コミュ症だって恋がしたい! サンデー25号「古見さんは、コミュ症です。」感想

古見さんは、コミュ症です。

 かつてサンデーにおいて、「一番湯のカナタ」以来となる『異星人が地球の温泉にやって来る』系SFコメディに果敢に挑んだことで個人的には評価が高い『デジコン』の作者・小田智仁先生が(オダトモヒト名義で)再登場。
 「古見さんは、コミュ症です。」は、以前掲載された読み切りバージョンをリブートする形で再登場することになった模様です。

 読み切り版の時は、作品世界はほぼ完全に主人公と「コミュ症の古見さん」が一対一で対峙する形で完結していましたが、今回は連載版ということで「上がり症の上野(あがり)さん」「ナルシストの成瀬くん」「幼馴染キャラっぽい長名(おさな)さん」「中二病患者の中々さん」「精神を病んでる山井さん」など、学園内に様々な個性的かつ安直なネーミングなキャラが登場することが既に予告されています。

 第一話では「上がり症」の上野さんがちょっとだけ出てきましたけど、彼女も古見さんに負けず劣らず、何というかこうもし彼女が実社会に存在したら三分くらいで世間のプレッシャーに負けて死んでしまいそうな感じのナイーブそうなキャラという印象を持ちました。自己紹介で全く喋れなかった古見さんも大概でしたが、上野さんも大概っぷりでは負けていなさそう。
 つまりこの学園は、あまりに個性的かつピーキーな性格を持つが故に、ごく普通の社会生活を送ることができなさそうなキャラばかりが集っていることが予想されます。

 そして、そんな過酷な猛者共が集う学園に放り込まれた主人公のマスターオブ凡人キャラであるところの只野くんは、「晴れて『友達』となったコミュ症の古見さんの願いである『友達を100人作りたい』を実現するため、相互意志の疎通すら困難を極めそうな学園の生徒達とコミュニケーションを取り、コミュ症の古見さんとの関係の構築を仲介しなければならない」という、かなり難易度の高そうなミッションに挑むことを余儀なくされることになった訳です。

 今回の第一話は、クライマックスにおける古見さんと只野くんの黒板での筆談の内容があまりに美しく感動的だったためか、この作品は「一風変わった感性を持った少年少女達が織りなす、ハートフルな恋愛ストーリー」であると認識している方が多いと思われますが、しかし作者のオダトモヒト先生は前作「デジコン」では惑星上の知的生命体を滅ぼすことを全く躊躇しない極悪な宇宙人達が地球で激しい戦闘を繰り広げ、ヒロインですら頭から血を流して死にかけるようなハードな展開を手がけていたことを考えると、ゆめゆめ油断はできないと考えるべきでしょう。
 「コミュ症」という、本来であれば精神的なケアが必要とされる障害を指すような言葉がカジュアルに使われているハードな現代社会において、理想的なコミュニケーションのあり方とそれを実現するための難しさを、如何にマンガを通じて見せてくれるのか。個人的にはその辺に期待していきたいと思います(大げさな感想)。

 なお、第一話の古見さんと只野くんの黒板での筆談ですが、サンデーの印刷具合によっては文字が潰れてしまって読めない場合があるとの話を聞きました(オダトモヒト先生のTwitter経由で)。できれば、クラブサンデーで第一話の電子版を掲載するなどの救済措置を取って欲しいですね。

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「古見さん」にも「デジコン」のヒロインのような硬派な女子キャラが出てくるっぽいので期待してます

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