2015年05月一覧

ノアは桜庭のことが大好きだと思う サンデー26号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 かつてその超人的な身体能力と底意地の悪い性格を駆使して桜場を窮地に陥らせた、みんな大好きノアさんこと藤原乃亜を擁する赤城中央との対戦。
先週ではノアが単身で武蒼高校の遠征バスを出迎えた上に桜場の存在をガン無視して龍に話しかけるという、桜庭に対する心理戦というか嫌がらせをしてました。自ら「ノア対桜庭・因縁の対決!」のアングルを仕込む辺り、さすがノアさんプロレスというものを判ってる! ノアだけに! と唸らされました(プロレス?)。

 勿論桜庭さんは極めて単純なので、既にそのアングルに乗りまくり、今週はベンチでノアを睨んで犬のように唸ってる始末です。久米さんが「ベンチの中で気持ちを切らすな」と控え選手の心得を語ってましたけど、そういう意味では桜庭は今誰よりも気持ちが乗りまくっているはずであり、さすがにこの試合では何らかのタイミングで起用されるのではないのでしょうか。桜庭の飼い主であるミルコも観戦に来ていることですし、桜場を起用するには十分な舞台環境だと思われます。
 何より、我らが主人公・龍の必殺カットインは桜庭のドリブル突破の脅威があってこそ成立する技ですので、龍の新必殺技の感性のためにも桜庭はピッチに立たなければならないのです(力説)。

 あとちょっと気になったのが、序盤で武蒼の黒部監督と赤城中央の監督と話をしていて「(1年生を)じっくり大きく育ててやれよ!」と言われた時、何故か険しく遠い目をした黒部監督のカットが挿入されているところです。
 これはどう考えても「黒部監督には1年生を卒業まで面倒を見る時間がない」ことの暗喩であり、多分今年の全国大会が終わった辺りでやっぱり死んじゃうんじゃないかと思わずにはいられません。黒部監督はサンデーにおいて「BIRDMEN」の龍目と並ぶ貴重なステキ中年キャラですので、お身体は大切にして頂きたいと思う次第です。

 でももしかしたらあのカット、会話の内容とは関係なく、内心では単に「せっかく群馬まで来たんだから、ソースかつ丼を食べて行こうか…」とか考えている可能性も無いわけではないかも知れませんが(ない)。

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今週の藍子の「来ちゃった…群馬まで」という台詞、埼玉県民の群馬に対するイメージがにじみ出ていた気がしませんか(妄想)


コミック版「ウルトラマンネクサス」発売記念日記

「てれびくん」の切り抜きは記念にとっておきます
ウルトラマンネクサス

 椎名高志先生が作画を担当し、「てれびくん」2004年12月号〜2005年8月号に渡って掲載されていた『ウルトラマンネクサス』のコミカライズ版が、10年の時を経た2015年5月18日についにコミックスの形で発売されました。

 コミックスは『てれびくん』の単なる再録に留まらず、連載時には描けなかった最終決戦を含んだ完結エピソード、円谷プロ公式の設定資料、番組プロデューサー・渋谷浩康氏と孤門役の川久保拓司氏の対談、担当編集の中門氏によるコラム、そしてコミカルなおまけマンガまで含んだ、「ネクサス」のコミカライズとしても、また「ネクサス」の資料的にも充実した内容となっており、まさに『ウルトラマンネクサス』に対する関係者の熱意と執念が生み出した奇跡の一冊と言っても良いのではないのでしょうか。

 個人的には、まさか本当に「ネクサス」のコミックスが発売されるだなんて思ってもいなかったので、4/1に発売されたサンデーで第一報を知った時は、「マジっすか!? これエイプリルフールじゃないんですか!?」と、本気で疑ってしまった程です。

 また椎名高志先生のファンにとっても、この「ウルトラマンネクサス」は「一番湯のカナタ」の連載終了〜「絶対可憐チルドレン」の連載開始までの週刊少年サンデー長期休載期間に発表された貴重な作品であるにも関わらず、長らくコミックス化されなかったために読みたくても読むことができない作品でした。
 なので、今回のコミックス発売によって、ついに「カナタ」と「絶チル」を結ぶミッシングリンクが繋がったと言っても過言ではありません。

 「ネクサス」は描かれた時期が「絶対可憐チルドレン」の連載初期に近いこともあり、今とはちょっとタッチが違う当時の絵柄を拝むことができるのも、ファンとしては興味深いところです。
 また作品のテーマとしても、「絶チル」を読んだ後で改めて「ネクサス」を読んでみると、「絶チル」と相通じるところがあることに気付けるでしょう。孤門が恋人を失ってもなおも戦うことを決意した時の「辛かった過去は変えられないが、未来は変えられるかも知れない」という言葉は「絶チル」の小中学生編を通じた共通のテーマでもありますし、またネクサスの「定められた滅びの運命と戦う」物語の全体構造は、「絶チル」は勿論のこと「MISTERジパング」とも共通していると考えることもできます。

 今の椎名高志先生の作品を批評する上でも、「ネクサス」はかなり重要な作品であると言えるのではないのでしょうか。考察しがいのある作品であると言えましょう。

 そして「ウルトラマンネクサス」がコミックスの形で発売されたことによって、「カナタ」から「絶チル」の間に発表された作品は全て何らかの形でコミックスに収録されたことになります(ヤンマガアッパーズなどに掲載されたイラスト等は除く)。
 残る椎名先生のコミックス未収録作品は、1990年代上旬にサンデー増刊に「(有)椎名百貨店!」枠で掲載された「フォワード」「眠る牙」などのマンガだけだと思われます。この辺の作品のコミックス収録は、椎名先生デビュー30周年記念などのイベントを期待するしかないのかも知れませんね。ちなみにデビュー30周年は2019年です(遠い)。

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今だ!キックを使え!目だ! サンデー24号「BE BLUES!」感想

貴重な桜庭さんのビックリ顔
BE BLUES!

 ここのところ燻っていた龍がついに覚醒したの回。
 夏合宿の試合ではマッチアップで勝てなかった(というか、龍が最初から対戦を避けていた)レノンを真っ向勝負でぶち抜いてシュートを放つカタルシス溢れる展開は、このマンガの大河サッカーマンガとしての面白さが凝縮されていると言っても良いのではないのでしょうか。

 レノンやリンゴが龍を前にして一瞬行動が遅れた秘密についてですが、龍の近くに桜庭がいたことから推測すると、おそらくは龍が視線の動きか何かで桜庭にパスすると見せかける素振りをしたのではないかと思ってます。龍の視野の広さについては先週以前から伏線が引かれているので、それに関係したものでであるのは間違いないでしょう。
 レノンやリンゴは前の試合で龍が桜庭にパスをしたプレイ(および、ボールを持った時の桜庭の強さ)を覚えてますいますので、龍は桜庭の存在を利用してこの二人の動きをコントロールしようと試みたのではないのでしょうか。

 ただ、龍がこの間接視野を使った立ち回りを思いついたのは、先週に桜庭が全くボールを見ずに足で飛んできたボールを受け止める曲芸を見たからであることは間違いなく、また龍がディフェンダー相手に「突破かパスか」の二択を仕掛けるにしてもパスする相手である桜庭の脅威が強くないと意味がないことを考えると、今回龍が覚醒したのは桜庭さんのおかげであると言えるのではないのでしょうか。龍の覚醒は桜庭さんのおかげですよ(連呼)。

 龍がリンゴを突破した時の桜庭は明らかに驚いていた表情を浮かべていたので、桜庭の方も龍の動きには意表を突かれたのかも知れません。桜庭さん的には龍に「使われる」のは不服だと思われるので、桜庭さんも負けずに更に覚醒して龍に逆襲する展開を、いずれは見てみたいものだと思います。


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リンゴさんは今でもかっこいいなあ


松風君は異性に気を使いすぎて疲弊するタイプだと思った サンデー22+23号「絶チル」感想

絶対可憐チルドレン

 女は褒めろの回(要約)。「絶対可憐チルドレン」というマンガは、そもそもの出発点が「超能力が使える可愛い女の子が好きだから仕方がない」的な作者の強い願望から来ているので、今回の松風君の「君らの最高の能力と可愛さを思い知らせてやろう!」という台詞は、ある意味このマンガの原点であると言えなくもないのかも知れません。

 話の中では、松風君が葵と紫穂をノセるためにものすごく頑張って「可愛らしい」と褒めており、当の二人もその気になってそれっぽいポーズをしてたりしてましたが、この辺は「松風君の意図は見え見えだけど、まあノッてあげましょう」という二人の優しさを感じずにはいられませんでした。実際、松風君の性格からして、ここでちゃんと彼の意図通りにノッてあげないと、激しく落ち込んで作戦指揮能力が著しく落ちることは必至の有り様ですからね。リーダーをその気にさせるのも部下の勤めの一つですよね。
 男の「女は褒めろ」の神話にあえて乗ってあげるのも、また女子力の一つなのでしょう。女子って大変ですねえ。

 また今回気付いたところとしては、葵が「ま、当然やけどね!」とドヤ顔しながらポーズ取ってる時の左手の形と、松風君が「解禁!」と頑張って叫びながら変なポーズ取ってる時の左手の形が似ているなと思いました。親指と人差指と中指を伸ばしてる感じのアレ。眼鏡キャラ特有の指の使い方なんでしょうか(何)。

 そして今回の敵役となるファスナー使いの男(個人的愛称:ファスナーフェチ)については、その能力と仮面はともかくとして、基本的なスタイルがボンテージファッションなので、今度はそういうタイプの変態なのかなと思いました。ボンテージフェチでかつファスナーフェチとなると、かなりの重症なのではないかと推測されます。
 ファスナーフェチの種類としては、ファスナーを開け閉めする時の音に興奮するタイプと、ファスナーを上までぴっちり締めてる時の状態に興奮するタイプがあるようなのですが、彼の場合は衣装がボンテージファッションなので、多分後者のタイプですね。これはつまり、ファスナーフェチはボンテージフェチの延長上にある趣味であるということなのかも知れません。
 ファスナーフェチな彼のおかげで、フェティシズムの新しい知見を得ることができました。ありがとうございます

 マンガの感想になってない気がします。


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椎名先生が「ネクサス」描いてた頃の貴重なコメントはこちらから読めます


「乳首は歴史を変えました。いいね?」「アッハイ」 サンデー22+23号「競女!」感想

このシーンはこの作品の一つの到達点だと思います
競女!!!!!!!!

 今回の「競女!」における声に出して読みたい日本語は、「乳首が歴史を変えました!」です(挨拶)。

 のぞみが隆起した乳首に体内にある「真空裂尻」の回転エネルギーを伝え、乳首デコピン一発で対戦相手である真夜を撃沈して勝利という、色々な意味でドラマチックな展開を見せた今回の「競女!」。乳首がおでこに当たっただけで吹き飛ぶ描写が圧巻でした。

 回転エネルギーを一点に集中してパワーを開放させるというと、個人的には「覚悟のススメ」に登場した零式螺旋波紋掌打を思い出します。独特のポーズで大地の力を体に溜め、その力を体内で回転させて波紋にし、その波紋の螺旋パワーを掌の一点に集中して相手をビンタすると、相手は内臓を口から吐き出して死ぬアレです。
 「零式螺旋波紋掌打」と「乳首が歴史を変えました!」の共通点は、回転エネルギーを一点から放出するという理屈と、絵の迫力で読者の道理を押し切ってその理屈を納得させる、「マンガ」というメディアの持つ暴力的なまでのパワーを活用したこと、の二つだと思います。

 このマンガが、通常の女体の道理が通じない、言わば乳首拡充路線とでも言うべきパラダイムに移行したのは「乳首一本背負い」が炸裂した時から明らかなんですけど、その乳首拡充路線を最後まで貫いた結果が今回の「乳首が歴史を変えました!」だったのではないかと、私は思いました。
 「人間の乳首じゃそんなことできないよ!」というツッコミは、おそらく各界から数限りなく寄せられたのではないかと推測されますが、作者の空詠先生は「揉み払い師」の頃からそんなことは重々承知の上でこの路線を突き進んだのでしょう。

 私はこのマンガから、何事も己が信じた道を最後まで貫く姿勢が大切だということを、改めて学んだような気がします。
 いい最終回でした(終わってません)。


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空詠大智先生、この頃から既に「365日寝食を惜しんで乳と向き合った作者」と紹介される始末(褒めてます)


桜庭さん、実はサッカー選手として普通に有能なのでは疑惑 サンデー22+23号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 「視野が狭い」と揶揄されていた桜庭さんが、ノールックで側面から飛んできたボールを足でキャッチして視野の広さをアピールするという、意外な一面を見せた話でした(本来の主題である龍の視野のことは、とりあえずここでは置いておくことに決定)。

 桜庭さんはドリブル突破が異様に上手いことと、そのクセに性格がカスなのでプレイに協調性が全くないことばかりに注目が行きがちなキャラなんですが、実はちゃんとサッカー選手としての基本的な能力も高いことが暗に提示されたと言えます。
 まあ確かに、周囲の状況が把握できているからドリブラーとしての適切なプレイができているんでしょうけど、だからこそパスを全然出さないのが余計にアレなんですよね。だから桜庭さん大好き(ウットリ)。

 ただ、コーメイに「見えてねえからパス出ねえんだろ?」と煽られて「見えてるわ! 出す必要ねーだけだ!」と返してましたが、これは逆に言えばパスを出す必要性を自分に感じさせればパスを出してやっても良いとも言える訳で、桜庭の攻略(恋愛ゲーム的な意味で)には、彼にパスの必要性をより感じさせることが重要なのではないかとも思いました。

 ミルコ爺さんは「ボールをロストしたら交代」という手綱を付けることで桜庭にパスプレイを強要させてましたが、果たして龍、そして余命幾ばくもない(妄想設定)黒部監督は、如何にパスを出さない桜庭を手懐け、彼の秘められた力をチームの為に使わせるのか。彼らの攻略手腕に注目ですね。続く。


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コミックス19巻は桜庭さんのドヤ顔仕様なので、書店に並んだら礼拝するしかない所存


唐揚げ屋は死んだ鶏の肉を使っているという事実 サンデー22+23号「なのは洋菓子店のいい仕事」感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 前回、ついに「なのは洋菓子店」のライバル役となる和菓子店「和菓子しらかわ」と、レギュラーキャラ(およびラブコメ要員)となるであろうそこのオーナー姉妹が登場し、いよいよ前作「神のみぞ知るセカイ」のようなラブコメ展開が開始されるのでは? と期待されていたこのマンガなんですが、今回は何故かまさかのニワトリ回に。

 ストーリーとしては、「なのは洋菓子店の卵を生んでいるのは、個性的なニワトリ達である」「洋菓子にとって卵の存在は極めて重要である」ということが伺える、洋菓子マンガとしてはある意味正しい内容でしたが、前回で美少女キャラを出しておいてからの突然のニワトリ女子回というのは、明らかに読者の意表を突くものであったと思います。この話の筋の崩し方はすごいです(褒めてます)。

 このマンガ、実は本当は第一話や今回の第四話のような、ちょっと型破りなことをやりたいのはないか? と思えるようになって来ました。冷静に前回の内容を振り返れば、ラブコメ回というよりはうんこ回というべき内容だったしなあ。やっぱりそういう方向性なんでしょうか。


期待のアホの子降臨記念 サンデー22+23号「tutti!」感想

tutti!

 個人的に高校の吹奏楽部というと、「中学の頃から吹奏楽やってる音楽好きな連中が集まる部活」という文化系的なイメージと、「基本的なノリは体育会系であり、夏の高校野球の応援に駆り出されて暑い中で延々と演奏させられるのがすごい大変」という体育会系を併せ持った、アンビバレンツな存在であるという歪んだイメージしかないんですけど、この認識は一般的なものなんでしょうか(挨拶)。

 新連載。テーマは吹奏楽部。音楽をテーマとした「響け!ユーフォニアム」や「セッション」といった作品が話題となる中、やるなら今しかない! と狙っている感がありありと伺えます。いいと思います

 物語としては「人数が少ない弱小吹奏楽部に、天才的なセンスを持った型破りの新人がやって来る」という基本的なパターンだと思われますが、その「型破りの新人」役である金髪キャラの頼城君がものすごくカワイイ音楽バカであり、個人的に好感が持てました。バスケの音や動きを音階やリズムとして聞き取る描写をすることで、このキャラが根っからの音楽バカであることを表現している所は上手いと思います。
 そして彼は過去にトランペットを演っていて今も音楽が大好きであるのにも関わらず、何か過去に色々あって音楽を捨てたという感じの描かれ方をされていますが、その実態は全然音楽を捨てられていないことがンもうバレバレであり、吹奏楽部女子の桜井さんの罠にあっけなく釣られる始末。
 この感じだと、多分「音楽を捨てた」理由も何かものすごい下らないことが原因に違いありませんね(決めつけ)。

 とにかくこの頼城君がものすごくアホの子でカワイイので、このマンガもとても気に入りました。次回以降、如何に彼が吹奏楽部に籠絡されていくかが楽しみです。

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サンデー超増刊で連載されていた片桐先生の前作