コミック版「ウルトラマンネクサス」発売記念日記

「てれびくん」の切り抜きは記念にとっておきます
ウルトラマンネクサス

 椎名高志先生が作画を担当し、「てれびくん」2004年12月号〜2005年8月号に渡って掲載されていた『ウルトラマンネクサス』のコミカライズ版が、10年の時を経た2015年5月18日についにコミックスの形で発売されました。

 コミックスは『てれびくん』の単なる再録に留まらず、連載時には描けなかった最終決戦を含んだ完結エピソード、円谷プロ公式の設定資料、番組プロデューサー・渋谷浩康氏と孤門役の川久保拓司氏の対談、担当編集の中門氏によるコラム、そしてコミカルなおまけマンガまで含んだ、「ネクサス」のコミカライズとしても、また「ネクサス」の資料的にも充実した内容となっており、まさに『ウルトラマンネクサス』に対する関係者の熱意と執念が生み出した奇跡の一冊と言っても良いのではないのでしょうか。

 個人的には、まさか本当に「ネクサス」のコミックスが発売されるだなんて思ってもいなかったので、4/1に発売されたサンデーで第一報を知った時は、「マジっすか!? これエイプリルフールじゃないんですか!?」と、本気で疑ってしまった程です。

 また椎名高志先生のファンにとっても、この「ウルトラマンネクサス」は「一番湯のカナタ」の連載終了〜「絶対可憐チルドレン」の連載開始までの週刊少年サンデー長期休載期間に発表された貴重な作品であるにも関わらず、長らくコミックス化されなかったために読みたくても読むことができない作品でした。
 なので、今回のコミックス発売によって、ついに「カナタ」と「絶チル」を結ぶミッシングリンクが繋がったと言っても過言ではありません。

 「ネクサス」は描かれた時期が「絶対可憐チルドレン」の連載初期に近いこともあり、今とはちょっとタッチが違う当時の絵柄を拝むことができるのも、ファンとしては興味深いところです。
 また作品のテーマとしても、「絶チル」を読んだ後で改めて「ネクサス」を読んでみると、「絶チル」と相通じるところがあることに気付けるでしょう。孤門が恋人を失ってもなおも戦うことを決意した時の「辛かった過去は変えられないが、未来は変えられるかも知れない」という言葉は「絶チル」の小中学生編を通じた共通のテーマでもありますし、またネクサスの「定められた滅びの運命と戦う」物語の全体構造は、「絶チル」は勿論のこと「MISTERジパング」とも共通していると考えることもできます。

 今の椎名高志先生の作品を批評する上でも、「ネクサス」はかなり重要な作品であると言えるのではないのでしょうか。考察しがいのある作品であると言えましょう。

 そして「ウルトラマンネクサス」がコミックスの形で発売されたことによって、「カナタ」から「絶チル」の間に発表された作品は全て何らかの形でコミックスに収録されたことになります(ヤンマガアッパーズなどに掲載されたイラスト等は除く)。
 残る椎名先生のコミックス未収録作品は、1990年代上旬にサンデー増刊に「(有)椎名百貨店!」枠で掲載された「フォワード」「眠る牙」などのマンガだけだと思われます。この辺の作品のコミックス収録は、椎名先生デビュー30周年記念などのイベントを期待するしかないのかも知れませんね。ちなみにデビュー30周年は2019年です(遠い)。

参考資料:
ウルトラマンネクサス (少年サンデーコミックス)
椎名 高志 円谷プロダクション
小学館 (2015-05-18)
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