古見さんは、コミュ症です。 一覧

少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(後半)

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 お久しぶりです(´・ω・`)。

 8/9まで実施されている、サンデー32号を無料で入手することができるキャンペーン便乗記事の続きです。


初恋ゾンビ/峰浪りょう

額の怪我をきっかけに、初恋相手を理想化した脳内彼女的思念体=初恋ゾンビが見えるようになってしまった高校生・久留目タロウ。自分のばかりか、学校中、いや町中の初恋ゾンビが見えてタロウは混乱しまくり。初恋の相手が一瞬でも「付き合う」と言えば、初恋ゾンビは消えるはず…と仮説を立て、タロウは思い切って指宿に告白するが、クラス全員に目撃されるわ、フラれるわ、イヴは消えないわ…(涙) そうこうしているうち、中にはブラック化する初恋ゾンビまで現れ…!?
 ゾンビ…というタイトルとは裏腹のきゅんきゅん♥ラブコメ!!

 基本的には「自分のことが最初から大好きな、人間じゃない女の子が空から降って来た!」という、如何にもサンデーに載っていそうなパブリックイメージに沿った設定のラブコメマンガなんですが、そこに『過去に色々あった結果ジェンダー的にひねくれて現在は男性として生活している、主人公の幼馴染であり初恋の女の子』という複雑な設定を持った指宿君の存在を加えたことで、この物語を単なるお色気ファンタジーだけではなく、思春期特有の恋心と性の揺らぎを物語の中に与えることに成功しています。
 個人的には、従来のサンデーのイメージを踏襲しつつも新しいものを生み出して行くという「リニューアルされた現在のサンデー」の姿勢を象徴しているマンガだと思っています。個人的にオススメ。

古見さんは、コミュ症です。/オダトモヒト

古見さんは、コミュ症です。なので人付き合いがとても苦手です。でも友達が欲しい古見さん。人の気持ちを察するのが得意な只野くんが友達になり、その伝手で長名なじみとも友達になりました。だけど……
 話したい。話せない。沈黙の美少女・古見さんのコミュ症コメディー!!

 いわゆるコミュニケーション不全症候群な人々を題材にしたコメディー。
 基本的には、文字通りのヒロインである古見さんの「お嬢様」的な雰囲気と、彼女の極端な人見知りの性格に端を発する不審な挙動のギャップに起因するドタバタ劇を楽しむマンガなんですが、この作品の特徴として「古見さんがみんなから愛されまくっている」が故に常に周囲が古見さんの行動を良い方向に解釈して立ち振る舞うため、いわゆる「コミュ症」をネタにした作品の読後に感じる「コミュニケーションが不得手な人の不審な行動を笑いものする」系統のストレスを感じない作りになっていることが上げられると思います。
 そういった意味で、非常に優しい作品です。

柊様は自分を探している。/西森博之

同年代の生徒達から「お疲れ様」挨拶される少年・白馬圭二郎はある日、美女を見た。それはただ美しく、綺麗なだけの美女ではなかった。屋上から落ちた少年を助けたり、悪さしようとしたチャラい不良をボコったり… その後出会った圭二郎に対し、凛と、颯爽と、家来に指名した。そんなこんなで、あやふやな記憶のその美女・柊様は、しばらく圭二郎の家で預かる事に…

 藤田先生同様、現少年サンデー編集長が三顧の礼でサンデー復帰を願い出たと言われる西森博之先生の作品。「天使な小生意気」「道士郎でござる」の頃から一貫している、「主人公が己の姿勢を貫くことで、周囲の人間も次第に変わっていく」というテーマを、この作品も踏襲しています。

 それらの作品と「柊様」との大きな違いといえば、柊様が超人的な精神力や洞察力を発揮して時にハッとさせられるような活躍をする一方で、茶目っ気たっぷりにイタズラをしたり、圭二郎に対する自分の感情の意味をよく判っていなかったりする幼さをも持ち合わせてる、良く言えばとても可愛げのある人物として描かれていることでしょうか。
 とりあえず、柊様に萌え萌え(死語)になって読むのがいいと思います。

暁の暴君/伊織

天才的な実力を持つ柔道家・朱点一真は、いきなり大会に乱入して優勝者を圧倒。伝統や理念を掲げながら不正な勝負をする講英館に対し、「三年以内にぼくを倒してください」と、不敵な笑みを浮かべて宣戦布告する!!
 そしてついに全日本柔道選手権が開幕! 全国から集まった猛者たちが「日本一強い柔道家」の座を賭けて熾烈な戦いを繰り広げる!!
 すべての努力家達へ送る、反柔道奇譚!!

 現在の編集長に変わってから最初に始まった新連載。主人公のカズマは「最初からものすごく強い」「実家は大金持ちでメイドを引き連れている」「倒した相手に対してその実力不足を躊躇なく指摘する不遜な態度を取る」など、普通の柔道マンガだったらまかり間違いなく主人公の敵役になるであろうタイプのキャラで、それだけでもこれまでのサンデーの柔道マンガの代表である「帯をギュッとね!」「いでじゅう!」等の作品とは相当毛色が異なります。どちらかと言えば「修羅の門」の系統に属するマンガという印象。

 現在、マンガの中では全日本柔道選手権の決勝戦が繰り広げられていますが、未だにカズマの「正体」や、彼が柔道界の権力の権化である講英館に喧嘩を売る本当の理由は、(色々と匂わせる描写はあるものの)まだ物語の中では明確に語られてはいません。今後そこまで話が進むことに期待してます。

ふれるときこえる/本名ワコウ

 肌と肌で相手に触れると、その心の声が聞こえる…… 突如異常な体質になってしまった高校生・噪は、この体質のおかげで、片思いの相手・結川が親友・拓海を想っているとの心の声を聞いてしまう。ちょっと不思議な転校生・さとりは「自分も同じ体質であり、噪に恋したためにそれを感染してしまった」と言う。過去にもさとりが好きになった人が同じ状態になり、でも好きな気持ちを諦めたら元に戻ったらしい。さとりはがんばって噪の恋を成就させ、自分の恋心を絶つ努力をすると宣言。時間はかかりそうだけど、奇妙な「聞こえる」コンビが一歩踏み出す…!!
 聞きたい、だけど聞きたくない…ジレンマじりじりラブストーリー!!

 「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」「ノゾ×キミ」の本名ワコウ先生の最新作。

 アクの強いヒロインをメインに据えた前作までは打って変わり、今回は主人公の噪君を始めとして常に友達のことを思って周囲への心配りを忘れない仲良しな善男善女達がメインキャラだったので最初のうちはどうなることかと思ったんですが、物語が進むに従ってそんな善男善女にも心の内側には「友達」には決して明かせな恋愛感情や疑心暗鬼や嫉妬といった様々なドロドロしたものが渦巻いていて、やがてそれが明らかになるに連れ、これまで彼らの関係が友達のことを思い遣るがゆえに徐々に壊れていく──という感じの話になって来たので、やっぱり本名ワコウ先生の作品はこうじゃなくちゃ! と安心しました。

 「ふれるときこえる」という表題は、文字通り「他人に触れると心の声が聞こえてしまう」能力を持ってしまった主人公・噪君のサイコメトリーのことを指しているんですが、物語が進むに連れて「心の声が聞こえたとしても、それだけでは大切なものは聞くことができない」「心の声が聞こえないからこそ、心に通じるものもある」といった意味合いを含んだものになりつつあるように思えます。
 連載の方は佳境に差し掛かりつつある印象ですが、今後の展開に期待していきたいところです。

 個人的な結論としては、さとりが良いです。

週刊少年サンデー 2016年36号(2016年8月3日発売) [雑誌]

今、まさに今週号をkindleで読んでます。電子書籍元年が来たよ!


コミュ症だって恋がしたい! サンデー25号「古見さんは、コミュ症です。」感想

古見さんは、コミュ症です。

 かつてサンデーにおいて、「一番湯のカナタ」以来となる『異星人が地球の温泉にやって来る』系SFコメディに果敢に挑んだことで個人的には評価が高い『デジコン』の作者・小田智仁先生が(オダトモヒト名義で)再登場。
 「古見さんは、コミュ症です。」は、以前掲載された読み切りバージョンをリブートする形で再登場することになった模様です。

 読み切り版の時は、作品世界はほぼ完全に主人公と「コミュ症の古見さん」が一対一で対峙する形で完結していましたが、今回は連載版ということで「上がり症の上野(あがり)さん」「ナルシストの成瀬くん」「幼馴染キャラっぽい長名(おさな)さん」「中二病患者の中々さん」「精神を病んでる山井さん」など、学園内に様々な個性的かつ安直なネーミングなキャラが登場することが既に予告されています。

 第一話では「上がり症」の上野さんがちょっとだけ出てきましたけど、彼女も古見さんに負けず劣らず、何というかこうもし彼女が実社会に存在したら三分くらいで世間のプレッシャーに負けて死んでしまいそうな感じのナイーブそうなキャラという印象を持ちました。自己紹介で全く喋れなかった古見さんも大概でしたが、上野さんも大概っぷりでは負けていなさそう。
 つまりこの学園は、あまりに個性的かつピーキーな性格を持つが故に、ごく普通の社会生活を送ることができなさそうなキャラばかりが集っていることが予想されます。

 そして、そんな過酷な猛者共が集う学園に放り込まれた主人公のマスターオブ凡人キャラであるところの只野くんは、「晴れて『友達』となったコミュ症の古見さんの願いである『友達を100人作りたい』を実現するため、相互意志の疎通すら困難を極めそうな学園の生徒達とコミュニケーションを取り、コミュ症の古見さんとの関係の構築を仲介しなければならない」という、かなり難易度の高そうなミッションに挑むことを余儀なくされることになった訳です。

 今回の第一話は、クライマックスにおける古見さんと只野くんの黒板での筆談の内容があまりに美しく感動的だったためか、この作品は「一風変わった感性を持った少年少女達が織りなす、ハートフルな恋愛ストーリー」であると認識している方が多いと思われますが、しかし作者のオダトモヒト先生は前作「デジコン」では惑星上の知的生命体を滅ぼすことを全く躊躇しない極悪な宇宙人達が地球で激しい戦闘を繰り広げ、ヒロインですら頭から血を流して死にかけるようなハードな展開を手がけていたことを考えると、ゆめゆめ油断はできないと考えるべきでしょう。
 「コミュ症」という、本来であれば精神的なケアが必要とされる障害を指すような言葉がカジュアルに使われているハードな現代社会において、理想的なコミュニケーションのあり方とそれを実現するための難しさを、如何にマンガを通じて見せてくれるのか。個人的にはその辺に期待していきたいと思います(大げさな感想)。

 なお、第一話の古見さんと只野くんの黒板での筆談ですが、サンデーの印刷具合によっては文字が潰れてしまって読めない場合があるとの話を聞きました(オダトモヒト先生のTwitter経由で)。できれば、クラブサンデーで第一話の電子版を掲載するなどの救済措置を取って欲しいですね。

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「古見さん」にも「デジコン」のヒロインのような硬派な女子キャラが出てくるっぽいので期待してます


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