動が極端に歪んでいるのですが、なのは洋菓子店を訪れた彼女たちは、その問題を結局は克服できていません。

 前作の「神のみぞ知るセカイ」では、登場する女子達はみんな登場時は自身の抱えた問題につけ込んだ「駆け魂」のせいで行動や性格が極端に歪んでいたんですけど、桂馬に攻略されて「駆け魂」を除外し、心の隙間を埋めたことで、最後にはその問題を克服することができていました。
 しかし「なのは洋菓子店のいい仕事」の場合は、今のところそういう話にはなっていません。苺はこれからも孤独を癒やすために暴力的な美味しさのケーキを求め続けるでしょうし、かすみもあの後ダイエットに成功してバレー部のレギュラーになれるかどうかはかなり疑わしそうです。なのは洋菓子店は、問題を抱えた女子達の前に現れはしますが、ただ彼女たちが求める菓子を提供するだけで、決してお菓子を通じて彼女たちの問題を解決するようなことはしないのです。
 いつか彼女たちも、なのは洋菓子店をキッカケに己の心の隙間をなんとか出来る日が来るのでしょうか。

 この点だけを見ても、このマンガがいわゆる「洋菓子店を舞台にしたハートウォーミングなストーリー」を狙っていないというか、むしろそれを逆手に取っている構造になっている、と言えるのではないのでしょうか。
 さすが「神のみ」を経て成長した若木民喜先生の最新作、色々とひねくれてますよね(褒めてます)。

 それはそうと、汗を異常にかいてこの年頃の女子特有の甘い匂いを振りまくかすみの姿は、セージ君ならずとも非常にグッと来るものがありました。結論としては、今後もそういったフェチズムを刺激する描写にも期待したいところです。

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全然関係ないですが、個人的に「マドレーヌ」という単語から連想されるマンガがこれ。面白いです


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